ありがたいことに前回の記事に続いて言葉関係のネタを教えていただいたので、今回はそれについてを。

中国オタク界隈には日本語のできる中国オタクの人が少なくありませんし、最近は機械翻訳も進歩していることから作品やキャラクターに関して、日本語原文ベースでの考察が行われることが一昔前に比べてかなり増えているそうです。

しかし日本語関連の考察を始めると、今度は日本語の部分に関する疑問が出てきてそれが話題になったりすることもあるのだとか。

そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「俺、私、僕の使い方の違い」
などに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


男が使う俺や私や僕の使い方、語感の違いを教えてくれないか?
一人称として使う分には問題無いが、使い分けが分からないし、創作のキャラや歌詞でその一人称が使われる意図がどうも分からなくてね……

どっちも中国語に翻訳すると「我」でいい範囲だからな……

私は汎用性が高いのと、丁寧な言葉遣い、場合によっては距離をとって付き合うような感じかな。男でも普通に使う。

日本語の一人称は翻訳するとみんな「我」で済ませちゃうような傾向があるし、実際「我」で訳すのが無難な場面が多いから語感の把握ってわりと難しいかも。

「私」と「僕」は語感的に重なる部分もあるから難しいな……
「俺」までいけば乱暴な語感になるし、中国語だと「吾輩」とか説明できるんだが。

いや、「俺」を「吾輩」と訳すべきではない場面も多い。男性が一般的に使う一人称、比較的男らしい一人称的な語感もある。どちらかと言えば「俺」も中国語だと「我」の範囲内であることが多い。
あとヤヤコシイことに、日本語にも「吾輩」「我輩」という一人称があって、これは時代がかかった尊大な一人称という扱いになる。

昔どっかの字幕で日本語の「我輩」をそのまま「吾輩」にしていたが、あれは誤訳とまではいかないが引っかかる訳だったわ。

そうそう、日本語の「俺」はちょっと乱暴或いはくだけた「我」レベル。
そして「俺」と「私」の差は、「僕」と「私」に比べて大きい。

特殊なのもあるけど、そういう翻訳をするとそれはそれで問題視されるからね。キャラを理解していないとか、正しく翻訳していないとかで。
無難な「我」にするのも分かる。

例えば「僕」は中国語だと「在下」という説明をされることもある。間違いというほどではないんだけど、それが該当するシチュエーションばかりではないから難しい。

実際はそこまでの違いはなく、中国語にすると全部「我」で良かったりするからなあ

私の経験から言わせてもらうと、そういう固定の置き換えで把握しているとやらかすぞ……

話がそれたけど、使っているキャラをイメージするのが分かりやすいかもね。
個人的な印象だと「私」は汎用、礼儀を重視して使われ、「僕」は子供、ショタに使われる傾向があるかなあ

「僕」は基本的に小さい、若い男子が使う。創作では内向的な部分のあるキャラが多いかな。
女性の場合、現実では使われないけど創作においては僕っ子ということで萌え属性になる。

「私」は男女どちらでも使える一人称、「僕」は男性だけが使う一人称。
ただ「俺」と比べて男性的ではない、中性的或いは女々しさを持った一人称でもある。

「僕」に関しては女性も使わないわけじゃないぞ。歌詞なんかでもそれなりに見かける。中性的な女の子、或いは中性的な自分をアピールしたい女が使う。

「僕」は物静かな印象の一人称であると同時に、それなりに礼儀のある一人称だ。
きちんとした場所では「俺」は好ましくないが、「僕」ならそれほど問題無い。ただ無難なのはやはり「私」だろう。

アニメやマンガだと、物静かなキャラ、冷静なキャラ、内向的なキャラとかの一人称が「僕」で、戦闘系キャラは「俺」が基本。
それから冷静なキャラでも年齢が高めになったり慇懃無礼な属性が付いてくると「私」が増えるし、「僕」はやはり子供、少年的な語感もあるね。

「僕」はショタが使う一人称だよ。
更に言えば、優しい、軟弱といった子供が使う。色んな作品のメインキャラの一人称を比較してみるとそういう傾向がハッキリと出ている。

「僕」を使うのはショタだとか少年だとかという考えはアニメやマンガの見過ぎで現実と区別がついていない。それはあくまでアニメとかのお約束であって、現実社会では「僕」は男性の一人称で子供から年寄りまで普通に使われている。

「僕」「私」についてはアニメほど極端ではないけど、現実とはある程度重なる部分はあるよ。現実であまり使われないのはジジイの使う「ワシ」とかじゃないかな。

「僕」と「俺」については、のび太が僕でジャイアンが俺だと考えれば大体は分かる。
詳しく説明するとなると難しいのは「私」かな。汎用性が高くマナーとも関連する使われ方だからアニメやマンガだけだと分かり難い。

「僕」は受け身なキャラとか落ち着いた性格のキャラも使うね。
Fateだと衛宮切嗣の一人称も「僕」だ。

キラ・ヤマトが「僕」でクルーゼが「私」とかで把握するのはどうだい?

創作だと「僕」には子供とか弱弱しいという面も確かにある。俺と僕の使い分けでキャラを表現するケースもある。俺をずっと使っていたキャラが僕を使うとか、その逆とかね。
「俺」の乱暴さや力強さと対になっている感じだろうか。

そういうので分かりやすいのだと「Gガンダム」とかだろうか。
ドモンが兄の入ったコアごとデビルガンダムを倒せと兄に言われた時、それまでずっと「俺」を使っていたドモンが嫌だ!「僕」には出来ない!と叫ぶ。

ガンダムのキャラを見ると結構分かりやすいかもね。
アムロは初代だと「僕」でZ以降は「俺」、シャアは「私」、ブライトは「俺」と「私」を使い分けている。あとカミーユも普段は「俺」で、時折「僕」を使う場面がある。

日本語の一人称なら両儀式の一人称の変化によるキャラの説明とかも……

型月は背景理解してネタにする分には良いが、普通に参考にしたらダメだろ!あそこのキャラはどれもギャップ萌え含めて属性構築するから一般的な参考にはならない。

自分がこれまで日本人と交流した経験だと、男はみんな「俺」でたまに「僕」、「私」を使っている人は珍しい。女性はみんな「私」だった。
ただ文書だと男でも「私」を使うことが多くなる。

日本語の教科書ってどれも「私」「わたし」を使うように教えて「俺」「僕」は使わない、特に「俺」はやや乱暴だから使わないようにと教えるけど、日本人の男はみんな「俺」を使っているんだよね。この一人称関連だけでなく、他にも現実の使い方と違う言葉遣いが少なくない。
そのせいで自分は日本の知り合いからは女みたいな口調の日本語だと言われて恥ずかしかった。

教科書に書いてあることも間違いじゃないよ。
友達、学生同士の付き合いでは「俺」を使うけど、仕事上の付き合いだと「俺」の頻度はかなり落ちるし、「俺」を使う人間は礼儀知らず扱いになる。
外国人の日本語だと許容されるけど、日本人同士だと小さくいないマナー違反になる。

作品の中ではキャラ付けの面が強いが、現実で考えるとシチュエーション次第だからな。日常生活で使うのか、ビジネスで使うのか、それから話す人間、話しかける人間の立場や年齢は等々。
例えば「私」は女性ではなく男性の場合、若い男性は使う習慣も機会もあまりないけど、大人になると目上の人との会話やビジネスの場などで使う機会が増えてくる。
そして「僕」は「私」ほど堅苦しいものではないけど、「俺」に比べて不躾さが無いから様々な場面で使ってもあまり問題が無い。別に子供の使う一人称ってわけではない。

日本では一人称を使い分けるからね。ただ判断に迷う時は「私」を使っておけばまず安全。

そうそう。私の今いるゼミの友達は普段は「俺」だけど、教授と話すときは「僕」、学会では「私」になる。

同意だ。
俺も日本語だと基本的に「僕」で通している。使い分けなくていいから楽。
あと英語で発表する時も内容には少々悩むが、日本語の使い分けを気にしないで良いからそういう面では気楽にやれる。

正式な場所なら礼儀正しく「私」、しっかりした相手や目上の相手には堅苦しくはないがある程度の礼儀もある「僕」、同格の場合はくだけた「俺」って感じかな。もちろん「私」や「僕」で通してもほぼ問題無い。
ところで私もちょっと聞きたいんだが、日本語の一人称の「ウチ」というのをリアルで聴いたことある人っている?あれって関西人に使う人が多いみたいな話もあるが。

どうなんだろうなあ……そう言えば、関西人は「僕」という一人称を使う男の人が結構いたように思う。方言関係の習慣や語感まではさすがに分からん。

日本語の一人称と言えば、漢字は同じでも読み方が男女やシチュエーションで変わることもあるね。
「私」を「わたし」と発音するのは男女どちらもあるけど、「あたし」と発音するのは女性だけだ。創作だと、オカマキャラも「アタシ」になる。

仕事なんかでは「私」を「わたくし」と発音して謙譲した言葉にするケースもあるね。

あれ?「わたくし」ってお嬢様キャラの言葉だけじゃないの?

なぜお嬢様専用になったのかは分からんな……想像だが礼儀を強調する、上流階級をイメージさせるといったキャラ付けで使われているんじゃないかな?
実際は、「わたくし」は「わたし」より礼儀をやや強調してはいるけど、ビジネスの場では普通に使われる。極端な敬語ってこともない。

「わたくし」はシチュエーション次第ではあるけど、男女どっちも使うよ。創作でなら、礼儀正しい部下や執事キャラも使っていたりするね。
現実ではビジネス的な場面、特に客に対応するサービスで聞くような印象があるかな。



とまぁ、こんな感じで。
創作の中における一人称によるキャラ付けや現実での使い方など、イロイロな方向の意見が出ていました。

ちなみに今回のネタを教えてくれた方によると
「現在は中国の国産作品でも、『我』以外の中国語一人称によるキャラ付けやキャラの強調を以前よりもかなり見かけるようになってきています」
とのことでした。

そう言えば、私の印象でも「我」ではなく「老子」(日本語だと「俺様」などが近いかと)などを使って傲慢さや傍若無人さを強調したキャラを見かけることなどが増えているように思えますね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。