ありがたいことにネタのタレコミをいただきましたので今回はそれについてを。

長く続く人気作品には別シリーズや外伝的な作品が増えていくことも多いですが、その際に過去のストーリーや設定との矛盾や後付け設定が生えてきてファンが混乱することも珍しくないと思います。
中国でも人気シリーズのそういった要素に関してゴタゴタすることが多いそうで、中国オタク界隈でも後付け設定や後発作品に関して何かと話題になっているのだとか。

中国のソッチ系のサイトではそんな話題の一つとして
「ガンダムTHE ORIGINに関してあまり荒れなかったのはなぜか?」
といったことなどに関するやり取りが行われていましたので、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


ファンの間でゴタゴタするネタを調べている時に出てきた疑問なんだが、なぜガンダムは「THE ORIGIN」に関してこっちであまり荒れていないのだろうか?Fate本編とFate/Zeroのような公式で矛盾する前日譚なのでファンはどちらを正しいとするかで荒れそうだと感じたのだが

ガンダムも宇宙世紀ファンとSEEDファンの間でずっと続く不毛な争いがあるからFateのゴタゴタを批判する資格は無いんだが、「THE ORIGIN」の扱いは……なんだか説明し難いな

長編作品になると設定やストーリーに矛盾が出てくるというのはありがちだし、作者が設定変更したりするのもよくあるが、ファンがそれを受け入れられるとは限らないんだよな。
ガンダムも設定に関しては常に紛争状態だが、言われてみれば「THE ORIGIN」は批判はあってもそこまで規模の大きな争いにはなってない……確かに不思議だ。かなり荒れそうな変更もあるのに。

こういう前日譚で問題になるのは作っている人間、書いている人間が違うことだ。同じ作者ならまだ我慢できるが……それに誰の名声になるのかといった問題も出てくる。
「Fate」の場合は「Zero」の最盛期は虚淵玄の看板作品扱いだったのが混乱と火種になった。しかし「THE ORIGIN」は安彦良和個人の作品ではないという認識が確定しているから「THE ORIGIN」で独自解釈を展開してもそこまで大きな問題にはならなかったのだろう。

Fateとガンダムの違いに関しては、まず背景としてウチの国で「THE ORIGIN」について語れるようなのは若い世代ではない或いはオタクの主流じゃないというのがあった
当時の二次元界隈を代表する作品だった「Fate/Zero」のファンと比べて相対的に落ち着いていたから初代ガンダムと「THE ORIGIN」を比べると「THE ORIGIN」の方が完成度高いし合理的だという判断もできた

若くないから合理的に判断できるというわけではないと思うが……上の世代のオタクにも普通にめんどくさいのがいるし、新作ガンダムに対する批判も毎度毎度えげつない

内容以前にファンは富野由悠季の作品ではなく安彦良和版の別作品と認識しているし、富野版の設定の扱いが揺らぐようなことはないと考えていたからでは

そうそう。私は「THE ORIGIN」に関しては初代ガンダムに関わったスタッフによる「演義」みたいなものだと認識している。
「Fate/Zero」は当時「Fateという作品は虚淵玄の作品だ」みたいな扱いをしている人も多くて、原作を尊重する所かバカにする空気も濃かったので荒れた荒れた

Fateの方も最初から並行世界の別作品だったはずだが……

その辺の諸々の話は後付けじゃないか?
当時はそういう設定が無かったから矛盾した部分、どちらが正しい設定で正しいキャラなのかともめたし売り上げと人気の高いZeroが正しいFateだと推す人が多かった

並行世界の設定、ルートごとの違いみたいなのはstay nightの頃から既にあったんだけど、Zeroが大人気だった当時の中国でその辺りの扱いを認識できていた人はあまりいなかった
それに対してガンダムではシリーズの最初から富野監督が書いた小説版ですらアニメ版が違う、コミカライズ版の話が違うのが普通だったからファンの間でもどれが正しいかというのにあまりこだわらない

ガンダムは後付けで設定が変わるのはよくある話だしバンダイの商売の都合での変更にも皆慣れているが、Fateに関しては当時Zeroから本格的にオタクになったという人も多かったのでファンにそういう経験が無かった。

今ではFGOで異聞帯や編纂事象の設定が強調されているけど、当時はまだそういった設定を明確にしていたわけではなかったしな。
当初から月姫とFateが並行世界だという設定はあったし、例えばエミヤが実は本編のどのルートの先でもないといった設定もあったけど、あの頃のファン界隈では前日譚までそういう扱いになるという認識は無かったように思う。そして矛盾があった場合はZeroが正しい、従うべきだとやってゴタゴタが……

ガンダムに関してゴタゴタしないのはハゲが作っているかどうかが重要だからでは
公式、原作関係者の作品ではあるけどハゲが直接関わっていないのでファンの「現在のガンダムに対する影響」の不安もなかったのではないかと

確かに私も友人のガンダムファンも「THE ORIGIN」はガンダムではあるが別の作品くらいの認識だったね
あと個人的には「THE ORIGIN」のおかげでMSの設定が強化されてガンプラも増えて嬉しかったという印象もかなりある

「THE ORIGIN」は並行世界として受け止めれば良いだけかと
ガンダムは何が正史なのかが曖昧だし

Fateも設定ではそういう見方にできるんだが、当時は皆そこまでの知識も無かったし、単純に自分が好きな作品の方が正しいと押し付けるばかりだったから……

「Fate/Zero」に関しては当時のダークで残酷なストーリーの流行による高評価と一緒に、「Zero」を見る自分は「Fate/stay night」のような恋愛萌えアニメを見ている人間より成熟しているという考え方があってね……作品の内容以外の部分、その時代の流行やオタクのマウントの武器にされたなどの背景も影響していたからゴタゴタするのも当然だった
「THE ORIGIN」に関しては時代的な背景、ファンの規模や方向性というのが違うから批判はあっても大荒れしないのだろう

「THE ORIGIN」が出た時点でガンダムには並行世界的な作品展開があったし、キャラ設定を除けば再解釈部分もそこまで問題にはならなかったようように記憶している
ウチの国では一年戦争についての知識はあっても、1stガンダムの本編に関する具体的な知識や思い入れは怪しい人が多かったというか、今でも多いので「THE ORIGIN」の改変についても「受け入れられない」と感じる人は少ないはず

マンガが「THE ORIGIN」の後に始まった「サンダーボルト」の方が更に極端な並行世界展開やっているしな

「Fate/Zero」と「Fate/stay night」のゴタゴタをガンダムで例えるなら「THE ORIGIN」よりも「ガンダムUC」が近いと思うのだけど

言われてみれば確かに
当時のファン界隈ではUCで追加された宇宙世紀の歴史やNTのファンタジーパワーの扱いに関してかなりゴタゴタしたし、作風的にも認められないというのがかなり出て当時大荒れになっていたな

「UC」は人の心の光的な何かを雑に多用し過ぎたのがね……その辺りに関して富野監督の作ってきたものとは合わないしストーリーでもテクノロジーでも「閃光のハサウェイ」につながらなくなったと批判されていたっけ
今考えてみると、それまでの設定や扱われ方と違い過ぎるというので受け入れられなかった人が多かったのかもしれない

「UC」のゴタゴタの方が「Fate/Zero」のゴタゴタに近い理由に関しては、こっちだと「THE ORIGIN」に関しては影響力が小さい、そこまで重視されている作品ではないというのもあるかな(日本でどうなのかは知らないけど)
こっちで初代ガンダムの本編ストーリーが大人気になったことは無い

あー……0079、一年戦争時代って重要な扱いされているしMSの人気はあるけど、その時代と作風が好きな人間は多くないな

一年戦争時代に関しては「08小隊」は大陸で最初に人気になったガンダムだし「ポケットの戦争」のように定番化している作品もあるよ
ただアニメに関しては最初のガンダム作品としての価値がほとんどだ

ウチの国の宇宙世紀好きなガンダムオタクは「Z」を評価している人が多いし、人気が高いのはそこからだしね。
ということは「Z」を舞台に「THE ORIGIN」みたいなことやったら反発が出たりして?

「Z」版の「THE ORIGIN」みたいな「Define」が批判はあれど大炎上というわけではないからやはりそこまで大きな問題にはならない気がする

「THE ORIGIN」に関しては元の作品、元のキャラにそこまで思い入れ無かったというのは理由として大きいのかな
ウチの国では古いキャラデザは好まれないしMSはともかく初代ガンダムのキャラデザが大好きだという人はとても珍しい……

「Z」の公式展開を永野護が描いて「ファイブスター物語」の途中でやったようなMH全部消してGTMにするような大改編をやったらさすがに大荒れすると思うが、まぁ無いだろうね!



とまぁ、こんな感じで。
近頃の中国オタク界隈のガンダムシリーズの認識のようなものも含めてイロイロな話が出ていました。

ちなみにこのネタを教えてくれた方からは
「恐らく初代ガンダムのアニメ本編が大好きな人はほとんどいないと思います。画風が古過ぎますし、現代の作品と比べて作画の質も悪いので……」
などといった話もありました。

また他にも今回の内容から少々外れますが
「安彦良和先生の日本での評価はどんな感じなんでしょうか?私は安彦良和先生のガンダム以外の作品を読んでみたら政治的な要素が強く出ていて驚きました。また安彦良和先生が自分の政治的な思想を語る本も少なくない数が出版されているようですが日本のオタクはその政治思想の強さをどのように受け止めているのでしょうか?日本の近年の二次元とはかなり違う方向性なので私は少し困惑しています……」
といった話も出てきました。

人気作品に関わったクリエイターとその活動に関してはメディア環境の違いや情報量の差もあってか日中でイメージの違いが出やすい所ですし、その辺りの事情に関してもどうにか調べていきたいですね。

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。


中国オタク「初代ガンダムTV版を初めて見ているんだけど、アムロが私の考えていた以上にスーパー系だった……」