ようやくワクチンの副反応が収まってきましたが、今回はかなり長引きますね。
そんな訳で今回は以前教えていただいた三国志ネタで一つ。

中国のソッチ系のサイトで行われていた
「陸遜と呂蒙の人気や扱いの違い」
といったことなどに関するやり取りを、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


呉は武将人気の差が激しいが中でも陸遜と呂蒙の人気や扱いの差は何なんだろう
どっちも大都督だし蜀漢に大ダメージ与えて重要人物の死因になっているのに、陸遜は人気高くて呂蒙は嫌われ者だ……

呂蒙は地元で作られた像が地元住民に壊されたというエピソードからしてね

南方の人は関羽大好きだから関羽殺した呂蒙は地元住民に嫌われていたというアレか
確か90年代の話だったし今ならまた違うことになりそうだけど……いやでも関羽関連だからリスクはありそうだと感じてしまう

呂蒙は関羽を殺した悪いヤツみたいな扱いが続いているけど、呉は魏と曹操のような現代で再評価されて大人気になったということもないので当面は今の状態が続きそう
呉は個別の武将は良い評価になっている、キャラとしての人気があったりもする(陸遜はまさにそれだろう)が一般的にそこに呂蒙は入らない

三国志武将誰が好きみたいな話題で呂蒙を挙げる人もいるし名前を覚えている人も多い武将ではある。それにこの二人の史書における評価はどっちも悪くない。しかし民間の評価が段違いで……

解釈はさておきイメージとしては呂蒙の最大の功績は盟友を後ろから刺したことで、陸遜は正面から戦って勝って強さを証明しているという明らかな違いが。

史実でどうだとかは気にせずに言えば能力の差
エピソードや扱い的に陸遜の方が優秀、終盤でポップアップした呉の希望の光だ

私もその意見に同意。史実的な話は別として一般的なイメージとして陸遜は強い、優秀というのがあるな。呂蒙も別に弱いわけではないんだがメインエピソード的に卑怯なことやって関羽に勝ったというイメージがあるから一般の人気につながらない
主人公側がやる策略と敵がやる策略、やったことに対した変わりは無くても印象は違ってくるようなものだろうか

関羽関係の動画でも呂蒙に対する罵倒コメントをよく見かける
呂布や昔の曹操みたいにストレートな悪ポジションじゃなく地味にヘイト集めているのは根深い問題に思える

呂蒙の方が嫌われているのは関羽の方が劉備よりかなり人気高かったからじゃないの?
現代の若い三国志好きはともかく、伝統的に中国で一番人気が高いのが関羽だから

それにしたって陸遜と呂蒙の差はあんまりだと思うのだが

私が不思議に感じるのは陸遜に関しては蜀好きの連中や関羽ファンの連中からのヘイトが無い、少なくとも呂蒙のような罵倒は見かけないということなんだよね

それはたぶん演義や民間伝統劇の影響だろう
荊州攻めの時のメインは呂蒙だけど陸遜もかなり働いているから関羽が死ぬ原因に含められるはずなのに、悪名の主な被害者は呂蒙なのは考えてみれば気の毒かもしれない

歴史マニアの有能武将談義でマイナー武将を持ち上げるような層にとって呂蒙みたいな武将が非常に好まれるのは理解できる
しかし呂蒙はそういう狭い界隈ではなくまず三国志というウチの国では最大規模のジャンルでの評価をされてしまうので一般層の人気や評価がとてもともて強く出る

三国志は歴史ではなく娯楽、武将コンテンツという面が非常に強いからな
いわゆるファン心理による影響がとても大きい

呂蒙は死ぬというか退場が早いのもマイナスだよ
陸遜は夷陵の戦い以降も何かと活躍するけど、呂蒙はそれ以前の活躍が無いわけではないものの荊州攻めで目だったらすぐに退場するので悪いイメージばかりが残る

世間的に呂蒙の活躍で有名なのが関羽と魏が戦っている時に同盟者なのに盗みに押し入ったという話だからな
呂蒙に関してはそこでほぼ終わるのが印象としてかなり厳しい
それに対して陸遜は活躍だけでなくその後の子孫の活躍も加わるのが強い

呂蒙は関羽をだまし討ちにした後に曹操や劉備と戦って勝つか何かがあれば人気や好感度も違ったんじゃないかと

エピソードだけ並べるとだまし討ちをした呂蒙の後に夷陵での正面決戦で勝利した陸遜が来るので呂蒙の盟友裏切り行為の印象がより一層ヒドイものになる
劉備の怒り以外の部分、荊州失陥や国としての基本方針から劉備としては攻め込む賭けに出なければならなくなった情勢の変化や、荊州で関羽が対呉外交でやらかした件についてはマニアじゃないと調べたり考えたりしないからね

呂蒙に関しては「呉下阿蒙」という言葉はあってもその前後に関するエピソードまで把握している、他の三国志ネタと連動して認識できている人はほぼいないので「同盟を裏切って関羽殺したヤツ」のイメージが先行する。優秀な武将という評価だけどそれで嫌な奴のイメージが変わるわけではないんだよ。

同じ大都督だけど陸遜は周瑜と孫策からつながる呉のイケメンの系譜というイメージが現代の二次元コンテンツでも活用されている
しかし呂蒙や魯粛は周瑜の後継者というイメージが無い、

昔と違って現代では曹操や魏のイメージや評価はかなり良いものになっているけど、呉はあまり変わらないしネタ方面でも孫権のネガティブなものが多いからむしろ評価落ちているのがな
それに三国志マニア達がマイナー寄りの武将を優秀だ、史実ではどうだとか持ち上げても一般層には全く入らないし

まぁ今の曹操に対する高評価とか三国志をマニアックに語る、解釈するのも「百科講談」や「品三国」(三国志品評)以降の流れだから20年も経ってないし「三国殺」とかの国産娯楽コンテンツとしてはもっと近い時期からの流行と言えるからね
それ以前と比べたら実はそんなに長い時間ではないのだから呉の呂蒙のイメージが変わるのも簡単じゃない

陸遜は周瑜が持っていた呉のイケメン武将人気を受け継いでいるのも大きい
大都督になった時点で四十歳だかなので普通におっさんのはずなんだけど、若き才能のあるイケメンといったイメージになっている
趙雲が常にイケメンなイメージなのと似たようなものだろう

呂蒙が関羽を捕まえた時の計略「白衣渡江」も商人のふりをしてのだまし討ち、そして関羽は商人の神様だから負のイメージが蓄積されまくったという話もあるね
呂蒙は嫌われた理由が多方面で見つかる

別に陸遜の人気も高くないだろう
大都督ではあるが魯粛の方が上だし呂蒙に関しても批判が多いのは有能で人気が高いからだ

無理してそういう逆張りしなくても……別に呂蒙が有能なこと自体は皆認めている

陸遜の人気、評価が高いのは後期の呉の数少ないポジティブな存在だからというのもあるだろうね
孫策と周瑜で盛り上がったのが萎んで、呂蒙と陸遜でまた盛り上がるけどその後はやはりパッとせずに萎んでいく
長期的に見ると蜀との同盟が壊れて呉は魏に飲み込まれていくわけだし直接的な破壊担当の呂蒙に対するイメージは良くなりようがない
演義ではそこに漢王朝関係の大義名分が付くから呂蒙のイメージは本当にもう……

三国志に関しては演義の影響が大きいのでそこで呂蒙の扱いが悪いからどうにもならん
曹操のような再評価からの大人気は本人の歴史上稀なレベルの活躍と実績があってのものだ

呂蒙の関羽だまし討ちはそれによって呉の戦略目的を達成できたわけではないのがね。重要な地域を持っているのは魏のままだったわけだから呂蒙は蜀と呉の仲を悪くしただけにも見えてしまう。
それに対して陸遜は荊州を防衛した強さがあるから呂蒙との印象はかなり違う。

陸遜は劉備の死の原因や蜀の滅びの引き金の原因の一つとも言えるけど、攻め込まれたのを防いだのだから何も悪くはない。
しかし呂蒙は違う。盟友の危機に乗じて自分から攻め込んで同盟関係を壊し長期戦略的にも間違ったという評価になってしまうわけだ……

呂蒙に関してはだまし討ちした武将という評価に加えて大局観が無いという評価もあるのがな
一応史実的に見ればそう単純な話ではないんだが、これに対して史実ベースの考察で反論しても人気の面ではあまり意味がない
三国志関係の議論は史実と演義がごちゃ混ぜになるのでこういう時はめんどくさいけど仕方が無い

上でも言われているけど長期的な観点からすれば呉は荊州を取るのが早過ぎたし劉備との同盟関係を壊してしまったのは失策だという見方が強いからね
そういう意味でも呂蒙は評価されにくいし擁護も難しい

そもそも大都督の4人のうち演義で扱いが良いのが陸遜だけ(周瑜も諸葛亮の引き立て役)
陸遜に関しては劉備の暴走が先にあるわけだし、悲劇を強調する上で陸遜はまともで有能キャラな扱いされるからイメージも良いままだったのではないかと
そして呂蒙は演義だと更に呂蒙は関羽の亡霊に殺されるような扱いだからね

劉備も関羽も主人公的な扱いをされるけど、呂蒙は関羽を計略で陥れた、陸遜は正面から劉備に勝った、劉備は諸葛亮の言うことを聞かなかったというのがあるから関羽好きや劉備好きな人からすると全然違う印象になるのだろう

呂蒙は殺したのが関羽でなければ違ったかもしれない
ウチの国ではある意味最も人気が高く、扱いも良いまさに神級の存在なわけだから

二次元風に言えば呂蒙は主役チームで一番人気が高いと言われるキャラを謀略で殺した敵だからそりゃあ嫌われる。それに対して陸遜は正面から戦って主役チームに勝った強敵、しかもキャラデザは若いイケメンの「魅力的な敵キャラ」だ。

私もその見方で間違ってない気がする。
あと現代では孫権のイメージが本当に悪いから孫権被害者の最上位クラスな陸遜は孫権と呉のイメージの悪さの影響から逃れられているというのもありそう。

陸遜に関しては孫権が嫌われる原因の一つでもあるな。陸遜は孫権関係での悲劇的なエピソードも劉備を倒したのに嫌われない理由になっているかと。
それに加えて陸遜本人のエピソードが何かと創造を膨らませやすい、言ってみれば同人作品のネタになる。呂蒙はその手の創作ネタに出来るエピソードも不足しているのも厳しい。

同人ネタについては理解できる
三国系コンテンツで呂蒙が陸遜より人気高い、扱いが良い作品って無いよな

いや、あるぞ
「一騎当千」では明らかに呂蒙が扱い良くて人気も高い。娘化だしデザインは作者が夏侯惇と間違えた結果だが二次元的に三国志娘化における傑作キャラの一人だ。
呂蒙からしてみればどうなのかは考えない方が良さそうだがな!

あれは作者に三国志の知識が無いから生まれた奇跡のデザインなんじゃないかな
三国志の知識があったら呂蒙という名前のキャラにああいう外見と中身を割り当てるのは難しいはずだ



とまぁ、こんな感じで。
呂蒙と陸遜のイメージなどを中心に近年の中国における三国志武将関係の話がイロイロと出ていました。

ちなみに以前このネタを教えてくれた方からは
「呉に関しては注目されなかった昔と、孫権ネタでいじられている今でどちらが良かったのか分かりません。個別の武将に関しては間違いなく今の方が良いと思うのですが」
などといった話もありました。

中国ではこの十年程の間に様々なジャンルの国産作品において三国志がキャラクターコンテンツとしても活用されるようになっていますが、その影響で勢力や武将の人気も大きく変わっているようです。そういった変化についても定期的に追いかけてみたいですね。

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


中国オタク「お前らの好きな三国武将って誰?」
(2016年の記事です。現在の中国ではこの当時から更に三国志武将のキャラクターコンテンツ化が進んでいる模様です。曹操と魏軍師の人気が高まり、マイナー武将好きで持ち上げる人も増えているとか)

中国オタク「なぜ三国志の蜀はここまで叩かれるのか」(こちらは2019年の記事です)