ありがたいことにネタのタレコミをいただきましたので今回はそれについてを。それと今回はかなり昔からの中国オタク事情を知っている方向けの内容になります。

中国のオタク向け国産アニメの黎明期の名作と言われることもある「十万個冷笑話」が先日上海美術電影製片廠が制作した「ひょうたん童子」(原題は「「葫芦兄弟」)の著作権侵害で訴えられた件の二審で負けて罰金などの命令が出たそうです。
中国のニュースはコチラコチラ(どちらも中国語)などをご参照ください

この「十万個冷笑話」に関しては当ブログの過去記事や昔出した書籍版でも言及したことがありますが、大雑把に説明すると様々なネタやパロディをぶち込んで下ネタも含む笑いにして劇中でツッコミを入れまくり勢い任せで突っ走るギャグ……といった内容の作品とでも言えばいいんですかね。

日本でも放映された中国国産作品にもあったような主人公がやたらとツッコミセリフをしゃべりまくるスタイルやツッコミ系のジャンルなども指す
「吐槽」
の源流という評価もあるそうですし、イロイロな意味で現在の中国オタク界隈の空気や国産アニメ作品に影響を与えた作品でもあります。

またこの作品は別名「中国版銀魂」とも言われており、ネタの扱いやツッコミスタイルに関しては「ギャグ漫画日和」や「銀魂」といった日本の作品、その作品のファンサブ翻訳や吹き替えの影響により形成されていった面もあるそうです。

ただこの「十万個冷笑話」はパクリやネタ扱いの習慣に対して日本だと明らかにアウトな使い方をする作品でもありました。
昔々日本展開の企画が持ち上がったときに絵だけでなく効果音まで含めてあまりにも元ネタをそのまま持ってきて使っていたので、日本では危な過ぎて無理だろうという判断になった……なんて話も風の噂に聞いたことがありますがどうなんでしょうね。

今回訴えられた件では「福禄篇」のエピソードで「ひょうたん童子」ネタを使たのが問題になっている模様です。(ちなみに中国語では「福禄」の発音と「葫芦兄弟」の「葫芦」の発音は四声は違うもののどちらも「fulu」になります)

これに関してはネタを教えてくれた方によると
「例えていうなら日本の作品でもよく見かけるような、おとぎ話をキャラだけその作品のキャラに入れ替えてネタにするようなのを商業作品ネタでやってしまったわけです。「ひょうたん童子」は確かに誰もが知っている古典的な名作ではありますが、最近になってまたリメイクされている商業IPですし訴えられたらもうダメなんじゃないかと思われます」
「銀魂のネタみたいにちょっと出すのではなく、一つの連続エピソードと主要キャラクターを丸々それでやってしまっているので……」

とのことでした。

とりあえず以下に中国のソッチ系のサイトで行われていたこの件に関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


「十万個冷笑話」が敗訴で罰金か。「おそ松さん」の第一話よりヒドイことをやってた気もするが、こういう形になると複雑だ。

予想外のニュースだった。
なぜ今になって問題になるのか。

訴えられたらウチの国でも普通に負ける案件だろ。
パロディでやるにしてもそのまんま過ぎたし。

こういうのを版権ゴロっていうのかね。

いやいや、これは正当な権利だぞ?

あの作品みたいに他の作品やキャラをネタにするのってリスクあるの?
同人でなきゃやれないレベルなの?

金儲けたら訴えられます。

半分同人作品みたいなノリでやってた時代ならまだしも、商業展開やって劇場版も出してソシャゲも出しての立派な商業作品だ。儲けているんだから訴えられるリスクも高まる。

金儲けしてなきゃ訴えられなかったのにな!

そりゃ賠償金のリスクは少ないだろうけど権利侵害だから訴えられるリスクは普通にあるぞ。今回の件も賠償金少ないけど訴訟に踏み切っているわけだし。

国産作品のネタ系パロディ、ツッコミで強引に笑いを取りに行くのはこの「十万個冷笑話」から始まったんだっけ?

一応その前の流れに「銀魂」、「ギャグマンガ日和」(ネタ吹き替え含む)とかもあるが、国産作品としてはこの作品から盛り上がったと見てもいいんじゃないかな。
当時は新しい笑いのネタだったし評価されていたけど、権利的にグレーどころか真っ黒でも問題視されなかった時代だという背景もあったからね。今がキチンとしているとは言えんが今よりも更に怒られるネタや素材の使い方も多かった。

楽しんでいた人、かつてハマった人達は擁護したくなる気持ちも分かるけど、昔の気質のままずっとやり続けていいものではなかったんだよ。
今の時代になったら控えなければならないものだった。

実際、近頃のソシャゲのキャラでまた持ち出したのが引き金になったという説もあるからな。「ひょうたん童子」に関しては別のゲームがパクリキャラで訴えられて同じく負けたこともあるわけだし。

日本の作品のネタ扱い、パロディに関してもほとんどは黙認されているだけだ。「ニャル子さん」みたいなのは抗議されないだけ。

私はこれって作品一つだけだし「おそ松さん」よりマシだと思うんだが、こんなのまで訴えられるなんて……

だから日本でも問題になったし消されたんだよ。あと日本の作品は単発ネタなのも許容されるための方便っぽい感じだね。それで全部やっちゃダメだと。
「おそ松さん」もパロ連発してはいるたけど、実は一つの作品に関して扱う時間やネタの量は少ない。

日本だと厳密にやれば問題にすることができるけど、大体は引用の範囲内というかメインの内容ではないとか、明らかにそのまま使っているからではないから見逃しておこうかというのが多い。

「銀魂」のガンダムネタとか言い訳出来ない気がするが

だからあんまりやり過ぎると怒られて商品化できなくなったり配信できなくなったりするんだよ。上でも言われている「おそ松さん」の幻となった第一話とかな。パロディにする元ネタ側が問題視する形にしちゃうとダメ。「おそ松さん」はパロの量よりパロのやり方に問題あるのが混じっていたというのが危険だったという話もある。
本気で抗議が入ると取り下げになるからやる相手とやり方は考えないといけない。そしてこの件に関してそういうのを意識していた形跡は……無いな!!

日本のパロディは黒い線が入ったり、モザイクかけたりという演出も多いけど、アレはパロディだとあからさまにアピールする、元ネタがあるのを強調するという意図でもあるんだよな。

この件は元ネタに対する尊重や愛みたいなのが無いし、下品なパロだったわけだから。危ないネタに関しては日本の作品だと音さえぼかすんだが。

近頃見た作品だと「ぐらんぶる」でエヴァのプラグスーツ風のウェットスーツにもモザイクかけてたくらいだからな。演出で分かるようにはしていたが。
そういうのを考えると「十万個冷笑話」は元ネタそのまま使っちゃうことで意図的に強調しようとしていたわけだから、リスクは高かったんだろう。

日本のパロディの攻め方に関しては「ポプテピピック」が参考になるかと。
あれを見ると怒られる方向、怒られない悪ふざけのレベルというのが何となくわかる。

「十万個冷笑話」は該当するエピソードのメインキャラもメイン設定も元ネタをハッキリと使っているんだからダメだわな。元ネタの尊重も無い。

相手が本格的に怒ったらこうもなるわ。訴えるコスト、損得の問題でしかない。相手がコスト度外視、或いはこっちが分かりやすく大きな利益を得てしまっていると普通に訴えられる流れになると。これまでは権利者に知られていないか、訴訟コストが高いからスルーされていただけ。

違法配信動画が消えたのも、国内の大企業がライセンス取得してビジネスとして配信をするようになったから訴えられるリスクが発生したのも原因だったからね。実際に訴えられたかは分からんが、警告までは普通にあった。

でも今になって訴えるというのは嫌なものを感じるね。
儲けたから金を搾り取ろうと狙われたか。

全くだ。昔は問題にされなかったのに、今になってやるとか。
羊が肥えるのを待っていたと。

賠償金の金額たった50万元(約775万円)だぞ……訴訟にしたって今日訴えてすぐに結果が出るもんじゃない。二審でこれだから結構長くやってる。

時間と規模を考えたら得とか利益にはならんだろうな。手間の方がよほどかかる。
だから怒りの方が先に来ているのも感じられる。罰金よりもキャラの使用の停止、正しさを証明みたいな。

「十万個冷笑話」も昔は同人みたいな時代もあったけど、その後商業利益重視に転換して成功して現在の国産アニメの有名IPと言えるレベルになっちゃっているわけで。

こんな判決が出たら創作に制限がかかるだろうに。我が国の版権関係の制御は歪んだ方向に進んでいる……

これが普通だぞ?日本でも訴訟までいかなくても作品やキャラのパクリに対する抗議やそれによる抹消は珍しくないし、アメリカなんかはもっと厳しいというかディズニーとかめちゃくちゃ厳格にやってくる。

分かりやすく言えば、童話じゃなくてディズニーのオリジナル作品のキャラと世界観を悪ふざけなパロにした商業作品ってことだからなあ
いくらウチの国で有名な古典国産アニメ、オタクもほとんどが子供の頃に見た思い出の作品とは言え権利ハッキリしている作品でやっちゃだめよね。

ネタでふざけるにしても、1シーンやるとかなら問題は無い。「十万個冷笑話」はメインキャラ、連続エピソードのメインテーマでやっちゃったのが……

この件に関する発言を見ていると、この手の権利侵害って外国の作品に対してやったのじゃなければ権利侵害じゃないという考えっぽい人が少なくないようでクラクラしてくる。

どっちにしろ「十万個冷笑話」はやり過ぎた。この作品が始まった頃の環境ならまだ問題にならなかったが、今ではダメだよね。日本の作品を例に出す人がいるけど、日本の作品だって昔と今のを比較するとパロに関する態度が厳しくなっているのが明らかだ。

上でも言われているが最近になってソシャゲのキャラにまでして金稼いでいるからなあ
それに最初の頃は良かったけど、後の方になると捻りもないダメな意味での低俗な内容になっていったし。そんなに擁護する声が出ないのはそういうことだろう……

一応俺も好きだった作品だし判決にもやもやしたものは感じるが、今の感覚だと肯定もできないのがね。

あの作品はひょうたん童子に限らず悪乗りでパロディにしまくっていたからイロイロと心配になってくる話でもある。



とまぁ、こんな感じで。
ざっと見た印象では怒られるのもしょうがないという反応がそれなりにあるようでした。

この辺に関して、ネタを教えてくれた方からは
「以前であれば十万個冷笑話を擁護する声の方が圧倒的に強かったと思いますし、今も上の世代で作品を視聴していた世代からはやり過ぎという声が出たり文章記事が投下されたりしていますが、今の中国のオタクの主力世代からは訴えられるのは仕方ないと考えるような反応も少なくないようで、私自身少々意外でした」
という話がありました。

また他に
「十万個冷笑話は最初の哪吒編からして哪吒や太乙真人など伝説系の故事をネタにしてきましたから、福禄編に関しても当時は特に意識せずにやってしまった可能性は高いと思われます」
という話も教えていただきました。

今回の件については世代や経験で受け止め方に違いが出る話なのかもしれませんね。
私も今回の事件に関してはイロイロと意外に感じた所がありましたし、時代は変わったなあという年寄りっぽい感想になってしまいます。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。