中国の方からは娯楽分野に対する規制の拡大などをはじめとする景気の悪い話が何かと聞こえてくる今日この頃ですが、そういう話題とは別の話も教えていただきましたので今回はそれについてを。

日本の作品、SFに関わるような部分がある場合に比較的よく出てくる言葉の一つに「シュレディンガーの猫」(中国語では「薛定諤的猫」)があるかと思いますが、中国オタク界隈ではこれに関してちょっと気になる人も出ているそうです。

そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「日本の作品に頻繁に出てくるシュレディンガーの猫」
といったことなどに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


日本人は「シュレディンガーの猫」を好み過ぎていると思うんだが、どうだろう?
本当にそこら中の作品で見かける。この言葉を何かと使いたがるようにも感じられる。

量子力学的な思考実験ではなく、例え話的に多様されるよね。
SF的なジャンルに限らず伝奇やファンタジーでも。

私は日本人の中二病的なセンスを強く刺激するという話をどこかで見た記憶があるが……

設定が中二病的だというのは何となくわかる。ウチの国でもそれなりに有名だし使われるネタだからね。日本の作品ほど頻繁ではないが。

詳しく知っている人物ではないがシュレディンガーさんも中二病の象徴的な扱われ方をされるとは思わなかったろうね!

こういうのって日本語を母国語にする人間の語感的な印象も加わるから完全に理解するのが難しいんだよなあ

どれくらい日本の感覚と重なるのかは分からないが、あの言葉から来るカッコよさというか中二病感はこっちでも通じるだろう。SFネタにも重なるし。

他にこの手の二次元で使われがちな言葉や定義ってどんなのがあるかな

「ラプラスの悪魔」とか?

私はシュレディンガーよりもラプラスの方を先に知っていたな。魔装機神辺りからだったと思うが……

「マクスウェルの悪魔」もラノベ系作品でそこそこ見かけるような気がする。あとは……「ディラックの海」辺りだろうか。でもこっちは猫に比べると格段に少ない。

ディラックの海が使われているのはエヴァくらいしか思いつかないわ。内容的にシュレディンガーの猫に比べるとネタにし難いのかね。

シュレディンガーの猫は確かFateだかFGOだかでも使われていたような……中二病的でいかにもだと感じた覚えがある。

Fateでは「マクスウェルの悪魔」がサーヴァント化されていたな。
とても中二的な解釈だった。

動物ネタで思い出したが「アキレスと亀」もそれなりに出てくる。中国語だとアキレスじゃなくて「ゼノンの亀」だから日本語と比べて印象がやや弱くなっているかも?

しかしこういう言葉を見る度にきちんとした意味や背景をどれだけの人間が理解しているのだろうかと疑問に思うんだよね。

「シュレディンガーの猫」に関しては理論の発展や理解できるかは別として、状況を想像するのは容易だし理解したつもりにもなれるからな!正直に言えば俺も雑な把握の仕方をしている自信がある!

猫というのが特に良いんだろう。同じ思考実験でも別の動物、馴染みが無いとかかわいくない動物だったらまた違った扱い、広まり方になったのではないかと。
ウチの国でも猫で印象に残る人は少なくないはずだよ。

日本の作者のほとんどはシュレディンガーの猫が量子力学の思考実験と思っていて、元々は量子力学を嘲笑するものだったというのは知らないっぽいのはどうなんだろうな。
日本の作者の学歴の低さがこういう所で見えてしまう。

雑な認識と扱いなのは否定しないが、どこの国でも学歴ある人間が面白くてきちんとしたものを書けるとは限らないからなあ……作品の高さと学歴は別だし、更に言えば高学歴でも専門外ではイロイロと……

国産作品の知識チート俺TUEEEEEでもヒドイのが頻繁に出てくるからな。学歴を見ても上から下まで様々だ。

しかし「シュレディンガーの猫」という言葉を使いたくなる気持ちは私も分かる。

そうか?さすがに作品の中で頑張って使う程では無いだろう。

なんて言うか……こういうのって使う機会があれば使いたいくらいの感覚なんじゃないかな。記憶に残ったカッコ良く感じる難しい言葉を使いたくなる衝動ってない?

定義の正しさ、説明の正しさよりもSFモチーフを使ってどんな作品にするかという方が結局は大きいしね。
例えば私は「青春ブタ野郎」シリーズが好きだけど作中で語られる量子力学ネタについては心の薄目を開けて流し読みをしている。科学知識について完全に正しく無くてもそれによってストーリー描写もダメになるとは限らないわけで。

ウチの国のネット小説も雑な知識チートで俺TUEEEEEや内政やってるしそういう世界観や設定はハードな科学的考察できる人からすれば笑止千万レベルだろうしな……

テンプレと化した特殊能力、設定と同じで「シュレディンガーの猫」もテンプレと化したSFネタということなのでは。消費され過ぎて本来の学術的な意義ではなく大衆娯楽的なモチーフになった。

でも作品の雰囲気を演出する道具としての汎用性を備えたのも間違いない。作者によってはその汎用性で対象の広い作品を作れるようになったという見方もできる。

この手の設定や用語をモチーフにした作品って古い作品であっても現代の感覚で見て面白かったりするからね。例えば「クラインの壺」という作品はかなり良かった。

どっかで聞いたことがあるような……ラノベだっけ?

一般小説で映像化もされているが内容はラノベっぽい。大雑把に言えばVRゲームの中に入ってクラインの壺のようにゲームと現実が曖昧になっていく作品。
ラノベの元ネタとも言える。「ソードアート・オンライン」の元ネタ或いは元ネタの元ネタとも言われているし、日本のラノベのVRMMO系ジャンルの原典の一つという説もある作品だな。

そんなに古くは無いが東野圭吾の作品に「ラプラスの魔女」というのがある。

二次元に限らず、この手の概念を指す特定の用語は色んな作品で使われるんだろうね。シュレディンガーの猫ほど高い頻度で見かけるのは珍しいだろうけど。

古典のJRPGに「ラプラスの魔」というのがあるのを思い出した。内容はSFではなくてホラー方面だけど。
ラプラスの悪魔は全知全能や予知、偽の全知全能的なネタによく出てくる気がするね。実際、使い勝手がいいのも分かる。

「シュレディンガーの猫」やそれと似たような使い方をされる言葉について見ていくと、どれも言葉自体の意味は重要ではないのだと感じられる。言葉の雰囲気、既に広まっているイメージのような言外の意味の方が大きくなっている言葉なのかもしれないね。
言い方を変えれば演出のための用語といった所だろうか。



とまぁ、こんな感じで。
日本におけるシュレディンガーの猫などの言葉から受けるイメージに関しては分かる人もいれば分からない人もいるようでした。

ちなみにこのネタを教えてくれた方からは
「私達はこういった特定の理論の名前はまず中国語の方で認識するので日本語のカタカナ表記によるオタク的な語感を把握するのは難しいですね。これは外来語にありがちな話ではあるのですが……」
という話もありましたが、語感からくる雰囲気も含めての使われ方というのはやはり考え出すと難しい問題になっているようです。

私自身もこういう言葉の好まれ方に関しては理解できているのか、そういうのを踏まえて翻訳できているのは自信が無い事が多いですね。SF用語やネット用語もですが、中国のコンテンツで頻繁に出てくる武侠ネタ関係は特に不安があります。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。