有難いことにネタのタレコミと質問をいただきましたので今回はそれについてを。
ここ最近の新作アニメでは
「転生したらスライムだった件」「盾の勇者の成り上がり」
といった異世界召喚的な要素を持った作品が中国オタク界隈でも人気になっていますし、そこから日本の作品における異世界召喚ネタのお約束に関する考察が行われたりもしている模様です。

中国のソッチ系のサイトではそういったネタの一つとして
「なぜ異世界召喚されるのは普通やそれ以下の能力の人間ばかりなのか」
といったことなどに関するやり取りが行われていましたので、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


アニメも増えてきた異世界召喚系の作品だけど、なぜ異世界召喚されるのは普通やそれ以下の能力のばかりなんだろうな。
英雄とまでは行かなくとも、現実社会で優秀な人間、何らかの熟練者やスキル持ちを呼べばいいのにと思ってしまう。

同感だ。
別の世界から勇者召喚しなければならない状況なのだから、条件の許す限りできるだけ強い人間を召喚した方が良いのにとは思う。

普通の人間じゃないと作者が書き難いってのもあるだろう。
中途半端な専門描写はツッコミを招き作品評価を落とすことになる。

召喚されるような人間は既に普通の人間ではない、そこに特殊能力までつけるとコストが跳ね上がるんだよ!

つじつま合わせ的にちょっと考えてみたが……大体の作品は自分の世界で人材育成できないから外の世界に丸投げするわけだが、呼んでくるだけで条件絞って呼ぶみたいなことはできないケースが多い。そうなると、普通の人間が選ばれる可能性が上がる。
まぁ能力とか性格とか色んな意味で普通じゃないのも多いけどね。

他の世界の人間レベルの技術や知識で問題解決できるかも怪しいから、ファンタジーな不思議パワーの有無に焦点をおいて選ぶのもしょうがない。

精神的にヤバイものを抱えている強者を呼ぶとそれはまた別の問題を発生させることになる。
それに召喚する側が善良でないことも多いから、強過ぎる召喚対象というのは扱いに困る。呼ぶ側にとっても、話を書く側にとってもね!

異世界召喚とかソシャゲのガチャみたいなもんだから。
その世界で発生している問題、魔王を倒すとかに必要とされる、使える能力を持っているのが当たり。現実世界の熟達したスキルについては評価基準やレア度にあまり関係ない。

英雄ばかり呼んだらどうなるかについては「ドリフターズ」を見てみよう。

主流ではないし、異世界とのゲート開いちゃった系の作品が多くなるが軍隊召喚とか軍人召喚もスキル持ちだよね。

優秀=世界を救うのに役立ってくれるわけじゃないし、頭が良すぎるとコントロールできないからね……
むしろ能力よりも「良いことをしている」と考えて働いてくれて感謝とともに送り返して終わりにできそうな性格、雷峰みたいなの狙うのが良いんでないかね。
(訳注:雷峰は中国の有名な模範兵士で、若くして殉職したもののその奉仕精神が高く評価され、「雷峰に学べ」というキャンペーンなどが中国社会や学校教育で行われています)

最初から強キャラを召喚するか、召喚する過程で強化するか、召喚した後に鍛えるか、どれも書き方次第ではあるが……

最初から魔法チート持ちを召喚した「異世界魔法は遅れてる!」だっけ、あれも結局やることはそんなに変わらんし、先に持っているか後付けするかの違いでしかないという見方もできるかな。

専門的なスキルの有無は作品の良さに直接関係するわけじゃないからね。設定の面白さやキャラ造形の説得力には関係するかもしれないが、面白さに関係するとは限らない。
転生する際に神様からチートスキルをもらっても、前世で鍛錬していてその道の達人になっていても、異世界に持ち込んで使う以上使われ方や価値に明確な差は出ないとも言える。

現実世界ベースの能力やスキルが通用し過ぎると異世界のありがたみが薄れるし、現実世界に基づく諸々の問題も意識されるようになってしまう。
魔法などのファンタジー的な神秘っぽい何かでふわっと解決できるようにするくらいでいい。ファンタジー世界までいって現実世界の問題に対処しないといけないなら、何のためのファンタジーかということに。

そういう現実ネタを持ち込む、ツッコミ入れるのも嫌いじゃないが、そういうのはたまに出るパロディだから価値があるわけだしね……

「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」とか、ネット小説の流行以前のラノベでも召喚系で強い人材を召喚するパターンの作品はあるな。

実際の所、現実世界でどうったのかというのは本編の面白さにあんまり影響しない。どんなスキルを使ってどう活躍するかが重要。

結局は読者が普通の人間とかオタクだったりするから、感情移入しやすくするためだろう。

大体はそこに行きつくよなあ……作者も読者も一般人だからってのが大きい。商業的にも制作的にも。

専門的な職業だったりスキル持ちだったりすると、そっちの方面の知識が必要だからね。

ゲームのスキルは持っているから……
オタクの知識も持っているから……

転生前の社会経験、仕事の交際スキルや営業スキルなんかを能力扱いしていいならスキル持ちは結構多いと思うぞ。
極端な言い方すれば「自分は精神年齢的には何十歳だから〜」の中に含まれるスキルパックみたいなもんだしね。

現代社会ベースのスキルだと、制度や設備や素材が整っていない異世界でそのまま使えないことも少ない。
だから知識(ネットで調べるレベル)があって、それを現地の技術者や官僚に丸投げしていくのが定番になる。

召喚する際に余計な知識があっても困るんだよ。
召喚された状況に納得せず、交渉したりクレーバーな形の反発を始めたりして話が進まないのも困る。

そもそも、誘拐(勇者召喚)して魔王と戦わせるという展開だから、あんまり特殊で強いのは困るだろう。上のレスにもあるけど召喚した側がコントロールできる範囲じゃないといけないわけで。

話の都合と整合性で考えると「召喚された世界から帰る気が無い」という人物の方が望ましい。そうなると有能で職業経験があって特殊なスキルも持っているようなのは扱いにくい。世界観の矛盾を意識させるのも危険!

魔王倒した後の処遇をどうするんだ、みたいな話もついてまわるからな。
そっちを重視するとダークな復讐系になりがち。

有能な人間=現実世界でも活躍しているということになる。不遇をかこっているにしても、現実世界での逆転や復讐を望んでいない理由やキャラ付けが欲しくなる。

そこは転生で死んだ設定にすれば何とかなるような気もする。
ただあっさり異世界の生活に切り替えるような性格のキャラにする必要も出るかな?

強いヤツがなんで簡単に召喚に応じるのか、従うのか、大した代価無しで働くのか。

召喚だけが意識されがちだが、召喚と契約(交渉にしろ支配にしろ)を成功させないといけないからね。雇用契約の条件を細部まで詰めるような実務経験者が来るとめんどくさいだろう。一発ネタなら面白いが。

「勇者互助組合 交流型掲示板」だったかな。常にというわけではないが、そういう設定にツッコミ入れまくってネタにしている作品はそれなりに出ている。

召喚側の優位さと武力をちらつかせる状況で押し流すようにしている作品も多いけど、そうなると運用効率や造反の問題も……

サーヴァントの召喚を考えてみると分かりやすい。
強いのを召喚するとコントロールできない。それどころかオジマンディアスなんかを召喚したらマスターが怒りの対象になって即殺されるし、金ぴかを召喚しても愉悦される。

世界の法則や条件が同じとは限らないし、片方の世界で成功した人間がもう片方の世界でも成功するツワモノだとは限らない。
経験が邪魔をするという可能性すらあり得るし、一般人を召喚して適応させていくのも悪いわけではない。

現実世界に縛られ過ぎるとつまらないしね。
そういう意味でも一般人を放り込んでその世界で好き勝手してルールを破る、或いは作らせる方が楽しくなる。

うーむ……読者が普通の人間やキモオタだからだろとか思っていたが、説得力の問題も考えられるわけか……興味深い流れだ。

いや、そういう部分も間違いなくあると思うよ。一昔前のハーレム系作品の主人公が特別なものが無い普通の人間なのに「やさしい」だけでヒロインにもてていたようにね。
またそういう主人公は今ではあまり受け入れられていないし、見る側の変化や、どういう設定や展開だと爽快な気持ちで見ていられるのかといった方面に関して分析するのも面白いぞ。



とまぁ、こんな感じで。
定番の世界観だけでなく、異世界ネタを活用した作品の構造についての考察なども出ていました。
それにしても最近はアニメに加えてマンガ経由でもその手の作品が入っていることから、随分とイロイロな作品の名前が考察の材料として挙がるようになっているような……

中国オタク界隈にはこれまでも様々な「オタク向けコンテンツのお約束的展開」が入り、分析され現地のネタ化されてきていますし、最近増えている日本のネット小説出身の作品特有のお約束的展開が、今後中国オタク界隈でどのように受け止められていくかというのは興味深い所ですね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。