ありがたいことに
「中国オタク的にクトゥルフはどうなんでしょうか?」
という質問をいただいておりますので、今回はそれについてを。

以前にもちょっと書いた覚えがありますが
「這いよれ! ニャル子さん」

の中国オタク内でのちょっとしたヒットにより、ここしばらくの間で中国オタクの面々の間でもクトゥルフ神話がかなり意識されるようになっています。

それ以前も「デモンベイン」などで興味を持つ人もいたようですが、ニャル子さん以降はライト寄りな層まで広がっている感があります。
そんな訳で今回は中国のソッチ系の掲示板で見かけた
「日本のクトゥルフ要素のある作品に関するやり取り」
を例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


ニャル子さんを見てから、日本のアニメや漫画、ゲームにクトゥルフ関係のネタや名詞がわりと頻繁に出ているように感じる。実は日本ではクトゥルフネタってかなり一般的なのではないかと感じたりもする。
そこで聞きたいんだが、日本にはニャル子さん以外のクトゥルフネタの作品って何があるのかな?

クトゥルフをメインテーマにおいているのはやはり「デモンベイン」と「ニャル子さん」だね。あとネタとしては「Fate/Zero」のキャスターがクトゥルフ系の宝具を使う。

確かにクトゥルフ系のネタってちょくちょく見かけるよね。ゲームだと「女神転生」にはとりあえず出ている。

クトゥルフ由来の名前ってことならかなり多いようだぞ。「リリカルなのは」も1期で出て来る「アルハザード」がクトゥルフ由来の名称だ。

「ベルセルク」はどうなんだろう?あれ結構イメージ的にクトゥルフに近いものがあるんだが

「ベルセルク」は直接の関係は無いはず。でも確かに近い雰囲気は感じられるね。
それとこれは自分も実際に読んだわけではないけど、日本の作家の菊池秀行の作品はクトゥルフ系のネタを結構使ってくるそうだ。

オタク系のアレンジだと矢野健太郎の「邪神伝説」が早期の作品だったと思う。あれはクトゥルフ的だけど、同時にとても日本的な作品。

虚淵玄の「沙耶の唄」はいいぞ。私の中でニトロプラスはクトゥルフが好きなメーカーというイメージだね。

八房龍之助の「宵闇眩燈草紙」はクトゥルフネタがちょこちょこ出て来るよ。

クトゥルフ関係では「沙耶の唄」の名前がわりと出るが、あれは本当にクトゥルフと言ってもいいのだろうか?
確かにクトゥルフ的な雰囲気はあるけどクトゥルフそのものってわけではないと思う。虚淵玄は日本では数少ないクトゥルフ的な雰囲気のある作品を出せる作家だとは思うが。

なんか日本のクトゥルフネタの作品を見ると、読者を驚かすだけにとどまっているようにも感じられる。日本人はクトゥルフをそこまできちんと知らないんじゃないだろうか。

いや、日本はかなり昔からクトゥルフネタは定番だし、詳しい人間多いはずだよ。SFやファンタジー小説は一時期クトゥルフが定番だったそうだ。最近のクトゥルフ作品は、それを読んで育った層がクリエイターになって来ているから、一定の知識を前提にしたパロディ作品が増えているという説もどっかで見た覚えがある。

しかしクトゥルフに関してはキリスト教徒でなければクトゥルフの怖さは分からないなんて話もあるね。あれはキリスト教的概念の否定による、価値観の崩壊とそれに伴う不安ってのがあるそうだから。
もちろん、俺も自分がちゃんとクトゥルフを理解しているのか自信が無い。理解しきったらSAN値が無くなる気もするしな!

こっちでクトゥルフ関係の資料に何か良いのは無いもんだろうか?できれば中国語で……

中国語だと難しいんじゃないか。クトゥルフ関係の中国語の資料がある程度出回るようになったのって、本当につい最近の話だよ。最近まで固有名詞の訳語も一定しなかったくらいだし。

今でも資料はそんなに無いよね。
大体は二次資料で、元々の小説に関しては広まっていないし、読んでいる人間もそれほど多くない。

そもそも小説の中国語版のちゃんとしたのが無いんじゃないか?
一応ネットにテキストは出回っているようだが、きちんとファンサブ翻訳されるジャンルじゃなかったし、訳もわりと混乱していたような。実際、色んな邪神の中国語訳名がまだ確定していないのを見ればどんな状況なのかは……

出版に関しては確か「クトゥルフ神話」という中国語版の本が出ている。でもラヴクラフトのだけで、他の関連作品についてはまだ出ていないはず。

百度百科のページとかも、設定を羅列しているだけだしな。昔から注目している身からすると、ニャル子さんが現状では中国語で最もまとまってクトゥルフネタに接することができる書籍なのかもしれないということに頭痛がしてくる。

そのウチの国で出版されたクトゥルフ神話の本、アマゾンのレビューを見ると「帯にある斬魔大聖の文字を見て、この本はきっとクトゥルフ神話に関してちゃんと理解している人が翻訳していると思った、そして読んでみたらまさにその通りだった」で高評価になっている。なんとも微妙な感じが……

その本俺持ってるわ。装丁がしっかりしているし訳も悪くないよ。
帯の文句に出ているクトゥルフ神話が元ネタとされているゲームは「ワールド オブ ウォークラフト」「エルダースクロールズ」「機神咆哮デモンベイン」「Call of Cthulhu: Wasted Land」「斬魔大聖デモンベイン」「Elder Sign: Omens」だ。

ウチの国でクトゥルフのネタ呼称が「克総」になっちゃったのも、ニャル子さんの仕事の設定の影響だよな。ウチの国におけるクトゥルフのイメージに関してはイロイロと不安になってくる。
(訳注:中国語では「総」は「総統」や「総裁」、中国語で社長等の意味になる「総経理」の略だったりします)

「ゆっくり妖夢と本当はこわいクトゥルフ神話」がbilibiliでそれなりに見られてネタにされているのを見ると、なんか時代は変わったもんだと思ってしまう。
全く話が通じなかった昔に比べればイロイロな面でマシなのは確かだが、何とも複雑な気分だ。

そう言えばこれは私も最近知ったんだが、「スレイヤーズ」の赤眼の魔王シャブラニグドゥの元ネタがクトゥルフから来ているそうだ。直接関係は無いようだけど。
昔ハマった日本の作品に実はクトゥルフネタが仕込まれているとかはわりとあるね。あの邪神の勢力のスゴさを感じるね。

伊藤潤二はクトゥルフ関係の短編とか書いてなかったっけ?これも後で気づいた話なんだが。

実際、日本にはクトゥルフ神話がかなり浸透していると思う。しかし、浸透したが故にニャル子さんにされてしまったり、ボーカロイドにされてしまったりするわけか……

なんか自分の中のイメージでは微妙にクトゥルフと萌えが合体してしまっている。
アメリカとかでまっとうにハマった人間からしたら、自分の考えはどう思われるのか少々気になってしまうな!



とまぁ、こんな感じで。
中国ではクトゥルフネタに関する知名度は高まったものの、原典に当たってみるケースは少なく、ニャル子さんなどのパロディ経由で知るというのが多い状態のようです。

この辺に関しては、やはり最近までクトゥルフネタが中国本土にはあまり入っていなかったというのが大きいかと思われます。

しかも現在の日本のアニメや漫画におけるクトゥルフ関係の作品は、何と言いますか一回りしたクトゥルフネタの活用になっている感もあるので、大元のクトゥルフにたどり着くのはきちんと意識しないと難しそうな気もしますね。

日本では一昔前はSFやファンタジーというか、オタク関係の作品を見ているとクトゥルフ関連の知識はある程度勝手に身についていたような気もしますし、最近ではクトゥルフ関係の書籍がまたイロイロと出ていますから、日本と比べると中国でのクトゥルフ関連の情報入手に関してはかなり厳しいものがあるかと思います。


それから、上の発言の中にもある
「克総」
ですが、クトゥルフの中国オタクのネタ用語の一つで、クトゥルフを指す言葉の一つとなっています。

クトゥルフの中国語表記の
「克蘇魯」
に、ニャル子さん経由の
「上司のいる社会人」
というクトゥルフネタ像が結びついて
「克総」
という呼び方が広まったそうです。

そして現在中国オタク内ではクトゥルフっぽい狂気のシーンや大虐殺シーンになると
「克総発糖」
といった合いの手(?)が出たりする模様です。

この言葉、モノスゴイ意訳すると
「クトゥルフ社長が飴くれる」
といった所でしょうか。

この「克総発糖」ですが、クトゥルフの例の呪文
いあ いあ くとぅるう ふんぐるい むぐるうなふ くとうるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん
を音訳したものに無理やりな当て字をしたネタ用語から来ているそうで、
「発糖」(fa tang)
の所は「fhtagn」(ふたぐん)への強引な当て字だという話です。そしてこの言葉の
「飴やるよ」
みたいな語感がネタっぷりをかなり高めているとかなんとか。


それにしても、ここしばらくの間で中国本土では、オタクネタパロディによりとっつき易くなったり歪んだりした形でクトゥルフが広まっていますが、振り返ってみればわりと本気で
「中国本土にクトゥルフ神話を布教したのはニャル子さん」
という事態になっているようです……


とりあえず、こんな所で。
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