ここしばらくの間で中国オタクの古強者の方々と中国オタク史的な話をする機会が何度かあったのですが、イロイロと新たな事実を教えていただき驚いたりなんだりな今日この頃です。
そんな訳で今回はそういった話題について一つやらせていただきます。


中国でも日本の声優、特に男性声優は大人気で、2009年からは中国現地でも日本の声優を招いてのイベントが頻繁に開催されています。

私が中国における日本の声優人気を意識するようになったのは00年代の半ば頃からなのですが、その時点でもう既にかなりディープなファンがいて、
「中国の日本のアニメ好きな人の間で大人気な声優」
というのもハッキリしていた印象があります。
ですがなぜ中国で男性声優の人気がここまで高まったというか、深くなったのかというのかはハッキリしないままでした。

例えば声優関係も含めて中国オタクに大きな影響を与えた作品としては
「ガンダムSEED」

があるのですが、
当時中国の日本アニメ好きな女性の話を聞いてみた所、
「アスラン・ザラのファンだから石田彰さんが好き」
という人もいたのですが、
「石田彰さんなのでアスラン・ザラが好き」
といった論調の人もかなりいたのが少々不思議でした。

これが男性の場合ですと、
「ラクス・クラインの声優だから田中理恵さんが好き」
という人ばかりだったので、キャラ→声優という流れが分かり易かったのですが……
中国オタク「ラクスが結婚!?……おめでとう……うん、おめでとう……」

実は石田彰さんに関しては、中国では「ガンダムSEED」以前に既にかなりの人気になっていたという事情があるそうです。
そしてこの石田彰さんが中国で人気になる過程を追っていくと、中国における日本の男性声優人気の盛り上がりもある程度見えて来るのだとか。

そんな訳で、以下に中国オタクの古強者から教えていただいた石田彰さんの中国における人気の変遷を大雑把にまとめてみます。


まず石田彰さんが意識されるようになった作品とキャラは何かというと、中国でも大人気になった「新世紀エヴァンゲリオン」の渚カヲル……ではなく、
「スレイヤーズ」

のゼロスだったのではないかという話です。

実はエヴァは当初、主に吹き替え版によって中国に広まったので声優人気への影響はそれほどではないそうです。コレと同じく、例えば「スラムダンク」も中国では社会現象レベルの人気になったものの、主に吹き替え版で広まったことから出演者に関する情報は広まっていても声に関する思い入れはそれほどでもないのだとか。

中国ではテレビのシステムが本格的に衛星放送に切り替わる前に、地方のテレビ局で視聴率が稼げる手軽なコンテンツということで日本のアニメが流されまくった時期があるのですが、そこで頻繁に放映されていた作品の一つが「スレイヤーズ」だったそうです。

更にそれが字幕版であったことから日本の声優の演技も意識されるようになったらしく、中国オタクの方曰く
「恐らくスレイヤーズのゼロスが中国に広い範囲で影響を与えた最初の石田彰さん演じるキャラだったのではないかと思う」
とのことでした。
この話を教えてくれた方にうっかり聞くのを忘れたのですが、中国でもゼロスの
「それは、秘密です」
とかが流行っていた時期があったりするのでしょうかね……


それから中国では00年代になると日本のアニメが中国の青少年層にいよいよ広まっていったのですが、その時期にアニメ以外に声優人気を後押ししたのがゲームとドラマCDでした。

今でこそ中国オタク界隈に対する日本のゲームの影響力はファルコム系などの一部が頑張っているくらいになってしまっていますが、過去には日本のゲームが中国の若者に大きな影響を与えていた時期もありました。
その時期に中国に入って広まった日本のゲームの中でもAVGは日本の声優の演技を強く意識させられるものだったそうです。

当時、中国の女性層に大きな影響を与えたのが
「遙かなる時空の中で」シリーズ

だそうで、一作目の石田彰さん演じる安倍泰明は人気キャラの一人だったとか。

そして中国における声優人気に対して最も大きな影響を与えたとされるのがドラマCDだそうです。
00年代前半〜中盤の頃にはBL関係も含むドラマCDが中国で人気となっており、中国語訳のテキストと共にファン同士のやり取りも活発に行われていたそうです。

当時中国で大人気となった作品には
「銀の鎮魂歌(レクイエム) 」

などがあるそうで、この辺りの作品によって石田彰さんの人気がいよいよ高まって言ったという話です。

当時の中国ではドラマCDがアニメの関連コンテンツとして、急速に広まっていったそうですが、これに関しては中国オタクの方曰く
「中国のファンは『効率的』『効果的』なものを求めるので、ドラマCDはうってつけでした」
とのことでした。

確かに中国のオタクな方々にはそういった傾向を感じますし、関連アイテムを求める際に、コンテンツの濃さというか「効果」を求めてドラマCDに進んでいったのは納得できる所もあるのですが、それと同時に「なぜこんなことになってしまったんだ」という気分にも……
それはともかくこのドラマCDの流行の影響は非常に大きく、中国における日本の声優人気とファンのコミュニティが確立されることになったそうです。

このような背景があったことから、
ガンダムSEEDが中国に入った時には既に
「石田彰さんだからアスランに注目する」
というような人がかなり増えていた模様です。
ちなみにこのドラマCDが広まりまくった時期は石田彰さんの他にも、森川智之さん、緑川光さん、三木眞一郎さんなどが大人気だったとのことです。

そしてその後は順調に(?)中国に入る情報が増え、イベントが開催されたり正規ルートでの作品配信が拡大したり、通販や代理購入などによるグッズの入手などが活発になったりしていく流れになったそうです。


中国で「オタク」という存在が意識され、ネット上を中心にオタクとしての活動が活発になるのは06年の「涼宮ハルヒ」以降ですが、女性の声優ファンの間ではそれ以前から活動が続いており、その後の中国で盛り上がる日本の声優イベントの原動力にもなったのは間違いないようです。

それにしても今回まとめた話は私も今まで知らなかった部分が多かったのですが、こういった背景があるならば中国オタク界隈では男性と女性では声優に関する蓄積に数世代の差があるという見方もできますし、中国で配信されている新作アニメの人気や話題に関して男性声優のキャスティングがかなり影響するのも分かるような気がしますね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。