ありがたいことにネタのタレコミをいただきましたので今回はそれについてを。

中国においてサッカーは人気は高いものの、近頃は国内リーグや代表チームの迷走などからファンが何かと複雑な気持ちになってしまうといった話も聞こえてきます。
また日本のサッカー系の作品に出てくる国際試合のエピソードや作中における言及などを見て何かと考えてしまう人も出ているのだとか。

中国のソッチ系のサイトではそんな話題の一つとして
「昔の日本のサッカーをテーマにした作品で中国が強いという扱いになっているのを見ると複雑な気持ちになる」
などといったことに関するやり取りが行われていましたので、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


昔の日本のサッカーをテーマにした作品で中国が強いという扱いになっているのを見ると複雑な気持ちになる……

あれもある種の二次元補正というやつだな

待て、昔はそれでも間違いではなかったんだよ!

当時のウチの国のチームは実績も実態もあるアジアの強豪だったのよ

スレ主が言っているのが「キャプテン翼」なのかその後のJリーグで作品が増えた時代なのかは分からないけど、「キャプテン翼」の頃は中国の方が格上という見方もできたくらいだったのは確かだ
1982年W杯予選では中国が日本に勝っているしね

ちょっと前に新人とサッカーの話をしていて「自分が生まれる前の中国代表はW杯出たくらい強かったんですよね」とか言われて負った心の傷がまだ回復していない私向けの話題だな

昔は日本のサッカーの強さも今ほどではなく日本代表にとってW杯最終予選は上手くいけば勝てるくらいだった
今は中国代表からすれば予選で日本と同組になったら引き分けにできないかな……と最初から考えてしまうくらいだが、昔の日本は楽な相手ではないけど韓国や中東の強い所よりマシ?くらいなイメージだった
まぁ昔は昔、今は今だとしか言えないけどね

昔の中国代表はあと少しでW杯行けたくらいだからな

あと少しではなくちゃんと行けたよ!
ガチの死の組入って3戦全敗で終わったけど

昔は弱くなかったんだよ
アジアカップのベスト4や2位も「当然」、「あと少し」くらいに受け止めていた
今はグループリーグも危ない

昔の日本のサッカーマンガを見ていると当時の強国のイメージが出ていて面白いよね
Jリーグ以降の作品だと中国は出てくる時はそれなりに存在感あるけど、強敵として意識されているのは中東や韓国
これに関しては日本のサッカー界が1994年W杯の最終予選を直前で逃した「ドーハの悲劇」がある意味伝説になっていたからだという話を聞いたことがある

そう言えば「俺達のフィールド」だと98年のW杯が舞台になるけどそこでの相手は韓国、イラン、サウジアラビアだったな
この時期になると日本における中国のイメージは最終予選の敵チームに入れないくらいだったのかも

「俺達のフィールド」の同時期の「キャプテン翼」のワールドユース編の中国はわりと目立つ存在だったけど、アジアの最終予選リーグで日本、サウジの下の3位で予選落ちだからそんな所だろうな

「キャプテン翼」の最初のシリーズはラスボスが西ドイツでスペイン、イギリス、ブラジルといった普通は出てきそうな国が出てこないのも今の感覚で見ると興味深いよね
ただ高橋陽一があまりサッカーに詳しくないまま描いたという背景もあるので、意図的なのか作者の情報が抜けていたのか判断に迷う所もある

前世紀、まだJリーグができる前は日本より中国の方が強いくらいの評価だった時代もあったとは聞くが……

確かにあったね。そして更に前の「キャプテン翼」の最初のシリーズくらいの時期だと日本はまだ中国より弱い、中国に追いつけ追い越せくらいのレベルだ

サッカーではいつの時代も中国より強い「世界の前の壁」として手頃な国があるので出番はそんなに多くないはず。でも話題に出るときはそれなりに厄介な敵くらいの扱いはされていたし、ドキュメンタリー系作品でも格は低くないといった印象。
しかしそれがどうして今のような状態になっちゃったんだろうな?
中国ではサッカーが儲からないからか?

サッカーは稼げない、破産したみたいな話が飛び交っているけど以前はかなり儲かっていたし、むしろ国内リーグで稼げ過ぎる、ヨーロッパリーグに行くモチベが消えたのがダメだったという話もある
国内のサッカーは儲かる方向だけに進んで国際的な強さは育たないままだった

腐敗、汚職
代表チームに選手が入るだけで金になる環境
勝たなくても「よくやった」「次がある」と言ってもらえてそのまま変わらないでいたら周りが強くなって国内も金が無くなったのが今だ

日本のサッカー選手は上を見ているからね
昔見た香川真司などの日本人選手のインタビューではみんな上を意識していたし謙虚だった
国内で王者になって成功を満喫しているのとは違う

そもそも中国のサッカーではなく江蘇のサッカーの時点で

育成失敗を十数年も続けたらそうなるよ
国内はサッカー関係のシステム全体がグダグダで優秀な人材が育たない、優秀な人材が上に行けない

1980年代ならアジアにおける中国のサッカーの実力は上の方だし日本もまだ強くなかったから当時の日本のサッカー作品で言及されるなら扱いは良くなるだろう
日本の実力が伸び始めた1990年代もそんなに悪くないし2002年のW杯までならどうにかといった所かな
そしてその後はずっと落ちていく……

今は世界レベルの勝負になると身体能力や才能の前に育成体制と競技環境、国際試合に勝つための経験を積む機会とバックアップ体制が必要だけど、ウチの国はそれを構築できなかったからね
そして他の国も「攻略法」に沿って強化してくるからこっちが足踏みしている間に追い抜いてくる

資金を使うにしても長期的な投資、短期的な結果よりも基礎を作るというのができなかったのがなあ

以前知り合いの日本人からも「なんで中国のサッカーはそんな状態になっちゃったの?」と言われたことがある
俺達だってそう思っているんだよ、なぜなのかと

今は文化、体育、娯楽の戦略的なプロジェクトはほぼ放棄されているから「あの頃」のような環境は期待できないのだよ
どうすれば良いのか私だって知りたい

話を戻すが昔の日本の作品だと中国チームは主人公達日本チームがちょっと苦戦してから活躍してみせる相手としてはちょうどいいポジションだったんだろうというのは何となく想像できる

前世紀はアジアのサッカーレベルが低いというか、欧州や南米との差が非常に大きかったしどこが先に欧州レベルに追いつくかみたいな夢もあったのさ
今の日本のサッカー作品だとW杯予選ってどうなっているんだろう?ちょっとした苦戦含めて長めに描くと逆に説得力無くなりそう

昔の日本は弱かったし中国もそこそこ強かったけど、今は日本が強くなって周りの国も強くなって中国は弱くなった……

1990年代の中国代表は強いというか、希望を持てるチームだった
今になって考えてみると日韓ワールド杯に「間に合った」だけ良かったのかもしれない

当時怖かった韓国も昔ほど強いとは感じられないが、中国はそれ以上にもう……

日本は部活もだけど、その前の段階で少年マンガやそれを原作にしたアニメで子供のサッカー熱を作ってその後の選手層の拡大と育成につなげる好循環があるのが良いよな

ウチの国も子供向けのサッカー作品で大人気作品が出ていたら、もしかして……

バスケは「スラムダンク」の影響で日本より強くなったなんて話もある
しかしこっちも現代ではかなりの勢いで落ちているわけで

そもそもこっちではスポーツをテーマにした娯楽作品を作るのも、人気を獲得して市場を作るのも簡単ではない
それだったら直接選手を育てる方がまだ確実だよ



とまぁ、こんな感じで。
昔の思い出や印象などイロイロな話が出ていました。

ちなみに今回のネタを教えてくれた方からは
「今の中国ではサッカーに関して昔のような熱はありませんし、賭けの対象としての熱の方が目立つのではないかという声もあります。でも昔の中国サッカーが盛り上がった時代を体験している世代にとってはやはり夢を見てしまうのですよね……」
などといった話もありました

私が中国に留学していた時期は中国がW杯出場を決めた時とも重なっていたのですが、当時は凄かったですね。街中は大盛り上がりで北京では禁止されていたはずの爆竹が出回りそこら中で鳴り響いていたのを覚えています。
あと今回の記事をまとめる時に郝海東の近況や中国のサッカー界隈では名前を言ってはいけないあの人扱いされているのを初めて知りました。当時私の周りの日本人留学生の間ではちょっと昔のビートたけしに似ていた馬明宇と共によく知られている選手だったんですが、今あんなことになっていたとは。

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。