ありがたいことにネタのタレコミをいただきましたので、今回はそれについてを。

中国オタク用語には
「民工漫」
という言葉があります。

「民工」(農民工)というのは主に中国で農村戸籍を持ちながら都市に出稼ぎに行き肉体労働に従事する人達を指す言葉なのですが、そこから転じて
「アニメや漫画とは全く縁が無いであろう民工でも知っている」
というレベルの作品ということで、非常に高い人気で中国の一般層にも知られている極めて知名度の高い作品に対して使われます。

中国オタク界隈で「三大民工漫」と言われているのは
「ONE PIECE」
「NARUTO」
「BLEACH」

でその他にも「名探偵コナン」「銀魂」なども民工漫レベルの人気と知名度の作品だとされることがあるそうです。

またこの「民工漫」という言葉はネタ的な文脈で使われるときもあるのですが、ある種のレッテル的なモノでもあるので文脈次第ではネガティブな意味になることもあるようですが、昔と今では使われ方が変化している言葉でもあるとのことです。

中国のソッチ系のサイトではこの
「民工漫を日本語で説明する適当な言葉はないだろうか」
といったことに関するやり取りが行われていたので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


「民工漫」という概念を日本の知り合いに伝えたいんだが、日本語ではどう説明すればいいんだろう?何か似たような言葉、オタク用語って無いかな?
出来ればこの言葉のネタ的な空気も含めて伝えたい。

どうだろう。人気や作品評価に関するものだから、似たような言葉は日本にもあると思うが……

私もそういうのがあるとは思うんだよ。
もちろん細かく説明すれば理解してもらえるだろうけど、ピタッと当てはまる言い方があれば知りたいんだ。

「王道的人気作品」は……ジャンルになってしまうし、人気の高さの説明とはちょっと違うか。

「にわか」じゃないの?
浅い理解しかない人でも知っている作品ということで。

それだと完全に蔑称になるし、人気に関する説明が薄くなる。
日本語では「にわか」は良い意味で使われることはないし、深さを誇るオタクの間では尚更だ。

「国民的人気作品」とか、そういうのじゃないの?

それだと今度は肯定的過ぎるような……「民工漫」ってちょっとした皮肉も混じるだろ。

「民工漫」を悪い意味で使ってたのか?あれは人気が高くて誰でも知っているという意味だろう。

「民工漫」自体は別に蔑称的な意味はない。
「暇も無くて生活が苦しい民工でさえ知っている人気作品」的な意味だ。

微妙に違う。今のようにネットが発達していなかった時代に、民工ですら知っていた凄い人気になった作品という意味だよ。

別に貶す言葉じゃないし、「人気が非常に高い」でもいいんじゃないの。

言っている側はともかく、「お前見てるのは民工漫だな」と言われて褒められていると感じるオタクはおらんだろ。

今では言葉が「白く」なっちゃったけど、「民工漫」って元々はオタクが「NARUTO」とかの大人気作品を見下すために言い出した言葉だぞ。
あんなのわざわざ見ているのは民工レベルのヤツだとか、民工でもなきゃ見ないだとかで。

今百度で調べたりすると「言葉自体にネガティブな意味は無い」的な説明があるけど、元はかなり黒い言葉だったように思う。自分は使わないように気を付けていた。

昔はともかく、今では特に裏の無い意味で使われているし、日本語の「国民的人気」が近い言葉だし、それで訳すのが良いんじゃないかね。

だがウチの国では「民工」自体があまり良い感じでは使われないことのある言葉だし優越感を持って見下すような所は消えていないんじゃないか?

ウチの国では「民工」に対する蔑視が含まれたりするからな……日本のチョイ悪系ファッションとかミュージシャンはこっちでは民工に見えてダメだし。

基本的には人気の高さや知名度を誇る言葉なんだが、ネガティブな意味合いというか、少々貶すような空気は混ざっていると思う。

そこはまぁ、オタクによくあるめんどくささというか……ある意味では覇権作品がどうだらこうだらという不毛さに通じるものがある気もする。

今こっちのネットでこの言葉を調べると、中性的な言葉、作品の性質やジャンルやレベルについての言葉「ではない」というのを強調した説明が出てくるが、「オタクとしてその作品しか知らないのはどうなのか」「アニメを語る上でそれだけでは」的な見方は混じるよなー

この「民工」という言葉のニュアンスをどう訳すべきか……確か日本には民工いないんだっけ。

日本にも「出稼ぎ労働者」「肉体労働者」「土方」という農民工の使われ方に近い言葉はあるが、日本は農村と都市の経済格差が小さいし、戸籍による移住の難しさも無いからちょっと違うね。民工は農村戸籍のあるウチの国独特の存在だとか。

ウチの国の民工や外地人(よそ者)に対する蔑視、ブルーカラーへの差別感は日本人には分からんだろうな……職人大好きな国だし。

上の方でも出ているが、ネガティブな意味で比較的近いのは「にわか」じゃないかな。ただこれだとオタクとしての濃淡の問題にもなるから、ちょっと外れる所がある。

「イナゴ」とかはどう?

それは主に同人方面の用語だろ。しかも金儲けが絡む。

大人気過ぎてみんな知っている、「アニメ大好きです!」という人がいて、アニメに関して語ろうと思ったらこれしか知らなくて微妙な空気になったみたいな定番過ぎる人気作品って所だから、意味的には「国民的人気作品」が近いのかなあ……

日本語で完全に置き換えられる単語は無いだろうね。
一昔前、私が学生の時に使われるようになった言葉だけど、当時は「BLEACH」「NARUTO」の大人気ぶりに対する反発や、その作品のファンに対するオタクとしての優越感を表すような言葉として使われていたから、背景的にもウチの国のオタク界独特の言葉になる。

「国民的人気作品」でも良いんじゃないか?あの言葉は日本でも皮肉な意味で使われることがある。

それはオタク特有の見下し的な使い方だろ。それを言ったら「人気が高い」すら皮肉になる。
こっちの「民工漫」は組み込まれている言葉自体がややこしい……

「エロマンガ先生」でもそんなエピソードあったな。
言ってみればオタクを自称したい人にとっては「そんなの見ていないから」というのがむしろ何を自慢してんのかと言われるレベルの作品だが、さて。

「民工漫」って今では自虐的、肯定的な意味でも使われている言葉だからね。
一昔前は何も考えずに人気作だけ見ている、風の流れに乗っているだけの考え無しみたいな感じでのオタク界隈における蔑称、見下しから出てきたような言葉だった。今はネタとして使えるが、昔はわりと本気の蔑称として使用されていた。

確かに一般的になってある程度毒が抜けたけど、根本的な所というか字から受ける印象がなあ……だから日本語で「人気が高い」だけだとちょっと違う気がするんだよね。

言葉も意味が変わっていくものだからね。
最近の作品に関しては人気の広がり方の変化もあるだろうけど、作品の扱いが変わったような気もする。民工漫みたいな言い方、括り方はしないよね。

例えばFateなんかは月厨作品、厨向けみたいな感じになってるよね。「Fat/Zero」とかはオタ向けとされているが、人気や話題の広がり的に民工漫の手前くらいにはあると思うし、最近のFGOの広がり方も妙に広いからな。

あと時期的に古いのは逆に民工漫枠に入らないよな。例えば「ドラゴンボール」とか。
日本では上で出ている「国民的人気作品」としてまず来るのが「ドラゴンボール」らしいが、そういった所からも民工漫を国民的人気作品と日本語で説明するのは違う気がする。

なぁ……そもそもの疑問なんだが日本語の国民的人気作品って日本国産或いは日本出身を国民が受け取るというのが前提となってるんじゃないか?
我が国で作られた〜的なニュアンスを感じるし、中国で大人気なのを国民的人気と日本人に説明するのはなんかおかしい気がするんだが。

あまりスマートな訳ではないし不足する所もあるが、やはり「誰もが知っている大人気作品」みたいなのがベターなのかな……めんどくさいオタクやアンチについては説明しだすときりが無いし。



とまぁ、こんな感じで。
中国オタク界隈において使われる言葉の変化や、世代ごとの認識の違いのようなものも出ていました。

上のやり取りにもあるように、「民工漫」という言葉は昔の中国オタク界隈では蔑称的な言葉として使われていたように思います。私も昔中国オタクの方と話していて
「オタクならNARUTOやBLEACHのような『民工漫』なんかではなく、もっと『有内涵』(含蓄のある)な作品を見て語るべきなのに」
と吐き捨てるように言う方がいたのが印象的でした。

中国では「民工」という言葉がかなりネガティブな意味で使われたりもしますし、上にも出ている日本語の「にわか」よりも更に強烈な言葉が出て来たなーと。

またその後、段々と単なる看板的なモノになったり、ネタ扱いになったりして言葉の毒が薄れていっているようなのも面白い所でしょうか。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。