自動車 (日経文庫―業界研究シリーズ)
























JPモルガンの調査部長兼自動車業界のアナリストである著者が12年に及ぶ自動車業界専門アナリストとしての知識と人脈、実績を総動員しつつ、グローバルな金融機関であるJPモルガンのネットワークを最大限に活用して書き上げた一冊。

あくまでも日本の自動車完成品メーカーを主軸に解説がなされているため、外資系完成品メーカーについての情報は少ない。また、トヨタグループな ど、完成品メーカーの系列部品メーカーについても若干ふれてはいるが、あくまでも完成品としての日本メーカーの自動車について分析が述べられている。

著者の主張としては、
1.日本の完成品自動車メーカーの世界的な競争優位はまだ5年〜10年は続く
2.BRICsをはじめとする新興国での自動車需要が爆発的に伸びる
3.化石燃料から非化石燃料への技術的移行において日本メーカーが一歩すすんでいる
4.為替リスクのヘッジを行うために、今後も一層の現地調達、現地生産化がもとめられる
5.設備投資は必要であるが、急激な設備投資を行うと、生産技術が追いつかない可能性がある

である。

自動車業界について未経験の私でもわかりやくかかれていた。また、空き時間によめる文庫サイズであるのがうれしい。


ニ点だけ注意が必要なのことがある。

1.参考資料の大半がJPモルガンからの出典であるといううことである。証券会社のリサーチ部門と証券部門は密接に連動しているので、証券の売買を促すための資料であるということを忘れてはならない。

2.2006年に出版された書物であるということ。自動車業界はグローバル経済の大きな波の影響をモロに受けている。現状との差異は自分で確かめるしかない。