さて、今回もネタの整理と言いますか、うっかり今に至るまで放置状態だった話でやらせていただきます。

最近のボーカロイド曲で人気となった作品に
「千本桜」
【ニコニコ動画】『初音ミク』千本桜『オリジナル曲PV』
『初音ミク』千本桜『PV』【HD】 (YouTube)
がありますが、中国のネットでは一時期この曲が原因でちょっとゴタゴタしていたそうで、ビリビリ動画などの中国オタク層の多い動画サイトで炎上したり、その後それ以外の動画サイトにも少々飛び火していたそうです。

この件については以前から質問をいただいておりまして、遅くなりましたが今回はそれについて中国のソッチ系の掲示板で行われていたやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


ボカロ曲の千本桜って軍国主義的だと批判されてるんだが、なんであそこまで燃え上ってるのかね?
軍隊っぽいモチーフがあるのは分かるが、あそこまで炎上するのがどうも理解できん。

歌はかなり良いとは思うが、歌詞がギリギリなんだよ。現在日本を風刺しつつ、過去の大正時代の改革を賛美し、反戦国家というのを皮肉っている所とか。暗喩的なものを考えると、楽しい気分にはならんよ。

あの千本桜という曲、吐き気がするくらい不快。愛国者なら排斥するべきだ。

こんだけの騒動になってるのは危険な所をついている曲だからでしょ。使われている画像についても軍国主義の空気が濃厚にある。
ボーカロイドってのはツールだしどんな歌でも出て来るのは分かるが、日本の軍国主義の教化的な歌が出てきたらそりゃ怒るヤツ出る。俺だって不快だ。

軍国主義軍国主義と言ってるけど、どの辺が問題なんだ?
出て来る素材や表現は日本の大正時代なら別に珍しいものじゃないし、歌詞のイメージは反戦寄りだと思うんだが。

最近の千本桜は卍解するんじゃなくて軍国主義で炎上かよ。

これって第二次世界大戦の英霊を記念した歌だろ。この色調や雰囲気はまさにそれ。日本人の過去の帝国の栄光を懐かしんだ歌以外のなにものでもない。こんな歌が作られて人気になるんだからあの戦争は終わってないし、日本のヤツラはきっとまた攻めてくる。

おいおい、さすがにそれは飛躍しすぎだ。
せめて歌詞をもうちょっと知ろうとしてくれ。中国語訳だってネット探せばすぐに見つかるぞ……

俺は歌詞を知った上で千本桜が今日を風刺して軍国主義を賛美する歌だと感じた。
近代の閉塞した状況を現代になぞらえて、しかも花魁道中、みんなで集まれ、聖者の行進といった言葉は聖戦を意識させているし、寺院を抜けて安楽浄土ってのは天国にいけるから死を恐れることはないという意味にとれる。そして最後に来るのは「大団円」だし、どうやれば軍国主義以外の歌に思えるんだ?

俺は軍国主義というか、「魁!!男塾」的なパロディの空気を感じたんだが。

私が感じたイメージは女神転生シリーズの「葛葉ライドウ」かな。
この曲正直自分の好みではないし、弾幕コメントで騒いでいる連中も好きじゃないが、そんな理由付けて排斥するようなものかね?

お前らホント何も知らないな。
そもそも「桜」という字が表す意味すら理解していないなんて。日本では美しい桜っていうのは根元に死体が埋まっているものとされている。そして、「千本」というのは日本語では「数多く」のという意味なので「千本桜」というのは「多くの犠牲の上に成り立った美しい現在」となる。そしてそれが夜に紛れるということは、現在の日本の時局に対する不満と過去の犠牲への賛美となる。
こういった内容をあの画像とともに流すのが、軍国主義に関係しないわけがないだろう。

この曲が日本の軍国主義に関するきわどい所に踏み入っているのは確かだわな。それが見て取れないヤツは眼科行くべき。
でも個人的には面白い歌だと思うよ。ウチの国だとこういう作品はあんまり出てこないしね。俺自身この曲で自分の愛國精神が動揺したり大日本帝国に愛を感じるようになってなんかいないから、騒がず適当に楽しめばいいと思う。

日本の軍旗がずっと出てきているのに、磊々落々反戦国家とか何の冗談だよ。俺を笑い死にさせる気か!?

なんか曲解しているのも多いみたいだが……
確かにPVでは反戦国家の所に赤いバッテンがついたりするし、風刺など裏の意味を探りたくなる歌ではあるけど、別に日本をひいきしてるわけでも賛美しているわけでもないぞ。
独特の世界観を表現している歌だし、現実と無理矢理つなげて考える必要はないと思う。

日本語じゃなくて中国語でのやりとりをしているはずなんだが、話が通じないってのは不思議。愛國人士の方々は今度はどこを排斥されるのでしょうかね。

でもそういった部分はしょうがないとは思う。
私だってこれはいい歌だとは思うけど、軍旗のせいで嫌な気分になる。

俺もこの曲のメロディは好きなんだけど歌詞やPVの軍国主義的な雰囲気からマイリストに入れるのはどうしても躊躇してしまうね。

なんか曲の背景画像だけで判断している人間が多いみたいだが、あれは日本の大正時代特有のものだぞ。日本の大正時代は日本の近代における安定と退廃の時期でもあるから、独自の文化的環境が生まれている。

「サクラ大戦」とかも、もし今の時代に流行ったらこんな感じで叩かれちゃったんかね。「サクラ」で「大戦」だから軍国主義とかそんな感じにされて。
00年前後の一時期、ゲーム街はサクラ大戦の看板やポスターがそこら中にあったし、サクラ大戦関係のフォーラムとかも結構あったんだがな。

てかサクラ大戦は普通に国内で正規版発売されてたよな。ああいうのを今やったらどうなるか……
登場人物に日本軍の軍人が……というか主人公大神一郎がそもそも軍人だから面倒なことになりそうな気もする。

一度疑惑を感じると絶対に変えられないって人多いしね。
そもそもこの歌詞自体曖昧なものだし、そんなに裏を探ってどうすんのよ。2012年に世界は滅亡するとか言ってるのと似たような空気を感じる。

やはりウチの国の人間には大正ロマンは理解できないのか……



とまぁ、こんな感じで。
さすがに面倒で訳すのは諦めたのですが、歌詞のトンデモ解釈版がコピペとして広まっていたりもします。
上で紹介している以外にもイロイロと反応を見て回りましたが、どうやら一部の燃え易い人が発火しちゃっているらしく、それが「千本桜」の曲の人気と広まりに重なってめんどうなことになっている模様です。

「千本桜」の曲は中国オタクの間でもかなりの人気となっているようで、中国語バージョンまで出現しています。
また先日北京で行われたニコニコと連動のアニソンカラオケ大会で、スペシャルゲストのぽこたさんが歌った曲の中には千本桜もあり、その際には大盛り上がりだったそうです。

ただ、人気が広まって話題になるということは接触する人間も増えるということですし、そうなると問題も出易くなってしまいます。

千本桜のPVは所々で出て来る漢字「だけ」は中国人にも分かりますし、旧日本軍っぽい装いや日章旗などの旧日本軍を連想させる絵が拒否感を呼び起こしてしまったりもするようです。
中国におけるこの辺についての感覚は教育や日頃のメディアの情報によって深い所に刻まれているものですから、人によっては非常に感情的になってしまいます。

それに加えて、日本語の歌詞については中国語訳を見ないことにはきちんと理解できないという人も多いわけですから、その過程で伝言ゲーム的な事態が発生したり、自分が当初感じたイメージのものだけを信じてしまったりということも起こります。

こういった事情が絡まり中国のネットにおける「千本桜」という曲の扱いがややこしことになってしまっているそうです。
ネット環境の整備により情報の飛び交うスピードは上がっているものの、その情報が必ずしも正しいものでは無かったり、偏ったものだったりするのは何とも難しい話ですね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


ボーカロイドの中国における人気の高まり方と広がり方