ありがたいことに
「中国のオタクにとってアメコミのヒロインはどうなんでしょう?」
という質問をいただいておりましたが、先日これに関係しそうな話を教えていただきましたので今回はそれについてを。

そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「日本の作品と違ってアメコミキャラの衣装がエロ方面で批判されないのはなぜ?」
などといったことに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


ウチの国で日本の作品と違ってアメコミキャラの衣装がエロ方面で批判されないのはなぜだろう?
よく考えたら凄い格好のキャラが少なくないのに

アメコミのキャラって男女問わず全身タイツだ
そして全身タイツならエロくても大丈夫だという謎ルールがあるから……

アメリカのキャラは露出判定にならないケースも少なくないというか、国産含めていわゆる二次元界隈の肌色が多過ぎるというか

昔々は今の二次元への批判のようなものもあったよ
今では本当に目立たなくなってしまったが

アメリカの女ヒーローものは露出が高過ぎるという批判はあるけど、それが1990年代くらいのを持ってきて語る人だったりするのがな

ウチの国ではアメコミ関係の情報は時代関係なく一気に触れる人が多いからアメリカの規制が把握し難いというのはあるかも
時代を追って調べてみると、極端な規制が発動して時代が変わるというのが何度か発生しているのが分かるんだが

シーハルクの全裸(に見える)縄跳びのような有名な事件もあるし、アメコミにエロが無かったわけではないのだけどね……

アメコミ系女戦士のコスチュームにもタイツではなく露出の高いのはあるよ
でも描かれ方がボディビル系でキャラデザもあれだからあんまり意識されない

昔ウチの国のテレビでも放映されていた「She-Ra」とかもそっちの方向だったからね
そしてアメリカ国内でもその後のセーラームーンに押し流された模様

「She-Ra」もキャラデザ別として見るとかなり露出多いよな
そしてこの前リメイクされたバージョンでは露出が下がってスカートの下にズボンはくスタイルになってたから、今のアメリカの基準でもあの露出はダメになっているのだろう

中国国内での話なら、絵柄が好みに合わないからあまり広まらず、問題も大きくならないという面はあるかな
アメリカの作品が炎上するのは大体別の理由だし

結局、見ている人が少ないだけ

いや、見ている人は多いしアメリカの作品も批判されているだろ
むしろ日本以上に批判されるから国内映画市場での勢いは消えてしまった
アメリカの作品が批判されるのは政治や国際関係、あと暴力だから炎上している主な場所は他所になるのでオタク界隈だとあんまり意識されないというのもありそうだけど

アメリカの作品は恋愛関係も批判ないよね

日本の作品の恋愛要素が問題視されるのは学生の「早恋」だからというのが大きい
アメリカの作品でこっちに入ってくるのは大人の恋愛が主だからね

そういう方向で考えると、日本の作品は若者、子供が見ているからというのも影響しているのだろう
実態はさておき大人、保護者からの批判というのがこの手の問題のフォーマットになるわけだし

俺はアメコミ系はキャラよりもストーリー重視でイラストがそう意味で目立つことが無いからだと思っているんだが
アメコミのキャラのパンツがどうなってるか気にしないだろ?

アメコミのキャラはパンツ外側に履いて強調するのが伝統的なスタイルだからな!
真面目に言うならアメコミはストーリー重視というか、政治的な主張を載せたストーリーでそこに暴力描写が加わって人気になる
そして暴力描写が主な規制の対象になるけど暴力より先にエロは規制される
この辺は先に暴力が規制されてエロの方が残る日本の二次元とは逆の傾向があると言われることもある

現在の中国における批判ということならターゲットの違いもあるかと
日本のマンガのお色気サービスやエロシーンは本来そういう要素が無い、或いはその手の要素を強調するべきではないとされる少年マンガだ
それに対して欧米のヒーロー系作品は大人向け、マニア向けの作品だし元々が肉体と暴力を強調しているからエログロ無しということの方が珍しい

アメコミのエロ関係はアメリカでとっくの昔に批判され規制を受けているからだよ
世界に売るためにエロは当然ポリコレも積極的に、厳しい基準で規制をする
昔のイラストは出てくるけど、それが現代でそのまま流通しているわけではない

それもあるな。
エロ関係はアメリカ系の配信より中国国内の方がまだ規制が緩いという見方すらある。

それに加えて過去のアメリカ国内の「自己批判」は本当に強烈だった。
それを生き残った作品やキャラが今こっちに入って来るわけだが、規制強化後の作品は更に中国国内の好みに合わなくなったから日本の作品ほどみるひとはいない、意識されないという状態になっている。

その意見には私も同意する
今のアメコミ系作品は既にアメリカで直接的な規制、社会的な圧力を受けた後だとも言えるし、批判が少なくなるのも当然だ
それに目立たないが今でも批判が無いわけではない

逆に言えば日本の二次元はまだそういう要素が生き残れているから目立つ形、目立つ量で批判されているということか……

例えばレッドソニアとか昔は結構批判されてたと聞くね
エマ・フロストやヴァンピレラとかも一般向けの作品としてはもう出てこれないとか

そっちの方向だとアメリカで「セーラームーン」も一緒に批判されていたのを見たことがあるけど、国内だとその方向にはならないな……

アメリカで作られている実写版はどれも安全、ポリコレ的になってるからね
パワーガールのおっぱい窓とか今の時代には無理

パワーガールはリランチでのコスチューム変更がさすがにアメリカ人にも大不評で元に戻ったらしいが、今からああいうキャラを新しく作るのはまず無理だろうとも言われている

地味に大きいのは子供が興味をひかれないということでは
アメコミのキャラが身体のラインくっきりなセクシーコスチュームであっても、現代環境ではポルノ的に受け取られるコンテンツは日本のアニメやマンガだけでなく国産二次元系でもゲームやCG、関連グッズと大量に供給されているのだから、小さなお友達の皆は興味をひかれない

そういう意味で上でも言われている「見ている人が少ない」というのはある意味では正しいのかもしれない
一般社会の感覚的に問題となるものでも、狭い界隈でとどまっている分にはスルーされるなんてのはオタク向けに限らずよくある話だし、そこを飛び出す人気になって注目を集めてしまい潰れるなんてのもウチの国では定期的に発生する

探せばアメコミ系のギリギリを攻めた作品は出てくるし、公式でやっているエロ方面の悪ふざけみたいなのもあるけど中国の環境から見るには何かと手間がかかるし話題にならないのだろう
ヒーローに対する暴力批判ということでも「ウルトラマン」とかの方が明らかに目立っている

そういう批判に関しては香港マンガの方が多い印象すらあるね
香港マンガは暴力や下ネタは多いけどエロ関係はそこまでではないのに

ネット上でも現実でも目にする機会の違いというのがあるし、商売としての違い、例えば中国にも入って来る関連商品、現代の商業展開の違いがある

昔はアメコミ関係でエロ判定される作品、関連グッズもあったのかもしれないが今は普通に生活していてそういうのに出会うことはないからな

問題にされるというか、問題にする価値があり「稼ぐ」ために使えるのは昔のことじゃなくて今のことだしね

フィギュアなんかもアメコミ系のエロいフィギュアはなかなかないからな
二次元関係ではギリギリ過ぎるのも少なくないし、批判されるのも無理はないみたいなグッズが店で売られているから……

フィギュア関係はこの間FGOのメリュジーヌのフィギュアが上海の裁判所でわいせつ物判定となる判決が出ちゃったけど、ああいうグッズがアメコミ関連では出ない、存在するのかもしれないけど中国の普通の店で大っぴらに売られることは無い
だから批判も発生しないということだ



とまぁ、こんな感じで。
中国オタク界隈におけるイメージも含めてイロイロな話が出ていました。

ちなみに今回のネタを教えてくれた方からは
「中国でも実写版作品によってアメコミ系のヒーローは人気がありますが、作品が増えすぎて近頃は知識が必要な初心者向けではないジャンルになっている印象もあります。アメコミ系ヒーローの映画も近頃の中国市場ではあまり成功していません」

「中国のオタクの間ではアメコミについての認識で規制前の作品やキャラと規制後の作品やキャラが混ざっている人が多いかもしれません。詳しい人や興味のある人でなければそれを判別しようとしないのでアメコミ関連の認識は結構混乱しています。また規制に関しては規制を受けているのは中国にいる自分達だけというような感覚になってしまう人も少なくありません。過去にアメリカで行われたコミックコードの規制などもオタク界隈では意識されないですね……」

などといった話もありました。

中国に入るアメリカの作品は日本の作品以上にその時その時の政治の風向きが影響しますし、世代ごとの認識の違いというのもかなりありそうですね。

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。