ありがたいことに
「中国のテレビで日本のアニメが放映されていた頃について、今の中国のオタの人達はどう思っているのでしょうか」
という質問をいただいておりましたが、先日その辺りに関するネタを教えてただくことができましたので今回はそれに付いてを。

そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「昔まだテレビでアニメを見ていた頃の思い出」
などに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


先輩達にちょっと聞きたいんだけど、昔まだテレビでアニメを見ていた頃ってどんな感じだったの?
知識としては分かるんだけど、どんな体験なのかは把握できないんだ……

あれはあれで楽しかったよ。
今の目で見ると不便だったり、微妙だったりするけど、今では体験できない楽しみ方ではあった。

今もテレビでアニメを見ようと思えば見れるけど、日本のアニメは基本的に無くなってしまったからね。体験的な面では過去の話になってしまうのか。
考えてみれば私もずっとノートPCかスマホでアニメを見ているなあ。

今ほど細かい所は気にしなかったな。きちんとした作品データもなかったし、うろ覚えの記憶で作品を語っていた。

昔は基本的にテレビで見るしか無かったというか海賊版に手を出すにしてお金がかかったからね。
長編作品を見るならテレビに頼るしかなかった。

あと翻訳の問題やキャラの改変とか、作画崩壊とかは気にならなかったな。
「天空戦記シュラト」や「ロスト・ユニバース」が有名な作画崩壊アニメだと知ったのはかなり後になってからだ。

当時は普通に人気作品だったし、みんなそんなもんだと思ってたからね。
そう言えば「マクロス」(「robotech」経由だが)も有名な作画崩壊アニメだが、ウチの国では大人気だしオタクの基礎を作った作品の一つだな……

テレビで一回だけしか見れない上に画質も良くなかったから作画崩壊は気にならなかった。
あと何となく聴いていた中国語カバーの主題歌も当時のアニメ視聴の醍醐味だったかも。今ではネタ扱いになるかもしれないけど、当時はわりと楽しんでいたよ。

当時から明らかにネタだったのは「エヴァ」のアレくらいじゃないかな。あの頃でも普通にオリジナルの「残酷な天使のテーゼ」を知っていた人も多かったからネタ扱いが強くなったのかも。
(訳注:2001年に中国のテレビで「新世紀天鷹戦士」と言うタイトルで放映された「エヴァ」はその微妙な主題歌のカバーが中国オタク界隈では伝説になっています。過去記事の中国で放映されたエヴァ、「天鷹戦士」の主題歌なども、よろしければご参照ください)

吹き替えはそれなりにあっても、主題歌の中国語版はあったりなかったりだったような。
OPをそのまま、日本の歌のままで流している番組もあった。自分で歌うのは厳しかったが、主題歌は耳に残るし、ウチの国のオタクのアニソン趣味にも影響を与えたはずだ。

当時のカバー主題歌の中で良かったのは「魔動王グランゾート」や「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」かな。

もっと昔だと「一休さん」や「海のトリトン」なんかも良かったぞ。

今の感覚で聴くとアレだが、私も当時のカバー主題歌は嫌いになれない。
アレンジが微妙だったのも間違いないし、評価に関しては思い出補正、当時他に比較対象が無かったから良かったと思えるというのも否定はしないけどね。

テレビ放映アニメの中国語版主題歌って演奏の音の数が減る上に、エフェクトや音量の調整も微妙になっちゃったりしているからね
「グランゾート」の中国語版は私も好きだけど、原曲と比べてはいけないとも思う。

自分は「レッツ&ゴー」の中文主題歌は子供の頃からあまり好きじゃなかったけどな。作品は楽しんでいたけど。

グランゾートは無理矢理っぽいけど、うまくリズムに乗せる歌詞にしていたと思うよ。
原曲では「グランゾート」と叫ぶ出だしやサビの部分を「我的心」にしたりとかね。あれを中国語発音でそのまま音訳したり、中国語名である「光能使者」にしちゃっていたらテンポが悪くなっていた。

でも「光能使者」という名前自体は歌詞でかなり使いまわしていたよな。
原曲の「大銀河を〜」で盛り上がっていく所を「光能使者」の連呼の勢いで押し通すのが好き。

テレビでアニメを見ていた頃は作品人気の寿命は間違いなく今より長かったし、定番の作品を話題にするのは楽だったね。話も通じる。

でもきちんと「追っかける」のは妙な難しさがなかったか?
当時のテレビ放映を第一話から最終話まできっちり見るのは

確かに。スケジュールがよく変わったし、途中から始まって最終回にならないで終わるとかも珍しくなかったね。
ただ同じ作品がそこら中のチャンネルで放映されていたから、続きを追っかけるのは意外になんとかなった。

当時はいろんな国のアニメが放映されていた。日本のアニメ以外に、アメリカのアニメも印象深い。バットマンやスパイダーマンやスーパーマンやヘラクレスのアニメを見ていたが、今では映画はあってもテレビアニメでは見かけなくなった……
(訳注:ここで出てくるヘラクレスはテレビシリーズの方の作品のようです)

欧米系アニメは今でもテレビでやっているけど、題材によっては今の時代のウチのテレビでは難しいものもある。
ウチの国の全年齢向けでは、暴力やポルノ、恋愛などがタブー扱いなわけで……

国産保護と外国排除はいつものことだし、アニメって子供に対する悪影響、文化侵略として叩かれ易いからね。
それにこういうのはウチの国だけじゃない。フランスは更に極端な日本アニメ排除を行っていてその結果アニメファンのジェネレーションギャップはもっと激しいことになっているとか。

テレビアニメの放映にも政治的な要素、国同士の関係がかなり絡む。
それを見る世代の人間に影響すると見做されるからね。

今となっては全く想像できないかもしれないが、アメリカのアニメが排斥されて、その後に大量に日本のアニメが入ったという背景もある。特に80年代末から90年代前半辺りとかはイロイロとあったんだよ。

今のテレビアニメは国産がメインで外国のは欧米の作品とかになっているが、00年代半ば辺りの日本のアニメが放映されなくなる前とかかなりカオスなことになってた。今では想像できない。

昼間は日本のアニメを放映していて、その後に子供向けの抗日ドラマやって、夜は「抗日神劇」だったりしたからな……

あれを自然と受け入れていた自分達がもうネタだよな。
当時のアニメに関しても政策やら何やらの影響は当時もあったけど今よりも緩かったし、それに加えて手頃で「作る方放映する方にとって安全」な娯楽コンテンツが不足していたってのも大きいと思う。

それはともかく、テレビで放映される吹き替え版のアニメで今のアニメ環境に無いものと言えばやはり歌じゃないか?
今のネット配信では字幕の翻訳は良くなっているけど、音や歌まで「訳す」のはほとんど無いだろう。

昔は吹き替えの際に、作品によっては歌も中国語化してくれたよね。「マーメイドメロディーぴちぴちピッチ」は台湾経由だったのもあってか、劇中歌まで中国語になっていたのが印象的。

ウルトラマンとか、「ティガ」の中国語版主題歌がとても良いね。

テレビ放映はその辺りの手間をかけていた。今の時代の翻訳システムでは対応していない部分とも言える。

香港のテレビだとライダーやウルトラマンとかの各特撮シリーズのOPも中国語になってたよな。

でも香港系や台湾系のテレビでも最近の新番アニメでは中国語カバーやらない作品が多くなってきているはずだ。

今は歌の権利関係も難しくなっているんじゃないか?
タイアップ曲とかも多いし、日本のアニソンイベントの扱いを見てもめんどくさいことになっているように思う。

香港や台湾の場合、内地よりも手間やコストをかけているからたまにスゴイのが出たりしたんだがな。
「デジモン」の主題歌を劉徳華(アンディ・ラウ)に歌わせてカバー版も名曲にしたりとか。

「デジモン」は林峯(レイモンド・ラム)の歌っているカバーもあったよね。確か「デジモンテイマーズ」の。

残念ながら今の時代は中国語版の歌ってオタクの間では需要も無ければ評価もされないだろう……
ほとんどは「オリジナルの方が良い」とかになってしまうだろうし、注目されるのは「エヴァ」のようなネタ扱いのケースくらいだ。

歌を簡単に何度も聴ける環境になって、アニソンの人気や需要も変わった。
近年のアニソンのヒットや、ボーカロイド曲の人気を見ていると、翻訳した中国語版の歌の需要はあんまり無いように思う。

吹き替え版に関しては演技や歌といったあれこれのクオリティも気になるが、カットの多さも気になるね。
内容が問題だからカットしたり修正されるというケースもあるが、テレビ局の放映時間の都合でカットされたりすることも多いと思う。
そのせいでまた色んな勘違いやネタっぽい思い込みも……

内容に加えてOPやEDなんかはどんどんカットされた覚えがある。
せっかくの中国語版OPやEDも再放送の時には放映されないようになっていく……

それはテレビアニメではよくあることだ。OPやEDの他に最近のアニメの演出に関しても
エンドカードとか、毎回変わるちょっとした演出のあるシーンが無くなったりする。
例えば「ONE PIECE」のEDとかはいつのまにかバッサリとカットされるように……

あれ、時間の問題なのかそれとも翻訳の手間の問題なのか分からんが、少なくとも制作側の態度としては褒められたもんじゃないよね。
そういうのがあると、テレビ放映に対してどんどん信頼が無くなって見なくなっていく。



とまぁ、こんな感じで。
当時の中国のテレビで放映されていた日本のアニメの中国語版主題歌(カバーされたものもあれば、完全独自のものもあるそうです)などを中心にイロイロな話題が出ていました。

ちなみに上で話題になっている中国では「光能使者」のタイトルで放映された「魔動王グランゾート」の中国語版主題歌はコチラ(iqiyiなので広告多いです)などをご参照ください。

現在の中国における日本のアニメの視聴環境は昔と比べて随分と便利になっています。
ただアニメの楽しみ方や楽しめる部分に関しては、中国語版の主題歌などの他にも、失われたというか受け継がれなかったものがあったりするのかもしれませんね。

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


その日、中国のお偉いさんは気付いた。日本のアニメに包囲されている恐怖を