最近はオタク層や青年層をターゲットにした、web配信による中国の国産アニメの動きが活発になってきましたが、中国国産アニメの内容に関してイロイロと考えたりする動きも出ている模様です。

また、先日配信の始まった
「雛蜂」
のアニメですが、
「中国らしさが無い」「日本のパクリにしか見えない」
といった2ちゃんにおける反応が中国に翻訳転載され、ファンというか作品押しの人達がそれを見てちょっとショックを受けるといったピュアな反応が出たり、ここぞとばかりにアンチが活発になってプチ炎上状態になったり、改めて議論になったりもしているようです。

そんな訳で今回は中国のソッチ系のサイトで行われていた
「中国国産アニメで中国らしい要素を活かすには」
といったことに関するやり取りを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


我が国のアニメは中国的な要素、中国独自の要素を入れないと評価されないように思うが、どうすればいいのだろうか?

確かに中国のアニメというならば、中国的な文化を入れるのが良いだろうね。

海外作品、日本のアニメなんかもそうだけどこの手の要素をストーリーにからめたり、BGMに中国的な旋律を加えたりと上手いんだよね。
なぜ我々は自分たちの文化なのにそういうことすらできないのか。

日本のアニメは忍者や武士だとか日本の巫女、神社といった日本的な文化の活用が非常に上手い。こういった要素が入ると日本のアニメという印象が極めて強くなるし、他の国にも文化的な理解を得られるようになる。

中国的か……素材自体は不足どころか有り過ぎるくらいだが、スポンサーのお偉いさんをそういった要素で説得できないのがウチの国の問題だろう。

そりゃそうだけど最近は景気の良い分野が減った結果、子供向けではない国産オリジナルアニメの制作も増えてきているし、ヒット作のニュースもながれるようになった。
ちょっと考えてみるのもアリじゃないか?

こういう話になるとみんなイメージで語るけど、具体的に何が「中国的な要素」「中国文化の素材」なのか個人個人で違うのも問題じゃないか?

えーと、例えば祖国の自然、山河とかは?あと少林寺や武術とかは?

その手の自然だとか文化地区とか、今はもう観光地化されたり破壊されたりしてそのまま描写するとキツイぞ。受け手側的にも、制作許可的にも。
少林寺は……確かにそうなんだが、単純にそれを加えるだけではダメだよな。

中華料理は?そろそろ日本のアニメの麻婆豆腐一強に対して、挑戦しても良いと思う。
日本のアニメにおける麻婆豆腐によるキャラ付けのようなものを中華料理でやればいいのに。

日本のアニメのように、少なくとも「中国か中国っぽい世界で起こっているストーリー」「中国で作られたアニメ」的なことが視聴者に分かるレベルくらいには上手くやって欲しいもんだが。

でも中国の文化と言っても、ウチの国ではわりとこう、ポイ捨てにされているわけで……

みんなは香港の漫画の表現とか、ああいうので良いのか?
でもアレだとそこまで大人気にはならんと思うが。それか金庸の作品をまたアニメ化しろとでもいうの?
現在は道教や仏教なんかは微妙なことになっているし、ネトゲもほぼ武侠系だからな。これだけでは厳しいような。

武侠以外にも仙人や道士系のは既にかなりある。
別に今更そういったものを気にしないでも自然と作品は出てくる。問題は金が無いことだ。広告関係や、株価関係では景気のいいことを言うが、現場で制作期間中に使える予算はかなり厳しい。

日本のアニメで中国っぽい要素を活用して面白い作品になっていたり、良い感じにキャラが立っていたりするのを改めて分析してみるとちょっと残念な気分が混じるのは確かだな。何でウチの国はこうなんだ、と。

そういう文句言う前に、「今の」作品を見てみろよ。
こういう話題を出すヤツはきちんと国産のアニメや漫画を見ていない。ニュースや関連情報あさるだけで、ウチの国向けの、ウチの国の要素を活かした作品って目に付くよ?

中国っぽい名称を作中で使うとか、あとは中国の生活や季節のイベント、祭日なんかを作中で行うとかすればどうだろう?
日本のアニメや漫画では浴衣でお祭、和服で正月、バレンタインデーに修学旅行、クリスマスとかを定期的にやるじゃないか。

考え過ぎていないか?日本のアニメや漫画が日本的な要素メインで構成されているわけじゃないぞ。

ありゃスタイルみたいなもんだからね。例えば学園モノとか、曖昧なまま進めるハーレムモノとかのジャンル、更には「ロードス島戦記」のような日本系のファンタジー、それから批判方向でのツッコミが多いけど、子供、スリムなイケメンがマッチョな大男を倒すとか、そういうのも「日本的な作品」だと俺達は感じているだろ?
個々の要素を足し算すればいいわけじゃない。その要素やスタイルをネタにどうストーリーを作って演出するかだ。

ならば中国の特色ある社会主義なんてどうかな!?別に古代のことばかり持ち出さないでもいい!!

うむ。共産党に萌えを!
問題はまぁ、敏感な話題過ぎて難しいことかな!歴史的な題材はぼちぼち見るようになってきたけど、こっちはまだ……

既にある作品の延長で考えた場合、どうしても既存のアメリカや日本の作品と似ることは避けられない。
そして「中国的要素」は海外系作品の方が割り切ってうまくやっている。ウチの国だと「きちんとやらなければならない」という視聴者や社会のプレッシャーが制作サイドにもかかってしまっているからなー

そして結局西遊記に戻ってきてしまう。

西遊記系とはいっても「大聖帰来」とか、メインの所は原典にわりと忠実だけど孫悟空のキャラ部分の解釈や演出をきちんとアレンジしている。他の中国的要素の活用もああいう感じで現代の視聴者向けに、面白くなるようにやれればいいんだけどね。
あの作品が子供じゃなくて青年層に大ヒットしているのは、そういうのを求める人間が多かったということだと自分は認識している。

中国的な要素を作品内で活用して面白くするには、中国の国産アニメでは短すぎる。映画と違ってだいたい1話10分だ。これじゃ生活スタイルや何かすら描写できない。
しかも現代の日常的な生活をテーマにした場合、何かと敏感問題にかすってしまう。どうにもならん。

別に長編じゃなくても、日本のアニメで30分2〜3話構成の場合、一つのエピソードをその手の文化的要素、イベントを中心に組み立てたりしている。季節の食材、お祭りなんかは定番だ。
足りないのは、組み合わせ方のノウハウじゃないか?

その辺りの描写を「人間のキャラ」を使ってきっちり行う場合、イロイロと政治的なリスクがあると思ってしまった自分自身にちょっとショック。
動物キャラに逃げるウチの国では現実とリンクする中国的な要素って難しいんじゃないか?現代社会とか目をそらしている部分多過ぎるし。

城管ネタとか、イロイロとアレンジできておいしいネタなのに今のウチの国の環境では使えないからな。
(訳注:「城管」というのは大雑把に言うと中国の治安維持組織です)

でも日常的な話を作る場合、そういうのってあまり強く出ないんじゃないか?中国的な要素にこだわり過ぎても作れる作品が狭まってしまわないか?

日常生活であっても、食事や街並み、作中の住居や小物、学校の制服、方言なんかで普通にその手の要素は出せるぞ。ウチの国と日本では違う部分があるわけだし。

最終決戦の前に、餃子つくりながらこれまでの道のりを振り返ったり「この戦いが終わったら」的なフラグを立てたりみたいなのやる作品とか出ないだろうか?

春節と爆竹とか、中秋節や元宵節のように分かり易い関連アイテムがあるイベントなんてのも悪くないよね。

中国式の建物や部屋の間取り、人の流れと街並み、商店……別に寺院のような分かり易いアイコンにこだわらなくてもいけると思う。ただそれを外国人が理解できるかは分からんな。「雛蜂」のショッピングモールの日本との違いみに気付く人は日本で少ないようだし。
あとここまで考えて気付いたが、中国の街並みを二次元化できる技術やリソースもかなり不足しているような……

別に日本のアニメっぽかったり、ハリウッドの映画っぽかったりする部分があっても良いと思うし、中国の歴史や文化を必ず使わなければいけないわけでもないと思う。
大事なのは、その手のネタを中国人の感覚で、中国人の視聴者向けに面白く構成できるかってことじゃないだろうか。そういった中国的な感性が、今求められている「中国っぽさ」なのではないかと。

学園モノを中国の学校の生活ベースでやればそれだけで独自性出るしな。

こういう話をしていると、ストーリーのために中国的な要素があるのか、中国的な要素のためにストーリーがあるのかと考えてしまう。面白ければいいとはいかないのだろうか?

とりあえず全員動物キャラに逃げるのやめて、人間キャラを主人公か話の中心にしたアニメがもっと増えてくれれば……



とまぁ、こんな感じで。
堂々巡りというか迷走気味なやり取りになってしまっている面もあるようです。

中国ではこれまでも国産のアニメや漫画に関して
「中国的だと思う要素、中華系の要素を国内作品がうまく活用できていない」
「むしろ海外作品の方がうまく使って面白いヒット作品を作り出している」
という認識があり、その点に関してかなりモヤモヤとした不満がたまっているのも確かです。
ただそれと同時にあやふやな「中国らしさ」にこだわり過ぎてグダグダになったりしている面も見受けられました。

その辺については気にし過ぎてもしょうがない所もありますし、個人的にはとりあえず中国でウケるもの、中国のクリエイターの感覚で面白いものが作られるといいなーとか考えてしまうのですけどね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


8/22修正:タイトルと本文の誤字脱字誤訳を修正しました。ご指摘ありがとうございます。