ありがたいことに
「一人之下やその前の霊剣山も、主人公がやたらとツッコミセリフを喋りまくりますが、中国では本気であれを面白いと思ってやっているのでしょうか?」
という質問をいただいておりますので、今回はそれについてを。

中国の国産作品で多用されているアレは
「吐槽」(ツッコミ)
と言われ、現在の中国では定番ネタというかスタイルの一つとなっています。
「吐槽」に関しては「ギャグ漫画日和」や「銀魂」といった日本の作品、その作品のファンサブ翻訳や吹き替えの影響により形成されていった面もあるそうです。

この「吐槽」、中国オタク界隈でも合う人にはモノスゴイ刺さるものの、ダメな人は本当にダメ、といったことになっているそうですが、中国オタク界隈で今一番元気のいい層に「刺さり易い人が多い」こともあってか、定番要素として多用されるようになっています。

ただ、最近はさすがに多用され過ぎているという見方も出ているそうです。
そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「最近の中国国産アニメではツッコミネタが多用され過ぎている」
といったことに関するやり取りを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


「一人之下」もツッコミアニメになってしまった。
なぜ我が国の国産アニメはツッコミを多用するのか。あれは作品をつまらなくしていないか?

うむ。国産アニメは本当にツッコミシーンが多過ぎるわ。

分かる。言いたいことがとてもよく分かるぞ。最近なんでもかんでもツッコミ入れとけばいい、喋らせまくっておけばいいとかいう演出ばかりだ。

主人公の独白による説明シーンやストーリーへのツッコミなんて今までもあるし、合わないだけだろ。キョンとか阿良々木くんとか好き嫌いの分かれるキャラはいるし、銀さんだって合わない人は合わない。

でもそいつらのツッコミって俺達に笑いを強制するもんじゃないだろ。今の国産アニメは笑うポイントを強引に演出しようとして滑りまくってる。

現在の国産アニメ、漫画に共通する問題かもな。
そのせいで見る気が失せる作品も少なくない。

やっとこの問題を提起してくれる人が出た。
国産アニメや漫画が進歩するにはこの必ずツッコミネタ、ユーモアを混ぜなければならない空気をなんとかするべきだと思う。
笑いを強制されても笑う気にならんし、作品のメインストーリーの空気まで壊れてしまう。

嫌なら見なければいい。
もっとも、ツッコミの面白さが分からないとか「銀魂」の面白さが分からないのと同じだぞ。オタクとしてさすがにどうなんだ?

ツッコミシーンで絵柄が急に変わるのも……

表現手法の一つなのは知っているけど、作品の空気を読んで欲しいケースもあるんだよな。笑いが取れないだけでなく作品の空気まで壊れる。
そもそも最近はツッコミ手法が溢れすぎている。「一人之下」だけに限らない。どの作品もたった一話の中で何度もツッコミギャグシーンをやって作品の雰囲気をズタズタにしてしまっている。メインストーリーをきっちりやるだけではだめなのだろうか?

私はそういうのが良いと思っているんだが。
アニメ化された人気の原作からしてそういうシーンがあるわけだし。

原作漫画だと問題無いのに、アニメになるとダメというか笑えなくなるケースも多いから、アニメの制作スタッフが原因な気もするね。
「一人之下」の二話も、原作だとここまで極端なツッコミシーンじゃない。

アニメでやるとクドイんだよな。演出のセンスの問題でもあるはず。

キモイし、作品への感情も醒めるからやらない方が良い……これは様々な作品で感じたことだ。

アニメの方は見てられん。
原作漫画の時はこんな気持ちになったことなかったんだけど。

ツッコミ自体は構わない。問題は笑えないことだよ。

笑う所だと強調というか強制されているのに、見ているこっちは全く笑えんのよね。

ストーリー重視の作品は頻繁にツッコミシーンを作らないでもいいと思う。コメディ要素を入れること自体は悪くないが、雰囲気を壊してまでやるもんじゃない。
そういうのは日常系とかでやってくれ。

面白いストーリーまでこのツッコミシーンの挿入で壊される。そのせいで作品への不満もたまる。

最近はツッコミシーンの過剰さにより本末転倒な内容になる作品が目に付く。それもかなりの数で!

本末転倒か。確かに私もそう感じるようになってきた。
ツッコミネタは本編ストーリーやキャラクターを引き立てるためにあるはずなのに、最近はその関係が崩れてきてないか?

何も考えずに日本のツッコミネタをパクっているからさ。ツッコミシーンを作るためにツッコミを入れる。

何言ってんだ。そもそも日本のツッコミが中国の「相声」をパクッたものだろうが。

今のアニメのツッコミ形式は中国の相声とは関係ないぞ。日本の漫才形式からのものだ。まぁ大体は「ギャグ漫画日和」や「銀魂」のせいだな。

字幕や中国語吹き替え版については字幕組によるネタ翻訳もかなり混じった結果でもあるので、ある意味では国産とも言える。今ではもう日本の「ツッコミ」とは別物に近いのも確かだ。

ツッコミシーンが面白くないとか、個人のセンスの問題だろ。みんな楽しんでいるぞ。

いや、俺も最近はつまらないと思っている。

自分も。ツッコミシーンが多い作品は見るのやめるようになったわ。

大げさな動作と絵柄の変化を加えて長々と叫び続けてばかり。
ツッコミって、当初は短いフレーズのツッコミセリフで笑えるものじゃなかったっけ。

俺は別にツッコミ自体はアリだと思うよ。
だがもう少しうまくやって欲しい。

近頃はつまらないジョークを大声で聞かされ続けるような感じになってきてるね。

しかもやってる方はつまらないと思ってない、それが面白いと思って繰り返す。寒すぎる。

ツッコミ自体は表現の一種だから構わないが、今のやり方は見ていてキツイ。
毎度毎度「さぁこれからツッコミを入れるぞ!」とばかりにキャラを崩してしゃべらせまくる。日本のアニメや漫画の手法を必ず我が国の国産作品にも取り入れなければならないわけではないだろうに。笑わせようとするなら、もっと別の方法も模索してくれ。

なんで2Dアニメってツッコミ芸ばかりになっちゃったのかね。
国産でも3DのCGアニメだとツッコミ芸ない作品ばかりなのに。

3Dアニメはアメリカの方を目指しているのと、一般向け要素が強いからとかじゃね?2Dは日本の作品を中途半端に模倣中とかで。

ツッコミで喋らせまくるのもアレだが、絵柄を急に変えてくるのが頻出するのもイカン。霊剣山のキャラのSD化とか、日本だと古いとツッコまれまくってたんだぜ……

あれって20世紀の表現手法だよな……

いや、キャラのSD化自体は今でも普通にあるだろ。例えば最近の作品では「うまるちゃん」なんかがすぐに思いつく。

日本のアニメもSD手法で寒いネタになってしまったケースもあるぞ。最近だと「テラフォーマーズ」の2期とか、突然SDキャラのあざとい演出をはさむようになってしまったという例もある。

古いのはキャラ全体の頭身を低くしてドタバタコメディ調にして強引に場面転換させるような演出だな。SD化による誇張表現自体は現在も使われているが、手法はどんどん洗練されている。

正直な話、「霊剣山」のアニメは今の時代の感覚で見ると違和感がでかかった。

ツッコミは日本のアニメの影響によるものだが、どうにかならんのかね。日本のアニメの手法を中国向けにやっても違和感ばかりが大きくなる。

中国のアニメのツッコミ)は、日本人に面白いと思ってもらえない方向に突き進んでしまっているんだが!

日本人は中国国産アニメのツッコミ手法に対して批判一色だからな。武侠要素に関してはまだ評価の声はあるが、ツッコミに関しては面白いという反応を本当に見かけない。

ツッコミは「銀魂」と「ギャグ漫画日和」からの流れというのは分かるが、キャラをSD化して笑いを取るやり方はどこから来たんだろう?

日本のアニメの歴史でどうなのかは知らんが、ウチの国への影響で考えるなら「スラムダンク」だろう。当時、「スラムダンク」みたいなのを作ろうとした国産作品はあのSD化を模倣していた。90年代だったらアレでもよかったのかな……

言ってはなんだけど、今のアニメのツッコミ芸はウチの国のオタクの間で発展したものだし、あれがウチの国の若者向け創作の特色という見方もできる。あのスタイルとネタを面白いと感じられる人間はいるし、そういった人間同士でやっている分には問題無いんだよ。
しかし広い範囲、年代を対象としたり、他の国、他の文化圏に対して発信しても通じない。

ウチの国の「文化圏内」でもアレが通じない所があるらなあ。

あのスタイルが商業的に成功しているというか、オタク向けアニメ映画では「十万個冷笑話」の劇場版がスマッシュヒットしちゃったからな。今のツッコミ芸の氾濫は日本のアニメのせいではなく、「十万個冷笑話」のせいと言う方が正しい。
しかもそれ以前は一般向けや子供向けではないオタク向け、青年向けアニメでの商業的な成功例はほぼ無い。前例があると形を模倣するのがウチの国の業界よ。

最近ウチの国の作品はどんどんツッコミ、ギャグの方向に進んでいる、進み過ぎているように思う。

ツッコミもある意味では「俺TUEEEEをやる」「ハーレム或いは逆ハーレム作品にする」というのと同じように、安全に人気を得るための要素なのだろう。
もっとも、笑いに関しては設定以外にセンスが必要だが……

センスか……アニメのツッコミが笑えないのは、脚本が悪いせいでもあるのかな。

それもあると思う。
今盛り上がって人材の集まっているネットドラマでさえも面白いツッコミ脚本書ける人間少ないし、アニメだともっと人材が少ないからな。
それに加えて、人に喋らせる、漫画のセリフで読ませるといったものとは明らかに受ける印象が違うのに、作り手がそれを把握していない節が多々ある。

自分も昔楽しんでいたからツッコミネタ自体は否定しないけど、もうちょっと使い所は考えて欲しい。最近の何かあればすぐにツッコミネタ、喋り捲りはさすがにダメだろ。

一定のファンを獲得できる、ネットの動画サイトでツッコミ系で話題にしてもらえるという計算ができるから、当分は無くならないんじゃないかな。
なんだかんだで国産アニメも進歩しているし、この手の問題もそのうち淘汰が働くはず。ゆっくりと待つことにしようぜ……



とまぁ、こんな感じで。
今の中国オタク界隈で、あのツッコミ入れつつ喋り捲る展開が完全に肯定されているわけではなく、最近はさすがに食傷気味な人も出ているようです。

ただ、吐槽(ツッコミ)に根強い支持があるのも確かです。
上の方にもありますが、ツッコミネタが中国社会(オタク界隈だけでなく一般社会にも)に広まる原動力となった「十万個冷笑話」という商業的な成功例もありますし、間違いなく中国で子供向けでは無いアニメ、オタク向けアニメが発展していく際の突破口になった要素の一つです。

また作品をネタにする上で使い勝手が良いことなどから、現在の中国において主流になっているアニメの視聴方法、bilibiliなどの弾幕コメント系動画サイトと非常に相性が良いという強みもありますし、ツッコミが現在の中国における人気獲得の定番の一つとして多用されるのは避けられないかと思います。

しかしツッコミネタの強さはコアな笑いによる強さでもありますから、アニメで広い範囲、世代に対して発信していく場合はある種の足かせにもなります。
現在の状況は、中国オタク界隈で発展していったツッコミ系手法の「吐槽」が、いよいよ壁にぶつかる時期になっているのではないかという気もしますね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。