ダ・ヴィンチニュースの方で連載させていただいているコラムですが、今回は日中のネット小説のお約束や作品の広がる方向などに関して書いております。

日本vs.中国 ネット小説、お約束の微妙な違い

今回のコラムを書く際には中国オタクの方からイロイロと中国のネット小説事情について教えていただいたのですが、残念ながらコラムの方には書ききれなかった内容もあるので、コチラの方で例によってイイカゲンな補足を。


・酒チートに対する感情移入について

コラムの方では中国のネット小説においては酒が異世界にトリップや転生した主人公のチートアイテムになっていると書きましたが、この
「酒の評価」「感情移入」
に関しては文化、社会における飲酒の扱いの違いというのもありますが、それに加えて日本と中国のネット小説の読者層の違いによる影響も考えられます。

中国のネット小説はそれ以前の中国社会に不足していた大衆娯楽小説的な方面もカバーしていることから、日本のネット小説、小説家になろう系の読者に比べて主流となっている年齢が高めで、さまざまな層の社会人(軍人なども)が暇つぶしに読んでいるといった話があります。

この辺りのジャンルに関しては以前からいわゆる「地摊文学」なども存在しましたが、中国のネット小説はそれまでに無い質と量、そして比較的安価(課金サイトでも結構な分量がタダで読める)に安定して入手できる中国人向けの大衆娯楽コンテンツとして発展していきました。

今回イロイロと教えて下さった方の話によれば、中国のネット小説は大衆娯楽小説的な側面も強く、読者の年齢層が日本のネット小説よりも高めなことから飲酒関係の扱いに限らず、様々な面で
「オタク、geek的なものを賛美するよりも、リア充的なものを賛美する方向になっている」
という話でした。


・酒チートの描写と、それに関するツッコミ?

中国のネット小説において
「いかにしてトリップ先や転生先で現実世界のような酒を造るか」
という部分ですが、そこはかなりイイカゲンらしく
「醸造などの細かい作業に関する描写はあまり無く、大雑把な手順の描写、やり方の指示などがあるくらいで、だいたいは時間が立つと勝手に成功、それを周囲のキャラに飲ませたらみんなうまい酒に大感激」
という流れが多いとかなんとか。

また中国のネット小説における「いい酒」の表現に関してもツッコミ所はあるそうで、聞いた話によれば
「中国の様々な酒の中でスゴイという事で出て来るのは基本的に白酒だけで、しかも様々な種類があるはずの白酒なのに、作中で良いとされる白酒は『香りが強くノドがヒリヒリする』とされていて、いわゆる茅台系の白酒ばかりになっている」
とのことです。

そんな訳で中国のネット小説の酒に関しては「茅台」基準による「白酒」が便利なチート概念として、広く利用されている模様です。
この辺から日本のネット小説におけるマヨネーズの扱いのような感じで、現在の中国における酒の扱いやイメージも見て取れるかもしれませんね。

そしてこのヒリヒリするほどの強い酒というのが異世界の交流における武器となるわけですが、中国のネット小説でもドワーフは酒好のイメージになっていることから、ドワーフを白酒で説得、味方にするということも多いそうです。

この「ドワーフと白酒」というまさに今の中国的な組み合わせというかネタは、今回調べて知った情報の中で個人的に一番の収穫だったかもしれません。
現代社会の物品を異世界に持ち込める的なチートを持っているキャラが、二鍋頭でドワーフを味方にする話とか、どっかで書かれていたりするんでしょうかね。

また、ドワーフが出て来るなら当然(?)エルフも出て来たりするわけですが、さすがにエルフ、特に美人なエルフの女王に白酒はアカンだろうということで、そちらに関して茶がチート交易アイテム(?)として活用されたりもするとのことです。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。