ありがたいことに日本語関連のネタを教えていただきましたので今回はそれについてを。

そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「日本のラノベの会話シーンで誰が話しているか分からなくなって混乱する」
などといったことに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


日本のラノベの会話シーンで誰が話しているのかで混乱する……あの会話が連続する文章を皆は問題なく理解できてるの?

あれは日本語の原文だと問題ないんだよ。一人称や口癖の違いがあるから。
でも下手な翻訳にぶつかると分かり難さが出てしまう。

話しているのが二人ならまだ分かるんだけど、多人数での会話になると急に分かり難くなるんだよね。誰が言ったみたいな表記も無いし。
ラノベでなければそこまで分かり難くはないんだが……

私は二人でも連続すると、どっちがどっちだっけ?と分からなくなったりする

あれは日本語の会話でキャラを描き分けやすい特徴頼みの表現だから翻訳が難しい。
作者の文体次第な所があるのでラノベに限った話ではない。ミステリ系作品で会話主体な文章の作品が似たようなことになっていたりする。

とても理解できる話だ。
意味を訳すのは問題なくても、誰が話したかを付け足さずに話者を理解できる話に翻訳するのは簡単じゃない。

これは主に言語の違いにより発生する問題だろう
日本語の原文だと括弧で括っているだけでなく呼称の変化や敬語、年齢や立場による語尾の変化、キャラ特有のヘンな口癖などが混じるから話者に関する情報量が多かったりする

ラノベもだけどマンガの日本語も実はそういうのが多い。
実は男性女性、大人と子供、性格の違いが口調や人称の使い方、それから二次元特有の口癖などによってキャラが判別できる。

例えば「名探偵コナン」でも大人、小学生でキャラごとの口調が全部違うからね。コナンと新一で口調や一人称が変わるのとかも日本人にとっては分かりやすい演出だ。

私が二次元ジャンルでラノベを苦手にしているというか、ハマれなかった理由の一つがこの会話シーンが混乱するというやつだった
他にも視点が一人称三人称で頻繁に入れ替わるのも苦手だった

好みや慣れもあるから難しい所だね。
全員のセリフに誰が言ったなんだと書いたらテンポが悪くなるし、文字数の水増しで批判されるリスクも上がる

自分の場合は慣れれば問題なかったけどそれでも序盤のまだキャラが立ってない、読んでるこっちもキャラを把握していない時は誰がどのセリフをしゃべっているのか分からずに悩むことはあったな……

「会話続きで今誰が話しているか分からなくなる」みたいなのは日本のラノベに限った話ではないし、外国の近代文学でもそういうのはあるんだけど日本のラノベは特に会話シーンで進むことが多いのでどうしても意識させられる

会話中心で進めるのって読みやすくなる、書きやすくなるという利点はあるけど誰が何を言っているのか分かり難くなるという欠点もある
その欠点が日本のラノベを翻訳した際に強調されてしまうわけだな

こっちのネット小説にも口調でキャラを区別させようとする作品はあるし、それが上手い作家というのもいるけど日本のラノベはそれが基本になっているからなあ

例えば日本の二次元では女性キャラが変装や人格、精神状況の違いとかで「私」と「僕」を使い分けることがあるけど翻訳を通すと全部「我」になってしまうからね

しかもその「私」が「わたし」や「ワタシ」になったり、「僕」が「ボク」や「ぼく」になったりすると漢字、ひらがな、カタカナでそれぞれ別の語感になるという……

「私」は「あたし」「わたくし」「あーし」などのバリエーションもあるよ!

上の方でミステリ小説に関しても言われているがアレは本当に困った
ラノベはまだいいけどミステリ小説でこういう分かり難さを追加されるともうね……

小説で常に「誰々がそう言った」みたいなのを強調すると逆に読み難くなるという事情もあるにはある
武侠小説なんかはそういうスタイルでも成立する作家もいるけど普通はマイナスになってしまう

でも日本のラノベはそういうの気にせずに会話で話を進めるような作品多くないか?
私が読んできた中にも一人称視点で進めている時は良いんだけど、他のキャラとの会話シーンになって混乱した作品はそれなりにあった

あれは原文で読む分には「誰が話した」みたいな説明が無くても問題無いことが多いんだよ
もちろん「誰が話した」というのをきちんと書く作者もいるけど、テンポ重視で口調によるキャラの区別で流していく作者の方が多い

これはある意味では「原文には書かれているけど翻訳しきれない」ものとも言える
ラノベによく出てくる翻訳しきれないも部分については他にも外来語に限らないカタカナ表記の語感や、漢字の名詞(必殺技!)なのに日本語の一般的な読み方とは違う、別の意味が乗った言葉で読ませるというのもある

俺は内容から誰が話しているか判断できない作品に関しては作者の能力の問題だと思っていたが、翻訳のせいだったのか……

いや、普通に作者の問題だった可能性も否定できない
以前日本人に聞いたことがあるんだが、雑に書く作者もいて一人称を常に使うわけではないから、ダメな作者だとこのセリフは誰が言っているのか分からなくなるのだとか

もういっそのこと括弧の前にキャラ名を書いておこう!台本みたいに!

実際、同人小説だと台本スタイルの作品もあるんだよな……

上の方でも言われているけど日本語の原文だと口調や人称代名詞などによるキャラごとの書き分けが行われているのでわりと簡単に誰と誰の話なのかは分かる
しかし翻訳されるとそういう情報が消えてしまうので混乱する

そういう部分も含めて翻訳できなくはないんだけど、手間や中国語の文章としての読みやすさ、本のフォーマットの問題が関わるのが厄介ではある
口癖は変なことになりがちだし、かろうじて残せるのは口調くらいになったりする

中国語にも「我」以外の一人称はたくさんあるけど、一般的に使われるのは「我」だから日本語の語感を考慮した翻訳だと「我」にするしかないようなキャラも少なくない
そしてそこに追加されるヘンな口癖……!

中国語にも「俺」はあるけどそれで翻訳すると物凄い違和感が出る
自分は実際にそういう訳の本を読んだことがあるけどヒドイことになっていた

近頃のAI翻訳だとそういう部分の細かい調整が入らないから意味は問題無くても読んでいて混乱する翻訳にぶつかることが増えている気もする。
これは時間が経てば解決されていくのだろうか?



とまぁ、こんな感じで。
実体験も含めてイロイロな話が出ていました。

ちなみに今回のネタを教えてくれた方からは
「日本語の一人称は全部『我』に訳せば間違いにはなりませんし、男性と女性の口調の違いも省略できるので日本語を中国語に訳す時はあまり悩まずに済みます。でも逆だとちょっと難しくなりますね。創作のキャラに関しては全員敬語にしたらダメですから」
などといった話もありました。

なお当ブログの「私」「俺」「自分」などの使い分けについては管理人が本当にイイカゲンに訳しているので実は見当違いの訳になっている可能性もありますが、その辺りに関してはどうかご容赦ください……

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。