実は00年代後半に入ってから、中国オタク内の絵師のレベルは急上昇しています。ネットを見ても、最近では普通にウマい中華系の絵描きさんがゴロゴロいるのが見て取れるかと思います。

昔、私がまだ中国にいた頃などは、同人イベントなどを見ても絵のレベルが高い所はあまり無かったのですが、最近ではむしろ低いレベルの所を探す方が難しいような状態になっています。

先日の記事
中国オタク、コミケへ2012夏
でも中華系サークルの同人誌を紹介させていただきましたが、
そこからも画力の高さは見て取れるかと思います。

この辺に関して、ありがたいことに
「中国オタクの方々はどうやって萌え系の画力を習得しているのでしょうか?」
という質問をいただいておりました。

先日、うまい具合にそういったやり取りを行っているスレを見つけましたので、今回はそれを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


萌え画が上手くなりたいのだがどうやって学べばいいんだろう?
最近自分の中の萌え漫画を描いてみたいという欲求が高まってきてイロイロと模索しているんだが、どうもうまくいかない。やはりスケッチを地道にこなすしかないんだろうか?

萌え系の画力を身に着けるなら、好きな絵師のイラストを模写しまくるのが上達の早道だと思うぞ。自分はそこから入門した。

模写とか実際はどうなんだ?
正直、自分はその絵の模写だけうまくなって、次に別の絵を描くときはうまくいかないような気がしてしょうがないんだが。

ほう、こんなスレが立ったのか。私も萌え系の画を書けるようになりたいのでちょっと教えてほしいな。
ところで、自分は知り合いの美術教師(普通に学校で美術を教えている人)に教えを乞うことも可能なんだが、それは自分にとってどれくらいプラスになるんだろうか?もしプラスがでかいなら、今度会った時にお願いするつもりなんだが。

うーん……普通の美術系の技術は役に立つんだけど、ずっとそのままでは萌え系の方にはいけないかと。デッサン力とかの技術は必要なものだし、絵を描く上でプラスになるかと言えば、もちろんプラスになるんだけどね。

普通の美術教師から萌え系の画を描く技術を学び取ろうとするのは、何かが間違っているように思う。

描きたいのは「美術」じゃなくて萌え系の画なんだろ?
じゃあやはり模写が結果的には最短距離になると思うよ。自分の場合、模写を繰り返して段々と萌え系の絵の構造のようなものを把握していったし。

本当にプロになりたいなら、商業的に使えるような自分の画風を確立しないといけないだろうけど、趣味で好きなように描くなら、描きたい絵の目標もあるだろうしそれを目指すのがいいんじゃないかな。
そして少し上手くなったらポーズ関係の資料とかも参考にするといい。人物を描く上でかなり役に立つよ。

結局は好きな絵師の人を見つけて、その人の絵をたくさん集めて、たくさん手を動かして描くことだね。参考書とかはざっと見るだけで構わない。自分の好きな画師がいると練習のモチベーションも違うし、最後はどれだけ手を動かすかという話になる。
あと画を描くときには、機械的にじゃなくてある程度考えて描くって所かな。線なぞっているだけの機械的な作業を続けても効果は薄い。

私が古い人間だからかもしれないが、スケッチで基礎的な技術を覚えるのも悪くないと思うんだよね。石膏像とかを綺麗な線で、明暗と立体感を描写できるようになればあとは楽。二次元上の描写もうまいスケッチの上に構築されているのは変わらないわけだし。

うん、それが王道なのは自分も分かる。
でも、スケッチだけだとモチベーションがなかなか保てないんだよ……石膏像と萌え絵、長時間向き合っていられるのはどっちかと言えば……

スケッチが良いのは二次元の萌え絵を観察して、その構造を分析することができるって所だと思う。
あと、模写する時には倍率調整的なことを意識してみるのもいいかも。自分の手でバランスを維持したまま拡大や縮小的なことができるようになるとかなり描ける幅が広がるよ。

参考書も多いし普通の美術から始めようとする気持ちも分かるが、まずは自分が描きたいものが何なのかを考えてみるといいよ。
例えば最近のちょっとエッチなラブコメ系の萌えを描くなら美術系の感覚になり過ぎるとダメだと思うぞ。知り合いの美術学んだ連中はそういうのを描けないヤツも少なくない。人体構造とか背景とかちゃんと上手いんだけどね。

まぁでも、少なくとも人体構造や透視図法とかはどこかで学んでおいた方がいいと思うよ。
萌えポーズを描くにしても、人体構造やその上に着せる服の構造についてのイメージや技術は必須。

ついでにちょっと聞きたいんだが、キャラの立体感ってどうやって出せばいいんだろう?
自分は模写とかあんまりしないで参考書重視でやってきたんだが、自分の絵って立体感が無くてなんかペラペラなんだよね。スケッチとかでもっと基本的な技術を鍛えるべきなんだろうか?でも、どうやってやればいいのか分かんなくなってきている……

立体感か……キャラを描くなら陰影を意識してみるのもいいし、衣服のシワの描写でいくのもいいんじゃないかな?女性キャラのスカートのヒラヒラなんかを見るとその辺参考になるかも。あとは物体の厚みとか側面を意識してみては?

えーと横からですまないが、一つ教えて欲しい。
私も萌え絵を描けるようになりたいんだが、最初の一歩ってのはどうすればいいんだろう?ここまで自分にはちょっと高度過ぎるやり取りなもんで、ちょっと絶望している……

最初の一歩は模写でもいいし普通の美術でもいいと思うよ。
それこそウチの国の普通の美術の入門書でも。ある程度の理論があれば、全く何も見えない状態ではなくなる。あとは動いてみればいい。

模写をするなら、最初から難しい角度や複雑な動き、ポーズのものに挑まないことかな。自分の目で分かり易いのを模写するといい。背景はとりあえず放置でOK。これで目や鼻の描き方というか習慣みたいなものとかが分かって来ると思う。
そして自分の記憶や慣れで描けるようになったら、今度は普通の美術系の参考書、人体デッサンについてなんかを見るのもいいと思う。一つの角度からしか顔が描けないとか、自分の画風がどうのこうのというのはこの段階になってからの修正でいいんじゃないかな。

まぁ基本的には量をこなしていくのが一番の近道になるんだよね……あと最近では日本のpixivに二次元の表現に関してまとめてくれている素材なんかがある。そういったものを参考にしてみるのもアリじゃないかな?

あれは参考になるよね。pixivの講座タグのついている画の描き方まとめなんかを見ると、便利な時代になったもんだと思う。

あとは自分の欲望というか、描きたいものを把握してモチベーションを保つことかな。自分はエロ漫画をお手本に練習して人体構造を描くのがうまくなったし、色気のある絵も描けるようになった。ちゃんと日本のオタクにもエロいと認められるレベルに達することができた。

スゲェよ……あんたマジでスゲェよ……跪きたくなる……!



とまぁ、こんな感じで。
基礎的な技術を学ぶことに関してはある程度見えているものの、そこから転じて日本のアニメ、漫画的なモノにするのはどうすれば……と悩んだりするようですね。

ただ、最近はネットで自分に合った、好みのお手本を探すこともできますし、pixivのような作品発表の場もありますから、上達手段を見つけることについては昔とは隔世の感があるようです。

それから、中国オタクの絵師のレベルが急上昇していることに関しては、中国の大学が、生徒数を増加させるために美術系の学科の開設が増えたことも影響しているそうです。

中国オタクの中心となっているのは大学生ですし、美術系の学科が大学に増えたことにより、美術の基礎技術を持った人間が中国オタクのコミュニティにどんどん入っていき、創作関係の活動も盛り上がっていったということです。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


8/10修正:誤字脱字などを修正しました。ご指摘ありがとうございます。