北京から帰ってきました。
中国ではlivedoorのメールが使えない状態だったので、
メールのお返事もできませんでした。申し訳ありません。
現在メールチェックと返信を行っておりますのでもう少々お待ちいただければ幸いです。

今回も北京でイロイロとネタを仕入れたりできたのですが、
まだちょっとドタバタしているので今回も書き溜め分+αでやらせていただきます。


先日中国オタクのディープなボーカロイドファンの方にイロイロと教えていただくことができたので、前回の記事
ボーカロイドの中国における人気の高まり方と広がり方
ではボーカロイドの人気について紹介させていただきました。

今回はその続きで
「中国のボーカロイドファンの傾向」

などについてを。


まず、中国オタクのボーカロイドは大まかに
「音萌え」と「キャラ萌え」
に分かれるそうです。

どちらにもライトなのからディープなのまでいるそうですし、
両方Okなのも少なくないようですが、
あえて分けるとすれば「キャラ萌え」なファンの方がかなり多いようです。

このような差がついたのは中国オタクの元々の嗜好からというのもあるようですが、
それ以外にも「コストの差」というのが大きいのだとか。

まず「音萌え」についてですがボーカロイド曲が主体になる関係上、やはり日本語能力が必要となります。
特に「悪ノ娘」シリーズ
【ニコニコ動画】【鏡音リン】 悪ノ娘 【中世物語風オリジナル】
のような、ストーリー性のある曲を聴いて「理解」するにはそれなりの日本語能力がないと厳しいそうです。

もちろん日本語が分からなくてもメロディを聴いて楽しんだりはできますし、歌詞の中国語翻訳テキストなり中国語字幕が付加された動画などが無いわけではないのですが、
「耳で聴いて直接理解できるか」
というのは大きく、その辺りで「音」の方にハマることができるかどうかが結構分かれるのだとか。

またそれに加えて「音萌え」の場合はニコニコ動画のチェックだけでは済まず、CDなどに関しても手を出さなければならないので出費も結構あるそうです。

しかもこれはややコアな部類に入るからなのか、P2Pによる違法ダウンロードでは欲しいものが手に入らないことが少なくないそうで、「音」にハマって追っかけるにはどうしても金銭的なコストが大きくなるという話です。

そんな訳で「音萌え」の方は金銭的な面に限らず、能力やそれを身につける為の学習のコストなど、様々な面でコストがかかってしまうので結果的に難しいジャンルとなっているとのことです。


これに対して「キャラ萌え」の方は他のオタク系ジャンルに比べてもハードルが低く入るのが楽なジャンルになっているそうです。

ボーカロイドは関連創作を楽しむうえで必要な前提知識が少ないですし、創作活動などにおいて必要とされる「解釈」についてもそれほど厳しくありません。

ボーカロイドの「キャラ萌え」については、わりと好き勝手に創作してOKなので気楽に楽しめるということと、ニコニコ動画を中心としたネタによる「分かる」「楽しめる」ことの幅の広さなどからかなり多くのファンが出ているようです。

このような感じで、中国オタクのボーカロイドファンは大部分の「キャラ萌え」と一部の「音萌え」で構成されているそうです。



それからもう一つ、
これは恐らく中国オタクのボーカロイドファンのかなり大きな特徴だと思うのですが、
「ボーカロイドを使って作品を作る(作れる)人間が非常に少ない」
という点があるそうです。

日本でも基本的に作り手よりも受け手の方が多いかと思いますが、
中国では受け手の比率の方が圧倒的に高い状態です。
もちろん作り手がいないわけではないものの、極めて少ないのは確かですね。

実はボーカロイドに限らず中国オタクにはボーカロイドを使いこなす以前の、
「音楽」という段階で高い壁が存在します。

中国の学生の多くは小学校(場合によっては幼稚園)から高校までの間ずっと受験勉強漬けとなり、大学受験に関係のあること以外はほとんどできません。
中国オタクの多くも、オタク趣味に本格的にハマったのは大学に入ってからです。

そのため、中国の若者は音楽を聴くだけならともかく
「音楽を作るまたは演奏する側でかじったことのある人間が極めて少ない」
ということになっています。

そんな訳で、中国本土でボーカロイドの曲を作る人間が増えない最大の理由は日本語インターフェースや発音が日本語ベースであるなどといったことではなく、
「音楽関係のスキルを持った人間が少ない」
ということなのだとか。

考えてみれば日本の場合は学生の頃に趣味で楽器をやったり部活をやったりしてそれなりに音をいじれる人が一定の割合でいるかと思いますが、中国ではそういうのはほとんどいませんね。

高校までの中国の学生は学校の部活や学校の外で音楽関係の活動をするといった余裕も、音楽をやる環境もほとんどありません。
一応中国の学校にも音楽の授業はありますしリコーダーくらいはやりますが、受験に関係のある科目ではないのであまりまともにはやりませんし、保護者も受験以外のことに力を入れるのは喜びません。

また一応楽器によっては(ピアノ等)コンクールの賞をとることができれば大学受験に加点されたりもしますが、それにかかる手間と費用を考えると中国の一般的な家庭の選択肢としては難しいものになってしまいます。

中国の学生の感覚で言えば
「軽音楽部なんてのはどこの二次元世界の話だ」
といった所だとかなんとか。

そういう状態ですから、趣味で音楽をやることのできる中国の学生は非常に少なく、また大学に入ってある程度自由に動けるようになってから始めるのはちょっと厳しいということで音楽関係の創作には壁が出来てしまっているそうです。

もちろん音楽関係のことをやれる人間が0ということではないので、今後中国本土の人間による優れたボーカロイド作品が出る可能性はあると思いますが、作品が大量に出てくることはまずないだろうという話です。

これが美術の方ですと、最近は中国の有名大学も美術系の学科を開設するなどの動きがあるので、美術系のスキルで大学に入ろうとする学生(とその親)というのもそこそこ出てきていますし、絵心のある中国オタクも増加傾向にあるのですが、音の方はまだまだ難しい状況が続きそうですね。


中国本土のボーカロイドファンの傾向についてはこんな所でしょうか。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


ボーカロイドの中国における人気の高まり方と広がり方

5/4修正:誤字脱字を修正しました。ご指摘ありがとうございます。