4月の新作アニメが始まる前に、いただいている質問で答えられそうなものを……

ありがたいことに
「中国で声優イベントを行う際に人気の出る声優の条件のようなものはありますか?」
「これまでの声優イベントで凄かったのは誰のイベントですか?」
といった質問をいただいております。
先日、イベント関係の業務もこなす中国オタクの方と話す機会もあったので今回はその辺りについてを。


近頃は中国本土での、日本の声優を招いてのイベントも珍しく無くなってきているかと思われます。
中国でオタク関係の動きが盛り上がるようになってから10年程経っていますし、ディープな方向にハマっている人も少なくありません。それは声優関係についても同じで、基本的に日本で知名度のある声優さんについては中国にもファンはいますし、探せばコミュニティも出て来ます。

ただチケットを買ってイベントに参加してくれるようなファンが多い、集客力が高くて話題性のある声優というのは限られているそうで、中国の声優イベントで一般的な規模の数百人の箱(場合によってはそれに×公演回数)がうまるのを確実に期待できるような声優に関しては一定の条件のようなものも出ている模様です。

そんな訳で以下に中国における日本の声優イベントの人気事情に関してを例によってイイカゲンにまとめてみようかと思います。


・男性声優であること

これがまず大前提のようですね。中国オタク界隈では声優ファンと言えば圧倒的に女性の方が多く、イベントも基本的には男性声優の方が強いとされています。

中国の女性のオタクは声優そのものに対して興味を持つ人が少なくないのに対して、男性のオタクは女性声優に演じたキャラのイメージを重ねることは多いものの、声優本人のキャラが意識されることはまだまだ少ないのだとか。
もちろん女性声優本人のキャラを認識した上でファンになっている男性の中国オタクの方も普通に存在するのですが、今の所イベントの際に計算できる規模ではないとのことです。

これに関しては男女のオタクとしての嗜好の違いに加えて、日本語能力の差も出ているのではないかという話も聞きます。
日本の声優のファンをやる以上、日本語能力は必須となるわけですが、中国のオタクの日本語能力は基本的に女性の方が高い傾向があるとされています。また女性のオタクは日本語能力が高いと楽しめるものに、声優やBLCDなどがあるのも大きいそうで。

ちなみに人気、集客力に関して女性声優で唯一と言ってもいい例外が「ラブライブ!」のμ'sですが、これは既に声優イベント枠とはちょっと違う、日本文化枠や日本アイドル枠とでもいうような所にいってしまっているので今回は範囲外とさせていただきます。


・中国で大人気になったアニメ作品があり、それが吹き替え版では無く字幕の方で人気になっている

中国ではオタク系コンテンツの入口としてのアニメの影響力は絶対的なものとなっています。声優に関してもアニメの影響は大きく、声優という中国オタク界隈ではマニアックな方向にハマるとしても、やはりまずは日常的に接する、話題になる
「中国で人気になったアニメ」
が必要です。

随分と便利になっているとは言ってもネット経由で手に入る情報やコンテンツ、特にマニア向けのものに関しては限界があります。
中国では日本のようにアニメショップや書店などで情報やコンテンツに簡単に接することができるわけではありませんし、ラジオなども楽しむにはハードルが非常に高いですから、アニメ作品というのがオタクをやる上で極めて大きな存在となっています。

それに加えて中国で人気になった作品が「吹き替え版ではない」というのも重要です。吹き替え版で見た作品に関しては当然ながら吹き替えの中国語音声の方でイメージが固まるので、吹き替え版で作品にハマり中国語音声の方に慣れている中国オタクの人達にとっては、
「日本語オリジナル音声の方に違和感を覚える」
ということになってしまうケースも珍しくありません。

もちろん中国オタク界隈にもオリジナル音声を演じた声優に関する情報は入っていますし、宣伝文句や紹介文にそういった作品を出しても通じます。しかし吹き替え版の方で人気になった作品に関しては元の声優のイメージは重ならないので、中国のファンがイメージするのは主に直近のアニメやゲームとなります。
この辺りの事情から日本と中国では声優の活躍に関するイメージのズレが頻繁に生じますし、イベント広報の盛り上がりにもかなり影響するそうです。

ちなみにこの
「吹き替え版では無く字幕の方で人気になっている中国での人気作品」
に関しては
「海賊版時代や字幕組(ファンサブ)経由でアニメが広まった時代に大人気になった作品」
というある意味では身も蓋も無い区別の仕方も可能だそうです。

この当時は今ほど大量の作品に触れることができたわけでは無いですし、個別の作品及びキャラクターへの思い入れも強く、声優さんのイメージにも強く影響しています。

逆に例えば海賊版ではなくテレビアニメで人気になった作品の場合、大人気になり中国各地のテレビで放映されたような作品は基本的に吹き替え版であることがほとんどなので、声優ファンの人も知識としてはもっていても、思い入れにはあまり影響しないといった傾向があるようです。


・中国でもっとも衝撃的だった声優イベントは

そして本題の
「これまでで中国に最も衝撃を与えた声優イベント」
に戻りますが、この件に関して知り合いの中国オタクの面々とも話したのですが、これは恐らく2011年の
「関智一さんと杉田智和さんの初訪中イベント」
ではないか……という話になりました。

関智一さんも中国では非常に人気が高いですが、それ以上にトンデモナイことになったのが杉田智和さんだったとのことです。
杉田智和さんはライトな層から中国のオタク文化を引っ張っているようなマニアな層まで、男女問わず非常に広い範囲で人気になっています。上で挙げた条件にも全て当てはまりますね。

しかも中国で大人気になった出演作品が中国でオタクという存在が認識され、コミュニティが形成されるきかけになった「涼宮ハルヒの憂鬱」、「ツッコミ」や「なんちゃって歴史コメディ」というジャンルを中国本土に認識させてオタクどころか現在の中国のネット系コンテンツのセンスに大きな影響を与え続けている「銀魂」などですから、出演作品の中国に対する影響力では今も昔もトップレベルなのは間違いありません。

特に「銀魂」は作中のツッコミやアドリブも含めて楽しむ人が多く、そこから声優さん本人のキャラもかなり意識されるようになっているとのことです。この、
「中国オタク界隈の広い範囲で声優さん本人のキャラが認識されている」
というのは、基本的にアニメ中心で情報が入り、普通にオタクをやっている程度では声優関係の情報に接する機会が日本と比べて非常に少なくなる中国では極めて珍しいケースなのだとか。


思い付くままに並べてみましたがとりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。