今回は簡単なネタで。
前回の記事
「新宿のアサシン」に対する中国オタクの反応
などに関して、中国オタクの知り合いと水滸伝のキャラについてイロイロと話をしたのですが、その中で
「水滸伝のキャラで日中のキャラ認識の違いが大きいのは?」
ということに関してちょっと面白い話が出て来たので紹介を。

この
「水滸伝で日中のキャラ認識の違いが大きいキャラ」
に関してなのですが
「西門慶はかなりの有力候補ではないだろうか」
という話を教えてもらいました。

百八星でもなく戦場でも出て来ない西門慶をこういう話題で水滸伝キャラ扱いにして良いのかという点に関しては、人気キャラの武松のエピソードの重要人物なのと、金瓶梅の主役で知名度が高いということで勘弁してください。

さてこの西門慶、水滸伝においては虎退治の武松の兄嫁の潘金連に武松の兄の武大を殺させ、武松に復讐されるキャラですが、日本においてはいわゆる色男、優男といったイメージも強いのではないかと思います。

この辺りのストーリー上の流れについては日本も中国も変わらないのですが、西門慶のキャラに関して中国では日本と異なり、
「金も力もある色男」
となっている上にその力に関してもかなりのもので、虎退治の武松という水滸伝における素手の戦いでは最強レベル的な存在ともそこそこやり合えるレベルの、
「結構な強キャラ」
といったイメージがあるとのことです。

この西門慶の強キャラ感に関しては武松関係のエピソードを扱った中国の様々な作品で
「武松と良い勝負をする」
描写になっているということによるものが大きいそうです。

武松は水滸伝における人気キャラの一人ですし、武松の活躍するエピソードは昔から様々な分野で扱われてきましたが、武松と西門慶の戦いは虎退治の次の中盤の山場、武松の「重要なバトルシーン」となることから、その敵である西門慶もあっさり叩き潰されるような弱いキャラでは無いという扱いになるのだとか。

私はあの辺りのエピソードの演出は
時代劇の悪代官や悪徳商人をバッサリやる時の
「出会え出会えーー!」
みたいなのを勝手に想像していたのですが、
言われてみれば武松と西門慶の個人バトルになるでしょうし、そうなると武松の相手にはそれなりの格を演出しないといけなくなりますから、西門慶が強く見えることになるというのも納得してしまいました。

また推理系やハードボイルド系などと言われることもある西門慶関係のエピソードを、水滸伝の一般的なイメージに合わせて演劇にしたり映像にしたりする場合、分かり易い爽快感を演出できる場面として西門慶との一戦を強調するのは普通のやり方なのかもしれませんね。


教えていただいた話によるとこの辺りのエピソードの大体の流れ(と解釈)については、以下のようなものだそうです。

宴会をしている所に刀を持った武松(装備:潘金蓮の生首)が襲撃!

潘金連の生首にショックを受け、恐れを抱いて逃げようとするも場所は二階で飛び降りての逃走も不可能、正面から武器を持った武松と戦わざるを得ない状況に!


西門慶、戦いの最中の反撃で武松の右手首に正確な蹴りを入れ武器を吹っ飛ばす!
(解釈:武芸者同士の戦いなので、技に関して西門慶は武松と互角以上の達人と見ることが出来る)

武松の武器を落としたので機を見て逃げるか、自分が何かを武器にしても良い所だが、西門慶はそんなことはせずに正面から武松に挑む!
(解釈:自分の拳法への自信と、漢としてのプライドがあったと見ることが出来る)

でも武松の圧倒的な身体能力には勝てなかったよ……攻撃は軽くガードされるし結局捕まって持ち上げられて負け確定……
(解釈:しかし西門慶がもっと若ければ、コンディションや戦うシチュエーションが良ければ武松に勝てた可能性もあるのでは?)

ちなみに、中国のエロコンテンツでは武術的な能力が性豪的な能力やスキルに結びつく的な描写もされていたので、金瓶梅での活躍も逆説的に西門慶の武術的な能力を補強していると見ることも可能……とすることも出来なくはないのだとか。

武松に関してはいわゆる「武十回」の3つのエピソードでもキャラが一定しないというのは有名な話ですが、そのエピソードの解釈や調理の仕方で敵役となる西門慶のキャラに関する一般的なイメージが異なってくるというのも面白いものですね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


追記:
中国では西門慶がかなり面白いキャラになっているようなので、この話を教えてくれた中国オタクの方に
「中華系サーヴァントとして西門慶が出るのはアリでしょうか?」
と聞いてみた所
「西門慶は当時のエロコンテンツの中でかなり活躍したとも考えられますが、文化的には『暗黒面』のキャラですし、現在の中国でも扱いを間違えると危険です」
「一般向けではアウトですね。出しても良いのはエロゲー関係くらいでしょうか」
という、Fateの扱いも含めたヒネリの効いた答えが返ってきました。