先日、中国の方で
「BL同人誌を制作販売したサークルの関係者が逮捕された件に関する判決が出て、サークル関係者に懲役10年の判決が出た」
という事件があったそうで、この件に関するネタのタレコミや質問を複数いただいておりますので今回はそれについてを。

中国の大手同人サークル主催者が「わいせつ物」を売った罪で懲役10年の実刑判決。サークルメンバーも全員逮捕され懲役4年以上に(Togetter)

この件についての中国での報道はコチラ(中国語)などをご参照ください。
教えていただいた話や報道によると、
「オリジナルBL同人誌(?)7000冊余りをネット経由で販売し、15万元(約245万円)の利益を得た」
「BL小説の同人誌が話題になり過ぎて売れ過ぎて、注目があつまったことからわいせつ物判定や捜査の手が入り、サークル関係者(?)が逮捕され、それぞれに対して10年6ヶ月の懲役と罰金が2人、懲役2年6ヶ月が1人、懲役4年と罰金が1人、懲役10ヶ月と罰金が1人という判決が出た」
といった事件のようです。

中国ではわいせつ物に関しては営利目的で制作や販売やらをしてしまうと悪質かどうか関係無くそれだけでアウトになってしまいますし、立件の数量基準もかなり厳しい(エロ動画ディスク等なら50〜100以上、販売はこの倍)です。
今ではもうあまり見かけなくなった存在ですが、中国の海賊版業者やその売り子がAVの海賊版を売る場合、普通のPCソフトや動画の海賊版に比べてかなり警戒して売っていたなんて話も聞きますね。

また司法解釈によると悪質判定になる基準については、制作では映像ディスクやソフト、ビデオテープは250から500以上、音声ディスクやテープは500から1000以上、書籍や画集やエロトランプは500から1000以上、写真は2500枚から5000枚以上(販売はこれらの倍)、利益に関しては3万元から5万元で悪質だと判定される規定がありますから、今回の件のようにわいせつ物判定が出た出版物の制作、販売で7000冊以上で15万元以上というのは悪質だと判定されてしまったのでしょうかね。

ただそれでも上限いっぱいの懲役10年というのは見せしめ的な意義を考えても厳しいような気もしますが、どうなんでしょうね。こっちの方の判例に詳しい方いらっしゃいましたら教えてください。

とりあえず以下に中国のソッチ系のサイトで行われていたこの件に関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


BL同人誌書いて売ったら懲役10年、なんでこんなことに……

あの件の判決出たのか……しかし10年っておかしいよ。
さすがに控訴はしているだろうけど、ここから軽くなるなんてことあるの?

彼女がきちんとした手続きを経ないで自分で出版したからここまで大きな罪になってしまった。

手続きしてもダメでしょ。今回は流れ的にわいせつ判定からの逮捕だから。

我が国ではBLは普通にポルノ枠。過去にはBL小説サイトの管理者が捕まった事件も普通にあった。今回は本の制作販売だから、ある意味では昔からあった形の罪とも言えるのかな。

ウチの国ではBLとかも全部ポルノ枠に入れて処理だからね。
外国のようにエロは18禁で区別して、BLは一般向けで扱う形ではない。

さすがに他の国でもハードなのは成人向けで分けられているよ。
例えば日本でもBLで18禁の扱いはある。ただ書籍の扱いでも男性向け18禁とは扱いが違うというか、普通の本に混ぜて売っている印象はあるかな。日本の書店は一般向けの売り場でも本棚を移動するごとに段々と過激なジャンルやレーベルになるのは面白かったけど。

自分で出版して15万元ってことは、彼女の本を買った人間がモノスゴイ多かったということでもある。この件については本を出し過ぎたとしか言えないかなあ……

報道によると7000冊以上売ったとあるね。
自分はこういうの詳しくないけど、これって国内の同人市場どころか日本の同人市場で考えても上の方の数字になるんじゃないか?

それにしたって量刑が重すぎる。

強姦でも10年いかないのに!!

書き手の人やその周囲は皆この件について話しているよ。
自分は彼女の作品の読者じゃないけど、この件については非常にやるせない気持ちだ。

本当に恐ろしい、こういうことでもこんな判決になってしまうなんて。
これじゃあ今後「肉」のあるBL小説が読めなくなってしまう。

書き手がどんどん息をしなくなっていく。もうこの世界に安らぎは無いのだろうか。

量刑について重いのは確かだけど悪質に取れる部分が多いのもね……財産没収が入る特別に悪質というほどではないかもしれないが、制作に加えて販売、書籍コード無しの違法出版で、当然税金も納めていない。

エロイ作品書くのは問題無いが、それで金を稼ごうとしてはダメなんだよ。捕まってしまう。
それを知った人間、見た人間からも通報が入る。

ちょっと聞きたいんだけど、私達は日頃から合体シーンのある耽美小説読んだり書いたりしているわけだけど、これもダメなの?
例えば私が読んでいるのは別に営利目的では無い一般向けで、たまに合体とか「肉」なエピソードが入るくらいなんだけど。

わいせつ物の判定受けたら営利目的じゃなくてもアウトだよ。

ポルノ関係の基準はその時その時の判断としか言えない。あと立件まで行くのは珍しいとも言えるが、広めた規模が数百人でアウトになったはずだから、厳格に考えると危ないのは確か。

濡れ場がある作品で一般向けって言い張るのは無理じゃないかい?

この件は営利目的でポルノ制作、販売をやってしまったという案件になるから、手続きに乗ってしまうともうダメなパターン。
例えばBLサイトの運営で儲けが出ていたらアウトだけど、ネットで広めるだけで利益を得ていないなら、悪質なもの(影響が大きいとか)でなければ実際の所は立件までにはなかなかならない。

捕まって罰せられること自体はみんな分からなくもないんだよ、ウチの国だから。
でもいくらウチの国でも懲役10年の判決が出るのは予想外。皆が驚いているのはそこ。

違法に印刷出版して、売った分だけで7000冊以上だからなあ。
未成年の保護者からの通報だったという噂も聞く。あと又聞きだからどこまで本当かは分からないが、態度や対応も悪かったみたいな話や、家族が弁護士呼んでくれなかったからなんて話も聞こえてくる。

未成年の親からの通報って……ガキがネットを使うからこんなことになる。
そもそも、ネットには違法サイトのエロ広告や、エロ本データが溢れているのになぜこの本と作者が……

言ってはなんだが、話題になってベストセラー的に売れちゃったからだろう。
目立つ所を捕まえで処罰するのもこの国のやり方だ。

何年ぶち込まれるかの基準は金額。
ここまで判決が重くなった原因は金額の大きさだ。

15万元で10年は無いだろ。
ファン・ビンビンは9億であれだぞ。

金額や数量、併合罪や見せしめとかで考えていくと懲役10年ということにできなくはないが、普通はここまでにはならないように思う。
やはり弁護士の有無とか、捕まる或いは捕まってからの過程で何かしらあったんじゃないか。

脱税9億でも懲役を食らわない人間がいると思えば、15万で懲役10年になる人間もいる。

この事件は色んな意味で、小人の悲哀に溢れている……

大きく扱わなければならないことを小さく扱い、小さく扱えばいいことを大事にして扱う。これが国の特徴というやつだ。

マジメな話で言えば、利益部分よりも数の部分がマズイんじゃないかと思う。
実本で7000冊はかなりの規模と判定されるはず。

こういうのって影響する範囲が広いから、単純に何を売った買ったという話にはならないんだよね。厳しい判断する際の根拠にも事欠かない。

元々こういう内容のものは大っぴらに扱うものじゃない。日本でもモザイクや消し無しの薄い本を売ってはダメだ。
ウチの国では表面上全部アウトだが裏ではゾーニングもレーティングも無しに出回っているから、外国から見るとウチの国のエロ管理は緩すぎるという判断になったりもする。

それは理解できるが、問題は今の時代にそれで懲役10年という問題だ。
この件の法律って1998年のものだろう?なぜそんな昔の法律で今の時代の問題を裁こうとするのか!!

どこの国も法律はそんなもんだよ。それにこの件はネット経由ではあるが出版という比較的古いメディアだから判例もあってね……
あとウチの国の法律は世界的に見ても比較的新しいんだよ。運用した結果がコレだけどさ。

このニュースを受け入れられず、ずっとモヤモヤした気分が続いている
彼女が犯罪になることをやってしまったのは確かだが、それが懲役10年になるほどのものだというのか!?彼女の生涯を壊すほどのものなのか!?
二審で軽くなることを祈らざるを得ない。

こういう濡れ場のある小説はもう台湾のサイトとかでやるしかないな。
大陸で実本作って売ったら捕まるのはハッキリしていたのだから、国を恨んではならない。私も量刑が一番重い基準になったのには納得がいかないけれど。

台湾だと規制のやり方に加えて、18歳未満閲覧禁止とかである程度住み分けがあるからね。不便さはあるが安全もある。

実際、台湾で本作っている作者も多いはず。そしてその本をこっちのネットショップでこっそり売っている。

そういうやり方も、これ以降は難しくなりそう。
大陸の方でやるには大陸のプラットフォームを使うことになるし。

小規模なら大丈夫かもしれないが、たくさん売りたいとなるとね……

趣味での範囲から、これで食っていくみたいな話になるとリスク高いよ。

それにしても10年か……「よく知らなかった」で済む話ではないけど……この量刑じゃ更生の機会も無い。

weiboで作者の過去の発言を見ると何とも悲しくなる。
育ったのはあまり良い環境ではなかったようで、早くから働いて家に金を入れなければならず工場でくたくたになる日々。そんな中30歳を超えて、この創作活動でようやく光が見えてきた所だった。
原稿料で生活に余裕が出てネットの交流で自分の家庭環境の問題に気付き、実家から離れようとしていた中での逮捕だ。

見方を変えると、めぐまれない女性が自分の腕ではい上がっていこうとする、もう少しではい上がっていけたはずの所での悲劇だ。

耽美小説は個人のセンスや才能で成功できる分野でもあるからね。
ウチの国だと一般向けのネット小説は文章量や更新速度、営業活動の関係でもう個人作家が入って成功できる分野じゃなくなっているが、こっちではまだ個人の力で爆発できる。そういった夢も消えてしまったということなのかな。

とても気分が重たい。
この事件の判決だけでなく、この事件を通じて私達の国で出版が自由に出来ず出版コードも政府に管理されていることを知ってしまった。
私は祖国を愛しているが、私が世界を甘く見ていたことも痛感する。眠れないほど辛い現実を今更ながらに知ってしまった。

ああ、また我が国では文字の獄が。



とまぁ、こんな感じで。
この件については判決が重すぎるという見方が多いようです。

中国では過去にもBL小説関係の逮捕者が出ていますし、男性向けのネット小説での逮捕者も出ているそうですから逮捕者が出ること自体についてはそこまで衝撃的ではないのかもしれません。
中国の鄭州でBL小説サイトが摘発され関係者が大量に逮捕される
中国ではBL小説も「わいせつ物伝播罪」で捕まります

この件について教えて下さった方からは
「今回の件はネット小説サイト関係では無く、自分で作ったBL同人誌を大量に売って捕まったというのが古いようで新しいケースに思えます」
という話も教えていただきましたし、中国での創作活動の難しさを改めて考えてしまいます。


とりあえず、こんな所で。
今回の件については私もちょっと把握しきれていないので、いつも以上にツッコミ&情報提供お待ちしております。