先日の京大入試のカンニング問題はずいぶんと大事になってしまった感もありますが、
その件に関してありがたいことに
「中国での反応はどうなのか?」
という質問をいただいております。

中国オタクは現役大学生〜新社会人辺りの人間が多いので、大学入試やカンニングについては身近な話題だったり、まだ記憶に新しいものだったりします。
その為、今回の京大カンニング問題についても興味があるようで、私のいつも巡回している中国のソッチ系の掲示板でもその件に関するやり取りが行われていました。

そんな訳で、今回はその辺についてのやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


日本の一流大学である京大の入試でネットと携帯を使ったカンニングが判明したらしい。日本のメディアでは信じられないほど騒いでいるな。

……カンニングの方法は携帯を使ってネットの質問サイトに投稿しただけ?単純すぎない?なんでこれが出来たの?

そもそも日本の大学入試って携帯持ち込み可能なのか!?
ありえない。何考えてんだ。

この程度のカンニングすら防げないなんて日本の試験の管理体制はレベルが低すぎる。
日本はカンニング対策に関して中国に学ぶべきだ。

このカンニングした学生の行為もレベルが低すぎるよな。
日本の学生はカンニング技術に関して中国に学ぶべきだ。

ウチの国のカンニング技術は科挙の時代から培われたものだからな、あんな島国とはレベルが違うぜ……
てか、生徒を信用して対策を採らずに今まで問題なかったのが信じられん。

ウチの国は毎年高考の時期になるとカンニングや替え玉受験、高考移民といった不正関連のニュースが賑わうからなぁ。日本ではカンニングよりも出題ミスで賑わうらしい。

(訳注:「高考」は中国における大学入試です。「高考移民」については下の説明をご参照ください)

ウチの国ではこの間复旦大学の問題がテスト終了5分後にネットに流れるなんてことがあったな。ありゃ絶対中で撮影していないと無理だろう。
中国は携帯の持ち込みなんて許されないけど色んな方法がある。携帯持ち込み可能な日本の試験ではきっと簡単にカンニングが出きるんだろうね。

ちょっと疑問なんだが、カンニングやった人間はネットの知恵袋サイトという公開された場所を使ってばれないと思ってたのか?カンニングの証拠が全部残ってしまうだろうに……

日本は中国のカンニングについてはずっと他人事だと思ってネタにしてきていたが、この件では日本のマスコミは連日トップで報道の大騒ぎ。中国のカンニング対策を参考にしろと今になって主張してたりもするし、何なんだろね。

これはついにカンニング製品にも日本のハイテクが導入されることになるってことか?

これくらいで騒ぐってことは、日本はホントにカンニングが少なかったんだな。
技術は必要とされるところで発展するわけだから、中国においてカンニング技術とその対策技術が発展しているっていうことについては複雑な気持ちになるわ……

日本はウチの国や韓国のカンニング問題をずっと対岸の火事だと思ってたみたいだね。今回の件で日本のカンニングが無いという神話が崩壊したということで、モノスゴイ報道になっているよ。

日本でもカンニングやっているということに興味がわいてニュースを調べてみたんだが、カンニング方法の稚拙さにちょっとあきれた。なんかもっとこう、スゴイ方法とか機械を使うんじゃないかと思っていたのに。

まぁウチの国は「上に政策あれば下に対策あり」な国だし、カンニングはある意味必修科目だからな……

日本に留学して感じたんだが、日本人はテストを自分との戦いや自分がどれだけ評価されるかという方向で考えているのが少なくない。中国ではテスト自体との戦いだと考えている。

そういやネットゲームでもウチの国のプレイヤーと日本のプレイヤーでは違いがあるな。
バグを使ったチートとか広めるのはたいていウチの国の人間。ウチの国のプレイヤーはチートを使うのが自分の特権だと思っているし、使わないという選択肢はありえないんだよな。

ふっふっふ、ついに中国へ不正防止技術を学びに来る時代が来たか。

カンニングについて思い出深いのは、試験の時となりに座っていたカワイイ女の子が太腿に暗記が必要な漢詩を書いておいて、テストの時にスカートをめくって写していたことだな。かなり得した気分になった。

女の学生はカンニングで隠せる場所が多いから有利だよね。てか女の学生が何か隠した場合、男性だとチェックできないことが多いから試験によっては試験監督に女性を組み込むとかもやってるな。



とまぁ、こんな感じで。
ざっと見た感じでは「日本のカンニングとその対策はなっていない」というような反応がわりと多かったですね。

中国の試験会場では基本的に筆記用具以外の持ち込みは禁止で、携帯電話などの通信機器や電子記憶機能のある物品は当然持ち込みできません。
そのため、日本の大学の試験会場では携帯を持ち込んでもOKという時点で結構驚かれているようですね。

中国の大学入試も日本のセンター試験のように統一試験が行われるのですが、その熾烈さは、文字通り「受験戦争」というような感じで、日本以上の所もあります。
良い学校に入れるかどうかでその後の生活レベルが決まってしまうので受験生は本当に必死です。

そしてそんな試験ですからカンニングに関しては毎回様々な攻防が行われており、替え玉受験やカンニング装置の利用についての話はそれほど珍しいものではありません。
その辺りの技術戦(?)についてはKINBRICKS NOWさんの記事で紹介されているので、そちらもご参照ください。

日本のカンニング対策はぬるすぎるっ!電子戦さながらの中国試験最前線をご紹介 KINBRICKS NOW


ちなみに、カンニングとはちょっと違うのですが中国の大学入試である
「普通高等学校招生全国統一考試」、通称「高考」では
「高考移民」
という中国の試験制度の穴をついての裏ワザも行われています。

中国の大学入試は統一といっても中国全土が同じ問題で試験を行うわけではなく、各省や直轄市、自治区ごとにそれぞれ別の問題で統一試験を行い、受験生は自分の戸籍のある地方の試験に参加することになります。
また大学側も各省や直轄市、自治区ごとにそれぞれ合格させる生徒の数を割り当てています。

その為、中国の大学入試ではどの地方で試験を受けるかで実質的に志望校の難度が変わってしまうという現象が起こることになります。

全部同じ問題でやればいいと思う方もいるかと思いますが、中国は場所によって発展の度合いがかなり異なることから教育のレベルも異なります。
一律に同じ問題でやると格差が出てしまうので、現在の中国の大学入試には地域ごとの発展が不均衡なことへの補助も組み込まれています。

そして「高考移民」はその差を利用するべく、少しでも有利な地域に戸籍を移して試験に参加しようとする訳ですね。

「移民先」の大まかな傾向としては、まず大学の合格枠は基本的に地元枠が多くなることから結果的に合格ラインの下がる北京や上海などの良い大学が多い都市、それから海南省や安徽省などの経済的な発達度が遅れているため教育レベルも低くなることから合格ラインが低くなる地区があるそうです。

最近では高考移民の対策となる制度も設けられ、取締りの対象となるようになっているそうです。
「高考移民先」として人気があると言われる海南省ではその地方の試験で「状元」(1位)になった生徒が後に「高考移民」だったと判明して合格取り消しになるといった事件も起きています。

また中には文字通り「移民」してしまう国際的な「高考移民」もいます。こちらが目論むのは中国の大学が設けている留学生制度の利用ですね。

中国の大学入試は中国の戸籍を持っていないと参加できませんから、各大学はそれぞれ留学生向けの入試を行っています。
しかしこれは中国国外での教育を受けている人向けの試験ですから、中国で育って中国の試験向けの教育を受けた人間にとっては、問題の難度や競争相手を考えれば国内で「中国人として普通に試験に参加する」より格段に楽になります。

そういったことから国際的「高考移民」はまず海外に移民して国籍を変え、その後中国に舞い戻って試験に参加して中国の難関校に入ろうとするわけです。
これもまた中国の大学にとって頭の痛い問題だそうで、その対策として華僑系の留学生は入学試験の他にもう一つ試験を受けるというようなことを行ったりしているそうです。
(私が話を聞いたときは、中国語や中国の地理歴史など「中国に関するかなり難度の高い問題」をやらされるという話でした)

ただ、華僑系の留学生と言っても「高考移民」だけではなく、単に中華系の血が混じっているだけで中国で暮らしたことは無いといった人もいます。
この対策の影響で、
「普通の華僑系の外国人までとばっちりをくらって中国の大学に試験を受けて留学するのが非常に難しくなる」
という事態が起こっちゃったという話も聞いたことがあります。

こういった中国の状況と比べた場合日本はまだまだ平和に思えますが、技術の発展や環境の変化による新たな形のカンニングは常に出てくると思われます。
受験生を信用したり尊重するのは別に悪いことではありませんが、それとカンニングできる方法を放置するのは別の話です。

普通に試験を受ける側からすれば
「試験監督体制に穴があってカンニングが可能」
というのは気持ちのいいものではないでしょうし、試験をする側も現在の技術にあわせた試験監督体制を構築するのが結果的には「良い試験環境」を作ることにつながるのではないでしょうかね。

グダグダと書いているうちに長くなってしまいましたが、とりあえずこんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


中国オタクは受験で一度死ぬ