ありがたいことにネタのタレコミをいただきましたので、今回はそれについてを。

中国ではネット小説が非常に存在感のあるメディアとなっていますし、中国オタク界隈でも中国の作品だけでなく日本の作品も含めるような形でネット小説というジャンルに関する考察の話題が盛り上がったりしているそうです。そんな中で
「ネット小説ではなかなか良いヒロイン、広い範囲で人気になるようなヒロインが生まれにくいのでは?」
といった疑問が出てちょっとした話題になったりしたそうです。

そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「現代のネット小説から魅力的なヒロインが生まれることは難しいのか」
といったことなどに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


現代のネット小説から魅力的なヒロインが生まれることはかなり難しいのではないだろうか?
理由はイロイロと考えられるが、国産のネット小説や日本産のネット小説を見てもその傾向は確かにあると思う。

無いわけじゃないんだけど、二次元系の別ジャンルと比べると明らかにヒロインの存在感が無い、記憶に残るヒロインが少ないという感じはあるかも

人気キャラの名前を挙げろ、ということならそれなりに出てくるんだけど、どれも個人体験かつきちんと追いかけたファンでないと共感できないからなー

作品の印象が薄いから余計にそう感じるのかね。
元々ネット小説自体が入れ替わりの速いジャンルだし。

問題の一つとしてヒロイン単独での魅力の描写が出来ていない、作中でそういうのが無いということが考えられる。
ネット小説に限らずヒロインの役割として主人公を引き立てるというのがあるけどネット小説は特にそれが強い。極論すれば俺TUEEEEEの演出装置。

ネット小説で重要なのは主人公の活躍の方だから。
主人公がヒロインと一緒にいてカッコ悪く見える、グダグダに見えるなら消えた方が良いとなるし、恋愛がうまくいかないとかNTRされるくらいなら不要ということにもなる。

逆にヒロインを強調するために主人公を動かすと読者からモノスゴイ批判されるしな……ヒロインが関わると脳にデバフがかかる主人公は見たくないというのも理解はできるが。

その結果が今のウチの国のネット小説の「ヒロインは不要」という風潮だし、「ヒロイン無し」ジャンルが成立している状況だろう。

この間似たようなスレ立っていてみんな色んな作品の色んなヒロインを挙げていたしスレも伸びてたけど誰もが同意するヒロインが出ない、話題が広がらなかったのが印象に残っている。

国産ネット小説でも俺が好きなヒロイン、この作品のこのヒロインがスバラシイと言っても伝わらんのよな。共感されない。

どの国でもネット小説においては主人公以外のほとんどのキャラがストーリー展開のための舞台装置みたいなもんだからな。
ヒロインも外見や背景や能力の設定は個別にあるけど、基礎部分は尽くしてくれるキャラかツンデレか或いはその両方かでテンプレっぽい印象になる。

ネット小説書いている男に恋愛経験皆無なのがだろ。

大人気のネット小説書いているのって男の作者だしな。魅力的なヒロインを出すとかちょっと要求し過ぎでは。

そんなの言い出したらアニメもマンガもエロゲも男の作者の方が人気ヒロイン出してるじゃないか。女の作者による男性向け作品は当たり外れが激しいし、恋愛関連の思想言動に共感され難いキャラになりがち。

今の環境では作者にとってヒロインを出すのと人気が出てランキングに載るようにするのを両立するのは難しくなってるんじゃないかね。
主流のウケるストーリーではなく、恋愛系の強いストーリーにするのはリスクが高いというのは分かるし。

実際、気が付いたらウチの国のネット小説って半分くらいヒロインがいないタイプになってきたような……

ネット小説って基本的には主人公が俺TUEEEEEするもので、爽快感重視で読まれるものだからね。
ヒロインの掘り下げや強調、恋愛の駆け引きやよろめきは求められていない。むしろ主人公がそれに巻き込まれてカッコ悪くなるので拒絶される。

ジャンルによってはヒロインが多い作品はある。
ただ日本のラノベほどではないかなあ。

日本のラノベ作品はなんだかんだで生産されるヒロインの平均的なレベルは高いし、それが強みになっていると思うわ。

日本のラノベは挿絵も合わせてヒロインをアピールするのが一つの戦術だからな……それが売り上げに直結するとなればそりゃ力も入る。

日本のラノベヒロインとか初見はいいけど、読み終わったらテンプレにしか感じられないのばかりだろ。全く評価に値しない。

それウチの国の作品のヒロイン事情も同時に殴っている批判では。

その背後に無数のつまらないヒロインが存在するとはいえ、日本のラノベ(ネット小説出身も含めて)は作品の看板になるヒロインを定期的に排出しているのはやはり強いと思う。
でも日本のラノベだと例えばSAOはせっかく良いヒロイン生まれたのに、NTRとか使い捨てとかで今大炎上中だからな……

最近のSAO関連のゴタゴタを見ているとヒロインに対して視聴者が求めるものや評価するものがかなり変わっているのを感じるし、それに合わせて人気ヒロインを出すのが難しいのも理解できる気がする。

SAOの原作が人気だった頃は当時のハーレムに対する反発でヒロインをメイン一人限定にしたのが、終盤が今の時代にアニメ化されたせいで反発を受けているというのが。
既に外から見ている元ファンとしては複雑な気持ちになるが、同時にちょっと面白く感じたりも。

私の想像が混じる話だけど、SAOも原作の時点ではヒロインそんなに評価高くは無かったんじゃないか?
ウチの国では正室のアスナ以外、サブヒロインの面々の人気がハッキリと確立され支持層が形成されたのはアニメでビジュアルや声がついてからのはず。これは実質ヒロインのエピソードがあって一定のファンがいたはずのシノンやユウキもだ。

それはちょっと同意したくなるな。
魅力的なヒロイン、厳密に言えば見ている側が魅力を感じて人気が出るようなヒロインを文章だけで出すのは難しい……いや、アニメで動いて版権絵も量産されるようなヒロインと同レベルの認知度を獲得するのは難しいとでも言うべきかな。

日本の作品は商業化でヒロインの魅力……うーん違うかな、影響力や訴求力が上がる。そして関連商品や関連作品、二次創作で人気が拡大する。
この部分があまり無い国産ネット小説は厳しいのかもしれない。日本のネット小説やラノベのヒロインも、主人公が俺TUEEEEEするためのツールでしないような作品は多いのだから。

最初から最後まで良いヒロインがいないというのはともかく、最初は良かったのに主人公に惚れてからはテンプレ化して魅力がなくなるみたいなのが多いのもね。
ハーレム系、ヒロインがたくさん出るのを武器にしている作品なんかはこの傾向が強くなるし、恋愛系でもこの傾向は存在する。

今のネット小説作品ってヒロインに関しても明らかに金庸から後退しているのがな……

金庸先生は同時代の日本の二次元すら超えるレベルの萌え属性を投入しまくってるから比較するのは勘弁してやれ。

今の環境だと強い女性キャラ、ヒロイン的な存在を出すと変更を要求されるんだよ。男性主人公の付属パーツ、ずっと尽くして主人公を肯定してくれる、裏切らない味方として存在するようなのを書くように言われる、作者が良いキャラを書けないというのもあるが、書かせてもらえないという事情もあるのは理解して欲しい。
(訳注:現在の中国のネット小説では課金収入を得られるアカウントまで昇進した場合、プラットフォーム側の編集が付いて指導や要求が入るとのことです)

ネット小説は人気やらランキングやらPV数やらが優先で作品の内容も当たっている作品の模倣になりがちだ。
そしてランキング上位の超一線級はヒロインの人気はあまり必要としていないし、そっちに割かれるリソースはどんどん減る。

上でも言われているがヒロインを出してその扱いを間違うと主人公の格が落ちる、爽快感が減るということになるし作品の評価が落ちて読者も怒るとハイリスクローリターンなのが……

読者の要求、市場の要求というのも影響しているのかなあ
その辺はまだ日本のネット小説の方が楽そうに見えるかな。最近の「リゼロ」とかもそうだし、炎上しているけどSAOもヒロインの扱いは作者が好き勝手やれている

それに加えてネット小説というジャンルの構造的な問題もある。
基本的には主人公視点、三人称でも主人公中心で進むからキャラの描写が難しいし、ストーリー展開も「主人公と一緒にいる」キャラばかりになるから、ヒロインやサブキャラをきっちり人気にしていくというのが難しいんだよ。
だから私は「盾の勇者」から「槍の勇者」を派生させて連載を継続させたのには感心している。

それにネット小説は文章量が多いから主人公以外の内容、ヒロインの描写や活躍も相対的に少なくなって印象も薄くなるという問題もあるね。
上の方でも言われているが、その点アニメやマンガ、旧来のラノベと比較するとキャラを強調する上でイラストの効果は大きいだろうし

長さか……長く書けるのは結局テンプレ活用できて引き延ばしもできる作品だしな。恋愛要素はそれと相性が悪い。ラブコメ系がウチの国のネット小説では絶滅危惧種だしな。

主人公以外魅力的にならないというならば、女性主人公で書けばいいのではないだろうか?

それが実際に効果的な気もするのがなんとも。
今年は「防振り」「はめふら」の女性主人公のネット小説原作アニメが続けて当たっている……

アニメやマンガの過去の人気作品を見ていくと定期的に女性主人公の需要ってのが発生しているようだし、それはそれで一つの方法なのかもね。

ネット小説って長いテキストをぶつけるのが強みになっているジャンルだから、ヒロインの魅力を簡単に見せることが出来ていない。コンテンツの量、テキストの長さ自体は作品のファンを確保するという点での強さにつながっているんだけどね。
でもことヒロインの魅力を強調するということにおいてはネット小説は何かと不向きなメディアに思えたり。

同意。私もヒロインの魅力や萌え重視というのは現在のネット小説の超長編ストーリーとは相性が悪いと思う。
キャラの印象は長さよりも印象の強さ、把握の容易さが重要になることも多々あるし、広い範囲で話題にする際にまず大量の文章を読んでから……では厳しいだろう。



とまぁ、こんな感じで。
中国のネット小説の事情も含めてイロイロな話が出ていました。

中国オタク界隈でも魅力的なヒロインの需要は十分以上にあるものの、作品の面白さや爽快感といった要素との優先順位に関してはイロイロと悩んでしまうのだとか。
このネタを教えてくれた方からも

「面白い作品で魅力的なヒロインもいるというのが理想ですが現実はなかなか上手くいきませんし、中国ではヒロインの魅力だけの作品は低く見られがちなので、作品の評価基準的に難しい空気もあります。昔よりはかなり楽な空気になってはいるのですが」

「それから現在の中国のネット小説系の作品は作品の評価にヒロインの存在がプラスになり難いのも厳しいです。萌えやエロの需要はあるのですが、それを普通の作品内でやって歓迎されるわけではありません。それに表紙のイラストだけだとやはりイメージの燃料が不足しますね……」

という話がありました。
ちなみに近頃の中国のネット小説におけるヒロイン不要の流れについては過去の記事などもよろしければご参照ください。
中国オタク「ウチの国の作品のヒロインキャラは出さない方がいいという流れはどうなんだろう」

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。