以前の記事
中国でヤン・ウェンリーは中華系、中国人キャラと思われていなかったと判明 管理人不覚の極み
に関してイロイロと追加で質問をいただいたりしておりますので今回はそれについてを。

一昔前、まだ今のように情報が簡単に調べられるような環境では無い、ネットの中国語のデータベースが無いどころか日本の作品の情報を調べるのも難しかったような時代に中国に入って人気になった作品で、人気になった中華系キャラとしてはヤン・ウェンリーの他にも
「マクロス」の「リン・ミンメイ」

などがいます。

ただリン・ミンメイの漢字表記に関しては日本の公式設定である
「鈴明美」
で広まっているわけではなく、現在は
「林明美」
で広まっているようですが国や媒体によって表記が一定しなかった時期もあるようです。更に初期の頃に中国に入ったリン・ミンメイは「マクロス」ではなくアメリカ経由の編集合体を経た「robotech」のキャラだったという事情もあるなど、昔はかなり混沌とした状況となっていたそうです。

このリン・ミンメイの名前やマクロス関係の中華系キャラの名前の中国語表記について中国の古参マクロスファンの方に聞いてみました。
教えていただいた話によると、リン・ミンメイの中国語表記は比較的早い時期に「林明美」で固まっていたようで、「楊威利」のように欧米系と勘違いされることもなく、普通に中華系キャラ、中国人の名前として認識されていた模様です。

ただ中国語表記に関してはイロイロなバージョンが存在したのも確かなようで、90年代前半に中国に入った「太空堡垒」(robotech)の時は「林」の表記無しでの「明梅」だったそうですし、他にも香港で放映されたバージョンでは「林明明」なども確認されているそうです。
また台湾では「宇宙的戦艦」名義で放映されていたそうですが、この辺りに関しては正確な所を調べるのが難しい状態になっているとのことです。

それから英文表記に関しては今世紀初頭の時点、日本のアニメが中国に雪崩れ込んで広まり、中国国内で「マクロス」と「robotech」の区別が明確になって来たような時期においては
「Lynn Minmay」
の表記が広まっていたそうですが、こちらは日本のポスターやCDジャケットの影響ではないかという話でした。

ちなみに、なぜ「林明美」に関して以前の記事で書いた「ヤン・ウェンリー」の中国語訳「楊威利」のような
「中国人では無い名前、欧米人っぽい名前という受け取り方が無かったのか」
ということに関しては、作中の描写や翻訳による空気の影響もあったのではないかという話です。
「銀英伝」に関してはいわゆる「洋画っぽい翻訳」のような空気があったそうですし、楊威利の「威利」がより一層英単語っぽく感じられたのだとか。
それ以外にも、当時は中華系の名前をピンインに準じて表記するという習慣が広まっていなかったので、余計に「楊威利」が中国人の名前に感じられなかったのではないか……という話も教えていただきました。

あとリン・ミンメイの他に「リン・カイフン」に関する質問もいただいておりますが、こちらは表記が一定しないようで、日本の公式の「鈴海皇」という表記も使われていないそうです。
とりあえずrobotechの方では「林凱」だったそうで、中国のマクロスファンの間ではより近い音の「林凱豊」表記が使われることもあるそうですが、
「幸いあまり頻繁に出てくる名前じゃないから、そこまで気にしないでもいいな!」
的な扱いにもなっているとかなんとか。

それ以外にもマクロスシリーズでは中華系の名前がちょくちょく出てくるので、その辺りのキャラの中国語名の認識についても聞いてみたのですが、やはり強調されたのは
「マクロスF」の「ランカ・リー」

の中国語名
「李蘭花」
についてで、これに関しては
「超弩級にダサイ名前」「ダサさ銀河級」
という評価もあるそうです。

ランカ・リーの中国語名に関しては当時からあまり評判のよくない名前だとは感じていたのですが、今回の話では改めてそのダサさが強調された話を教えてもらいました。

「マクロスF」が中国に入った時期の中国オタク界隈ではもう現地の翻訳で独自の表記にしてイメージ補正する作品を受け入れることはなくなっていましたし、ランカ・リーに関してもすぐに漢字表記が伝わり、「李蘭花」という名前で広まっていたようです。
しかしその名前は当時日本のアニメを見ていた層の感覚では極めてダサいものに感じられたとのことです。

初代マクロスの「林明美」が中国的に特にカッコイイ名前だったわけではないそうですが当時は比較対象もほとんど無くわりとスムーズに受け入れられていたそうです。
しかし「李蘭花」はハッキリと分かるダサさに加えて、時代の変化により初代マクロスの時のような海外アニメに出てくる中国的な要素が「新鮮な内容」として何でも好意的に受け入れてもらえる扱いではなかったとも。
(初代マクロスの中華描写は30年代や40年代の上海映画っぽい印象だったので中国の90年代の感覚でもわりと心の薄目案件ではあったそうですが)

中国では「マクロスF」のヒロインのシェリルとランカの人気の差が日本以上にハッキリと出ていましたが、それに関しては名前から受け取るイメージも影響していたのかもしれません。
「シェリル・ノーム」(中国語表記は「雪莉露・諾姆」)の名前と作中のトップアイドルとしての豪華さ、一般人からアイドルになっていくランカ・リー(李蘭花)の差が中国語表記の名前のイメージ差も加わってどうにもならなかったのかなーと。
この辺りに関しては
「せめてもうちょっと洋風っぽい名前だったら……」
「中国語でも蘭花・李や蘭卡・李的な見せ方であったならば……」

という話もありました。

今回の話を教えてくれた方も中国人っぽい漢字表記の名前から受ける印象に関して
「古風でカッコイイ名前と古くてダサイ名前」
「中二病的名前のカッコ良さとキラキラネームのダサさ」
の違いを明確に説明するのは難しいと悩んでいましたが、名前の人気や印象に関しては、文化的背景に加えて時代ごとの社会的な変化もイロイロと影響しますから、その辺りについては日本と似たような所もあるのかもしれません。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


「マクロス」は中国オタク的「心のアニメ」 その1 中国におけるマクロスとRobotechの関係