ありがたいことに以前の記事
中国オタク「皆は初めて二次元で出会ったバッドエンド作品ってなんだった?まだバッドエンドがあるとか想像もしなかった時期に出会った、作品を追いかけた末の体験を教えてほしい」
に関連したネタのタレコミをいただきましたので今回はそれについてを。
中国オタク界隈では日本のアニメやマンガの終わり方に関して「引っかかる」ことが珍しくないそうで、作品の終わり方に関する議論は良くも悪くも盛り上がるのだとか。
そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「失敗せずに面白いまま完結できたマンガ作品」
などと言ったことに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
(内容の関係からネタバレが含まれておりますのでお気を付けください)
日本の長編マンガは最後で失敗するというイメージが強いけど、失敗せずに面白いままで完結できた作品って何がある?
終盤で不満が爆発とはいかなくても人気が失速して気が付いたら終わったという作品はどうなの?
できれば読み終わって面白かったという感想になるような完結の仕方の作品でお願いしたいけど、見ていた人間が満足していたならそれはそれで問題無いよ!
「寄生獣」は良いぞ
同じ作者の「ヒストリエ」はたぶん完結しないけど面白いし歴史モノだから先の話のネタバレはあるから実質完結保証あり?
こういう話題の定番なのはまず「鋼の錬金術師」だろうな
作者としては不満がある上に当時の少年ジャンプの連載体制の悪い所が出た自主的な打ち切りだったらしいが「幽遊白書」は個人的には面白いまま完結できた作品だ
「暗殺教室」は結構いい終わり方だった。
この作品は長編じゃないという人もいるけど自分としてはこの作品くらいの長さなら長編という認識になるね。
「遊戯王」はシリーズによってはいまだに議論が尽きないけど上手く終わった長編と言えるのではないかと
久米田康治は連載が打ち切られずに続いたら完結も上手くやる作家だと思う
「絶望先生」が有名だけどその前の「勝かってに改蔵」や比較的最近の「かくしごと」も上手い終わり方をしている
俺も「かってに改造」のラストを始めてみた時は衝撃を受けたよ
今ではそんなに珍しくないし、ネタバレ情報を知っていたら驚きは無いだろうけど
昔の作品だけど「子連れ狼」と書こうとして改めて調べたら連載既刊約6年で今の感覚だと思ったより長くないな……巻数は十分に長編なんだけど
いろいろと考えたが「H2」
20巻行かないなら長編だろうか?と考えてしまうのは我ながら問題だ
「H2」は最初に出た単行本だと34巻で普通に長編だよ
全体的にゆったりとした話なのに中だるみを感じない、最後の告白が名シーンと綺麗にまとまっている作品だと思う
長編に関しては定義が人それぞれだからな……200話未満だから「進撃の巨人」は長めの中編というと言う人もいるからな
ネット小説とかと比べちゃうのかね
ネット小説の話数文字数ベースで比較したら別メディアに長編は存在しなくなりそう
さすがにその長さで長編じゃないといったら長編の数が少なくなり過ぎだ
あと「進撃の巨人」は最後で炎上したけど俺は言われているほど悪い結末ではない、きちんと完結した作品だと認識している
長さもだけど連載期間で一定以上は欲しい
少なくとも5年以上
個人的には「ゴールデンカムイ」を推薦したい
青年マンガは対象年齢に加えて人気競争の圧力が相対的に小さいのか、少年マンガに比べて長編でストーリー展開をする際に上手くまとめる作品が多いように思う
無難に終わり過ぎたのか良いエンディング扱いされないけど私は「犬夜叉」について悪くない完結の仕方な作品だと思っている
近年だと「ダンジョン飯」が評価高いね
中盤引き伸ばしでグダグダになっていると思いきやそれが伏線になって、最後にストーリーが急加速して最終的に迷宮の外までも含めた広い世界を見せて完結する
終盤の展開を追いかけて読み終わったときには何とも言えない不思議な気持ちになった
「ダンジョン飯」って迷宮だけの世界観の小さい典型的な日本のファンタジーかと思いきや最後に世界広がるわ王になるわと良い意味で予想を裏切ってくれたからね
あと一貫して作品のテーマを見失っていなかったのも実は凄いことだと思う
すぐに思いついたのが「ジョジョの奇妙な冒険」だけど、テーマ的には微妙かな?
各パートがそれぞれ長編レベルの長さでどれも綺麗に完結しているから自分の中では長編完結作品になっている
「スティール・ボール・ラン」は完成度の高い長編作品だよな!
個人的な感想でもよければ「神のみぞ知るセカイ」
完結当時はかなり荒れたけど伏線は描写されていたし、俺は作品のテーマと作者の考え方が出ているように感じられる興味深い終わり方をした作品だと感じたよ
「アドルフに告ぐ」
長編で良いのか自分でもちょっと分からないが、ラストも含めての読みごたえは間違いなく長編
手塚治虫の時代の長編って現代だと中編レベルだからな……
手塚治虫の時代の次に来た「あしたのジョー」も実は単行本では20巻しかない
現代の日本の週刊連載作品なら20〜30巻あれば長編作品として見てもいいだろうし、昔の作品なら更に少なくても長編だ
あと隔週、月刊連載なら20巻前後で長編とみていいのでは
まだ出ていないが「スラムダンク」ならこのテーマとして間違いはないだろう
「グラップラー刃牙」とかどう?
完結したのか続いているのか私も判断に迷う作品だが上の方でジョジョが完結扱いで出ているなら問題ないよね?
私は最近長編作品はそれなりに決着がつく終わり方をすれば良いくらいに考えるようになってきた
そもそも長編は締切や人気ランキングとの闘いがあるし、ストーリーをコントロールするだけでも非常に困難だからね
俺もまず思い付いたのは「鋼の錬金術師」だ
長編連載のストーリーって終わりではなく過程が面白いのがほとんどだから最後で失敗しても作品の商業的なダメージはそれほどでもないという事情があるので終盤に力尽きる作品が出てくるのだろう
そこで力尽きない牛おばさんのパワーは日本の漫画界でも異常なレベルだと思う
「からくりサーカス」は中盤が一番つまらないちょっと珍しい作品で終盤に入ってからの熱い展開と伏線回収が本当に凄い
アニメは原作者も関わっていたけど単純に尺が足りなかったので原作を読もう……
まだ出ていないのだと「銀魂」や「鬼滅の刃」
あと龍頭蛇尾扱いされがちだけど「NARUTO」も「BLEACH」も普通に完結しただけで十分な気がするんだけど
ウチの国の連載作品だって大体は人気がなくなったら更新が遅くなる、いずれ停止するようなのばかりで長編連載作品で完結させられる作品自体が多くないわけで
マンガじゃなくてゲームだけど日本の作品で個人的に最も優れた完結だと感じたのは「ランス」
「父親が遊んだかもしれないエロゲー」というキャッチコピーがあるシリーズが世界観の上の方まできっちり完結させたのは何て言うか想像を超えるような仕事だ
とまぁ、こんな感じで。
現在の中国オタク界隈における作品の評価や知名度の事情も含めてイロイロな話が出ていました。
ちなみに今回のネタを教えてくれた方からは
「そもそも中国に入った日本の作品に関しては最後まで追いかける人がたくさんいる、話題性が続く作品がとても珍しいです。アニメが無ければ話題性は一気に縮小しますし、日本のように雑誌掲載によってその作品を追いかけている人以外も習慣的に追いかけられる環境は無いのです。だから今でも終わり方に関する不満が語られる作品は、途中までは間違いなく人気の高い作品だったはずです」
などと言った話もありました。
またこれは先日会った別の中国オタクの方に教えていただいた話ですが
「中国でオタクが日常的に接する国産コンテンツはなかなか完結しません。ネット小説やwebコミックなど現代のweb媒体の作品は読者の要求と批判を見つつ、政治的に問題のある内容を避けながら話を引き延ばしていくものなので日本の長編マンガのように完結させて話を収集させる作品の方が珍しくなります。今の中国では追いかけている作品の結末をきちんと体験した経験はあまり無いでしょうし、作品を完結させることの意義を感じていないのかもしれません」
「中国の作品は世界観の深さやキャラクターの設定との整合性を重視しますが、ストーリー自体はわりと雑です。ストーリーはその場の反応を見て、批判されず規制されずに人気と課金を稼ぐスタイルなので設定の深さと比べてストーリーは雑になり伏線回収もやってられない傾向があるとも言えます。ただそれとは別に設定、整合性重視なので既に出ている設定を面白さ重視、演出重視で勝手に変更するのは好まれません。日本では好評だった『ガンダムSEED』の劇場版が中国のファンから不評な原因の一つがこれでしょうね」
などといった事情もあるそうです。
こういった環境も含めた受け止め方の違いというのは外から見ている分には興味深いものですが、実際に日本の作品が中国に入る或いはその逆の流れの際に何かと苦労する原因になっている模様です。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
中国オタク「皆は初めて二次元で出会ったバッドエンド作品ってなんだった?まだバッドエンドがあるとか想像もしなかった時期に出会った、作品を追いかけた末の体験を教えてほしい」
に関連したネタのタレコミをいただきましたので今回はそれについてを。
中国オタク界隈では日本のアニメやマンガの終わり方に関して「引っかかる」ことが珍しくないそうで、作品の終わり方に関する議論は良くも悪くも盛り上がるのだとか。
そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「失敗せずに面白いまま完結できたマンガ作品」
などと言ったことに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
(内容の関係からネタバレが含まれておりますのでお気を付けください)
日本の長編マンガは最後で失敗するというイメージが強いけど、失敗せずに面白いままで完結できた作品って何がある?
終盤で不満が爆発とはいかなくても人気が失速して気が付いたら終わったという作品はどうなの?
できれば読み終わって面白かったという感想になるような完結の仕方の作品でお願いしたいけど、見ていた人間が満足していたならそれはそれで問題無いよ!
「寄生獣」は良いぞ
同じ作者の「ヒストリエ」はたぶん完結しないけど面白いし歴史モノだから先の話のネタバレはあるから実質完結保証あり?
こういう話題の定番なのはまず「鋼の錬金術師」だろうな
作者としては不満がある上に当時の少年ジャンプの連載体制の悪い所が出た自主的な打ち切りだったらしいが「幽遊白書」は個人的には面白いまま完結できた作品だ
「暗殺教室」は結構いい終わり方だった。
この作品は長編じゃないという人もいるけど自分としてはこの作品くらいの長さなら長編という認識になるね。
「遊戯王」はシリーズによってはいまだに議論が尽きないけど上手く終わった長編と言えるのではないかと
久米田康治は連載が打ち切られずに続いたら完結も上手くやる作家だと思う
「絶望先生」が有名だけどその前の「勝かってに改蔵」や比較的最近の「かくしごと」も上手い終わり方をしている
俺も「かってに改造」のラストを始めてみた時は衝撃を受けたよ
今ではそんなに珍しくないし、ネタバレ情報を知っていたら驚きは無いだろうけど
昔の作品だけど「子連れ狼」と書こうとして改めて調べたら連載既刊約6年で今の感覚だと思ったより長くないな……巻数は十分に長編なんだけど
いろいろと考えたが「H2」
20巻行かないなら長編だろうか?と考えてしまうのは我ながら問題だ
「H2」は最初に出た単行本だと34巻で普通に長編だよ
全体的にゆったりとした話なのに中だるみを感じない、最後の告白が名シーンと綺麗にまとまっている作品だと思う
長編に関しては定義が人それぞれだからな……200話未満だから「進撃の巨人」は長めの中編というと言う人もいるからな
ネット小説とかと比べちゃうのかね
ネット小説の話数文字数ベースで比較したら別メディアに長編は存在しなくなりそう
さすがにその長さで長編じゃないといったら長編の数が少なくなり過ぎだ
あと「進撃の巨人」は最後で炎上したけど俺は言われているほど悪い結末ではない、きちんと完結した作品だと認識している
長さもだけど連載期間で一定以上は欲しい
少なくとも5年以上
個人的には「ゴールデンカムイ」を推薦したい
青年マンガは対象年齢に加えて人気競争の圧力が相対的に小さいのか、少年マンガに比べて長編でストーリー展開をする際に上手くまとめる作品が多いように思う
無難に終わり過ぎたのか良いエンディング扱いされないけど私は「犬夜叉」について悪くない完結の仕方な作品だと思っている
近年だと「ダンジョン飯」が評価高いね
中盤引き伸ばしでグダグダになっていると思いきやそれが伏線になって、最後にストーリーが急加速して最終的に迷宮の外までも含めた広い世界を見せて完結する
終盤の展開を追いかけて読み終わったときには何とも言えない不思議な気持ちになった
「ダンジョン飯」って迷宮だけの世界観の小さい典型的な日本のファンタジーかと思いきや最後に世界広がるわ王になるわと良い意味で予想を裏切ってくれたからね
あと一貫して作品のテーマを見失っていなかったのも実は凄いことだと思う
すぐに思いついたのが「ジョジョの奇妙な冒険」だけど、テーマ的には微妙かな?
各パートがそれぞれ長編レベルの長さでどれも綺麗に完結しているから自分の中では長編完結作品になっている
「スティール・ボール・ラン」は完成度の高い長編作品だよな!
個人的な感想でもよければ「神のみぞ知るセカイ」
完結当時はかなり荒れたけど伏線は描写されていたし、俺は作品のテーマと作者の考え方が出ているように感じられる興味深い終わり方をした作品だと感じたよ
「アドルフに告ぐ」
長編で良いのか自分でもちょっと分からないが、ラストも含めての読みごたえは間違いなく長編
手塚治虫の時代の長編って現代だと中編レベルだからな……
手塚治虫の時代の次に来た「あしたのジョー」も実は単行本では20巻しかない
現代の日本の週刊連載作品なら20〜30巻あれば長編作品として見てもいいだろうし、昔の作品なら更に少なくても長編だ
あと隔週、月刊連載なら20巻前後で長編とみていいのでは
まだ出ていないが「スラムダンク」ならこのテーマとして間違いはないだろう
「グラップラー刃牙」とかどう?
完結したのか続いているのか私も判断に迷う作品だが上の方でジョジョが完結扱いで出ているなら問題ないよね?
私は最近長編作品はそれなりに決着がつく終わり方をすれば良いくらいに考えるようになってきた
そもそも長編は締切や人気ランキングとの闘いがあるし、ストーリーをコントロールするだけでも非常に困難だからね
俺もまず思い付いたのは「鋼の錬金術師」だ
長編連載のストーリーって終わりではなく過程が面白いのがほとんどだから最後で失敗しても作品の商業的なダメージはそれほどでもないという事情があるので終盤に力尽きる作品が出てくるのだろう
そこで力尽きない牛おばさんのパワーは日本の漫画界でも異常なレベルだと思う
「からくりサーカス」は中盤が一番つまらないちょっと珍しい作品で終盤に入ってからの熱い展開と伏線回収が本当に凄い
アニメは原作者も関わっていたけど単純に尺が足りなかったので原作を読もう……
まだ出ていないのだと「銀魂」や「鬼滅の刃」
あと龍頭蛇尾扱いされがちだけど「NARUTO」も「BLEACH」も普通に完結しただけで十分な気がするんだけど
ウチの国の連載作品だって大体は人気がなくなったら更新が遅くなる、いずれ停止するようなのばかりで長編連載作品で完結させられる作品自体が多くないわけで
マンガじゃなくてゲームだけど日本の作品で個人的に最も優れた完結だと感じたのは「ランス」
「父親が遊んだかもしれないエロゲー」というキャッチコピーがあるシリーズが世界観の上の方まできっちり完結させたのは何て言うか想像を超えるような仕事だ
とまぁ、こんな感じで。
現在の中国オタク界隈における作品の評価や知名度の事情も含めてイロイロな話が出ていました。
ちなみに今回のネタを教えてくれた方からは
「そもそも中国に入った日本の作品に関しては最後まで追いかける人がたくさんいる、話題性が続く作品がとても珍しいです。アニメが無ければ話題性は一気に縮小しますし、日本のように雑誌掲載によってその作品を追いかけている人以外も習慣的に追いかけられる環境は無いのです。だから今でも終わり方に関する不満が語られる作品は、途中までは間違いなく人気の高い作品だったはずです」
などと言った話もありました。
またこれは先日会った別の中国オタクの方に教えていただいた話ですが
「中国でオタクが日常的に接する国産コンテンツはなかなか完結しません。ネット小説やwebコミックなど現代のweb媒体の作品は読者の要求と批判を見つつ、政治的に問題のある内容を避けながら話を引き延ばしていくものなので日本の長編マンガのように完結させて話を収集させる作品の方が珍しくなります。今の中国では追いかけている作品の結末をきちんと体験した経験はあまり無いでしょうし、作品を完結させることの意義を感じていないのかもしれません」
「中国の作品は世界観の深さやキャラクターの設定との整合性を重視しますが、ストーリー自体はわりと雑です。ストーリーはその場の反応を見て、批判されず規制されずに人気と課金を稼ぐスタイルなので設定の深さと比べてストーリーは雑になり伏線回収もやってられない傾向があるとも言えます。ただそれとは別に設定、整合性重視なので既に出ている設定を面白さ重視、演出重視で勝手に変更するのは好まれません。日本では好評だった『ガンダムSEED』の劇場版が中国のファンから不評な原因の一つがこれでしょうね」
などといった事情もあるそうです。
こういった環境も含めた受け止め方の違いというのは外から見ている分には興味深いものですが、実際に日本の作品が中国に入る或いはその逆の流れの際に何かと苦労する原因になっている模様です。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。