昨日、パナソニック等の「退職強要」問題について記事を書いた。その際、整理解雇に対する規制(判例が事実上規定してしまっている)が強すぎることが原因だと指摘した。
 
 誤解の無いように、昨日の記事を補足しておきたい。あくまでも筆者は「整理解雇」に関する規制を緩めるべきだと述べただけで、解雇全般に関するルールを緩和すべきだとは主張していない。
 
新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)濱口桂一郎(2009)『新しい労働社会―雇用システムの再構築へ 』岩波新書
 
 
労働法学者の濱口桂一郎氏が指摘するように、日本の解雇に対する判例法理は、整理解雇に関しては厳しく規制してきたが、それ以外に関するものは割と寛容だった。
 
 例えば、親の介護や、妻の仕事を理由に転勤を断った労働者が懲戒解雇された事例では、最高裁は、家庭生活上の不利益は「通常甘受すべき程度のもの」と指摘し、労働者側が敗訴した
(東亜ペイント事件)。
 
 つまり、日本の雇用形態は「景気が悪い時でも、長期間雇ってやるから、その代わりどんな命令でも従え!長期雇用はありがたいだろう!?だからさ、その見返りに黙って働け!!」という構造になっているのだ。
 
 「退職強要」などの問題が起こるとすぐに、労働者を長期間雇わずにクビにするなんてケシカラン」という類の話になるが、これは間違っている。
 
 いま議論すべきは、整理解雇に関する規制緩和とその他の解雇に関するルールの厳格化の2つである。この問題を歴代政権は先送りにしてきたが、安倍政権はしっかりとやれるだろうか?
長期雇用が保障できた時代は過去のものとなった。働き方に関する新たなルールが必要だ。
 
 上で掲げた本は2009年に上梓された本だが、今日の労働問題を考える上では、マスト文献といえる。