今回は個人的に今年一番衝撃的だった話についてを。
「銀河英雄伝説」


は中国でも人気が高く、日本の作品の中では恐らく中国におけるファン層やネットコミュニティの形成が最も古い作品だと言われていますし、簡体字中国語版が発売されていたりもします。
「銀英伝」が中国に刺さった理由としては、以前から
「片方の主人公であるヤン・ウェンリーが中華系であるのも大きいのではないか」
という話がありましたが、先日古参の中国オタクの方々から
「中国の銀英伝ファンの間でヤン・ウェンリーは中華系キャラ、中国人キャラだとは思われていなかった」
という驚愕の事実を教えていただきました。
もちろんこれはかなり昔の話で、さすがに現在では中国語の作品関連情報も整っていますしヤン・ウェンリーが中華系ではないという認識の人はほとんどいないと思われますが、一昔前の中国の銀英伝ファンの間では彼が中華系、中国人系キャラではないという認識の人がそれなりにいたそうです。
なぜそんなことになっていたのかというと、ヤン・ウェンリーの名前の中国語訳である
「楊威利」
から受ける印象が大きかったそうです。
ヤン・ウェンリーの漢字表記は田中芳樹先生の設定では「楊文里」となっているらしいですが、中国ではずっと「楊威利」表記で現在もそれが定着しています。
ですがこの「楊威利」の「威利」が中国語における外国人名
「Wylie」
の定番翻訳表記の一つとなっていることから、中国人の名前ではないという印象にもなるとのことです。
実は中国語では外国人の名前を表記する際に音訳で更に「中国人の姓名的な表記」にするパターンも結構ありまして、例えばアメリカの大統領では林肯(リンカーン)杜魯門(トルーマン)といった表記になっています。
そんな訳で現在ヤン・ウェンリーの中国語表記として広まっている「楊威利」は「楊」という姓が付いているから中国人的な名前だと受け取ってもらえるわけではなく、むしろ「威利」(ワイリー)という類似の外国人名もある表記から、、中国ではなく欧米系の名前といった印象にもなるそうです。
それに加えて作中におけるヤン・ウェンリーの言動や嗜好が当時の中国人からかけ離れていたことも「中国人ではない」という印象を加速させたそうです。当時は「なんかアメリカの将軍にいそう」と受け取る人もいたとか。
そういったことから昔の中国における銀英伝のイメージは
常勝の天才ラインハルト・フォン・ローエングラムVS不敗の魔術師ヤン・「ワイリー」
そして
近代ヨーロッパ的な帝国VS現代アメリカ的な同盟
的なモノもあったそうです。
そんな訳でヤン・ウェンリーの中国語訳に関しては、初期の「楊威利」がある種の誤訳的なモノではあったものの、作品設定やキャラクターの言動などから受ける印象とあまりにも
「合致し過ぎた」
ことから中国では「楊威利」で定着していったような所があるとのことです。
現在は簡体字中国語版など公式の中国語訳でも「楊威利」になっていますし、今更変えるのは難しいでしょうね。
ちなみにこの話を教えてくれた中国オタクの方によると、
昔中国の古参の銀英伝ファンの人に対して
「ヤン・ウェンリーって中華系キャラだよね」
という話をしたら
「不可能!」(ありえない!)
と返って来て、説教されたことがあるそうです。
またそれとは別に
「可能性很少」(その可能性はほぼ無い)
といった答えを返してくる人もいたそうですし、他にも
「紅茶にブランデーを入れて飲む中国人がおるか!!」
と熱いツッコミ(?)を受けたなんてこともあったそうです。それと
「百元さん、知らなかったんですか!?」
という話も……
スイマセン!知りませんでした!勘違いしていました!
この百元籠羊、不覚の極み!!
以前から
「ヤン・ウェンリーの名前って中国人ぽくない」
という指摘があったのを知ってはいたのですが、てっきり「日本の感覚で作った中国人の名前」によるぎこちなさとかの問題かと思い込んでいまして
(ややこしいことにその手の批判も珍しく無かったり)
いやもう、銀英伝ファンをやっていて、しかも中国の銀英伝事情を十数年追っかけていながらこんな基本的な部分を勘違いしていたとは……頭の中でランズベルク伯アルフレットがずっと叫んでいます。
同時にこういうことを知って驚けるなんてブログを続けていてよかったと思ったりも。
それにしても、「主役の片方が中国人だから」という理由が無いのに昔の中国であそこまでの大人気になっていたというのは、ヤン・ウェンリーというキャラ、そして銀河英雄伝説という作品の凄まじさを改めて感じてしまいますね。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
「銀河英雄伝説」
は中国でも人気が高く、日本の作品の中では恐らく中国におけるファン層やネットコミュニティの形成が最も古い作品だと言われていますし、簡体字中国語版が発売されていたりもします。
「銀英伝」が中国に刺さった理由としては、以前から
「片方の主人公であるヤン・ウェンリーが中華系であるのも大きいのではないか」
という話がありましたが、先日古参の中国オタクの方々から
「中国の銀英伝ファンの間でヤン・ウェンリーは中華系キャラ、中国人キャラだとは思われていなかった」
という驚愕の事実を教えていただきました。
もちろんこれはかなり昔の話で、さすがに現在では中国語の作品関連情報も整っていますしヤン・ウェンリーが中華系ではないという認識の人はほとんどいないと思われますが、一昔前の中国の銀英伝ファンの間では彼が中華系、中国人系キャラではないという認識の人がそれなりにいたそうです。
なぜそんなことになっていたのかというと、ヤン・ウェンリーの名前の中国語訳である
「楊威利」
から受ける印象が大きかったそうです。
ヤン・ウェンリーの漢字表記は田中芳樹先生の設定では「楊文里」となっているらしいですが、中国ではずっと「楊威利」表記で現在もそれが定着しています。
ですがこの「楊威利」の「威利」が中国語における外国人名
「Wylie」
の定番翻訳表記の一つとなっていることから、中国人の名前ではないという印象にもなるとのことです。
実は中国語では外国人の名前を表記する際に音訳で更に「中国人の姓名的な表記」にするパターンも結構ありまして、例えばアメリカの大統領では林肯(リンカーン)杜魯門(トルーマン)といった表記になっています。
そんな訳で現在ヤン・ウェンリーの中国語表記として広まっている「楊威利」は「楊」という姓が付いているから中国人的な名前だと受け取ってもらえるわけではなく、むしろ「威利」(ワイリー)という類似の外国人名もある表記から、、中国ではなく欧米系の名前といった印象にもなるそうです。
それに加えて作中におけるヤン・ウェンリーの言動や嗜好が当時の中国人からかけ離れていたことも「中国人ではない」という印象を加速させたそうです。当時は「なんかアメリカの将軍にいそう」と受け取る人もいたとか。
そういったことから昔の中国における銀英伝のイメージは
常勝の天才ラインハルト・フォン・ローエングラムVS不敗の魔術師ヤン・「ワイリー」
そして
近代ヨーロッパ的な帝国VS現代アメリカ的な同盟
的なモノもあったそうです。
そんな訳でヤン・ウェンリーの中国語訳に関しては、初期の「楊威利」がある種の誤訳的なモノではあったものの、作品設定やキャラクターの言動などから受ける印象とあまりにも
「合致し過ぎた」
ことから中国では「楊威利」で定着していったような所があるとのことです。
現在は簡体字中国語版など公式の中国語訳でも「楊威利」になっていますし、今更変えるのは難しいでしょうね。
ちなみにこの話を教えてくれた中国オタクの方によると、
昔中国の古参の銀英伝ファンの人に対して
「ヤン・ウェンリーって中華系キャラだよね」
という話をしたら
「不可能!」(ありえない!)
と返って来て、説教されたことがあるそうです。
またそれとは別に
「可能性很少」(その可能性はほぼ無い)
といった答えを返してくる人もいたそうですし、他にも
「紅茶にブランデーを入れて飲む中国人がおるか!!」
と熱いツッコミ(?)を受けたなんてこともあったそうです。それと
「百元さん、知らなかったんですか!?」
という話も……
スイマセン!知りませんでした!勘違いしていました!
この百元籠羊、不覚の極み!!
以前から
「ヤン・ウェンリーの名前って中国人ぽくない」
という指摘があったのを知ってはいたのですが、てっきり「日本の感覚で作った中国人の名前」によるぎこちなさとかの問題かと思い込んでいまして
(ややこしいことにその手の批判も珍しく無かったり)
いやもう、銀英伝ファンをやっていて、しかも中国の銀英伝事情を十数年追っかけていながらこんな基本的な部分を勘違いしていたとは……頭の中でランズベルク伯アルフレットがずっと叫んでいます。
同時にこういうことを知って驚けるなんてブログを続けていてよかったと思ったりも。
それにしても、「主役の片方が中国人だから」という理由が無いのに昔の中国であそこまでの大人気になっていたというのは、ヤン・ウェンリーというキャラ、そして銀河英雄伝説という作品の凄まじさを改めて感じてしまいますね。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。