ありがたいことに
「中国本土での公開も始まった『聲の形』に関する中国の反応は?」
「中国で『聲の形』が叩かれているらしいのですが、どの辺りが問題視されているのでしょうか?」
といった質問をいただいておりますので、今回はそれについてを。

京アニ制作「映画 聲の形」中国3000館で公開決定(映画.com)

「聲の形」

の映画は9月8日から中国での上映も開始となりましたが、作品の内容に関しては賛否両論のようで、現在中国のオタク界隈では作品関連の話題がかなりゴタゴタしている模様です。

作品関連の議論の加熱から長文になっている発言も多く、私もどの辺りから反応を紹介すればいいのか迷っていたのですが、ありがたいことに話題の中心からちょっと離れた所でのやり取りを教えていただきました。

そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「聲の形」
に関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


「聲の形」に関する議論の火力がなかなか落ちない。
どこのフォーラムでも長文のレスの応酬が続いているよね。

良いもの見たという感じじゃなくて、納得できない、どの程度まで受け入れられるかみたいな所もあるからスレは伸びるわ。

この作品はファンとアンチが極端すぎる。
近年最もファンとアンチの対立がとんでもないことになっている作品かもしれない。

ついに環球時報とかにも「聲の形」に関するネットの評論が熱くなっている的な記事が載ったりしているし、話題としてかなり大きくなっているのかね。取り上げやすいだけかもしれんが。
(訳注:環球時報は中国の人民日報系列のタブロイド新聞で主に海外のニュースを扱っており民族主義的なスタンスとされています。また海外関係のニュースを炎上狙いの煽りネタにも受け取れるような形で扱ったりもするので、一部ではネタ扱いされたりもしているとかなんとか)

「聲の形」に関しては日本では感動ポルノだと批判されているだとか、そういう話も紹介されているが……

確か「いじめっ子向け感動ポルノ」だという批判だったかな。
原作漫画の時からあった話だし、今更だと思わなくもないが、こっちで予備知識無しの気軽な気分で映画を見に行っちゃったら反発も出て来るのかな。

実際、「君の名は。」の大ヒットがあったわけだし、そういうものを期待して見に行った人は少なくないと思う。
彼女と見に行って彼女とのケンカになってしまったり空気が悪くなってしまったのを数組知っている。

見終わった後に爽快感が残る作品じゃないからなあ

内容はともかく語り易い作品ではある。そして語る人にはめんどくさいのが少なくない。

日本では聴覚障害者をネタにして儲けてるくせに字幕版作ってなかったとか、障害者を消費するアニメという批判も出ている。
実際、私も障害の無い健全な人間向けの作品という印象は受けてしまったかな。障害者やいじめについて考えさせられると言って終わりにするには少々引っかかった。

加害者が許される展開だと受け取ってしまうと不快感は残るよね。
特定のキャラに感情移入する、評価を固定するような見方でいくと引っ掛かりが出てくるかも。

ヒロインにしても「聖母」という皮肉な意味での評価が出回っているしそこが受け入れられないという声も強い。
彼女の感じた痛みや恨みをどう受け止めるかが人それぞれで、そこで既に作品への評価の齟齬が。

復讐するしないというのはともかく、ヒロインが謝られただけで多数の人間を許すという話は納得できなかったわ。

主人公やヒロインや植野とかそもそも加害者と被害者を二分して考えていいのかという話でもあるからなあ……それにどこにリアリティを感じるか、どこに御都合主義を求めてどこに現実的なものを求めるかというのも難しい。
議論なのか好みの解釈の押し付け合いなのか分からなくなってきている。

いじめていた人間が許される、良い目を見ていいのかというのは難しい所だね。
結局は受け取り方次第かもしれないが、なかなか難しい議論のテーマになる。

私は普通にパワーもらえたんだが。
もし身近に障害者がいたら仲良くなったり手助けしたいと思った。もし必要とされなくても、いじめるようなことをするのは絶対にやめようと思った。

日本はいじめに関してはいじめられる方に問題があるとする社会だから、謝って終わりというのでも構わないんだろう。価値観が違う。

障害者関係は何とも言えないが、いじめられた経験のある人間からもあまり共感が得られていないのは作品としてどうなのか。
ウチの国では本来のターゲットとなる層以外も見に行ったような印象だけど、そういった層からの評価は悪い。

この作品に対する批判って以前からあったはずなのになんで最近こんなに炎上しているんだ?原作が批判されているのは承知していたが、ここ最近の空気はかなり意外。

中国と日本では視聴者の環境や感覚が違うってのも考えられる。
原作マンガからして一般大衆向けではないが、アニメ映画ということでこっちでは一般大衆的な視聴者がたくさん見た結果とか。

最近の日本のアニメ映画の流れに加えて漫画版の高評価に関する情報もあったからね。様々な方面のハードルが高かったのはあるんじゃないかと。

原作からして好みじゃなかったが、映画もダメだった。
「NARUTO」とかもそうだが、日本のいじめネタはストーリー展開も登場人物もおかしい。世界観も価値観も人生観も狂っている。

だがこの作品の主人公のようないじめた側ってどういう扱いになれば納得するんだ?
主人公はどういうことなら許される、贖罪とはどのレベルだ?
批判しているヤツは主人公が死ねばいいと言うのか?

私の場合、許され方が納得いかないという感じかな。
そこだけ主人公補正入り過ぎに感じられた。
過ちを認めて贖罪する、乗り越えるストーリー自体は別に否定しない。

映画は原作から削られている所もあるから感じ方が違うのかもね。
ヒロインがいじめられていることは意識されているが、主人公がいじめられていることに関してはあまり意識されていないのは気になる。

学校のいじめがテーマのアニメだと受け取られてしまっているのも問題じゃないかな。
いじめは確かに主要なテーマの一つではあるが、この作品はそれだけではない。交流できない、交流が限られ不足することによる理解の不足といったことにも注目して欲しいんだが。

しかし賛否両論なのはともかく「聲の形」のウチの国の興収が4000万元超えたのは朗報だ。

うむ。悪くない数字だし、今後京アニ系の劇場版の中国本土上映にも希望の持てる材料だと思う。

でも批評サイトの評価はどんどん下がってついに7点くらいになっちゃっているんだが……

上でも言われているがファンとアンチが極端だからな……足して割った結果なのかもしれん。同時期のSAOは高得点だけど、あっちは内容に加えてファン中心に見ているだろうしなー

4000万は悪くないけどもっといけたと思う。
「君の名は。」よりも面白い作品なんだから、「君の名は。」くらい宣伝していればと思ってしまうね。

いや明らかに「聲の形」の方が宣伝面では有利だろ。
「君の名は。」からの日本のアニメ映画の注目を利用していた形になっている。

その見方に同意だ。
そして「聲の形」を「君の名は。」第二シーズンだと思って見に行ったらいじめ作品で反発する人多数ってことじゃないかな……

京アニだからと「メイドラゴン」の延長、厳しくてもせいぜい「響けユーフォニアム」くらいだと思ってダメージ受けた自分みたいなのもいるんですよ!

さすがに「君の名は。」みたいな数字と評価は出せないだろう。
この作品のストーリーって万人向けじゃないから。

現実的なテーマではある。
だが現実のいじめはもっと残酷だし、もやもやする。あとヘンな所で笑いを取ったり、笑うシーンを入れたりするのがどうにも合わなかったな。

こっちで見た人間の反応ではいじめによる影響や感情描写、その結果の行動とかにリアリティを感じないというツッコミが多い気もするんだけど。

いじめの問題を美化しているという意見もあるが、創作でもあるわけで。確かに昔自分をいじめた相手を好きになるとか、現実でも無くは無いが特殊すぎる。
だがそこは分けて考えるべきだろう。

ややこしくなるのは障害者軽視的な視点からの批判も混じることだね。
いじめ問題と障害者問題を合わせたから、扱い難くなったし受け入れられる範囲も狭くなったように思う。
いじめで孤立とかならまだ共感できるだろうけど、そこに障害者の社会的な扱い、子供の社会での扱いみたいなのも加わるから。

障害者を聖母ヒロインにしたのも受け入れ方をややこしい問題にしている。
ウチの国では元々聖母系キャラって嫌われる属性だから、キャラが嫌いなのか障害者関係の表現が受け入れられないのか、自分もちょっと混乱してるよ!

主人公の男の方は好き嫌いはともかく理解できなくはない、それに自分の過ちを認めているのも伝わってくる。
だがヒロインは謎だ。自分をいじめて来る人間を笑顔で受け入れるのはいったい……

いじめへの対処やそれに関する人間関係もあまり表立って扱われるテーマじゃないからね。過激さ、加害者被害者が分かり易いいじめの関係じゃないからそこにも戸惑う。
復讐すればそれでいいのか、間違いを犯した者には贖罪や汚名を返上する機会は無いのか。作品のジャンルによってはバッサリでも良いけど、この作品はそういうのじゃないからね。

俺はヒロインがこの後無残に殺され電子撹拌能力を付与され悪人と社会に復讐するとかいう展開でも構わないぞ!

何はともあれ、こういう作品がウチの国に入って上映されるようになったという点に関してはとても良いことだと思う。



とまぁ、こんな感じで。
イロイロな所で議論が巻き起こっている模様です。

現在の中国オタク界隈における「「聲の形」に関する反応は肯定否定が真っ二つになっているような空気もあり、ちょっと加熱し過ぎな所も見受けられます。

教えていただいた話によると、この辺りに関してはテーマの扱いや内容が中国でどのような形で受け止められたかということに加えて、上のやり取りにもあるように
「『君の名は。』的なものを求めて見に行ったのに鬱になるイジメがテーマの作品を見せられたのでイヤな気分になった」
的な所もあるという話です。

それにしても、この反応の熱さを見ると「聲の形」」は良くも悪くも中国オタク界隈にグッサリといった作品と言えるのかもしれませんね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。