今回は、業界寄りの中国オタクの方から教えていただいた話の紹介を。

中国のテレビでは日本のアニメの放映がイロイロな方向で規制されていますが、その中で最初の大きな動きは2006年の
「ゴールデンタイムの外国製アニメ放映禁止」
ではないかと思われます。

この事件はもう十数年前の話になりますが当時としてはかなり唐突に強行されたということで話題になったりもしていた覚えがあります。
ですがこの規制、先日教えていただいた話によれば
「中国のお偉いさんが、中国のテレビがいつの間にか日本のアニメだらけになっているのに気付いて恐慌状態になりその結果行われた規制である」
という見方もあるそうです。

そんな訳で以下にその辺りの話、この規制に至る日本のアニメの中国のテレビへの浸透(?)の過程を中国のテレビ事情の変化と合わせて紹介させていただきます。

80年代頃から中国のテレビ環境は一気に発展し、省レベルの地方テレビ局が活発に動くようになっていきました。
その過程でテレビ放映に関して自由競争が導入され、各テレビ局は視聴率獲得のための番組を作ったり獲得したりしようと奔走することになったそうですが、予算やノウハウ、更には制度の関係上どうしてもコンテンツが不足しがちだったそうです。

そんな中で日本のアニメは青少年の視聴者を鷲掴みにできる上に繰り返し再放送が可能で放映時間のカバー的にも非常に使い勝手が良いということで、中国全土の地方のテレビ局はどんどん日本のアニメを放映するようになっていったのだとか。
(もっとも権利関係に関してはグレーというか、番組を買ったテレビ局以外の所が流しても大丈夫な契約だったのかなど考えてみれば怪しい所もありますが)

それに加えて、日本のアニメの放映が活発になった時期はちょうど中国のテレビの衛星経由での放映や、衛星電波受信に関する規制管理が進む時期とも重なったそうで、その影響により結果的に日本のアニメが中国全土へ急速に広まった面もあるそうです。


中国では90年代半ば頃から個人用の衛星アンテナ(通称「衛星鍋」)の許可制が施行され、私設の衛星アンテナが実質的に禁止されることになりましたが、それとは別にテレビアンテナの整備も一気に進み、国が無料で各ビルに中央アンテナを建てまくったりしたことで地上波の受信状況も非常に良くなっていったそうです。

また衛星経由の放映も92年を皮切りに各地方のテレビ局が次々と衛星チャンネルに対応していったそうで、それに加えてケーブルテレビ網も発展し90年代の後半頃からケーブルテレビ運営会社が安価で受信用セットトップボックスのレンタルサービスを行うようになっていき、ケーブルテレビで中国各省の衛星チャンネルも視聴可能になったのだとか。

この結果、それまでは基本的にその省の地方テレビ局だけしか視聴できなかったのが中国全土の地方テレビ局の衛星チャンネルも安価に視聴できるようになり、一般家庭の視聴可能なチャンネル数が激増することとなりました。
そしてその地方テレビ局では日本のアニメが放映されまくっていました。

教えていただいた話によれば、このようなテレビ環境の変化により一時期の中国のテレビではチャンネルを回せばどこかで日本のアニメにぶつかる、時間によってはどこを見ても日本のアニメのような状態になっていたこともあるそうです。

中国のテレビにおける日本のアニメの活発な放映は92年頃から00年代初頭まで続いたそうで、この間に中国の地方テレビ局で放映が繰り返されて人気になった日本のアニメは結構な数になります。
後期になると多過ぎて把握しきれないような所もあるのですが、初期の頃に人気になった代表的な作品としては
「宇宙の騎士テッカマンブレード」
「機動警察パトレイバー」
「天空戦記シュラト」
「魔神英雄伝ワタル」
「魔法の天使クリィミーマミ」
「魔法の妖精ペルシャ」
「鎧伝サムライトルーパー」
などがあるようです。
言われてみれば確かにこの辺りの作品は、私が中国に留学していた頃にそこら中のチャンネルで放映されていた覚えがありますね。

ちなみに各チャンネルの放映スケジュールが一定しなかったことから、作品によってはチャンネルを切り替えて探せば話の続きを次々に見ることができたりもしたそうです。
例えば「テッカマンブレード」などは話の引きが強いのもありチャンネルを変えながら一気にかなりのエピソードをまとめて見た人も多いそうで、当時の中国の青少年の心にストーリーが深く刻み込まれることになったという話も教えてもらいました。

この中国のテレビ局の自由競争(?)の影響による日本のアニメの浸透ですが、当時の中国ではアニメは子供向けのものとされアニメに関する商業的な展開も活発では無かったことから、さして重視されない状況が結構長い間続いたそうです。

その後00年代に入り、小泉首相時代に日本との関係が急速に悪化していきます。
その時に日本関連のモノに対するパッシングも行われていったわけですが、そんな中で中国のお偉いさんが中国のテレビで放映されている子供向け番組が日本のアニメだらけだと突然(ようやく?)気付くことに。

そして
「我が国のテレビが日本のアニメに包囲されている!!」
という驚きとそれによる恐慌状態のまま、日本のアニメ規制に突っ走ることになった……と。


以上、こんな感じで日本のアニメは規制されることになったのでは?という見方もあるのだとか。
今となっては確かめようの無い話ではありますが、当時の中国における日本のアニメの扱いや広まり方を考えると何だか説得力を感じてしまう話でもありますね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。