このブログのまとめ+αな書籍
「オタ中国人の憂鬱」

が発売になってから一ヶ月が経ちました。
書籍に関するイロイロなご感想やご批評などをいただき、本当にありがたい限りです。

先日は朝日新聞の読書欄にも掲載していただくなど、私が考えていたよりも広い範囲の方々に読んでいただいているようで、嬉しくなると同時にちょっと冷や汗の出るような気持ちにもなってしまいます。

今回の書籍では、ありがたいことに私の趣味に偏ったというか、
オタク関係の内容をかなり入れることが出来ました。

ただやはり紹介したいものを全部入れるのは無理な話ですし、
特に個別の作品についての紹介は分量的に厳しいものがあり、
最終的には中国オタク的に人気が非常に高く、
更に中国と日本での反応の違いが比較的顕著な作品を選んで入れることとなりました。

しかしその後、もっとイロイロ紹介したかったなどという欲が出てきてしまいまして……
特に2009年の冬コミで中国清華大学のオタクサークル「次世代」の同人誌に寄稿させていただいたときに紹介したような作品についてはちょっと触れておきたかったなーなどと思ったりもしております。

そんな訳で、今回は書籍の方で紹介しきれなかった
「中国オタクの歴史を作った作品」
について簡単に紹介させていただきます。


マクロス:
ロボットモノでは「ガンダム」と同等か、それ以上の人気があるようです。
劇中歌の評価も高く、中国オタクのアニソン系のイベントでも大人気となっています。
しかし、実は中国に最初に入ったのは日本の「マクロス」ではなく、
アメリカでつぎはぎされた「Robotech」でした。

そしてその後日本の「マクロス」とその続編も入ってきたのですが、
この流れのせいでファンの間では今でも少々混乱しているようです。

また、「マクロス」のファンのディープな層はアニメから入っていった人間が多く、
「ガンダム」のディープな層がゲームや作品設定の情報から入っていった人間が多いのとは対照的なところがあります。


銀河英雄伝説:
中国で最も「濃い」ファンが多いと言われる作品です。
「銀英伝」は中国のネット黎明期(ダイヤルアップ時代)にファンサイトが賑わい、そのままファン層が構築されました。

「銀英伝」について一家言あるようなファンも多く、
中国のネットでは毎年ヤン・ウェンリーの命日に
「ヤン提督に紅茶入りブランデーを捧げます」
といった発言を見ることができます。

しかしこだわりのあるファンが多いだけになかなか扱いの難しい作品でもあるようで、中国本土で銀英伝が正式出版される時は翻訳などに関してファンからの批判が飛び大荒れになってしまったなんてことも。
ちなみに大陸版の宣伝文句は「宇宙の三国志」というなかなかに「分かっている」ものでした。


るろうに剣心:
中国オタクの日本刀とサムライ好きはここから始まりました。この後「PEACE MAKER鐵」、「BLEACH」と続き、コスプレとしても大人気。それから女性が演じる「男性キャラ(少年キャラではない)」が初めて意識された作品です。

この作品が中国で人気になっていたとき、私はちょうど中国現地の高校に通っていたのですが、その時の学校ではるろうに剣心の必殺技の数々を叫ぶ光景をわりと見かけたりしました。
掃除の時にホウキでチャンバラやったり「牙突!」とかやったりするのはどこの国も一緒なのかもしれませんね。


セーラームーン:
女の子を中心に大人気になった作品です。中国本土で放映されたのは基本的に無印のみだったそうです。(香港では続編の放映もアリ)
この作品は女性の中国オタクのファッション感覚への影響も大きかったそうで、この作品をきっかけにして制服やおしゃれを意識するようになったというのが結構いるとか。

それから関連グッズもいろいろと売られていたそうです。中国には日本の魔女っ娘モノの作品もかなり入っているようなのですが、「セーラームーン」は関連グッズや女の子のおしゃれの感覚も開拓するなど、他の作品とは比較にならないほど大きな影響をもたらしたそうです。


封神演義:
女性の中国オタク的には「星矢を継ぐもの」という所でしょうか。
中国オタクの腐女子層は「聖闘士星矢」から発生したのですが、その後この「封神演義」で育成されて力をつけることになったそうです。

この作品から「幽遊白書」や「最遊記」、「鋼の錬金術師」などの各ジャンルに分派していったとか。封神演義の腐女子方面における爆発のきっかけとして、台湾のBL系創作サイトがかなり影響したとも。

また、ディープな層には日本の漫画が中国のコンテンツを独自に解釈したりアレンジして面白い作品を作ってしまうことを実感した作品でもあるそうです。


スレイヤーズ:
マニアが特別多いというわけではないのですが、根強い人気を誇る作品です。日本のファンタジー系のノリや作品展開の文脈はこの「スレイヤーズ」と「ロードス島戦記」によって中国オタクの間に広まったと考えてもいいかと思います。

「スレイヤーズ」にハマった中国オタクの面々の間では作中に出てくる「竜破斬」などの呪文を覚えて唱えてみるなんてことも流行ったそうです。それから、この作品で中国オタク達は「おっぱいが小さいことを気にする」という属性を学んだとかなんとか。


名探偵コナン:
子供から大人まで非常に幅の広い年代にファンを持っている作品です。なかには親子で見ているというご家庭も。「見ていてもあまり親に怒られないアニメ」という話を聞いたこともあります。

子供の頃から見ていたというのも少なくないようで、中国オタクの間でも
「コナンはもういったいどれくらい小学生やってるんだ」
というのがかなり共感できる(?)ネタになっているとか。
最近では劇場版が中国本土で上映されていますし、中国オタクの誰もが知っているアニメの一つになっているようですね。


NARUTO:
中国オタク的定番アニメの筆頭と言っても過言ではなく、中国オタク的には「とりあえず見ておけ」といった扱いで中国オタクの基礎知識な作品になっています。

「NARUTO」は中国のブロードバンド環境の整備とともに、ライトな層を中心に爆発的に広まった作品です。そのあまりの広まりっぷりとファンの多さに、中国オタクのディープな層からは逆に敬遠されたり、「NARUTOなんて浅くて見れない」みたいな扱いをされるなんてこともあるそうです。

日本の忍者のイメージは主にこの「NARUTO」、それから「忍たま乱太郎」で中国オタクの間に広まった模様です。
とりあえず中国オタク的に把握しておいて損は無い作品と言えますね。


フルメタル・パニック:
短編の「ふもっふ」がコメディとして大人気になり、そこから更に本編へファンの逆流が起こりました。

中国では日頃から軍事関係の宣伝や番組が身近にあり、学校のカリキュラムでも軍事訓練に参加したりするなど、中国オタクにとって軍事ネタはかなり身近なものとなっています。その為この作品はかなり「ネタが分かる」「親近感を覚える」ものなのだとか。

中国オタクのお約束な妄想の一つには「兵士となって無双の大活躍をする」というのがあるらしく、フルメタの「学校ではボケているが、実は凄腕の兵士、しかもロボットに乗り一騎当千の活躍」というのは中国オタクの心に直撃する内容になっているそうです。

しかし、作中では中国が南北分断分割統治状態になっている世界設定があるので、それがバレたらかなりまずいことになるんじゃないかと心配になってくる作品でもありますね。



同人誌紹介分で、書籍に載っていない作品についてはこんな所ですね。
ちなみに、書籍の方で詳しく紹介しているのは
「ガンダム」「エヴァ」「涼宮ハルヒ」「コードギアス」「けいおん!」「ヘタリア」
「北斗の拳」「聖闘士星矢」「スラムダンク」「ときめきメモリアル」「ウルトラマン」

といった作品です。


それから、他の中国オタク的に人気が高かったり影響の大きかった作品については
こちらの記事
中国オタク的同人誌、通販開始!
でも紹介しておりますのでよろしければご参照ください。

いつまでたってもイイカゲンなブログでお恥ずかしい限りですが、今後ともよろしくお願いします。


「オタ中国人の憂鬱」こぼれ話 その1