ありがたいことに
以前の記事
中国オタク「日本語の『絆』の中国語訳がよく分からん」「日本語の『絆』の本来の意味ってどんなものなの?」
を書いてから、中国オタク界隈で定番になっている、
「日本の作品でよく使われる言葉を中国語に翻訳した言葉」
それから
「その言葉の扱われ方に関する疑問や混乱」
といった辺りに関する話をイロイロと教えていただく機会がありました。

今回はそんな言葉の一つであるらしい
「やさしい」(中国語では「温柔」と訳されるのが主流だそうです)
という言葉に関して、中国のソッチ系のサイトで行われていたやり取りを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


アニメや漫画で使われる「やさしい」という褒め言葉の適用範囲が広過ぎないか?
他人の心配とか手助けに家事労働に、自分があえて泥をかぶったり損をするのを受け止めたり、更には英雄的行為や仕事の手伝い、そして強敵を倒すことまで、なんでもかんでもやさしいと形容される。
適用範囲の問題なのか、作り手の語彙が不足しているのが問題なのか。

中国語翻訳は基本的に「温柔」、あとは音訳の「亚撒西」だっけか。

便利な言葉ではあるよね。
戦闘から日常生活まで使える褒め言葉。

日本の主人公のやさしさにはイラつく時があるなー
敵を倒せないとか、失うもののある選択を選べないとか。
お前決断する責任から逃げたいだけじゃないのかと。

粗暴なキャラが良いとは言わんが、やさしいというのが強調され過ぎるキャラもちょっと……

ウチの国では女神系ヒロインが嫌われているし、やさしい主人公も嫌われ易い印象があるわ。

「やさしい」が褒め言葉として使われる主人公って、ラブコメ系に多いように思う。
平凡な主人公が、特別なことをしなくてもモテるために備える理由って所かも。

日本語の「やさしい」って言葉は中国語できっちり説明するのが少々難しいからね。一応「温柔」という言葉で翻訳されてはいるが、完全に訳せているわけではない。
使われる場面によっては、「温柔」から意味がずれているように思えるケースがある。

なんとなく言いたいことは分かるぞ。
私は「やさしい」の適用範囲や、肯定的な語感に関してはどうもしっくりこない時がある。

そもそも「温柔」という翻訳した言葉がウチの国ではあまり使われない言葉だ。
アニメや漫画を見ていると、使われ方や意味的に「好人」(いい人)とした方がしっくりくるような場面もある。

やさしい男、やさしい女が人気になるのは二次元のお約束ではあるが……

バトル系の作品では、敵をあえて見逃したり殺さない、或いは救うとかいうケースでも使われるかな。仁愛、そしてある種の立場や精神的な余裕を表現するものでもあると思う。

日本語のやさしいの適用範囲がかなり広いのは間違いない。
自分も場面によっては「善良」や「温和」といった言葉で訳す方が良いのではないかと思ったりする。

言ってみれば、主人公補正やキャラ補正のある「良い人」みたいな言葉なんじゃないかな。

そうだね。主人公補正なければ「やさしい」は評価されない。

やめてくれ……「好人卡」(良い人カード)をもらってばかりの俺には痛すぎる話だ……

日本語のやさしいも、こっちの「好人卡」、「いい人だけど男女の関係にはならない」みたいに皮肉な意味で使われることがあるはず。一概に肯定的な言葉では無いと思う。

ここで京アニが我々に教えてくれた言葉を述べよう。
「やさしいなんて他にほめる所がない人に言う台詞でしょ!」

とは言え、やさしさというのは肯定的に評価できるポイントではあるからね。それすらできない人間はいるわけだし。
特殊な能力や特徴が揃う二次元ではその微妙さが強調されてしまうが。

誰がやさしいか、何に対してやさしいか、どのようにやさしいか、それで適用範囲や評価は変わるな。アニメや漫画でも見せ方や解釈次第でかなり違う。
少し間違えれば惰弱、NTRキャラだ。

やさしいかどうかが重要なのではない。
イケメンかどうかが重要なのだ。

実際カッコ良かったり主人公補正があるならやさしいと呼ばれ、評価される所はあるなあ

顔面偏差値ネタはさておき、「やさしい」ってキャラの良い所に対して使われる形容詞だけど、定番なのか色んな意味があるのか、それとも作り手がテンプレに頼って語彙が不足しているだけなのか、判断に迷う。

「やさしい」で表現されることの中には決断を先延ばしにしたりする優柔不断さ、責任の回避的なモノに見えるケースもあるからね。そこを否定的に捉えると皮肉な意味になるのでは。

あとは乱暴に見える人間を別の方面から解釈する、肯定的に評価する場合とか?
一部だけ切り取ればやさしいとかに。

主人公が備える特別さは何か、となった時にくるのが「やさしい」というふわっとした能力!

顔が良いとか金を持っているとかの長所が無いならば「やさしい」で勝負するしかない。アニメというのは視聴者に対してポジティブな物を見せなければならないのだからね。

オタクは優れている所なんて無いんだから、素質や努力の必要の無い「やさしい」をアピールするしかないんだろ。

結局はオタクに感情移入させるための要素だろ。金持ちイケメンとか才能にあふれた天才とか、オタクが感情移入できるわけがない。

でもオタク向け特化、願望の実現とされている俺TUEEEEE系作品って「やさしい」ことが価値になる主人公は珍しいぞ?

確かに最近は見なくなったかも。
一昔前とは見る側の投影、共通点を感じる所が変わってきたのだろうか。

最近はキャラの出身、思考が一般人だという所で共通点を作る、感情移入させる感じになってきていると思う。能力は転生とかで獲得するから「やさしい」はアピールポイント、有利な特徴にはならんのでは。

なるほど。言われてみれば。
やさしさがハーレムを形成する際の定番パーツだった印象もあるんだが。

どこの国でも特徴の無い人をポジティブに表現する当たり障りのない言葉や扱いがあると思うけど、日本ではそれが「やさしい」という言葉による表現なのではないだろうか。
ただアニメや漫画の中では具体的な行動やキャラの反応が伴うからそれなりに説得力を持たせられる、好意を抱かれる流れを作り易いということなのでは?



とまぁ、こんな感じで。
使われ方や、作品内における価値などイロイロな話題が出ていました。

アニメや漫画などにおいて「やさしい」という評価はキャラが好かれる理由など、話のキーポイントになることも少なくありませんし、使われる範囲だけでなく、その価値や方向性についても気になってくるようです。
また「好人卡」など現在の中国で使われている似たような言葉について考えてしまったりする人もいるようでした。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。