ありがたいことにネタのタレコミと質問をいただいたので今回はそれについてを。

近頃は中国オタク界隈でも「ゴブリンスレイヤー」関連で色んな考察が盛り上がっているようですが、前提となる知識や認識が人それぞれなので議論が盛り上がったり混乱したりでなかなか大変なことになったりもしているとのことです。

またそれに伴い、日本のファンタジー作品の定番設定についての考察や知識の摺合せといったことも行われている模様です。

中国のソッチ系のサイトではそんな話題の一つとして
「冒険者ギルドという定番設定の背景や成り立ち」
といったことなどに関するやり取りが行われていましたので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


冒険者ギルドについて教えて欲しい。
日本のファンタジーの定番設定だが、細かく考えていくと疑問がたくさん出てきてね。あとあの設定がどこから来ているか、どの作品やどういった背景から来ているのかというのも気になってきて……

日本ファンタジーの共通設定「冒険者ギルド」はどのように成立したのかといった話か。

そんな所。あと冒険者ギルドをどういう組織と捉えるかみたいなのもあるかな。

最近だと「ゴブリンスレイヤー」や「オーバーロード」みたいな人気作品でも基本的な設定になっているよな。
システム的に使い易い店というか集団くらいに受け取っていたが、厳密に考え出すと分からんのは確かだな。

あれ、職能関係のギルドとかとはまた違うんだよな?

現実路線で例えると、互助会とか兄弟団とかみたいなもんかね。

ややこしいことに鍛冶ギルドや盗賊ギルドが並列で存在するケースも珍しくない。

少なくとも「ロード・オブ・ザ・リング」には冒険者っていない。流れ者とか傭兵的なのはいるけど。

盗賊ギルドだったらD&Dの時点で既にあったかな。

近そうな所で考えていくと賞金稼ぎと酒場の関係とか?

でも賞金稼ぎみたいなのはギルドで管理するようなもんじゃないような。

管理ではなく、情報の提供や飲食宿泊の場所の提供の方の冒険者ギルド業務と見ればそこまで外れてはいないんじゃないかと。
賞金首の張り紙なんかも共通するし。

冒険者ギルドが設定的に便利で、物語を作る上で、ゲームのイベント発注場所やチュートリアルの場所としてなどとても使い易いといった理由はよく分かる。
しかしそれがどこから来たのか、あと作品内における立ち位置はどうなっているのかなど設定面から考え出すと疑問がたくさん出てくる。

「モンスターハンター」のハンターズギルドもある種の冒険者ギルドかな。

東インド会社の探検や冒険航海とかが元ネタになって影響しているという可能性もあるのでは。「オーバーロード」の理想の冒険者のイメージはコレに近いような気もするし。

根本的な疑問なんだが、冒険者ギルドを運営する金ってどこから来ているんだ?
ゲームみたいに端末として設置して終わりというわけにはいかんだろう。

防衛組織みたいなもんだし政府関係だろうから予算おりてんじゃないの?

普通に商業活動で利益上げているんじゃないか。
冒険者関連の商売やってるし、依頼の仲介費用も持っていくだろうしな。

商売の他に冒険者の登録費用や会費もあるだろうし、大規模討伐なんかの場合は国から金が出るだろう。
実質的に冒険者向けの業務を独占しているわけだし、運営に問題無いくらい儲かる組織として設定するのは簡単だ。

収集系クエストでは素材の納入先でそれを加工して販売する業者で、更にクエストの仲介もやってるからな……むしろ独占状態で利権がヤバイ可能性すらあり得るぞ。

冒険者のランク分けと合わせて身分保障をやっているのも珍しくない設定だし、利益の出ていそうな部分は多いよな。

日本の作品の冒険者ギルドは世界的、国家的な組織にも思えるし、その辺の利益構造も納得できる。
他の国の作品に「冒険者の」「ギルド」が無いわけじゃないが、そこが様々な活動や移動の起点になる共通の組織という感じではないよね?

冒険者ギルドを現実で考えると、何だろう?

簡単に言えば職業斡旋所じゃないか?

日本の江戸時代を舞台にした時代小説では短期の仕事を仲介する店として「口入屋」というのが出て来るんだが、これが仕事の仲介や仕事の際の身分保障的な役割を持っていて冒険者ギルドに近いものがある。この辺も創作つながりで影響しているんじゃないかと。

武力の外注だと欧州の傭兵ギルドとかもあるな。
現実的に言えばこの手の作品の冒険者って傭兵と変わらん。ちょっと名前を変えただけ。

冒険者ギルドって大体は国の下の組織か、強力な権力を持つ職能ギルドみたいな扱いだが、中には領土を有する独立勢力みたいなのもあったかな。

政治的な権力はあるんだろうな。現実の歴史を見ても職人が集まったギルドは社会的な発言力が出る上に、独占という既得権益を持っていたし。
冒険者の地位が作品ごとに異なるし、社会的な扱いも微妙に違ったりするから一概には言えないが……

冒険者ギルドがどこまでしっかりとした組織で、どこまで冒険者をサポートしてくれるかというのも作品次第だからな。MMO的な要素が強い作品だとサポートがしっかりしているが、TRPG的な要素が強いと手助けは少ないと言った所だろうか。

最近、その手の問題はみんな微妙に認識が違うからややこしいと実感してばかりだ。
ゴブスレでも最初の冒険者パーティの全滅を、パーティの責任では無くギルドの責任、怠慢のせいだと認識するのがわりといたし。

とりあえず、その作品で便利に使える仕事の仲介業者と冒険者向け専門店くらいに考えておけばいいんじゃないかね。

日本の作品の冒険者ギルドは組織の規模や構成、配置的に銀行や郵便みたいなイメージもあるな。
仕事の受発注、所属冒険者の福利厚生、金銭関連の業務、情報伝達とかなり手広くやってる便利過ぎる組織。

冒険者ギルドの元ネタは冒険者が集まる酒場だろう。
冒険者に仕事を依頼する時は酒場の主人経由で依頼して、冒険者がその依頼に合った冒険者に声をかける、その過程で主人は仲介費用を取ったりするわけだな。これがベースで便利な機能(創作的にも)が合体していったのが日本の冒険者ギルドなのではないかと。

冒険者ギルドの冒険者の拠点、バックアップ組織という役割は大体同じだが、作品ごとに背景設定が結構違う。
例えば「オーバーロード」では国家から独立した人類守護のための組織という扱いだし、「ゴブリンスレイヤー」は国営で雇用創出も兼ねた公共事業や業務委託先だ。もちろん詳しく設定していない「冒険者ギルドだから」で済ませるような作品もあるぞ!

ギルドが成立した背景も違ってくる。
「オーバーロード」は魔神との戦いや教国が成立に絡んでいるんだっけ?あとモンスター退治で報奨金がもらえるのはラナーの政策だったか。

作品内における組織の役割とかはなんとなく分かったが、もう一つの疑問がまだ分からない。
日本のファンタジー作品に冒険者ギルドを広めた作品はどれなんだろう?どういう流れで成立した設定なんだろうか?
冒険者という存在の定義からしてゲーム経由な気はするが……

初出はたぶんTRPGだろう。日本式ファンタジーの設定は大体がTRPG経由だ。ただそういったネタはアニメやマンガラノベを通じて広く拡散する傾向があるから、広めた作品となると分からんが。

日本のファンタジーってキャラ重視が最初で世界観やロジックはその次、要素だけ抜き出して魔改造的な利用をするからつながりがよく分からん。そこが良い所であり悪い所でもあるんだけどね。

エロゲのランスシリーズは住んでる街の冒険者ギルド経由で話が始まることが多いが、あの作品は日本のファンタジーやRPGのパロディという面もあるからその時点で冒険者ギルドネタは成立していたはず。

ランスのあれって最初から冒険者ギルド呼びだったっけ?確かキースギルドと呼ばれていたし、冒険者ギルドという説明は後からついたような気もするんだが。
機能的には冒険者向けの仕事の仲介する組織だから今でいう冒険者ギルドでも問題無いと思うけどね。

ランス1と同時期に出た日本の古典ラノベ「フォーチュンクエスト」はレベルなどのゲーム的な要素や冒険者ギルド的な組織を小説に持ち込んでつじつまを合わせたことで有名だが、「冒険者ギルド」という言葉は使われていなくて「冒険者支援グループ」とされている。
だから冒険者ギルドという言葉と一緒に概念が成立するのはもっと後じゃないかと。

冒険者ギルドが広まったのはゲームだ。日本のファンタジーネタは「ドラゴンクエスト」の影響が極めて大きいから。

ドラクエには冒険者ギルド無いぞ?冒険者という言葉も古い作品では使われていなかったような……

「ドラゴンクエスト」だと冒険者ギルドじゃなくて酒場だね。これはシリーズの伝統的なものでもある。
酒場が初出の「3」の出た88年の時点では冒険者ギルドの概念は日本のゲーム界隈でもあまり一般的ではなかったのでは?

酒場で仲間を集めるというのは欧米系ファンタジーでも定番の要素だし、そっちだと影響の流れも分かり易いんだがなあ。



とまぁ、こんな感じで。
定番のイメージの想像や理解はできるものの、詳しく考え出すと人それぞれな部分も出て来るようですね。

それにしても上のやり取りにもありますが、冒険者の管理及び支援の総合組織としての「冒険者ギルド」がその名称とともにお約束設定として扱われるようになったのはいつ頃からで、影響が大きいのはどの作品なんでしょうかね……

私もちょっと考えて見たのですが分かりません。
自分の中の冒険者のたまり場のイメージは
「五竜亭」

辺りの影響が強いのですが、自分の知っている作品をたどってみても、そこから今のお約束の冒険者ギルドにつながる流れに影響を与えた作品が思い付かないと言いますか。
この「冒険者ギルド」に関しては、例えば異世界トリップや転生関係に大きな影響を与えた「ゼロの使い魔」のような作品ってあるのでしょうかね。

冒険者ギルドという言葉自体はロードス島戦記のD&D版のリプレイで出ていたそうですが、ロードス島戦記やSWは冒険者が集まるのは酒場や冒険者の店、ギルド関係は盗賊ギルドや賢者の学院で冒険者ギルドというのを意識させられることはなかったような……

「フォーチュンクエスト」の冒険者支援グループもシステム的には冒険者ギルド的な存在ですが、冒険者ギルドとして意識していたか、冒険者ギルド呼びだったかというとイマイチ自信が無いというか。
その後のラノベ作品を考えても冒険者ギルドネタで直接的な影響の大きい作品は思い付きませんし、CRPGやTRPG、MMORPG、或いはネット小説関係で何かあったりするのでしょうか。(そもそも全部私の主観的なものなので何ともかんとも)

10/22追記:面白いコメントをいただいたので追記を。
60. 名無しさん
2018年10月22日 22:17
※45
アーク2で思いついたがメタルマックスのハンターオフィスがかなり今の冒険者ギルドに近い気がする
賞金首の情報提供にクエスト発注や賞金受け取り窓口、付属的に冒険の関連施設がそろっているし管理されてる感があった
更に旧文明崩壊後という設定だから冒険の情報をゲームのデータ的に提供しても問題なかったからファンタジー系の酒場の主人から一気に分かりやすいテンプレ的な存在になったような?


メタルマックスのハンターオフィスは言われてみれば今のテンプレ冒険者ギルド的な要素が多いですね。
それに加えてハンターという大枠で各職業有象無象のならず者を管理しつつ職業や社会的地位として成立させているのも冒険者ギルドの管理する冒険者的です。

直接的な影響がどの程度かについてはさておき、「メタルマックス」を現在のお約束的な冒険者ギルドの元ネタとして遡れる作品の一つと見ても良いような気もしてきましたし、ネットの創作でもスカヴェンジャー系などがありますからテンプレの拡散という面でも気になってきました。


とりあえず、こんな所で。
何だか私も気になるネタになってきたので、いつも以上にツッコミ&情報提供お待ちしております。