前節から6人入れ替えて今節に臨んだ鹿島、6連敗中の流れを何とか断ち切りたい甲府、前半はお互いに主導権を掴みかけては離すような展開になった。鹿島はメンバーを入れ替えたことによる連係面、甲府は元々の繋ぎの質に問題を抱えているため、お互いに遅攻ではチャンスを作れず、むしろ奪ってからの速攻に活路を見出す形になっていった。そんな中で、鹿島は植田の負傷交代というアクシデントはあったものの、全体的に見れば悪くない内容で前半を終えた。カウンターからカイオと中村がチャンスを逸してしまう場面はあったが、後半勝負でも十分に勝点3を狙える展開だったのは間違いない。

 そうして迎えた後半だったが、立ち上がりの47分にゴールキックを高崎が落としたボールが阿部拓に渡ってしまい、阿部拓が裏にボールを出すと、反応した伊東純が抜け出して落ち着いてトラップしてシュートをゴールに突き刺し、鹿島は勝負の後半に痛恨の先制点を奪われてしまう。鹿島はここから豊川も投入して、猛攻に出るのだが、拙い攻撃はことごとく甲府守備陣に跳ね返され、逆に甲府のカウンターの前に何度もピンチを迎えてしまう。これは甲府の拙攻に助けられたが、結局最後までゴールを奪うことは出来ず、鹿島はホーム連敗を喫してしまった。

 この試合では、改めて今の鹿島が抱えている問題点を露呈してしまう形となってしまった。現在の鹿島は基本的なコンセプトは落とし込まれているのだが、そのコンセプトを実現するための方法は選手各自に託されており、選手各自の個人戦術の高い低いによって、そのコンセプトの実現度が大きく左右されてしまうのだ。誰が出ても同じサッカーが出来るようにしなければならないのは当然なのだが、現状それが出来ていないのである。これはコンセプトまでのプロセスを監督がチームとしてしっかり落とし込まないといけないし、選手個人はもっと今何が求められているのかを考えてプレーに移せなければいけない。この二つの"戦術"の拙さを改善することは、今の鹿島の早急に解決しなければならない課題である。

[試合記録]
2015明治安田生命J1リーグ 1stステージ 第9節
2015年5月2日(土) 15:03キックオフ
県立カシマサッカースタジアム 入場者数:15340人

鹿島アントラーズ鹿島アントラーズ0-1ヴァンフォーレ甲府ヴァンフォーレ甲府

[得点経過]
47分 <甲府>伊東純也(アシスト:阿部拓馬)

[ハイライト動画]


[データ]

鹿島項目甲府
14シュート12
5CK5
14FK17
1オフサイド4
0PK0

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[警告・退場]
29分 <鹿島>梅鉢貴秀(警告 累積2枚目)
32分 <甲府>阿部翔平(警告)
53分 <甲府>橋爪勇樹(警告)
85分 <甲府>稲垣祥(警告)
86分 <鹿島>青木剛(警告 累積2枚目)
90+2分 <甲府>山本英臣(警告)
90+6分 <甲府>稲垣祥(警告)
90+6分 <甲府>稲垣祥(退場)

[フォーメーション]
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[出場記録、採点・寸評]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準 5.5 自身がどうにかできる場面は少なかった。
DF
24伊東幸敏 4 余りにもプレーの雑が目立ちすぎる。スプリントも活かせていない。
23植田直通 6 悪くない中での負傷交代は、結果的に痛かった。
→DF4山村和也(22分) 4.5 高さは見せたが、失点時の対応が軽すぎた。
5青木剛 5.5 工夫は見えたが、闘志が空回りする場面も。
16山本脩斗 5 クロス精度が低く、そもそもクロスまで行けない場面も目立った。

MF
20柴崎岳 5.5 攻撃の軸として奮闘したが、インパクトは残せず。
27梅鉢貴秀 5.5 イエローは同情できると考えれば、交代はやや不可解。
→MF40小笠原満男(HT) 5 活動量が少なく、セカンドボールを回収できず。
32杉本太郎 5.5 スペースを突く動きは良かっただけに、もっと高い位置でプレーしたかった。
→MF19豊川雄太(60分) 5.5 積極的な仕掛けは効いていたが、徐々にトーンダウンした。
7カイオ 5 ドリブルのキレはあったが、不用意なボールロストが多すぎた。
13中村充孝 4 決定機逸の場面以外にも、オフザボールの質が低い場面が多い。
FW
15高崎寛之 4.5 シュートシーンが少なく、失点時にはポストプレーで痛恨のパスミス。
監督
トニーニョ・セレーゾ 4.5 同情の余地は出来るが、この敗戦の責任は大きい。

<甲府>
GK
1荻晃太 7
DF
8新井涼平 6.5
17津田琢磨 6.5
13野田紘史 6.5
MF
28橋爪勇樹 6.5
→MF24松本大輝(87分) -
23稲垣祥 5.5
4山本英臣 6
27阿部翔平 6
FW
14堀米勇輝 6
→MF6マルキーニョス・パラナ(61分) 5.5
15伊東純也 7 MOM
9阿部拓馬 6
→FW11アドリアーノ(57分) 4
監督
渡邉晋 6.5

<主審>
クリストファー・ビース 
5.5 ジャッジのミスはなかったが、審判交代で混乱を招き、終盤はやや荒れた展開になってしまった。
※後半途中で第4審の三上正一郎に交代

[明治安田生命J1 1st第9節終了時 記録]
<対戦結果>

名古屋3-0湘南
山形1-0横浜FM
浦和1-0G大阪
鹿島0-1甲府
0-0清水
FC東京2-1川崎F
広島2-0仙台
松本1-2新潟
鳥栖1-1神戸

<順位> ※第10節暫定
順位チーム試合勝点得点失点得失
1浦和レッズ9231349
2FC東京10231477
3サンフレッチェ広島10221367
4ガンバ大阪9191587
5サガン鳥栖101514131
6川崎フロンターレ101418153
7名古屋グランパス101415132
8横浜F・マリノス101412102
9ヴィッセル神戸101313121
10柏レイソル91214122
11鹿島アントラーズ91113130
12松本山雅FC10111012-2
13湘南ベルマーレ10111017-7
14アルビレックス新潟10101216-4
15ベガルタ仙台1091114-3
16モンテディオ山形109711-4
17清水エスパルス1071217-5
18ヴァンフォーレ甲府106319-16

<ゴールランキング> ※第10節暫定
順位選手名チームゴール数
1宇佐美貴史G大阪9
2武藤嘉紀FC東京8
豊田陽平鳥栖
4大久保嘉人川崎F7
5レナト川崎F5
ラファエル・シルバ新潟
大前元紀清水
8ウイルソン仙台4
工藤壮人
永井謙佑名古屋
小川慶治朗神戸