ありがたいことにネタのタレコミをいただきましたので今回はそれについてを。

日本のアニメやマンガが中国に本格的に入るようになったのは90年代頃からですが、その当時の人気作品や「扱いやすい作品」を中心に入ったこともあってか、それ以前の、特に80年代より前のマンガなどは中国オタク界隈でもあまり知られていないという話です。

またそういった作品は中国語化されることも少ない上に、なかなか目にする機会はなく、作品周辺の情報は多いものの中身に関して語られることは少ない「古典」扱いとなっているのだとか。

しかし最近はアニメの方でそのような「古典」が原作となったリメイク作品も目に付くようになっていることもあってか、マニア寄りの層を中心に日本の昔の有名なマンガに手を出す人も出ているのだとか。

中国のソッチ系のサイトではそういった作品の一つとして
「火の鳥」

に関するやり取りが行われていましたので、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


手塚治虫の「火の鳥」について語ろう。
これまでなんとなく後回しにしていたが、読んでみたらまさに神作だった……!

神作という評価には同意せざるを得ない。
文明や宗教といったマクロな方面と人間の生というミクロな方面の内容を同時に、それもマンガと言う表現メディアで描いているんだからねえ

哲学的思考をマンガできっちり描写して読ませてくるのは予想外だった。読む前はもっとこう、薄くて軽い内容だと思っていたんだが、不意の大ダメージで大変なことになった!!

厳粛なテーマだけど面白いストーリーで通俗的なのがトンデモナイ作品だと思う。

唯一残念なのは未完で終わってしまった所だね。
読み終わってから、数十年前の手塚治虫にもっと長生きして予定されていた完結まで描き切って欲しかったと思ってしまう作品。プロットは存在したという現代編はどういうものになったのだろうか。

最終的に全ストーリーを収束させる構想があったそうだし、見てみたかったよなあ
マンガジャンルだけでなく、他のメディアの文芸作品と並べても全く遜色ないレベルの作品だよね。

トンデモな展開も多いけど、いわゆる電波系とは違う。
重厚なストーリーと表現力で描写される人間の生命と愛、宗教や魂、宇宙といった概念を描いていく叙事詩とも言える作品だ。
いつのまにか引き込まれる。

読み終わるとしばらく他の作品が浅く見えてしまうのには困った。
逆に萌えや日常系作品みたいな作品の方が気楽に見れたせいで、今では萌えも大好物です。
そしてその後に知る、手塚治虫が二次元萌えネタに関しても時代を先取りしまくっていたという事実……

「火の鳥」を読んでいても、作者がわりと性癖こじらせている印象は受けたかな!

読むなら中国国内版はオススメしない。
内容が削除されているから。

火の鳥は削除されるのも無理はないというか、子供向けではない部分多いというのを感じる。
名作ではあるんだけど、単純にエログロ的な部分も多い。そしてストーリーは鬱……とまではいかないが容赦ないし、子供が読んだらトラウマになるわ。

それがなあ……日本の学校の図書室には大体「火の鳥」が完備されていて、日本人には小学生の時に初めて読んだみたいな人間が少なくないらしいぞ。
この話を聞いた時、そりゃ日本では色んなマンガが出てくるわけだと思ったね。

日本では文化的な評価が高いのかもしれんが……良いのか……?

時代の関係でしょうがない話だけど、引っかかるのはやはり絵柄かな。
パッと見ではどうしても古い、子供向けっぽい絵柄に見えてしまうからまずそこがハードルになる。

そこは確かにあるかなあ……時代が違うだけなんだが。
ただストーリーはハッキリと時代を超えているレベルだし、絵柄にある程度慣れればマンガというメディアの凄さを体験できるんだよね。

火の鳥を読むと手塚治虫がなぜ「漫画の神様」と言われていたかが納得できるよ。
いや、実は私自身この作品を読むまで昔評価されて伝説になっているだけで、今の時代に読んでも歴史的な意義くらいしか無いだろうと思っていてね……

分かるよ。
私も手塚治虫の評価ってマンガの「創始者」だからという部分が大きいと思っていた。実際に火の鳥とかを読んでようやく影響力、衝撃力というのが理解できた。

手塚治虫をこっちで分かりやすく例えるなら「マンガ界の金庸」といった所だろうか?
その後の作品への大きな影響や現在でもふとした時に意識される先進性など、イメージに関して重なる所があるように思う。

手塚治虫は凄すぎる。現在のマンガ家はみんな手塚治虫の後追いで、その影にすらたどり着いていない。
彼の創作活動はまさに一生涯続いたものであり、無数の神作を生み出した。それらの作品のどれをとっても今いるその辺の漫画家なんかでは敵わないものだ。「火の鳥」はそんな手塚治虫の明作の更に頂点クラスの作品だな。

いや、その評価はちょっと違うと思う。
手塚治虫は作品の当たり外れも激しい。名作神作もあれば明らかに失敗した作品もある。もちろんそれで作家としての評価が下がるわけではないけどね。

手塚治虫は次々と出てくる新しい才能に嫉妬して喚き散らしたり大人げない言動をしたりなんて伝説もたくさんあるよ。
石ノ森章太郎や大友克洋に対してやらかした話なんかが有名。ただ真正面からその嫉妬した相手を上回ろうとして失敗するものの、結果的に名作を生み出しているのはさすがとしか言いようがない。
例えば「どろろ」は水木しげるに嫉妬した結果生み出された作品だからな。

私は手塚治虫がスゴイのは様々なジャンルに手を出して、大量の作品を生み出し続けて現代に続く日本の漫画界を構築した所だと思う。
限られた数の神作を作るのではなく、大量に消費される「読める」レベルの作品と結構な数の後世に影響を及ぼす名作、そして「火の鳥」のような歴史に残る神作が手塚治虫によって生み出されたというのがトンデモナイ。

私は「どろろ」を先に読んでいたからアイデアはスゴイけど現代では……くらいのイメージだったな。しかし「火の鳥」は現代でも十分以上に通用するわ。

手塚治虫は外した作品も結構あるからね。
だが人気が低迷して時代遅れの作家になったとされた後に「ブラックジャック」で復活したりするなど、死ぬまで新作新ジャンルの作品を描いていたりするのもスゴイ。

「火の鳥」は昔アニメで見た時にはなんとなく「スゴイ作品」くらいに感じていたが、その後マンガの方を読んでトンデモナイ作品だと痛感した。
絵柄とか内容的なハードルは高いけど、二次元ジャンルを楽しむならぜひ読んで欲しいと思う作品だよ。

自分が昔見たアニメ版(宇宙編だったはず)はなんかホラーっぽくて怖く感じた印象がある。
その後マンガ版で読んだらかなり印象が違った。マンガ版の方がストーリーが把握できていいね。

未来編の人間模様や人類絶滅からのナメクジとかよくあの時代に、それもマンガで描いたもんだよなあ……

火の鳥を読むとストーリーが強く刻み込まれると同時に、これまで見た作品への影響が思い浮かぶんだよね。

今見ても古さを感じない所か新しさを感じるネタが豊富にあるし、ストーリーの構造や伏線の回収も見事。
一つのエピソードが別のエピソードにつながったりする展開も多いが、現在のループ系作品とはまたちょっと違うつながり方なのが逆に新鮮に感じたりもしたな。

ループだけでなく生命の輪廻も絡む独特なストーリーだからね。
最近のループ系作品と比べて、随分と心に刻まれる作品だ。

こっちの人間が見てすぐ影響が分かるのは復活編だと思う。「沙耶の唄」の元ネタ。
人が化け物に見える中で一人のロボットだけが美女に見える発端からロビタへ至り伏線を回収するのはスゴイ。
しかもロビタの初登場は最初の方に発表された未来編だ!

影響という点に関してはちょっと分からないが、火の鳥を読むと日本の作品における「永遠の命」に対するネガティブな捉え方の理由が分かる。
こんな目に遭うんなら永遠の命はキツイな!

牧村とかへの罰は分からんでもないが、猿田とその子孫への罰は重すぎないか?
しかも根本的原因は火の鳥だし。

直接的に火の鳥を殺して不老不死を手に入れようとする人間はやらかし過ぎているから分からなくもないが、その周辺の被害までトンデモナイことになるよね。

そして永遠に生きることの苦難をこれでもかと描写する……!

最後の太陽編を除くと比較的良い終わり方なのは……ハッピーではないけどビターくらいなのは生命編かな。クローン人間の。

異形編も短編として見たら綺麗に終わっている。
でも火の鳥に関ると本当にロクな目に遭わんな……

あの作品の世界観では永遠の命と永遠の苦難がセットだからな!

でも永遠の命を持ってる火の鳥の上から目線はちょっと楽しそう。

あの鳥、愉悦大好きっぽいよね。

まさか愉悦の源流までも手塚治虫が……!?



とまぁ、こんな感じで。
読んでみて衝撃を受けた人も少なくないようでした。

中国オタク界隈でも「火の鳥」に関する知名度はわりと高いそうなのですが、実際に読むとなるとイロイロとハードルが高いそうです。
ただ近頃は「どろろ」のアニメがマニア層を中心に評価されているそうで、その流れから改めて手塚治虫に注目が集まり、手塚治虫作品に手を出す人も出ているとかなんとか。

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。