先週末のAnimeJapanにあわせて日本に来た中国オタクの方から面白い話を教えていただいたので、今回はそれについてを。

昨年中国でリリースされて大人気となり、
日本への展開も行われている中国国産のソーシャルゲーム
「陰陽師」
ですが、
「人気以外の面でも中国のコンテンツ業界に対して大きな衝撃を与えた作品」
となっているとのことです。

「陰陽師」に関しては以前の記事
中国オタク「我が国のスマホゲーム、崩壊3rdと陰陽師が日本上陸したわけだが」「利用規約で反感を買うとは……」
でちょっと触れたり、アキバ総研の方のコラム
【中国オタクのアニメ事情】中国における10月新作アニメの人気、女性人気も高い定番ジャンルは陰陽師(アキバ総研)
などでも触れているのでよろしければご参照ください。

さてこの「陰陽師」、私も中国の大手ゲーム会社が陰陽師というガチガチの和風の題材にリソースを大量投入して、しかもランキング上位を維持できる大人気作品を作ったのは驚きでしたし、
「中国の感性で日本的な要素を調理した中国向けの大人気作品が出た」
ということに関しては、ついにここまで来たか!と当ブログ的にも嬉しい展開ではあったのですが、この話を教えてくれた中国オタクの方によると中国の業界の驚きはそれ以外にもあり、中でも
「ゲームの根幹的な部分に日本人スタッフを起用していないのに和風の世界観の作品が作られ、しかもそれが中国市場で年間屈指の大人気作品になってしまった」
ということが衝撃的だったそうです。

この話を聞いた時私もとっさにはよく分からなかったのですが詳しい話を聞いてみた所、実はこれまで中国の業界では
「日本人が関わらないときちんとした和風の作品は作れない」
という認識が強かったそうです。
ここでいう日本人が関わるというのはボイスやイラストではなく、作品の設定や構成、システムなどの深い部分に関わるということだそうで、ここを日本のコンテンツの影響を受けて育った中国人だけで作り上げ、更には大人気となったというのが、中国の業界では衝撃的だったのだとか。

日本の作品を見ていくとオタク界隈だけでも
「三国志ネタの作品を作る際に中国人関係者が必須なのか」
「アーサー王や円卓の騎士ネタが重要な扱いになる作品にイギリス人関係者は必須なのか」
といったような話も思いつきますが、中国オタクの方曰く
「中国の感覚(歴史的な、地理的な背景も込みで)だと、日本のような感覚で異文化ネタで自由にイロイロと遊ぶことは難しい」
「自分の文化も他所の異文化も、アイデンティティ維持や摩擦のリスクを考えると慎重な扱いにならざるを得ない」

とのことで。

一応中国でも国産の歴史系コンテンツに関してはそれなりにはっちゃけた作品というか、面白さ重視で時代考証無視的な作品も多いのですが、「和風」などの海外系の要素に関してはまだまだ
「本物重視」「本物でなければならない」
的な見方が強かったそうですし、そのためには例えば和風ならば日本人を起用しないといけない……といった考え方が強くなっていたそうです。

しかし日本のコンテンツの影響を受けて育った世代が中国の感性で解釈して組み立てた「和風」の作品である「陰陽師」という作品の出現により、中国人だけでも中国で人気になる和風の作品が作れる、和風の世界観や空気を持った作品が作れる……ということの証明になったのだとか。

またこの作品の影響によって、企画のネタ切れ感が漂う現在の中国では和風ネタの企画も通り易くなるだろうという話が出ましたし、それにより今後は日本のクリエイター層に対する中国からの仕事依頼の需要やその方向性も変わるのではないか、具体的には絵や音楽、シナリオなどの需要が上がり、逆にプロデューサーや監修などの指揮をとる方面の需要は下がるのではないか……という話も聞きました。

その辺りの予測に関して現時点では何とも言えませんが、当ブログ的には現在の中国向けに、中国のオタク層の感性で調理された、日本ネタの作品が出て来るのではないかと期待してしまいます。

もっともそういった作品は様々な面で中国向けに特化された作品ということになりますし、日本にもってきても一般レベルで大ウケするのは難しいということになりそうな気もします。私自身も、
「自分が楽しめる作品が来るかどうか」
という点については期待半分不安半分ですね。実は陰陽師も世界観やキャラは良かったのですが、システムやゲームバランス面で挫折してしまいました……


とりあえず、こんな所で。
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