知り合いが中国出張のお土産に最新版の
「現代漢語詞典」
を買って来てくれたので、今回はそれについてのネタを紹介させていただきます。

「現代漢語詞典」は中国においてよく使われている代表的な中国語辞典でして、先日7年ぶりに改訂された第6版が発売されました。
今回の改訂で新たに収録された言葉の中にはネットで流行するようになった言葉もあるということで、中国ではちょっとした話題になっているそうです。

今回収録された新しい言葉で日本からの外来語には
「刺身」、「寿司」、「天妇罗」(天婦羅)、「定食」、「数独」、「通勤」、「手账」(手帳)、「新人類」、「榻榻米」(タタミ)、宅急送(宅配便)
等があります。

そして、このブログ的に見逃せないのが
「宅男」「宅女」
という言葉の収録ですね。

これは元々は日本の「オタク」、「おたく族」という言葉から来た、
中国語でオタクを指す
「御宅族」、「御宅」
という言葉から変化していったものなのですが、
中国で使われていくうちに「オタク」という意味の他に、

「引きこもり」、「インドア派」、
「外に出ないでPCの前でネットやネトゲにふけっている」


といったニュアンスが加わり、
現在の中国では一般的にはもう「宅男」という言葉はオタクよりも、
「外に出ないでPCの前でネットやネトゲにふけっている」
といった意味の方が先に来るようになっています。

第6版の現代漢語詞典でも、「宅男」「宅女」は
「ずっと家にいてほとんど外出せず、ネットやネトゲ等の室内活動にふけっている男(女)」
と説明されていますね。

実際、中国では一人っ子政策などにより子供を甘やかしていることもあってか、働かないでずっと実家にいて外にも出ずにPCの前でネットやネトゲ三昧状態になってしまう若者も少なくない上に、最近の中国では娯楽やメディアに関してPCとネットの存在が非常に大きいことから、引きこもりとまではいかなくても、ずっとPCの前にいて
「宅」
になってしまう傾向が強い模様です。

そして、中国語にはそんな状態の人間を言い表す言葉が無かったので、
「宅男」「宅女」
はまさにうってつけの使い易い言葉として広まったという話です。

この「宅男」「宅女」に関しては、
「『宅男』『宅女』が収録されているのに、なぜ『剩男』『剩女』という言葉が収録されていないのか?」
(「剩男」「剩女」はいい歳になっても結婚できない、或いは結婚しない独身の男女を指す言葉です)
などと中国では話題になっているそうです。
こういった話題になるくらいですから「宅男」「宅女」は中国の一般社会で使われる言葉として既にすっかり定着している感がありますね。

ただ、この「宅男」「宅女」という言葉に関する意味の変遷は思わぬ混乱が生まれることもあるようです。

「宅男」「宅女」に新しい意味がつき、そちらの方で広く使われるようになったあとも、「オタク」という言葉は相変わらず「宅男」「宅女」で訳されたりしています。
そのため、翻訳の過程で予期せぬ誤解が生まれたりもします。

例えば、以前中国の方へ
「日本のオタク人口は約2300万人」
と言うニュースが伝わったときなどは、
オタクという言葉がこの「宅男」「宅女」と訳されたことから
「日本のひきこもり人口は約2300万人」
と読み取ってしまう人が出たり、
「日本のオタク市場規模は数千億円」
というニュースが中国に入ったときも
「日本のひきこもり市場規模は数千億円」
といった謎のタイトルのニュースになってしまったなんてことが起こっています。

一応、ニュース本文をしっかりと読めば「引きこもり」では無く「オタク」の方の話だというのは分かるはずなのですが、中国のニュースもタイトルでの「釣り」がしょっちゅう行われているので、タイトルだけで誤解してしまった人も少なくなかったとか。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


7/21修正:誤字脱字などを修正しました。ご指摘ありがとうございます。