ありがたいことにネタのタレコミをいただきましたので今回はそれについてを。
中国オタク界隈ではマンガ作品だけでなく漫画家に関しても議論が盛り上がっているそうで、特に「良い漫画家」「理想的な漫画家」的な方向の話題は盛り上がりやすいのだとか。
中国のソッチ系のサイトではそんな話題の一つとして
「絵の才能とストーリーの才能を兼ね備えた漫画家は滅多にいない」
などといったことに関するやり取りが行われていましたので、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
絵の才能とストーリーの才能を兼ね備えた漫画家って滅多にいないよね……
その二つは面白い漫画を描くために必要な才能だけど、本来は全く別の才能だからね
才能に合わせて分業すれば良い!
しかし現実は「バクマン」のようにはいかない
マンガって分業すれば面白くなる、名作が生まれるとは限らないからねえ
スタジオで分業しているのにテンプレの量産でランキングが埋まるなんて事態は身近にあり過ぎる
これは「ワンパンマン」について考えざるを得ない
最近また別の世界線になった模様
その才能を両立していた実例を探すということなら昔の漫画家を探せばいいと思う。手塚治虫や石ノ森章太郎などは間違いない。
しかし現代で求められる水準を満たせるという意味ではほぼ不可能では?要求される質も量も難し過ぎる。
良いストーリーを書ける人間はわざわざ漫画を描かないからストーリーの才能がある人間は漫画業界に来ないんだよ
そういう人間は小説書いたり編集再度にまわったりした方が稼げるから
稼ぎが明確に小説>マンガなのはネット小説業界が強力な中国くらいだろう
あと日本ではマンガはハイリスクハイリターンだが小説は副業とかなければ食っていくのはほぼ無理と聞く
マンガって絵やストーリーが良ければ売れるわけでもない、逆に言えばそういった才能が不足していても大当たりできるからね
商業作品では絵と話のどちらかが突出して売れ筋に乗れれば成功できるし絵が上手くてストーリーも面白い必要はないんだよ
嘆きたい気持ちは分からなくもないが、井上雄彦や鳥山明みたいなのがそんなにたくさんいてたまるか!
片方だけでもその才能を維持できるとは限らないからな
個人的に思いつく両立させている作者は荒川弘だろうか?ただ本人のエピソードからは絵とストーリーだけでなく北海道の農業と畜産業で鍛えられた体力と筋力も大きいと感じる
こっちのオタク界隈の好み、評価傾向に合うというなら「ダンジョン飯」の九井諒子は絵、ストーリー(と世界観設定)共に評価されているしテーマに合いそう
ただ週刊連載は無理なタイプの作風だからみんなが雑にイメージする才能と活躍とは一致しないかもしれない
最近だと「メダリスト」の作者がストーリー、絵がどちらも高レベルで才能がある漫画家みたいに言われているね
それにオタクとしてのスタンスとか、現代環境における作者ムーブとしても上手いから総合力がかなり高い
ウチの国だとストーリー的にはあまり評価されないようだけど高橋留美子のように「長編連載を走り続けるのが上手い」とでもいうべきストーリーというか編集能力の高さというのも漫画家にはあると思う
才能とそれを発揮できる体力のある時期ってせいぜい中年くらいまでだからね
鍛える時間も、チャンスも発揮できる時間も圧倒的に足りない
全盛期の岸本斉史というか「NARUTO」は本当に凄かったけど、その後の新作や続編は……という感じだからなあ
マンガの内容、特にストーリーに関しては漫画家本人の能力以外に編集との関係や編集側の能力というのもあるしストーリーの才能、絵の才能というのもなかなか単純には片づけられないのだろう
どちらにしろ絵、ストーリー、寿命の3つ全てを備えるというのは不可能だから無いものに期待するよりも、言い方は悪いが妥協して自分の見える範囲で追いかけたい作品と漫画家を応援するのがいいだろう
「ベルセルク」の作者は寿命が足りなかった……
やはり二人以上の分業体制が良いんじゃないか
画師は画の技術だけあれば良いということにできるのは大きい
原作と作画体制だから専門分野ごとに分業出来てクオリティが上がるとは限らないぞ
作者側に問題が発生するリスクは一人の時と比べて格段に上がる
アーティスト的な側面もある商売だから金と称賛の分け方、集まり方で分解するなんてのはありがちだし実際に原作と作画がもめて作品が壊れた、作品が再販されなくなった、権利問題でアニメ化どころか続きが出せなくなったなんて事例もある
分業体制のマンガ制作を理想的な状態として語る人は少なくない。ファンだけでなく業界側にもそういう所はある。
しかしその理想ってここで議論されている「ストーリーと絵の才能が両方ある漫画家」と似たようなものなのではないかと……
俺も理想の分業体制は理想の漫画家と似たようなものに思える
なまじ「理想の漫画家」と同じように藤子不二雄やCLAMPのような伝説があるから夢を見てしまうのではないかと
分業体制ということはどこかが作業止まったら全部止まるということでもある
分業体制の作品も連載は止まる、不定期になるのを皆忘れがち
そもそもマンガ向きのキャラと構図と背景を描ける、マンガ向きのストーリーを書けるというのも特殊な才能だからね
質の悪い部分、止まった部分を修正するとか入れ替えるとかも簡単ではない
そういう部分まで考えると、原作と作画で分けるよりも優秀なアシスタントや監修スタッフを確保するのも「ストーリーと絵の才能を両立する」一つの手段のように思えるな
漫画家個人とはちょっと別の話になってくるが組織全体としての才能と見ることもできなくはない
同意する。
挿絵イラストが上手い作家は珍しくないけどマンガが上手い、面白く読める作家は希少だと思う。
絵とストーリーに関しては短編、長編、連載という形式ごとに必要とされるものが微妙に違ってくるし、更にはその時代その時期の連載で勝ち残る才能があるかという話でもあるから全てを兼ね備えるのはとても難しい
乱暴に言ってしまうが、こういう話題の時の「絵の才能」というのはデッサン力とかもあるけどそれ以上に「自分の好みの絵を描く」という意味になっている人が多い
そして個人の好みが反映されるので該当する作家は普通の意味での「絵の才能がある作家」より更に少なくなる!
それは確かにあるな……こっちではマンガとして上手い画は評価されない傾向もあるし
例えば「うしおととら」「からくりサーカス」の藤田和日郎を絵が上手いと評価する人は滅多にいない
分業といえば近頃のラノベ原作マンガはマンガが上手い作家で成功する作品がたまに出てくるのが興味深いね
実際に見たら当然な話ではあるんだが、挿絵、キャラデザの良さで人気になるのはともかく、マンガが上手いで人気になるというのを以前の私は考えもしなかった
原作の貯蓄がかなり多いネット小説系ラノベ原作のマンガは分業としてやりやすいように見えるがどうなんだろう?
とりあえず自分の知っている範囲だと「第七王子に転生したので気ままに魔術を極めます」や「片田舎のおっさん、剣聖になる」、「悪役令嬢の中の人」とかはマンガになって作品が面白くなった作品だと思う
「幼女戦記」とかも作画担当の腕があってこそのクオリティだな
異世界転生とかのテンプレ展開であっても叩き台となるストーリーがあるとマンガを描きやすい、作画の上手い人が演出の方に力を割り振れるのでクオリティが上がることもある模様
もちろんそのままマンガにしたのでテンプレ的で面白くない、或いは下手な漫画家と組んだ結果「原作は良かったのに」となる作品も珍しくないようだが
絵とストーリーに関しては楽しめる所だけを割り切って楽しむことができるからまだいい
問題は性癖だよ
画は素晴らしく好みに合うのに性癖が合わないということほど悲しい、諦めきれないことはない
ああ……とてもよく分かる
他にも最初は良かったのに性癖が変化して自分はついていけなくなってしまうとかも悲しい
とまぁ、こんな感じで。
中国オタク界隈のイメージのようなものも含めてイロイロな話が出ていました。
ちなみに今回のネタを教えてくれた方からは
「中国のオタクが考える絵の才能がある漫画家というのは『デッサンが上手い』『綺麗』『絵の密度がすごい』という方向なので日本で考えられている絵の上手い漫画家と違ってくる場合もあります。自分の好みで語っている部分もわりとあります」
「中国の二次元界隈は技術の進歩と合わせて接する作品も広がっていったので、まだ世代による好みの細分化の問題は表面化していません。例えば前世紀の90年代のイラスト、80年代のイラストが好きという人は多くありませんし、そういった層をターゲットにした商品というのもまだ出ていません。しかしギャルゲー、エロゲー関係の好みや話題の傾向を見ると性癖も含めた絵柄の好みは世代ごとの違いが徐々に広がってきているようにも感じられます」
「それからこれは私もどの程度影響しているかは何とも言えませんが、現在の中国のマンガはほぼカラーなので白黒に慣れている人の割合は減り続けているので、白黒のマンガという時点で印象はかなり悪くなりますし白黒マンガの技巧を認識しない人も珍しくなくなっていると思います」
などといった話がありました。
私の印象でも中国オタク界隈ではアニメほど極端ではないものの、マンガもシャープで綺麗な絵柄や表現が好まれる傾向は感じますね。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
中国オタク「二次元関連で作品より作者の名前で語られるようなタイプの作者を知りたい。作品の知名度より作者の知名度が高いようなのを」
中国オタク界隈ではマンガ作品だけでなく漫画家に関しても議論が盛り上がっているそうで、特に「良い漫画家」「理想的な漫画家」的な方向の話題は盛り上がりやすいのだとか。
中国のソッチ系のサイトではそんな話題の一つとして
「絵の才能とストーリーの才能を兼ね備えた漫画家は滅多にいない」
などといったことに関するやり取りが行われていましたので、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
絵の才能とストーリーの才能を兼ね備えた漫画家って滅多にいないよね……
その二つは面白い漫画を描くために必要な才能だけど、本来は全く別の才能だからね
才能に合わせて分業すれば良い!
しかし現実は「バクマン」のようにはいかない
マンガって分業すれば面白くなる、名作が生まれるとは限らないからねえ
スタジオで分業しているのにテンプレの量産でランキングが埋まるなんて事態は身近にあり過ぎる
これは「ワンパンマン」について考えざるを得ない
最近また別の世界線になった模様
その才能を両立していた実例を探すということなら昔の漫画家を探せばいいと思う。手塚治虫や石ノ森章太郎などは間違いない。
しかし現代で求められる水準を満たせるという意味ではほぼ不可能では?要求される質も量も難し過ぎる。
良いストーリーを書ける人間はわざわざ漫画を描かないからストーリーの才能がある人間は漫画業界に来ないんだよ
そういう人間は小説書いたり編集再度にまわったりした方が稼げるから
稼ぎが明確に小説>マンガなのはネット小説業界が強力な中国くらいだろう
あと日本ではマンガはハイリスクハイリターンだが小説は副業とかなければ食っていくのはほぼ無理と聞く
マンガって絵やストーリーが良ければ売れるわけでもない、逆に言えばそういった才能が不足していても大当たりできるからね
商業作品では絵と話のどちらかが突出して売れ筋に乗れれば成功できるし絵が上手くてストーリーも面白い必要はないんだよ
嘆きたい気持ちは分からなくもないが、井上雄彦や鳥山明みたいなのがそんなにたくさんいてたまるか!
片方だけでもその才能を維持できるとは限らないからな
個人的に思いつく両立させている作者は荒川弘だろうか?ただ本人のエピソードからは絵とストーリーだけでなく北海道の農業と畜産業で鍛えられた体力と筋力も大きいと感じる
こっちのオタク界隈の好み、評価傾向に合うというなら「ダンジョン飯」の九井諒子は絵、ストーリー(と世界観設定)共に評価されているしテーマに合いそう
ただ週刊連載は無理なタイプの作風だからみんなが雑にイメージする才能と活躍とは一致しないかもしれない
最近だと「メダリスト」の作者がストーリー、絵がどちらも高レベルで才能がある漫画家みたいに言われているね
それにオタクとしてのスタンスとか、現代環境における作者ムーブとしても上手いから総合力がかなり高い
ウチの国だとストーリー的にはあまり評価されないようだけど高橋留美子のように「長編連載を走り続けるのが上手い」とでもいうべきストーリーというか編集能力の高さというのも漫画家にはあると思う
才能とそれを発揮できる体力のある時期ってせいぜい中年くらいまでだからね
鍛える時間も、チャンスも発揮できる時間も圧倒的に足りない
全盛期の岸本斉史というか「NARUTO」は本当に凄かったけど、その後の新作や続編は……という感じだからなあ
マンガの内容、特にストーリーに関しては漫画家本人の能力以外に編集との関係や編集側の能力というのもあるしストーリーの才能、絵の才能というのもなかなか単純には片づけられないのだろう
どちらにしろ絵、ストーリー、寿命の3つ全てを備えるというのは不可能だから無いものに期待するよりも、言い方は悪いが妥協して自分の見える範囲で追いかけたい作品と漫画家を応援するのがいいだろう
「ベルセルク」の作者は寿命が足りなかった……
やはり二人以上の分業体制が良いんじゃないか
画師は画の技術だけあれば良いということにできるのは大きい
原作と作画体制だから専門分野ごとに分業出来てクオリティが上がるとは限らないぞ
作者側に問題が発生するリスクは一人の時と比べて格段に上がる
アーティスト的な側面もある商売だから金と称賛の分け方、集まり方で分解するなんてのはありがちだし実際に原作と作画がもめて作品が壊れた、作品が再販されなくなった、権利問題でアニメ化どころか続きが出せなくなったなんて事例もある
分業体制のマンガ制作を理想的な状態として語る人は少なくない。ファンだけでなく業界側にもそういう所はある。
しかしその理想ってここで議論されている「ストーリーと絵の才能が両方ある漫画家」と似たようなものなのではないかと……
俺も理想の分業体制は理想の漫画家と似たようなものに思える
なまじ「理想の漫画家」と同じように藤子不二雄やCLAMPのような伝説があるから夢を見てしまうのではないかと
分業体制ということはどこかが作業止まったら全部止まるということでもある
分業体制の作品も連載は止まる、不定期になるのを皆忘れがち
そもそもマンガ向きのキャラと構図と背景を描ける、マンガ向きのストーリーを書けるというのも特殊な才能だからね
質の悪い部分、止まった部分を修正するとか入れ替えるとかも簡単ではない
そういう部分まで考えると、原作と作画で分けるよりも優秀なアシスタントや監修スタッフを確保するのも「ストーリーと絵の才能を両立する」一つの手段のように思えるな
漫画家個人とはちょっと別の話になってくるが組織全体としての才能と見ることもできなくはない
同意する。
挿絵イラストが上手い作家は珍しくないけどマンガが上手い、面白く読める作家は希少だと思う。
絵とストーリーに関しては短編、長編、連載という形式ごとに必要とされるものが微妙に違ってくるし、更にはその時代その時期の連載で勝ち残る才能があるかという話でもあるから全てを兼ね備えるのはとても難しい
乱暴に言ってしまうが、こういう話題の時の「絵の才能」というのはデッサン力とかもあるけどそれ以上に「自分の好みの絵を描く」という意味になっている人が多い
そして個人の好みが反映されるので該当する作家は普通の意味での「絵の才能がある作家」より更に少なくなる!
それは確かにあるな……こっちではマンガとして上手い画は評価されない傾向もあるし
例えば「うしおととら」「からくりサーカス」の藤田和日郎を絵が上手いと評価する人は滅多にいない
分業といえば近頃のラノベ原作マンガはマンガが上手い作家で成功する作品がたまに出てくるのが興味深いね
実際に見たら当然な話ではあるんだが、挿絵、キャラデザの良さで人気になるのはともかく、マンガが上手いで人気になるというのを以前の私は考えもしなかった
原作の貯蓄がかなり多いネット小説系ラノベ原作のマンガは分業としてやりやすいように見えるがどうなんだろう?
とりあえず自分の知っている範囲だと「第七王子に転生したので気ままに魔術を極めます」や「片田舎のおっさん、剣聖になる」、「悪役令嬢の中の人」とかはマンガになって作品が面白くなった作品だと思う
「幼女戦記」とかも作画担当の腕があってこそのクオリティだな
異世界転生とかのテンプレ展開であっても叩き台となるストーリーがあるとマンガを描きやすい、作画の上手い人が演出の方に力を割り振れるのでクオリティが上がることもある模様
もちろんそのままマンガにしたのでテンプレ的で面白くない、或いは下手な漫画家と組んだ結果「原作は良かったのに」となる作品も珍しくないようだが
絵とストーリーに関しては楽しめる所だけを割り切って楽しむことができるからまだいい
問題は性癖だよ
画は素晴らしく好みに合うのに性癖が合わないということほど悲しい、諦めきれないことはない
ああ……とてもよく分かる
他にも最初は良かったのに性癖が変化して自分はついていけなくなってしまうとかも悲しい
とまぁ、こんな感じで。
中国オタク界隈のイメージのようなものも含めてイロイロな話が出ていました。
ちなみに今回のネタを教えてくれた方からは
「中国のオタクが考える絵の才能がある漫画家というのは『デッサンが上手い』『綺麗』『絵の密度がすごい』という方向なので日本で考えられている絵の上手い漫画家と違ってくる場合もあります。自分の好みで語っている部分もわりとあります」
「中国の二次元界隈は技術の進歩と合わせて接する作品も広がっていったので、まだ世代による好みの細分化の問題は表面化していません。例えば前世紀の90年代のイラスト、80年代のイラストが好きという人は多くありませんし、そういった層をターゲットにした商品というのもまだ出ていません。しかしギャルゲー、エロゲー関係の好みや話題の傾向を見ると性癖も含めた絵柄の好みは世代ごとの違いが徐々に広がってきているようにも感じられます」
「それからこれは私もどの程度影響しているかは何とも言えませんが、現在の中国のマンガはほぼカラーなので白黒に慣れている人の割合は減り続けているので、白黒のマンガという時点で印象はかなり悪くなりますし白黒マンガの技巧を認識しない人も珍しくなくなっていると思います」
などといった話がありました。
私の印象でも中国オタク界隈ではアニメほど極端ではないものの、マンガもシャープで綺麗な絵柄や表現が好まれる傾向は感じますね。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
中国オタク「二次元関連で作品より作者の名前で語られるようなタイプの作者を知りたい。作品の知名度より作者の知名度が高いようなのを」