年の瀬のゴタゴタガ続いておりますので、今回はありがたいことに以前教えていただいたネタで一つ。

近頃は日本のネット小説出身の作品が中国オタク界隈でもかなり認識されるようになっていますし、そこから
「最近の日本の作品のお約束展開」
といったようなネタが形成されたり、日本のネット小説の定番要素に関する考察が行われたりもしているようです。
例えば「異世界トリップ」などは中国のネット小説でも大きなジャンルとなっていることから、イロイロと語ったりしやすいのだとか。

そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「日本の作品で異世界召喚、転生に反発したり恨んだりする主人公はいるのか?」
などといったことに関するやり取りを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


最近の異世界召喚モノで召喚に対して強烈に反発する主人公っているの?
自分が見たのはどれも異世界受け入れてるのばかりだ。

一時的に怒るとか不満を訴えるとかではなく、反発したり恨んでそれが行動方針に影響するとかか……うーん、確かに大体はいつの間にか異世界生活エンジョイしてるよなあ。

大体どのキャラでも異世界召喚直後は突然のことに怒ったり文句言ったりはするが、それで終わり。
昔は異世界召喚に納得できず、元の世界に戻ろうとするのが普通の流れだったが最近は異世界召喚そのものに対してはそこまで気にしないというかすぐに受け入れちゃうよね。

「帰れない」という事実を突きつけられてもあまり気にされていない!

主人公がずっと恨みを抱いているのは少ないんじゃないかな。敵やライバルにはそこそこいると思うが。

巻き込まれ系なのもあるだろうが「ログ・ホライズン」には異世界に放り込まれたことに対する恨みを持っているキャラがいた。主人公枠にはいなかったけど。

サブキャラにはいても、主人公に関しては確かにいないかもしれん。自分もすぐには思い付かない……

「勇者召喚」とか言うお題目だけどやってることは誘拐や人身売買の類だから恨むのは当然だと思う。
召喚される人間が一人出る度に現実世界では家庭が壊れたりする悲劇が発生するわけで。

日本の作品で異世界召喚じゃなくて異世界転生が目に付くのは「現実に帰れない」ことを納得させるための物でもあるんじゃないかな。

その手の恨みと復讐に焦点を当てて主人公の非道を正当化するタイプはweb版だけならそこそこあったように思う。
ただあまり過激なことやると商業的に難しいのか、商業小説や漫画になるのは少ない気がする。

ネット小説のテーマとしては復讐系としてわりと存在感のあるジャンルだよ。
ただアニメ化まで行くのは珍しいような気もする。商業化作品もあるはずなんだけどね。

勝手な召喚が理由の「復讐系」的な作品、異世界召喚や転生を冷笑するのは日本でもあるにはある。ウチの国と同じようなノリでね。
ただこの手の作品ってネガティブ過ぎたり、復讐の過程で残酷になり過ぎる傾向があるからアニメにして広い範囲に売る作品には向いてないのかもな。

そこそこ知られている作品で思い付くのは……「二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む」は召喚に対する恨みはあるけど、それは裏切られての物だからなあ。ちょっと違うか。

今度アニメになる「盾の勇者の成り上がり」はどうだ?

あれは確かに召喚に文句言うけど、主な原因は召喚後の扱いの悪さ、仲間の裏切りや冤罪による迫害じゃなかったっけ?

「盾の勇者」はちょっと迷う所だな。
自分達の世界のために好き勝手に異世界の人間を召喚することに対する批判や、主人公自身が元の世界に戻りたいという発言はあったはずだが……

「盾の勇者」は異世界への不本意な召喚という扱いは常にあったはず。
ただ恨みや復讐が色んな所に向かうから召喚そのものに対してはヤヤコシイな。自分が元の世界に戻った後の仲間のことまで気にしていたし、召喚を受け入れて現地で好き勝手やるのとは違うんだが。

「四度目は嫌な死属性魔術師」も恨みつらみが動機だと思うけど、どうだろう。

確かにそうだが、似ているようでちょっと違う気もする。
転生を繰り返すことによる恨みの蓄積はあるけどそれは同郷の転生者の方に向かいがちだし、元の世界に帰りたい、元に戻せという要求が出てくるわけでは無いから。

「二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む」とかもそうだったけど、復讐に関しては基本的に召喚よりも、召喚後の異世界での扱いから黒くなる主人公といったケースが多いように思う。

そういうのって召喚直後の役立たず扱いか、魔王とかを倒して用済みになった後の排除が多いんじゃないか。
そこから考えると、異世界に召喚されること自体はそこまで大きな問題という扱いではないのかね。

自分が読んだ復讐系の作品だと問題解決、魔王退治とかの便利な道具として使い倒されるケースでの召喚とそれに対する反発が目的となっているキャラが目に付いた。
ただサブキャラはともかく、主人公格はそういうシステムから外れた位置に入って好き勝手やるケースが多い。召喚そのものに対する恨みがずっと続くケースは珍しいのでは。

物語的に考えるとその恨み晴らしてどうするんだ、ということになるからね。
自分を召喚した王国を全滅させるだけで満足なのか、主人公は何も得ていないじゃないかということになってしまう。

異世界召喚にしろ転生にしろ、自分を召喚した存在や組織、システムに対して反発するのは不思議じゃない。
異世界召喚に文句を言うのと俺TUEEEEEするのは別の話だから。

アニメ化まで行ったのだと「幼女戦記」は異世界転生に反発している主人公だろう。ああいう形なら主人公の行動原理と俺TUEEEEEを両立させて一般向けに出来るのでは。

昔の異世界トリップ系作品って、主人公の動機やメインストーリーの軸になるのは元の世界に戻るという話だったと思うんだが……

日本の作品は現代で中二病的活躍をしても、普通の日常を守ったりそこに戻りたがったりするのに、なぜ異世界に行くと戻る気が無くなってしまうのか。

最近の異世界って主人公に対して都合の良い環境なことが多いから……ご都合主義なスキルがもらえたりするわけだし。

最近のアニメで評判も微妙だったが「百錬の覇王と聖約の戦乙女」は現実世界への帰還が目的ではあった。アニメ見てるとあんまり意識できなかったけど!

多くのトリップ系作品では個人や仲間経由で強さも権力も魔法力も兵力も手に入るからそりゃ恨みとかは消えるし、難度高い世界でもそういった能力で対処しないといけない存在が出るから、最初の召喚に対する恨みなんか抱いていられない!

現実世界で成功している人間が異世界トリップすることは無いからだ。
トリップするのは基本的に現実世界の負け組だから帰還する必要性が無いし、恨みについても持続はしない。

自分を愛してくれる両親がいて、異世界の待遇がハードモードで、自分自身に特別な能力も無ければ現実世界に帰りたくはなるだろうけど……

中二病系の思考だとそれでも異世界に滞在する方を選びそう。
いやでも、能力無いならやはり帰る方に意識が行くか?

ファンタジー世界に行けたとしても、その世界における底辺、一般人レベルしかやれない、才能も鍛錬方法も無いとかだったら恨むだろ。

上の方でも出ているが、死んで転生、事故で転生させて「帰る場所が無い」という設定にしてしまうのもよくあるやり方だからね。そうなると召喚に対する恨みを強くする、維持する必然性も薄れる。
あとは主人公にとって現実世界の方が不幸というケースかな。人生の負け犬とかブラック企業勤務とか。

召喚に対する恨みの持続や蓄積については使える能力を持っているか、それがその世界でどの程度強いのかというのもあるんじゃないか。
昔の作品は特別な、それこそ世界で好き勝手出来るような能力はもらえない、苦労するのが主流だった。

言ってみれば、主人公補正がついてないならどうやっても召喚に対する恨みつらみは出るだろう!

主人公補正にもイロイロとあるんだが。
正直、「十二国記」みたいなのはちょっと厳しいなあ……

「今、そこにいる僕」みたいな異世界トリップ主人公補正もあるぞ!

最近はすっ飛ばされていることが多いけど、俺TUEEEEE系トリップ作品でも初期は反発したり帰りたがったりする流れが定番だったように思う。
例えば「ゼロの使い魔」でもそうだった。

今の時代も召喚に対する反発や恨み、絶望みたいな描写はあるけど、どれも短くて後に引きずらないようになっているのでは。
召喚以外の、自分が死んで転生する事態でも軽く流せるようなキャラや背景設定になっていたりもするし。

読者が求めているのはグダグダと嘆いたり悩んだりする所じゃないからな。

復讐を動機にする場合は根拠として、召喚されたことを恨む部分がそれなりに長く描写されると思う。
ただ結局は行動する方を求められるし、その結果として美女や財産ゲットするから恨みも復讐も薄れやすい。

ずっと元の世界への帰還を目標にした作品もあることはあるけど、今の時代の読者は現実よりも異世界での生活だろうし、共感が得られないのだろう。

召喚されたこと自体への恨みを無視するわけではないのだろうけど、今の作品の流行においては単なる舞台装置と化しているんじゃないかね。
いかにして活躍の場面、爽快感を得られる場面に素早く、引っ掛かりなく到達するかというのがネット小説の人気獲得で一番重要なわけだから。



とまぁ、こんな感じで。
イロイロと考察が行われていました。
最近はマンガ化されたネット小説出身の作品は中国オタク界隈でもそれなりに認識されているようですし、分析材料も増えているとかなんとか。

またそういった作品経由で中国オタク界隈における
「日本のネット小説のお約束」
に関するイメージのようなものが形成されていくのは興味深い所ですね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。