【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.107】

2016年7月27日12:30~13:25【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.107】

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv270638734

Youtube : https://youtu.be/o8gjJDQgYGU

2015年度再エネ買取総額は約1.5兆円 〜 当初見込みより約0.3兆円の未達

 資源エネルギー庁が定期的に更新している再生可能エネルギーに関する『固定買取価格制度 情報公表用ウェブサイト』によると、今年2月末時点における再エネ発電設備に係る買取電力量・買取金額は、それぞれ資料1・資料2の通り。

 エネ庁が昨年3月に呈示した「平成27年度 調達価格・賦課金単価について」によると、2015年度見込みベースで、再エネ買取額は年間総額1兆8370億円、再エネ賦課金の年間総額が1兆3222億円。1kWh当たり1.58円(標準家庭(月の電力使用量が300kWh)で月額474円)と設定した。

 資料2によると、2015年度(昨年4月~今年3月までの12か月間)の買取金額は1兆5495億円で、2895億円(=約2900億円)も未達。

 これは、再エネに係る消費者負担が当初見込みよりも約2900億円も少なかったという観点からは前向きな評価がなされるべきだろうが、再エネ発電量が当初見込みよりも相当少なかったという点からは前向きな評価はなされないだろう。

 どちらの観点は好いかは、それぞれの立場による。



<資料1:買取電力量(万kWh)>
02
(出所:資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」)


<資料2:買取金額(億円)>
28
(出所:資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」)

☆ニュース配信☆ 石炭による「早死」に苦しむ欧州 〜 ドイツでは原子力減少で石炭増加に・・・

石炭による「早死」に苦しむ欧州 〜 ドイツでは原子力減少で石炭増加に・・・

Gadgetwear

http://www.gadgetwear.net/2016/07/blog-post_13.html


livedoorニュース

http://news.livedoor.com/article/detail/11756838/


日刊アメーバニュース

http://news.ameba.jp/20160713-154/


BIGLOBEニュース

http://news.biglobe.ne.jp/economy/0713/gdw_160713_3213841342.html


 今月5日付けの EurActiv
では、再生可能エネルギーへの転換が大歓迎されているドイツは、EU諸国の中で石炭火力発電所による公害で、より多くの人々が早死していることに苦しんでいる旨を報じている。 


《原文より抜粋》 Germany – home to the much-hailed ‘Energiewende’ green revolution – suffered more premature deaths linked to coal plant pollution than any other EU member state, research by health and environment campaigners has found. 

http://www.euractiv.com/section/health-consumers/news/report-germany-suffers-more-coal-linked-deaths-than-rest-of-eu/

 EU域内の石炭火力発電所280基のうち250基が2013年に排出した公害物質により、22,900人以上が死に、数万人が気管支炎となり、そして最大62.3億ユーロ(約7000億円)の医療費がかかった。 

 ドイツでは、2013年に3,603人が石炭火力発電所関係の疾患で死亡した。 

 このうち1,860人の死亡は、ドイツ国内の石炭火力発電所を原因とされている。残りの1,770人の早死は、ドイツ国外のEU諸国とされており、そのうちポーランドからの公害による死者は630人とされている。 

 ドイツは、福島事故後に縮小した原子力発電分を、ポーランドからの安価な石炭火力発電分で補っている。
 

Analysis of 257 of 280 coal-fired power plants in the EU found that their 2013 emissions caused over 22,900 deaths, tens of thousands of illnesses from heart disease to bronchitis, and up to €62.3 billion in health costs. 

3,630 people in Germany died from coal-related illnesses in 2013, according to the report by the Health and Environment Alliance, Climate Action Network Europe, WWF European Policy Office and Sandbag. 

1,860 deaths were traced to coal plants in Germany, which is moving to a low-carbon energy system. The Energiewende (energy switch-over) will require the retirement of most, if not, all coal powered generation in Germany. 

The remaining 1,770 premature deaths were traced to pollution caused by coal plants in other EU countries. Polish pollution claimed 630 of those lives, the research claims. 

Germany buys cheap coal-fired energy from Poland to pick up the slack left by the abandonment of nuclear power after the Fukushima disaster.  

 要するに、近年のドイツでは、原子力発電代替などを理由とした石炭火力発電増加によって、死者数や罹患数が増えているという話。図らずも、福島事故後のドイツの原子力発電縮小が石炭火力発電増加を招き、それによって死者数が増加するという負のスパイラルを示している。 

 これも、日本や各国が教訓としておくべきことだ。 

 因みに、上記の根拠を示した報告書 ‘ EUROPE'S DARK CLOUD ’ によると、EU諸国での石炭火力発電所に由来する早死者数は次の通り。ポーランド、ドイツ、イギリス、ルーマニアの順に被害が大きいようだ。


(出所: ‘ EUROPE'S DARK CLOUD ’ ) 

米国のエネルギー消費動向:石炭は急減、原子力・水力は横這い、天然ガス・バイオマス・風力・太陽光は急増

 今月21日の米国EIA(Energy Information Administration;エネルギー情報局)の発表を見ると、米国のエネルギー消費の傾向は、短期的にも中長期的にも、石炭から天然ガス・再生可能エネルギーへ移行してきていることが窺える〔資料1〕

《原文より抜粋》
Primary energy consumption fell slightly in 2015 as a decline in coal use exceeded increases in natural gas, petroleum, and renewables use. In most cases, changes between 2014 and 2015 reflect longer-term trends in energy use. 

〔資料1〕
36
2016.7.21 EIA


 上図は2014年→2015年での内訳だが、1950年代からの推移を見てみると、以下の通り。


 一次エネルギー消費については、2005年を過ぎた頃から石炭・石油の消費が減る代わりに、天然ガスの消費が増えてきた〔資料2〕

 これに関しては、米国内の天然ガス低コスト生産増や原油価格上昇、石炭に係る環境制約などが主因として挙げられる。原子力は横這いだが、再エネは上昇基調になってきている。石油は運輸部門などで一定以上の需要が継続している。


〔資料2〕
44


 電力消費については、天然ガス・再エネが微増、原子力が横這い、石炭が急減〔資料3〕

 石油は、一次エネルギ消費では運輸部門などで一定以上の需要が継続しているが、電力消費としての石油火力は極微。2016年には、天然ガス火力発電が石炭火力発電を抜くと見込まれている。


〔資料3〕
29
June 2016  Monthly Energy Review(EIA)


 再エネでは、長年に亘って水力が大きな比重を占めてきたが、近年ではバイオマス・風力・太陽光の急増が目立っている〔資料4〕

 水力に関しては、非発電ダムを発電ダムに転換する動きがあり、今月15日のEIA発表によると、2016年には30万kWの水力発電が確保される見通し〔資料5〕


〔資料4〕
38
June 2016  Monthly Energy Review(EIA)


〔資料5〕
25
2016.7.15 EIA


 以上の傾向を、化石燃料・原子力・再エネに3大別して捉えると、米国ではやはり化石燃料が圧倒的に多いことがわかる〔資料6〕。この傾向は、当面続くであろう。

〔資料6〕
38
June 2016  Monthly Energy Review(EIA)

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.106】

2016年7月20日12:30~13:20【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.106】


Youtube : https://youtu.be/SVB4taxnJ3U



<番組内アンケート調査結果>
Q:都知事選は誰に投票するか?
A:増田さん2%、小池さん76%、鳥越さん0%、その他22%

【プレジデントオンライン寄稿】「景気対策」決め手!? 地域通貨「プレミアム付き商品券」を電子化せよ 〜 スマホ・携帯電話を使った「電子地域通貨」の可能性

プレミアム付き商品券「しまとく通貨」の電子化

「プレミアム付き商品券」という言葉を最近よく見かけるようになった。額面以上の金額を使えるというもの。全国の9割以上の自治体で発行され、平成26年度補正予算から約1600億円が用意された。

こうした国策の流れの中で、長崎県内関係離島5市町(壱岐市、五島市、小値賀町、新上五島町、佐世保市宇久町)は6月13日、県内関係離島7市町(壱岐市、五島市、小値賀町、新上五島町、佐世保市宇久町、対馬市、長崎市高島町)で共通に使用できるプレミアム付き商品券「しまとく通貨」を10月から発行すると発表した。

この「しまとく通貨」は、6月13日付け日本経済新聞でも報じられた。商品券を「電子化」することが話題になっているからだ。

(上)紙で発行されている「かつしかプレミアム付商品券」(下)電子化された「しまとく通過」

商品券というと、通常は、写真にあるように、紙で発行されたものが定番であろう。(画像上)

しかし、「しまとく通貨」は、写真にあるように、電子スタンプをスマートフォンの画面に当てることで利用できる。(画像下)

こうした電子化により、商品券の印刷・配送・保管費をゼロにし、精算業務を効率化することで、25%程度のコスト削減が可能になるそうだ。

「しまとく通貨」を電子化する際に採択した基幹システムは、株式会社J&Jギフトと株式会社ギフティが共同で提供する電子地域通貨システム「Welcome! STAMP」。

この画期的なシステムを開発したギフティは、自社サービスとして提供してきたeギフトの販売・流通システムを応用した。

「しまとく通貨」は、離島経済の活性化と交流人口の拡大を目的に、平成25年4月から発行され始めた地域通貨。1セット5000円で販売され、1000円分の特典(プレミアム)が付く商品券。利用対象者は、島外からの観光客など来島者に限られ、第1回の発行時期(平成25~27年)の3年間で約104億円分の地域通貨が販売された。

電子化「地域通貨」が経済を活性化させる!?

この地域通貨の流通は、離島経済の活性化に大きく貢献した。それまで旅行者を獲得できていなかった地域からの来島者が増えた。離島の閑散期である年末・年始や冬場の来島者も増え、県内の複数の島を巡るツアーが新たに実現したりもした。

6月2日に政府決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる『骨太の方針2016』)においても、消費者マインド喚起のため、プレミアム付き商品券の発行に関して前向きな言及がなされている。

「しまとく通貨」の電子化で期待されるのは、地域通貨(プレミアム付き商品券)が抱える様々な課題を克服すること。

地域通貨に関して危惧されるのは、商品券の印刷・配送・保管などの直接コストと通貨運営に必要な事務作業などの間接コストの負担が決して軽いものでないことや、従来紙での発行が主流であったため不正利用されやすいこと。

だが、ギフティが開発したこのシステムを導入することで、加盟店は電子スタンプを用いて簡単に決済・精算し、業務負荷が大幅に軽減される。電子スタンプは数千円程度と安価で、導入も容易。利用者は、専用のWEBページで地域通貨の管理と利用をすることができ、紙やICカードの発行は不要。つまり、日本国内で初めて「オール電子化された地域通貨」のだ。

「しまとく通貨」は、スマートフォンや携帯電話などの電子端末を媒体として携行が可能。地域通貨の紛失や置き忘れを防ぐことができる。購入時に本人確認を行ってデータ管理されるため、2次利用などの不正利用を防ぐことができる。

更に、地域通貨の電子化はデータの収集・蓄積を容易にするので、ビックデータの活用による観光客動向のマーケティングも可能となる。

 今秋の国会では、大規模な経済対策を組み込んだ今年度補正予算が編成される見通し。その中で、地域通貨を活用した景気刺激・消費喚起策が提起されるだろうが、「しまとく通貨」のような電子化を原則とすることで、低コストのプレムアム付き商品券を普及させる好機としていくべきだ。 

【ハフィントンポスト寄稿】"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その3) 〜 日本が参考にすべきは、「フランス+ドイツ」

"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その3) 〜 日本が参考にすべきは、「フランス+ドイツ」

(その1)(その2)からの続き・・・>

 結論から言うと、ドイツのエネルギー事業者は、"脱原子力"に向けて相当の困難を強いられ、巨額の資金と経済活動の勢いを失った。

 2013年のFrankfurter Allgemeine Zeitung紙のインタビューで、環境・自然保護・原子力安全担当大臣のPeter Altmaier氏は、2039年にはドイツの再生可能エネルギーへの移行費用は10兆ユーロになるであろうと述べている。

 ドイツで原子力発電所を運営していたE.ON や RWEは、今では石炭火力発電に移行せざるを得なくなっている。当然、これら事業者の経営は不振になっている。

 これらの企業は脱原子力という政策決定により非常に大きなダメージを受けているといえる。新たな投資をしなければならない上に、原子力発電所を廃炉にする費用も捻出しなければならないからだ。E.ONでは、2015年に70億ユーロもの損失を計上。RWEも2013年に28億ユーロの損失を計上し、60年ぶりに赤字となった。

 その上、E.ON や RWEは、政府による多額の補助金を受けた再エネ発電事業者と戦っていかなければならない。

 RWE、Vattenfall 、E.ONはドイツ政府に対し、総計数百億ユーロに上る損害賠償を求め、ドイツ連邦憲法裁判所に提訴した。

 フランスでは、エネルギー供給会社は生産性の高い設備を有しており、このエネルギーシフトによるダメージは少ない。とりわけ、EDFとEngie(旧GDFスエズ)という二つの主要なプレーヤーは世界でも指折りの発電事業者であり、2015年時点ではEDFは世界最大の発電事業者となっており(発電能力134.2 GW)、Engieは世界最大の政府から独立した発電事業者となっている(117.1 GW)。しかし、興味深いことにEDFとEngieは異なる戦略を取っている。

 Engieは、カントリーリスクを避けるために多様化戦略を取っている。2016年には、5つの大陸の70を超える国で経済活動を展開している。

 この多様化戦略の一環として、Engieはブラジル、インド、南アフリカといった途上国に対し集中的に大規模な投資を行い、ヨーロッパ市場の抱える困難や過競争を克服しようとしている。

 EDFは1990年代後半から2000年代前半にかけての海外への集中的な投資という段階を経て、今は3つの大陸で活動しており、とりわけアメリカ、ヨーロッパ、アジアでその存在感を高めるに至っている。海外投資はEDFの戦略の中心部分ではもはやなく、アルゼンチンで数十億ユーロ損失を出した失敗などを経て、今日は、イノベーションと再エネへの移行を進めている。

 ドイツには、再エネ産業を牽引するリーダー企業が数多く存在する。風力発電であればNordex、Fuhrländer、Enercon、REpower Systemsであり、太陽光発電であればSolarWorld、Conergy、Q-Cellsである。最大手はもちろん、シーメンスである。

 ドイツは強力な再エネ産業を有しており、それは国際競争で優位であることに疑いの余地はない。ドイツは再エネの開発・利用で最先端を走っている。そして、ドイツは2014年に再エネ発電量で世界第5位となっている。

 フランスのエネルギー構成で原子力が依然として圧倒的地位を占めているが、これは再エネを軽視しているからではない。2010年からEDFは再エネの発展に64億ユーロを投資しており、2030年までに現在の数値のおよそ2倍の27%を再エネ発電とすることを標榜している。EDFは再エネ産業を牽引するEDF Energies Nouvellesという子会社を有しており、これは9 GWの発電能力を持っている。Engieも同様に再エネに投資しており、現在、再エネ発電量は総発電量の17% (115.3 GW)で、これを2025年までに倍増させる計画。
 
 Engie やEDFといった巨大なプレーヤーによる投資に加えて、他のフランス企業も再エネの利用に取り組んでいる。バイオマス、風力、太陽光、水力による発電事業を手掛けるAkuo Energyは2007年に事業を開始し、これまでに18億ユーロ以上の投資を行い、アメリカ、インドネシア、ポーランドを含む8つの国で再エネ発電事業に従事している。
 
 このようにフランスは再エネへも活発な投資を行っている。フランスは、世界でも有数の巨大な電力会社を有しており、今後、再エネ分野を引っ張っていく可能性も十分ある。

 ドイツの脱原子力という決断は、人々に大きく訴えかけるものであろう。しかし、上述の通り、ドイツは様々な困難に直面。ドイツでは、脱原子力により電気料金が上昇した側面も小さくない。化石燃料の利用に戻った結果、CO2排出量が増加している。

 一方、フランスは、安い電気料金を維持しながら再エネへの移行を同時に推進するという理想的なエネルギー転換を示していると言える。

 このことは、日本が再エネ発電を増加させつつ、原子力発電も正常化させることの正当性を示している。

 最後に、日本はドイツという再エネ先行国だけを見習い過ぎてきたが、これは猛省点なのだ。ドイツとフランスの電源構成(発電電力量ベース;2014年)を見ると、以下の通り。

 ○ 独 :再エネ26%、水力10%、原子力16%、化石燃料等49%
 ○ 仏 :再エネ 4%、水力13%、原子力77%、化石燃料等 6%
 ◎独+仏:再エネ17%、水力11%、原子力42%、化石燃料等30%

 日本は、ドイツかフランスのどちらか一方だけを見習うのではなく、「ドイツ(再エネ先行国)+フランス(原子力先行国)」を見習う必要がある。

【ハフィントンポスト寄稿】"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その2) 〜 ドイツの電力部門CO2排出原単位は、フランスの8倍

"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その2) 〜 ドイツの電力部門CO2排出原単位は、フランスの8倍

 ドイツは2000年に脱原子力を決定し、2011年の東日本大震災後にそれを実行した。だがこれは、原子力発電分が再生可能エネルギー発電分に移行することを意味する訳ではなかった。

 2002年から2015年までの間、原子力発電は30%から20%に減った一方で、石炭火力発電は50%から60%超へと増えた(資料3)。即ち、原子力発電は化石燃料発電に取って代わられたのだ。


<資料3:ドイツの電源構成(2002年、2010年、2015年)>
2016-07-08-1467979598-4942915-0.PNG
出所:Eurostat


 結果として、CO2排出量は増加した。IEA(国際エネルギー機)が2015年に出した報告書によると、ドイツのCO2排出量は488.8kgCO2e/MWhとなっている。

 フランスでは、総発電量の3/4以上を原子力で賄っている。2015年では、総発電量に占める原子力発電量は76%(416.8TWh)、火力発電量は6%、水力など再エネ発電は17%となっている。総発電量の実に94%が、CO2を排出しない発電方式なのだ。


<資料4:フランスの電源構成(2015年)>
2016-07-08-1467979632-5251791-3.PNG
出所:RTE annual report


 今もフランスの電力部門では、CO2排出量を低く抑えられている。上述のIEA報告書によると、フランスのCO2排出量は64.288kgCO2e/MWhとなっている。

 これは、ドイツの1/8である。

【ハフィントンポスト寄稿】"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その1) 〜 ドイツの電気料金は、フランスの2倍

"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その1) 〜 ドイツの電気料金は、フランスの2倍

 世界では今、太陽光や風力などの「再生可能エネルギー」の導入が急速に進められている。世界で最も先行しているのは"再エネ大国"ドイツだ。

 日本の再エネ政策は、ドイツを参考にしつつ進められてきた。ドイツの再エネ政策が素晴らしいものであると日本で受け止められてきたからに他ならない。

 しかし、実際はそうでもない。再エネ導入に伴う電気料金の上昇は、ドイツのエネルギー政策上の大問題の一つになっている。

 私は昨年3月にドイツを訪問し、連邦政府5ヶ所・州政府2ヶ所・産業団体・消費者団体など計10ヶ所でヒアリング調査を行った。
  ・報告書全文:http://iigssp.org/activity/report_150321_01.pdf
  ・報告書要約:http://iigssp.org/activity/report_150321_02.pdf

 この報告書にも書いたが、ドイツのエネルギー政策は、多くの日本人が信じ込んでいるようなバラ色のものでは決してないということを改めて知った。

 ドイツの隣国フランスは、世界有数の『原子力大国』。原子力と再エネは、CO2を排出しないクリーンエネルギーであるという点で共通している。

 私は上記のドイツ出張の後、フランスから見たドイツの再エネ政策の成否について、フランス在住の専門家に見解を伺ってみたいと思うようになった。

 そして先だって、フランスで同国内の電気・ガス料金比較サービスを手掛けるSelectra社(http://selectra.jp/)の創業者であるXavier Pinon氏と懇談する機会を得た。

 その際、次の2点で意見が一致した。

(1)ドイツは、2000年に"脱原子力"を宣言し、2022年までに完了することを決めている。そうした取組みを推進する中で、ドイツは"環境大国"としての国際的な地位・名声を高めてきた。近年、ドイツ経済は好調であり、欧州を牽引し続けている。ドイツのエネルギー政策に世界からの注目が集まる理由はここにある。

(2)ところが、実態はそれほど単純なものではない。ドイツは経済的には欧州のリーダー格になっているが、原子力から再エネへのエネルギー転換は、その開始時点から一貫して企業の競争力低下を招いている。さらに、国が原子力を放棄し、再エネの利用を促進する方針を打ち出すことは、必ずしも"環境大国"へと直結するものではない。ドイツ電力システムの現状は、その理想からは程遠い。

 以下では、Selectra社の2人と私の共通認識として、フランスとドイツの電力コスト差に関して述べていきたい。
 

1)ドイツの電気料金は、フランスの2倍

 フランスもドイツも、近年の電気料金推移は同じ傾向にある(資料1、資料2)。両国とも、電気料金は徐々に上昇しつつある。
 

<資料1:家庭用(年間消費量5〜15MWh)の電気料金推移>
2016-07-06-1467814995-8085284-2016070623.21.54.png
出所:Eurostat


<資料2:産業用(年間消費量500〜2000MWh)の電気料金推移>
2016-07-06-1467815032-6612474-2016070623.22.09.png
出所:Eurostat


 ドイツの電気料金は、家庭用・産業用ともに、フランスの約2倍の水準。2015年で見ると、①ドイツの家庭用電気料金は、1kWh当たり0.28ユーロであるのに対し、フランスでは同0.15ユーロ、②ドイツの産業用電気料金は、1kWh当たり0.20ユーロであるのに対し、フランスでは同0.11ユーロ。

 再エネの普及を促進するため、ドイツやフランスも含めた多くの国では、再エネの固定価格買取制度(FIT)に基づく「再エネ賦課金」を消費者から徴収している。

 エネルギーを大量に消費する事業者の競争力を削がないために、ドイツ企業には再エネ賦課金の減免措置があるが、それでも再エネ賦課金を含む高い電気料金はドイツ企業の経営を圧迫している。

 フランス企業は、そうではない。他の欧州諸国と比較して電気料金が低いことがフランス産業界の強みとなっている。これは、フランス産業界における生産コストを下げ、投資能力を高めている。

 産業用の電力消費量は、フランスの総電力消費量の16%を占めており、家庭用、交通用に次出3番目。自動車(ルノー、PSA)、建設(Lafarge-Holcim, ブイグ)、航空(エアバス、タレス、スネクマ)、鉄鋼(アルセロールミタル)といった様々な業種で示、フランス企業は強い競争力を備えている。

 エネルギー多消費型産業においては特に、電気料金が経営を左右する大きな要素の一つ。安い電気を調達できるということが企業の国際競争力の維持・向上にとって重要であることは間違いない。


2)ドイツとフランスの電気料金の大差の理由は何か?

 ドイツの電気料金が高いことの大きな理由は、再エネ賦課金が相当高いことで概ね説明される。

 ドイツの再エネ賦課金は、例えば0.0205ユーロ/kWh(2010年)から0.06354ユーロ/kWh(2016年)に上昇している。これは、1kWh当たりの小売価格の2割以上を占めていることになる。

 フランス監査院は、2013年のレポートで、原子力の発電コストは49.5ユーロ/MWhで、あらゆる発電形態の中で最安値の部類に属すると推定。水力の発電コストは15〜20ユーロ/MWhと、原子力よりも安いとされている。

 その他では、陸上風力の発電コストは82ユーロ/MWh、洋上風力は同220 ユーロ/MWh以上、化石燃料は同70〜100ユーロ/MWh、太陽光発電は同230〜370 ユーロ/MWhとされている。
 
 フランスでは、原子力と水力で総発電電力量の87%以上(2015年)を占めている。

 ドイツとフランスの電気料金に大差があるのは、こうした事情による。

【ENERGYeye 2016年7月号 vol.7】 〜 インタビュー記事掲載

 ENERGYeye 2016年7月号 vol.7に、私のインタビュー記事が掲載されています。

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2015年の中国:韓国を抜いて世界第4位の原子力大国に・・・

 BPが今月発表した “ Nuclear energy - 2015 in review” によると、2015年における世界の原子力発電量(世界の一次エネルギー消費量の4.4%)は前年比1.3%増で、中国での伸び(前年比28.9%増)が大きく寄与したとのこと。

《原文より抜粋》
Global nuclear output grew by 1.3%, with China (+28.9%) accounting for virtually all of the increase
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Nuclear energy - 2015 in review


 中国は、韓国を抜いて世界第4位の原子力発電量に達した。因みに、ロシアは対前年比8%増、韓国は同5.3%増、スウェーデンは同12.6%減、ベルギーは同22.6%減、EUは同2.2%減で1992年以来最低。

China has passed South Korea to become the fourth-largest supplier of nuclear power. Elsewhere, increases in Russia (+8%) and South Korea (+5.3%) offset declines in Sweden (-12.6%) and Belgium (-22.6%). EU output (-2.2%) fell to the lowest level since 1992. Nuclear power accounted for 4.4% of global primary energy consumption.


 2011年以降の原子力発電量の一時的急減は、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の影響と思われる。日本では、震災による原子力事故以降、原子力発電が再開され難い規制運用になっている。

 しかし、隣国の動きを始めとした世界のエネルギー情勢を俯瞰すれば、日本は、原子力発電再開を躊躇している政治状況を政治主導で克服していく必要がある。現状、日本のエネルギーを巡るコスト・安全保障の両面とも、日本は不利な方向に自ら進んでいる。


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Nuclear energy - 2015 in review

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.105】

2016年7月15日12:30~13:18【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.105】


Youtube : https://youtu.be/GHkZQ0CXVPY



<番組内アンケート調査結果>
Q:都知事選では誰に投票するか?
A:増田さん2.9%、小池さん86.7%、鳥越さん10.4%


 

米国ハワイ州:太陽光優遇制度の廃止で約4割の雇用減・・・

 米国ハワイ太陽光発電協会(HSEA;Hawaii Solar Energy Association)が今月6日に更新した “HSEA July Monthly Report”によると、ハワイ州でネットメータリング制度(NEM)が昨年廃止されたことにより、

①太陽光発電事業に従事する従業員の39%が雇用減(昨年10月1,131人→今年7月692人)となり、
②太陽光発電事業の従事する企業の88%で雇用減となった

とのこと。


《原文より抜粋》
The HSEA asked its members and other companies to provide employment numbers from two points in time: pre-October 2015 figures (prior to the cessation of the Net Energy Metering Program ("NEM")) as well as the most recent figures. In total, companies reported 1,131 employees prior to the October decision versus 692 current employees—a 39% decrease. Additionally, 88% of the companies polled reported job losses. 

 NEMとは、家庭用太陽光発電の導入を促進するための米国独特の制度。家庭が設置した太陽光による余剰電力と、その余剰電力と同量の電力会社からの電力(系統電力)を相殺するという仕組み。米国の家庭需要家は、太陽光が発電しない時間帯では系統電力を購入する。

 NEMにより、昼間の余剰発電分と系統電力購入分を相殺できるので、結果的に系統電力の使用量に係る従量料金を支払わない家庭が急増した。これにより、電力会社の系統(送電網)に係るコスト負担をしない家庭需要家が増えるなど、不公平感が高まっていたようだ。

 
 NEMのような仕組みは日本では採用されていないが、太陽光発電の導入促進策は、各国それぞれにコスト面や公平性の観点からの問題が顕在化してきている。

 太陽光は、原子力・火力・水力などと違い、比較的容易に設置できる電源であることから、いったん優遇策を当てがうと爆発的に普及するので、バブル化しやすい。今後は各国それぞれ、太陽光の健全な普及促進策に修正していく必要がある。

 日本では、先の国会でFIT制度改革法が成立した。
私は衆参両院でのこの法案審議の参考人質疑に出席した。概要は以下の2記事を適宜参照されたい。
  

ドイツ:再エネ入札制度は2017年1月施行

 先月20日のブログ記事の続編。

 今月8日のNHKニュース
にあるように、ドイツでは再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)に係る改正法が成立。これにより、来年1月より、固定価格ではなく、入札による再エネ電気の調達が原則となる。

<報道要旨>
・16年前に再エネ買取制度が導入されたドイツでは、国が市場価格を上回る値段での買取りを義務づけ。
・参入事業者が相次ぎ、総発電量に占める再エネ割合が3割を超えるまでに増えた。
・電気料金が高騰し、制度見直しを求める声が強まっていた。
・来年以降、国が価格を決める制度を原則廃止。
・その代わり、新たな発電設備が作られる際、事業者を対象に入札を行い、買取価格を決める。 

44

2016.7.8 NHKニュース


 ドイツでは、現行FITにより、送電会社が再エネ電気を月平均の卸市場価格に、法定価格との差額(0.4セント/kWh)を加算した価格で買い取っている。現在、再エネ電気の割合は3割を超え、平均10セント/kWh以上が電気料金に加算。
 
 今回の改正法施行により、今後は750kW超(バイオマスは150kW超)の再エネ発電設備について、新規の調達は入札により調達される。具体的には、次のような制度改正となる。

  現 行:月平均卸電力市場価格+(法定価格-卸電力市場価格)+0.4セント
  改正後:月平均卸電力市場価格+(落札価格-卸電力市場価格)

 これは、新規の再エネ電源に関するものであって、既設の再エネ電源に関するものではない。だから、現行FITによる固定価格買取期間(20年など)が順次終了するまで、国全体の再エネ買取総額の増加率が減少するに過ぎず、急に来年から再エネ買取総額が減少するわけではない。

 つまり、ドイツでは当面、世界的に相当高い再エネ賦課金が続くことになる。

 ドイツを参考にしてFITを導入した日本でも、先の国会で成立した改正再エネFIT特措法によって入札制への移行などが決まった。ただ、ドイツと同様に、当面は再エネ賦課金は加算されていくことになる。 

 尚、先の国会で成立した改正再エネFIT特措法について、私は衆参両院でのこの法案審議の参考人質疑に出席した。概要は以下の2記事を適宜参照されたい。

東京都の抱える課題:『介護』 〜 待機老人は最低でも4.3万人

 今月31日の東京都知事選の争点の一つは、高齢者の『介護』。

 次の都知事が取り組むべきは、次の2つ。

(1)介護に係る家族の負担をなくすため、老人ホームを増設せよ。

(2)介護人材を増やすため、介護職の待遇を大幅に改善せよ。


>>>

 民間の有料老人ホームに比べて経済的負担の軽いのが、介護保険を利用できる特別養護老人ホーム(特養)である。

 特養への入所を希望しながらも未だ入所できない「特養の待機老人」は、2014年3月25日の厚生労働省発表によると、①国全体では52.4万人、②東京都では4.3万人と都道府県別では最多。

 今年4月4日付けの毎日新聞ネット記事によると、自宅で家族を介護している人の約7割が精神的・肉体的に限界を感じているとの由。

<記事抜粋>
・介護によって精神的・肉体的に限界を感じたことが「ある」とした人は73%。
・全体の22%は介護中に被介護者に暴力をふるった経験があると回答。
・介護している家族を殺してしまいたいと思ったり、一緒に死のうと考えたりしたことがあると答えた人も約2割。
・介護による不眠状態が「続いている」と「時々ある」を合わせると、全体の約6割。

12
2016.4.4 毎日新聞ネット記事

 介護を要する高齢者を抱える家族の精神的・肉体的負担を極力軽くするためにも、介護サービスの充実が緊要であることは言うまでもない。

 特養への入所希望者は、介護護保険制度が始まった2000年から増えており、入居待ちが常態化している。これが「特養の待機老人」問題である。

 昨年1月の介護報酬引下げ以来、特養やデイサービスの利用料は約4.5%引き下がった。だが、人手不足から介護職員の賃上げ圧力は強まり、小規模なデイサービスは介護保険からの収入減のや人件費上昇によって経営難に陥る例が急増。
 
 2020年には国民の5人に1人が75歳以上になり、国民の3人に1人が65歳以上になる。団塊世代が75歳以上になる“2025年問題”は約10年後である。介護施設を早急に増やしていかなければ、特養も含めた「待機老人」が増え、その分だけ精神的・肉体的負担を強いられる家族も増える。

 介護人材不足も深刻。2015年6月24日の厚労省発表によると、 このままで推移すると、2025年の介護人材不足(介護人材の需給ギャップ)は、①国全体では37.7万人、②東京都では3.6万人となってしまう。 

 よって、次の都知事が先ず早急に取り組むべきは、(1)介護に係る家族の負担をなくすために老人ホームを増設することや、(2)介護人材を増やすために介護職の待遇を大幅に改善することなどである。

 あと、「待機老人」と「特養の待機老人」は違う。特養入所希望者だけでなく、それ以外の者も含めた全貌を把握すべく、「真の待機老人」の数を公式に統計すべきだ。 


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/183125/

ドイツ:石炭火力発電所からの公害による早死で苦悶・・・

 今月5日付けの EurActiv では、再生可能エネルギーへの転換が大歓迎されているドイツは、EU諸国の中で石炭火力発電所による公害で、より多くの人々が早死していることに苦しんでいる旨を報じている。

《原文より抜粋》
Germany – home to the much-hailed ‘Energiewende’ green revolution – suffered more premature deaths linked to coal plant pollution than any other EU member state, research by health and environment campaigners has found.

40
http://www.euractiv.com/section/health-consumers/news/report-germany-suffers-more-coal-linked-deaths-than-rest-of-eu/


 EU域内の石炭火力発電所280基のうち250基が2013年に排出した公害物質により、22,900人以上が死に、数万人が気管支炎となり、そして最大62.3億ユーロ(約7000億円)の医療費がかかった。

 ドイツでは、2013年に3,603人が石炭火力発電所関係の疾患で死亡した。

 このうち1,860人の死亡は、ドイツ国内の石炭火力発電所を原因とされている。残りの1,770人の早死は、ドイツ国外のEU諸国とされており、そのうちポーランドからの公害による死者は630人とされている。

 ドイツは、福島事故後に縮小した原子力発電分を、ポーランドからの安価な石炭火力発電分で補っている。

Analysis of 257 of 280 coal-fired power plants in the EU found that their 2013 emissions caused over 22,900 deaths, tens of thousands of illnesses from heart disease to bronchitis, and up to €62.3 billion in health costs.

3,630 people in Germany died from coal-related illnesses in 2013, according to the report by the Health and Environment Alliance, Climate Action Network Europe, WWF European Policy Office and Sandbag.

1,860 deaths were traced to coal plants in Germany, which is moving to a low-carbon energy system. The Energiewende (energy switch-over) will require the retirement of most, if not, all coal powered generation in Germany.

The remaining 1,770 premature deaths were traced to pollution caused by coal plants in other EU countries. Polish pollution claimed 630 of those lives, the research claims. 

Germany buys cheap coal-fired energy from Poland to pick up the slack left by the abandonment of nuclear power after the Fukushima disaster. 


 要するに、近年のドイツでは、原子力発電代替などを理由とした石炭火力発電増加によって、死者数や罹患数が増えているという話。図らずも、福島事故後のドイツの原子力発電縮小が石炭火力発電増加を招き、それによって死者数が増加するという負のスパイラルを示している。

 これも、日本や各国が教訓としておくべきことだ。
 

 因みに、上記の根拠を示した報告書 ‘ EUROPE'S DARK CLOUD ’ によると、EU諸国での石炭火力発電所に由来する早死者数は次の通り。ポーランド、ドイツ、イギリス、ルーマニアの順に被害が大きいようだ。

27
(出所: ‘ EUROPE'S DARK CLOUD ’ )

電力会社の切り替え:6/30集計で126万件(全世帯の2.0%程度)

 電力広域的運営推進機関が、先月30日24時までの情報照会、スイッチング(切り替え)の申込み状況を集計したところ、それぞれ全国計で655.18万件、126.44万件であった。
 
04


 全国の世帯数は約6,253万(2015年度の一般家庭等の通常の契約口数)なので、今のところ、切り替え件数は全体の2.022%、情報照会から切り替えに至るのは19.299%となる。

 因みに、経産省が昨年11月18日に発表した資料では、「8割の人は、少なくとも切り替えの検討はする意向」、「現時点で切り替えを前向きに捉えている(「すぐにでも変更したい」「変更することを前提に検討したい」)人に限っても、25%弱存在する」とのアンケート調査結果が掲載されている。

 しかし上述のように、現実はまだまだその域には達していない。というか、図らずもこうしたアンケート調査には、調査主体の期待感が込もり過ぎる嫌いがあることを示した格好だ。

 尚、今月1日に経産省が発表した下記の資料「スイッチングの申込状況」では、①先月17日時点でのスイッチングの申込件数(自社内の契約切替え(規制→自由)を含まず、他社への契約先の切替えの件数に限る)は約116万件であり、②5月末時点での旧一般電気事業者の自社内の契約の切替え(規制→自由)の申込件数は約171万件で、スイッチング件数と合わせた契約切替えの申込件数は合計約287万件であるとしている。

06
(出所:2016.7.1 経済産業省「小売全面自由化に関する進捗状況」


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/182815/

2015年の米国:稼働率順位は「原子力>ガス>石炭>水力>風力>太陽光」

 今月7日の米国原子力エネルギー協会(Nuclear Energy Institute(NEI)の発表によると、2015年における米国内の電源ごとの稼働率(設備利用率)は、次のような順位であった〔資料1〕

 原子力>天然ガス(コンバインドサイクル)>石炭>水力>風力> 太陽光


<資料1:米国内の電源ごとの稼働率(2015年)>
59
(出所:NEI


 原子力に関しては、先のブログ記事でも書いたように、全米30州にある全99基の原子力発電所の平均稼働率が過去最高の91.9%を記録し、上位10基の稼働率は軒並み100%超であった。

 原子力発電は、化石燃料その他のエネルギーによる発電との比較において、コスト低減効果やCO2・SOx・NOx排出抑制などの環境保全効果がとても大きい。もちろん、使用済燃料や放射性廃棄物に係る諸問題を解決する途を示すべきであるのは当然。いわゆる“最終処分問題”は、適切な中間貯蔵により実は大丈夫だ。

 原子力発電所の運営は、政治的に翻弄されやすいが、その面で適切な判断がなされれば、技術的に可能な範囲で稼働率を90%以上にまで引き上げることができる。

 主要国の原子力発電所の動向と比較すると、米国の平均稼働率は高水準である一方で、日本の平均稼動率は低水準で、しかも2011年以降はゼロ近傍であることが一目瞭然
〔資料2〕


<資料2:主要国の原子力発電所の平均稼働率の推移>
14
(出所:日本原子力産業協会


 その理由は、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故後の政治・行政上の判断による。原子力発電所事故を経験した米国と旧ソ連は、事故炉以外の原子炉を強制停止状態にはしなかったが、日本はなぜか事故炉以外の原子炉まで、事実上、強制停止状態にしている。

 日本のエネルギー事情を冷静に見つめれば、原子力規制基準に係る猶予期間の設定など原子力規制行政上の運用を改善することで、事故炉以外の原子炉の早期正常化を政治的に決断する必要がある。

 天然ガス(コンバインドサイクル)と石炭の設備利用率が50%台にあるのは、日本との比較においては、やや低いと思われる。こうした化石燃料による発電(火力発電)は安定電源なので、供給安定性の観点からは、火力発電は他の火力発電や原子力発電の代替になり得る。

 但し、火力発電は、原子力や再生可能エネルギーによる発電との比較において、CO2・SOx・NOx排出などの環境影響が相当ある。日本のような化石燃料をほぼ全面的に輸入依存している国では、コスト面でも大きな負荷がかかっている。エネルギー自給率を向上させる必要性は、安全保障面だけでなく、コスト面からの要請でもある。

 風力と太陽光の設備利用率は、日本(陸上風力20%、太陽光14%)との比較においては、相当高い。しかし、これらの再エネによる発電は、当面の技術では、不安定電源であること、不安定電源であるために火力発電によるバックアップが必須であること、設備容量が小さいことなどから、原子力発電や火力発電の代替にはなり得ない。


《原文より抜粋》
For those who hope that renewables can quickly fill the gap left by closed nuclear energy facilities, NEI points out that wind and solar lack the scale and reliability of nuclear power plants that usually run 24/7 except when they are in refueling outages.
“Renewable sources are intermittent and do not have the same value to the grid as dispatchable baseload resources like nuclear plants. And renewables do not have the scale necessary to replace existing nuclear plants,” NEI says.

 原子力と風力・太陽光に関する上述のような見解は、NEIだろうが、誰だろうが、同じものになる。水力・地熱・バイオマスと違って、風力・太陽光は天候に左右されるので、蓄電システムが浸透するまでは、不安定電源のデメリットを克服することはできない。

 原子力と風力・太陽光の関係を語るには、こうした基本的知識を大前提としていかないといけない。蓄電システムが普及はまだまだ遠い未来の話であろう。それまでの間は、原子力と化石燃料で凌いでいくしかないのだ。

 将来的に風力・太陽光など『再エネ100%化』を目指すべきであることは、言うまでもない。 

月刊Business i. ENECO 地球環境とエネルギー 2016年7月号:原発の運転延長を審査中に40年を迎えたら…審査中は、運転時間の“時計”止める規定を

 先月28日発売の月刊Business i. ENECO 地球環境とエネルギー 2016年7月号での連載「石川和男のエネルギー&環境スピークアウト」。

<原発の運転延長を審査中に40年を迎えたら…審査中は、運転時間の“時計”止める規定を>24
25
11
 

平成27年9月関東・東北豪雨による太陽光パネル崩落現場 〜 10ヶ月後の姿

 先のブログ記事では、昨年9月9〜11日の「平成27年関東・東北豪雨」によって被災した太陽光パネルの崩落現場の写真(今年5月中旬時点)を掲載した。場所は、仙台市太白区の住宅地にある斜面。

 今現在は、私の知人が今日送ってくれた以下の写真(今月2日時点)の通り。
 

160702羽黒台①


160702羽黒台②


 これを見る限り、今もまだ片側交互通行であり、道路交通は完全には復旧していないようだ。 

 今改めて思うが、別のブログ記事で掲載した東北電力仙台太陽光発電所と比べると、この崩落太陽光パネル群は、基礎工事部分も含めて安全性・環境性の水準があまりにも低かった。

 今回の被災教訓を踏まえた安全対策の早期構築や太陽光発電所の早期復旧が望まれる。

 その際、電力会社の太陽光発電所と同じ水準の安全性・環境性を求めるべきだ。太陽光発電への信頼性を盤石なものにするためにも、そのくらいの厳しい安全・環境基準を整備していく必要がある。


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/182591/

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.104】

2016年7月6日12:30~13:22【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.104】

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv268345910

Youtube : https://youtu.be/ovKfHFImCOk



<番組内アンケート調査結果>
Q:参院選の投票前に候補者の公約を確認するか?
A:確認する71.7%、確認しない18.8%、わからない9.4%

《ハフィントンポスト寄稿》政治の監視が効かない原子力規制行政の"独走" 〜 元委員の要求を異例の特別扱い

政治の監視が効かない原子力規制行政の"独走" 〜 元委員の要求を異例の特別扱い


 先般、原子力規制委員会(とその事務局である原子力規制庁)がまたもや"独走"した。これはやはりおかしいのではないか?

 去る6月8日、関西電力の大飯原子力発電所3・4号機の運転差し止め請求裁判控訴審(名古屋高等裁判所金沢支部)で、原子力規制委の前委員長代理である島﨑邦彦氏が"陳述書"を提出した。

 ここで島﨑氏は、今年4月の熊本地震で得られた精度の高いデータを根拠に、大飯原子力発電所の「基準地震動」(=耐震設計の基準となる地震動)の計算が過小評価にならない計算式で計算し直すべき、と主張している。

 原子力規制委・規制庁は、従前から、運転差し止め請求に関してはコメントしない立場を取っていた。だが、今回は違った。

 6月20日付け原子力規制庁資料によると、「新聞報道等があり、その内容が島﨑前委員長代理在任中に行われた審査に関するものであったこと」から、原子力規制委の田中俊一委員長と石渡明氏(地震・津波などを担当)が島﨑氏と面談し、その席で島﨑氏は耐震計算のやり直しを要求。

 そして6月20日、原子力規制委は定例会合で、大飯原子力発電所の地震の揺れについて再計算することを決めた。報道によると、「元々の審査の責任者の指摘なので例外的に受け入れた」(田中委員長)というのが、その理由。
 
 しかし、これはかなり変な話だ。

 新しい知見が提起された際、それを原子力規制基準やその運用にどのように反映させるか、具体的な手順は決められていないのだ。「元々の審査の責任者の指摘なので例外的に受け入れた」という情緒的な理由を根拠とするのは大きな問題であろう。

 これまでの原子力規制委・規制庁の行政手法にも通じることだが、なぜ、こうした曖昧なやり方が許されるのか? そして、なぜ、それを指摘する政治関係者や報道関係者が殆ど現れないのか?

 2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の後、既設の原子力発電所に対して最新の基準に適合することを義務付ける"バックフィット"が制度化された。原子炉等規制法第43条の3の23で、「(原子炉施設の位置、構造及び設備が)原子力規制委員会規則で定める基準に適合しないと認めるときは・・・使用の停止、改造、修理・・・必要な措置を命ずることができる」と規定された。

 本来、このような『法の遡及適用』は、憲法第29条で保障されている財産権を侵害することとなりかねないため、憲法第31条(適正手続の保障)を踏まえ、法律や規則を作って手続などを定めておかなければならないはずだ。

 しかし、原子力規制委・規制庁は、具体的な運用ルールを委員会規則で定めず、法的根拠のない私文書、いわゆる"田中委員長私案"によってバックフィットを求め、原子力発電所の再稼働を事実上強制的に停止させ続けている。

 この問題については、私はこれまでも別の寄稿などで再三再四提起してきた。

 島﨑氏は、2014年9月まで原子力規制委の委員として原子力発電所の地震や津波の審査の取りまとめを行ってはいた。

 だが、現在は地震学者の一人であって、今回の主張も多くの学説のうちの一つでしかない。今回なぜ、島﨑氏の主張だけを特別扱いするのか?

 今後の再計算結果によっては、大飯原子力発電所の再稼働が更に遅れる可能性がある。

 田中委員長は「新知見だから受け入れたということではなくて、島﨑先生がもともと責任者ですから、その方がおっしゃるということで、我々が今、できる範囲のことでやってみよう」と6月20日の定例会見で明言している。

 "もともとの責任者だから"とか、"マスコミが騒ぐから"といった理由で特別扱いすることが許されるのだろうか?

 日本の原子力規制を担う行政機関が、そんな程度の認識で良いのだろうか?

 日本原子力発電の敦賀原子力発電所や、北陸電力の志賀原子力発電所に係る活断層(敷地内破砕帯)の調査を巡って、原子力規制委・規制庁は、自ら主宰した有識者会合のピア・レビュー会合で出された専門家の意見については無視し、評価書を取りまとめた。

 ところが、一人の地震学者の意見には直ちに耳を傾ける。こんな一貫性のない運用が行われて良いはずはない。

 今回、島崎氏が"過小評価"の懸念を示した地震動の計算式は、「入倉・三宅式」という名の式。この式を考案した入倉孝次郎氏は、自身のホームページで、島﨑氏の主張に対して以下のように反論している。

◎入倉・三宅(2001)の内容が、正しくない、とする結論は、いかにも性急すぎる判断と思います。入倉・三宅式を強震動予測など防災目的に用いるとき「行政的にどのような注意が必要か」は、あきらかに別の話です。強震動データを用いた熊本地震の解析結果と入倉・三宅式との比較など、詳細な分析を抜きにして、入倉・三宅(2001)を使うと過小評価になると断罪することは、あまりに偏った考え方と思います。

◎入倉・三宅式(2001)のスケーリング則は科学論文として査読付きの雑誌掲載されたものであり、・・・・(各種論文でも)その有効性が検証されています。

 一方、島﨑氏の主張は上述の通り、未だ「一人の地震学者の意見」に過ぎない。

 このように、学説が分かれる段階であるにもかかわらず、一方の学者の要求に従い、法律に基づく大飯原子力発電所の地震動の審査に関連する「再計算」を、公権力を行使する規制行政機関が行うことは、とても妥当なこととは思えない。

 仮に「地震動評価に問題あり」との計算結果になった場合、マスコミは大騒ぎし、原子力規制委・規制庁はその対応に右往左往するだろうし、大飯原子力発電所の再稼働への影響は避けられないであろう。

 活断層を調査する有識者会合や、バックフットの運用ルールを定めた"田中委員長私案"は、法律に基づくものではない。今回の島﨑氏の要求への対応も、法的根拠はどこにもない。

 原子力規制委・規制庁は『法律による行政の原理』を無視しており、『規範意識』が欠如していると言われてもおかしくない。

 新しい科学的知見は常に発見されるものであり、それらを適時適切に原子力発電所の安全対策に反映させることは、とても望ましいことだ。しかし、それらを実際の規制として実行するには、『透明な手続き』や『現実的な猶予期間』が必須であり、その対策に係る『適切な保障』も必要に応じて用意しなければならない。

 マスコミ報道に左右される行き当たりばったりの恣意的な規制運用は健全な企業経営にマイナスであり、電力の低廉安定供給に悪影響を及ぼす。現に、そうなっている。

 こんなことばかり続けていると、『原子力正常化』はますます遅れ、電力コスト・電気料金の高止まりや、国富の徒な流出、エネルギー安全保障への悪影響だけでなく、日本の原子力規制行政が諸外国からの信用を更に失うことになりかねない。

☆ニュース配信☆ 今、世界の原子力発電所は・・・運転中444基(うち米国99基)、建設中63基(うち中国22基)

今、世界の原子力発電所は・・・運転中444基(うち米国99基)、建設中63基(うち中国22基)

Gadgetwear 

http://www.gadgetwear.net/2016/06/444996322.html


livedoorニュース

http://news.livedoor.com/article/detail/11675784/


日刊アメーバニュース

http://news.ameba.jp/20160623-99/


BIGLOBEニュース

http://news.biglobe.ne.jp/economy/0623/gdw_160623_9225613758.html



 米国原子力エネルギー協会(Nuclear Energy Institute)の最近の発表
によると、2016年5月現在、全世界で444基の原子炉が運転中、15ヶ国で63基が建設中。 

《原文より抜粋》
As of May 2016, 30 countries worldwide are operating 444 nuclear reactors for electricity generation and 63 new nuclear plants are under construction in 15 countries. 

 運転中の原子炉444基について、国別に見ると、米国99基、フランス58基、日本43基、ロシア35基、中国33基、韓国25基、インド21基の順。 

 建設中の原子炉63基について、国別に見ると、中国22基、ロシア8基、インド6基、米国4基、アラブ首長国連邦4基、韓国3基の順。(日本は2基(大間と島根3号機)と掲載されている。) 

 2012年で、原子力発電所は世界の電力供給の11%を賄っている。2015年で、自国の電力供給量の1/4以上を原子力で賄っている国は、フランス(76.3%)、ウクライナ(56.5%)、ベルギー(37.5%)、スウェーデン(34.3%)、フィンランド(33.7%)、スイス(33.5%)、韓国(31.7%)など13ヶ国〔資料1〕。 

Nuclear power plants provided 10.9 percent of the world's electricity production in 2012. In 2015, 13 countries relied on nuclear energy to supply at least one-quarter of their total electricity. 

 2015年での原子力発電電力量について、国別に見ると、米国、フランス、ロシア、中国、韓国の順〔資料2〕。


<資料1>
(出所:NEI資料

<資料2> 
(出所:NEI資料

電力会社の切り替え:6/24集計で122万件(全世帯の1.9%程度)

 電力広域的運営推進機関が、先月24日24時までの情報照会、スイッチング(切り替え)の申込み状況を集計したところ、それぞれ全国計で619.1万件、121.87万件であった。

44
(出所: https://www.occto.or.jp/oshirase/hoka/files/20160701_swsys_riyoujyoukyou.pdf


 全国の世帯数は約6,253万(2015年度の一般家庭等の通常の契約口数)なので、今のところ、切り替え件数は全体の1.949%、情報照会から切り替えに至るのは19.7%となる。

 因みに、経産省が昨年11月18日に発表した資料では、「8割の人は、少なくとも切り替えの検討はする意向」、「現時点で切り替えを前向きに捉えている(「すぐにでも変更したい」「変更することを前提に検討したい」)人に限っても、25%弱存在する」とのアンケート調査結果が掲載されている。

 しかし上述のように、現実はまだまだその域には達していない。

 尚、今月1日に経産省が発表した下記の資料「スイッチングの申込状況」では、①先月17日時点でのスイッチングの申込件数(自社内の契約切替え(規制→自由)を含まず、他社への契約先の切替えの件数に限る)は約116万件であり、②5月末時点での旧一般電気事業者の自社内の契約の切替え(規制→自由)の申込件数は約171万件で、スイッチング件数と合わせた契約切替えの申込件数は合計約287万件であるとしている。
 

《ハフィントンポスト寄稿》「もんじゅ」行政への最後通牒 〜 次回はない、今回がラストチャンス

「もんじゅ」行政への最後通牒 〜 次回はない、今回がラストチャンス

 

 高速増殖原型炉「もんじゅ」は、1983年に旧「動力炉・核燃料開発事業団」が国の原子炉設置許可を受けて開発され始めた。ウラン資源の利用効率を飛躍的に向上させる高速炉サイクル技術の要として期待され、94年に初臨界を達成。世界で唯一のループ型というタイプで耐震性に優れ、西側諸国で現存する唯一の『ナトリウム冷却炉』として、世界中から注目を集めていた。

20年前のトラブルをいつまでも引きずっている...


 翌95年には初発電に至ったのだが、その年末、二次主冷却系配管からのナトリウム漏洩事故が発生。この配管に取り付けられていた温度計の鞘管からナトリウムが漏れた。原因は、温度計の鞘管の形状に係る重電メーカーによる設計ミス。

 ナトリウム漏洩量は640kgで、このうち410kgは屋内で回収され、残りの230kgは屋外に放出されたが環境への影響は認められなかった。この過程で、ナトリウムの温度はそれほど上昇しなかったので、ナトリウムを迅速に回収し、適切に処理することは、本当は可能だった。

 しかし、当時の規制当局であった旧科学技術庁や原子力安全委員会が"現場の保全"を指示したため対応が遅れた。しかも、二次系のナトリウム漏れ程度のことを重大事故と決め付けた上に、いわゆる"ビデオ隠し"が二度も起こってしまったため、「もんじゅ」運営を正常に戻す機会は失われた。

 その後、旧動燃事業団は別の原子力事業を行う特殊法人と統合され、「日本原子力研究開発機構」(JAEA)へと改組された。JAEAは複数の原子炉を保有することになり、型の異なる新型炉の開発や放射性廃棄物の処理といった幅広い研究を手掛けるようになった。

 これにより、「もんじゅ」はJAEAが擁する数多ある研究部門の一つとしてJAEAの中で埋没した形になってしまった。こうした情勢変化の中で、「もんじゅ」の運営責任の所在も曖昧になり、その状況は今にまで至っている。

原子力規制委員会からの宣告の善し悪し


 原子力規制委員会は昨年11月、JAEAには「もんじゅ」を運転する能力がないとして、所管する文部科学省に対して、新たな「もんじゅ」の運営主体を決めるよう勧告をした。これを受けて文科省は、昨年12月から広くヒアリングや現地調査を行った上で、「もんじゅ」の運営主体が備えるべき要件を抽出した報告書を今年5月末に取りまとめた。

 この報告書では、研究ばかりに比重を置くなど偏った運営形態が相次ぐトラブルの背景にあるとして、原子炉の保守管理活動について自主的に定めた現行の「保全計画」の抜本的な見直しを求め、それに相応しい保守管理体制の整備や、有益な情報の収集・活用、技術の継承・高度化、強力なガバナンスを求めている。

 これは、具体性に欠ける部分はあるにせよ、極めて現実的かつ妥当なものである。この方向性を志向しながら、国の「エネルギー基本計画」に沿った放射性廃棄物の減容と有害度の低減を行え、また、2018年に期限を迎える日米原子力協定の延長を念頭に置いたプルトニウムの安定的な消費を行える核不拡散技術としての「もんじゅ」を活用すべきだ。

 一部の大衆マスコミなどで蔓延している「もんじゅ」廃炉論に与するのではなく、今いる現場の技術者を中心として「もんじゅ」の運転・保守管理に特化した開発を進める新たな組織を設けることが肝要だ。現行の保全計画は、08年末に旧原子力安全・保安院が出した指示に基づき、2ヶ月程度で策定された。当時、他の原子力発電所での保守管理が強化されたのに合わせて、急場凌ぎで拙速に作られたもの。

 そのため、高速炉という特殊な炉でありながら、商業用として稼働している軽水炉と同じ点検項目が採用されているなど、内容的な不備も散見される。

「もんじゅ」の現場はしっかりしている


 私は今年3月、「もんじゅ」の現場を視察し、原子力規制委が指摘した"点検漏れ"は保全計画の記述の不備に起因しているものが大半であることを直接確認した。例えば、「一式の点検」としている箇所に対して、"可視可能範囲のみを対象とする等、点検内容のとおり実施していない"という一方的な指摘がなされており、他の点検手法の可能性や存在すらも否定されている。

 しかも、こうした指摘の件数が、装置の数ではなく、パーツ・部品の数として数えられる。"点検漏れ"の件数が合計で万単位に膨れ上がってしまうのは、こうした数え方の問題だ。

 「もんじゅ」の信頼を回復していくためには、規制される「もんじゅ」の現場側だけでなく、規制・推進する側にいる原子力関連当局にも大きな責任がある。だから、元々の不備が多い保全計画を抜本的に見直すとともに、保守管理を徹底することで安全レベルを引き上げていくべきなのだ。

 「もんじゅ」の現場に行けば体感できるが、職員の士気はとても高い。「もんじゅ」は、入域の所は年季を感じさせる部分が多いものの、全体として20年も経っているのに整理整頓が行き届いてピカピカであり、『マイプラント意識』が徹底されている。「もんじゅ」の賛否両勢力の人々は、一度、現場を見学してみるべきだ。

 ナトリウム漏洩事故を起こした建屋4階の現場については、床も壁も新たにライナーを張り、空調装置を一新し、万一に備えた窒素ガス供給装置を新設するなど、再発防止策も徹底されている。

新組織をまた作るのか???


 今、大きく気掛かりなのは、先の文科省報告書を根拠に設立される新法人の位置付けである。馳浩文部科学相は、「もんじゅ」の運転・保守管理に特化して推進する新法人を文科省の下に設立し、自ら高速炉開発を進めることを考えているようだ。しかし、研究ばかりに比重を置く偏った運営形態を排し、敢えて研究を度外視するには、新法人は文科省の下ではなく、経済産業省の下に設けるべきだろう。

 文科省の所管のままでは、研究ばかりに比重が傾く過ちを繰り返しかねない。発電事業も含めた運転・保守管理に特化する業務である以上、原子力発電事の現業を進める立場にある経産省の所管とする方が合理的と考えるからだ。

 私は以前から、「もんじゅ」改革の落とし所として、今年5月に公布された再処理等拠出金法に基づき新設される『再処理機構』に「もんじゅ」を移管することが唯一無二の解決策である、と提起してきた。

  http://blog.livedoor.jp/kasumigaseki_soken/archives/47132149.html
  http://blog.livedoor.jp/kasumigaseki_soken/archives/47613989.html  

 これに対しては、『経産省が「もんじゅ」を引き取る可能性は、権限面からも、予算面からも、あり得ない』、『経産省には、文科省の尻拭いをしてまで「もんじゅ」を引き取る考えは全くない』、『経産省は、「もんじゅ」を廃炉にし、フランスが開発を進めている「アストリッド」という高速炉の共同開発に完全に移行すべきだと考えている』といった反響が寄せられた。

 そうであれば尚更、この際であれば、権限と予算を経産省に全面移管し、高速炉開発を国家プロジェクトとして強力に推進すれば良いではないか。もちろん、予算を長期的にダラダラと付け続けるのではなく、例えば「予算は従来の倍にするが、必ず5年で100%出力を達成して基本データを取る」というような即効性のある予算配分を行い、短期で目標達成を図るよう一定の制約を付すべきであることは言うまでもない。次がラストチャンスだ!とするのだ。

 「もんじゅ」は国が進める核燃料サイクル政策の柱の一つ。現在、①既設の原子力発電所に係る軽水炉サイクルと、②「もんじゅ」など高速炉サイクルに分かれている。

①軽水炉サイクルは、第三者機関であるエネルギー総合工学研究所が工場全体として安定運転に向けて準備が整っていると評価した 「六ヶ所再処理工場」(青森県六ヶ所村)や、既設の原子力発電所に係る軽水炉でプルトニウムとウランをミックスして燃やす実用技術である「プルサーマル」を中核とする。

②高速炉サイクルは、「もんじゅ」や、アメリシウムやネプツニューム、キュリウムを原料に混ぜて放射性廃棄物の消滅処理をする核燃料を製造する「高速炉燃料製造工場」を中核とする。

 これまでは①と②は互いに別モノとして扱われてきたが、今後はこれらを包括的に進めるために経産省へと所管を集中させ、日本の核燃料サイクル政策の総合的な司令塔機能を一本化することが現実的かつ最適である。

 本来ならば、米国エネルギー省のような組織を新設し、原子力発電・核燃料サイクル政策も含めたエネルギー政策を総合的に推進する体制にすべきなのだが、日本の場合にはこうした改革には莫大な労力と長い時間を要する。だから、経産省への一本化が現実的な最適解となる。

"核燃料サイクル先進国"フランスの新技術は日本には不的確


 フランスが開発を進めている「アストリッド」は、「もんじゅ」とは異なるタンク型というタイプの高速炉。両者には、耐震性能の面で大きな差がある。「アストリッド」の耐震性能は330gal程度しかない。「もんじゅ」の耐震性能は現状でも760galで、実際には1000galでも十分に対応可能だ。将来的に「アストリッド」が実用化されても、日本のような地震多発国で採用できるのか、大型化して経済性を追求できるかといった大きな課題がある。

 実は、フランスは経年劣化した軽水炉の延命研究のための「ジュールホロビッツ炉」というタイプの導入を優先しているだけでなく、原子力関係の研究開発予算を削減する傾向にある。そのため、「アストリッド」の推進に必要な予算がなかなか付かず、25年の竣工予定が4年ほど遅れる見通しとなっている。

 こうしたフランスの動向は、今年5月のOECD本部の国際会議でも大きな話題になったようだ。日米欧など世界7ヶ国・地域が共同建設するフランスの国際熱核融合実験炉(ITER)の計画の大幅遅延と相俟って、国際協力の危うさとともに、自国主導の国家プロジェクトの重要性が改めて浮き彫りになったと言える。

『準国産資源』であるプルトニウムの平和利用は日本の国是


 先日、ある主要国の駐日大使館のエネルギー担当者のコメントとして、次の2つのようなものがあった。

(1)大津地裁の仮処分決定で関西電力高浜原子力発電所3・4号機(プルサーマル)の稼動が停止した。プルサーマルの推進は、最高裁まで行けば否定されないだろうが、事実誤認や偏向判断が多い地裁が介在するためにかなりの年月がかかるのではないか。余剰プルトニウムを発生させないための政策を日本は具体的にどう実現するのか。国際的な原子力協定上も重要ではないか。

(2)再処理等拠出金法はどういう法律か、何を目的としているのか。本国から照会が来ている。

 このうち特に(1)の点についてであるが、まず、六ヶ所再処理工場で生産される核分裂性プルトニウムの量は年間4トン強で、大間原子力発電所(現在建設中)は年間1.1トンを消費し、他のプルサーマル炉(現在12基のプルサーマル炉が原子力規制委に再稼動を申請中)は年間0.3〜0.5トンを消費するので、大間・伊方の他に7〜8基のプルサーマル炉が稼動すれば、余剰プルトニウムは発生しない計算。

 次に、「もんじゅ」のプルトニウムの初装荷は1.6トンで、以後毎年0.5トンのプルトニウムを燃焼する。こうした「もんじゅ」のプルトニウム消費能力には期待すべきものが大きい。

 日本が掲げる原子力平和利用・核不拡散の理念を一層確実にしていくため、国のエネルギー基本計画などにおいて、プルトニウム消費の円滑化という視点も含め、「もんじゅ」の位置付けをきちんと再構築することには、大きな意義がある。

 そのためにも、現行の「もんじゅ」行政には、"最後通牒"が出されなければならない。

 誰もこういう言い方はしないが、未だ豊富な資源を自給することのできない我が国において、核燃料サイクルによるプルトニウムは、国内にある既設の原子力発電所を起源とする『準国産エネルギー資源』なのである。

世界で毎年650万人が大気汚染で死亡 〜 主因は化石燃料消費によるSOx・NOx

 先般のIEA(International Energy Agency;国際エネルギー機関 )の発表によると、概要は次の通り。

 ① エネルギー分野での排出を抑制しない限り、大気汚染を原因とする死亡者は毎年650万人。
 ② 屋外での大気汚染による早死は現在300万人だが、2040年には450万人に増える見込みで、その多くはアジア途上国との懸念あり。
 ③ 屋内での大気汚染による早死は現在350万人だが、2040年には300万人に減る見込みで、貧困や近代的エネルギーに接せられないのは今のまま。


《原文からの抜粋》
Each year an estimated 6.5 million deaths are linked to air pollution with the number set to increase significantly in coming decades unless the energy sector takes greater action to curb emissions.
Premature deaths from outdoor air pollution are projected to rise from 3 million today to 4.5 million by 2040, concentrated mainly in developing Asia.
Meanwhile, premature deaths from household air pollution will decline from 3.5 million to 3 million over the same period, although they continue to be heavily linked to poverty and an inability to access modern energy.


 2012年の国別・地域別データで見ると、大気汚染による死亡者数は、中国、インド、アフリカなどで多いことがわかる。

40
https://twitter.com/IEA/status/747595542373535745


 2015年のデータで見ると、SOx・NOxの99%以上、一酸化炭素の92%、粒子状物質の85%、揮発性有機化合物の66%が、エネルギー消費によるもの。
 この場合のエネルギー消費とは、発電(石炭、石油、ガス、バイオ、廃棄物)・工場・運輸(自動車など)・家庭(冷暖房、電灯)など。



36
https://twitter.com/IEA/status/747504940063535105


 地球規模で原子力平和利用と再生可能エネルギー利用を推進すべき理由は、こうした点にもある。


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/181897/

米国のエネルギー見通し:化石燃料支配は当面不変、再エネは急増

 米国エネルギー情報局(EIA;Energy Information Administration)によると、2040年までの米国のエネルギー消費量は、基準ケース(Reference case)では概ね次の①〜③のように見通されている。

(1)石炭の減少分は天然ガスの増加分で代替される。
(2)石油、原子力、バイオマス、水力は殆ど変わらない。
(3)風力・太陽光は増加する。



 別の見方をすると、米国では当面、総じて次のようなエネルギー消費の姿になる見通し。

①化石燃料が、引き続きエネルギー市場を支配する。
②風力・太陽光は、水力、バイオマス、原子力よりも増加し、石炭に近付く。
③風力・太陽光の増加分が、全体のエネルギー消費量の増加分を賄う。


 
 以上のことは、米国のエネルギー調達構造・自給率があってこその話。米国のエネルギーミックスは、日本には全く参考にならない。

 日本が参考にすべきは、化石燃料の自給率が高い米国でさえ、水力・原子力を一定程度維持し、風力・太陽光など再生可能エネルギーを増加させようとしている点。化石燃料を自給できない日本では、何をか言わんや・・・なのである。



<資料1:米国のエネルギー消費量推移の経過(1776〜2015年)>
main
2016.7.1 EIA


<資料2:米国のエネルギー消費量推移の経過と見通し(1776〜2040年)>
chart2
2016.7.1 EIA
 

【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/181872/

4人に1人が「65歳以上」の日本 〜 高齢者人口割合は世界で断トツのトップ

 先のブログ記事の続き。一昨日発表された総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」では、大正9年(1920年)から平成27年(2015年)までの年齢別人口割合の推移などが掲載されている

 日本の総人口を年齢3区分別(15歳未満、15〜64歳、65歳以上)に見ると、15歳未満は1586.4万人で最低を更新、15~64歳は7591.8万人、65歳以上は3342.2万人で最高を更新〔資料1〕  

<資料1>
44
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


 65歳以上人口の割合の推移を見ると、昭和25年(1950年)以前は5%前後、昭和60年(1985年)には10%を超え、平成17年(2005年)には20%を超えて世界最高水準となり、平成27年(2015年)には26.7%にまで上昇し、現在、世界最高水準〔資料2〕

<資料2>
00
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


 65歳以上人口の割合を都道府県別に見ると、高い順では、秋田県33.5%
、高知県32.9%、島根県32.6%で、41道府県が25%以上。低い順では、沖縄県19.7%、東京都22.9%、愛知県23.8%など〔資料3・資料4〕

<資料3>
16
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)

<資料4>
42
(出所:2016.6.29 
総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


 
全ての都道府県で、65歳以上人口の割合が15歳未満人口の割合を上回っている。現在既にそうなりつつあるが、このまま高齢者人口が増え続ける見通しの中では、高齢者向け社会保障システムを維持することは、一層難しい状況になるはずだ。

 健康寿命延伸と同時に、「65歳」という高齢者区分(退役世代区分)を修正していく必要がある。年金支給開始年齢の引上げは必然になるので、その前までに、この高齢者区分を「68歳」、「70歳」、「72歳」などに段階的に引き上げることを真剣かつ前向きに検討しておく必要がある。


【追記:ブロゴス 
http://blogos.com/article/181699/

1920年〜2015年の人口ピラミッド変遷:少子高齢化の視覚的経過

 昨日発表された総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」では、大正9年(1920年)から平成27年(2015年)までの人口ピラミッドの変遷と人口の推移が掲載されている〔資料1〜3〕

 平成27年国勢調査によると、同10月1日現在の日本の人口は1億2711万人で、前回調査時(平成22年)に比べて94.7万人減。

 昭和20~25年では第一次ベビーブーム(昭和22〜24年)もあって人口増減率は15.3%だったが、その後は出生率低下に伴って増加幅が縮小し、昭和30~35年では4.7%。

 昭和45〜50年では第二次ベビーブーム(昭和46〜49年)もあって人口増減率は7.0%だったが、昭和50~55年では4.6%、平成22~27年では▲0.7%。 

 今は少子高齢社会であるが、その素地は昭和30年頃から既にあった。

 第一次ベビーブーム前までは、人口ピラミッドの形は健全な姿であった。その頃の人口は8千万人程度であったが、年少者が年長者を支える社会であるかどうかという視点では、実に真っ当な姿であったと言えるだろう。 

 そういう点からも、今後当面の日本の政策課題は、年長者である高齢者・退役世代が、年少者である若年層・現役世代の負担に依らない生き方と死に方を演じていけるような社会システムを作っていくことであるに違いない。


<資料1>
48
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


<資料2>
51
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


<資料3>
41
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/181828/

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.103】

2016年6月29日12:30~13:23【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.103】

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv267756941

Youtube : https://youtu.be/HIbYSnK-bm4

[時評・ウェーブ]石川和男/超高齢化、80歳以上が1千万超え

[時評・ウェーブ]石川和男/超高齢化、80歳以上が1千万超え

 総務省によると、平成27年9月時点の推計で(1)高齢者人口は3384万人、総人口に占める高齢者の割合は26.7%で、ともに過去最高(2)80歳以上の人口が初めて1000万人を超過(3)日本の高齢者人口の割合は主要国で最高。また、その他に次のような特徴も見られる。
 (1)高齢者の就業者数は11年連続で増加し、過去最高の681万人(2)就業者総数に占める高齢者の割合は過去最高の10.7%(3)日本の高齢者就業率は主要国で最高。
 (4)高齢雇用者の7割超は非正規雇用で、その理由は「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多(5)高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2499万円(6)高齢者世帯のネットショッピングは、ここ12年間で5倍に増加。
 (7)高齢者世帯のネットショッピングは医薬品・健康食品の支出割合が高い(8)高齢者世帯の3割が電子マネーを利用(9)携帯電話の普及率は高齢者世帯の方が高くスマホ普及率は高齢者世帯の方が低い。
 少子高齢社会にすでに入り込んでいるわが国だが、高齢者人口が増えることが好ましいかどうかは一概には言えない。どうあれ、高齢者にとって最大の心配事の一つは、健康面ではないだろうか。
 平成28年版高齢社会白書によると、高齢者の約半分が何らかの自覚症状を訴えており、日常生活に影響がある人は約4分の1に及ぶ。また「健康寿命」は延びているが「平均寿命」に比べて伸びは小さい。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を指す。わかりやすく言うと、日常的に介護や看護を必要としない期間のこと。
 直近の今回調査(平成25年)は男性71.2歳、女性74.2歳。前回調査(平成22年)に比べて、男性が0.8年、女性0.6年それぞれ伸びている。平均寿命から健康寿命を差し引いた「日常生活に制限のある期間」は、男性9年、女性12年で、それぞれ前回調査から若干短縮。前回と今回で健康寿命が延伸した背景は死亡率・不健康割合がともに改善したからだ。
 健康寿命の延伸は喜ばしいことだ。しかし、日常的に介護や看護を必要とする期間が長期化する“平均寿命だけの延伸”は喜ばしいとは思えない。健康寿命を超える期間をいかに短くし、尊厳ある最期を迎えることができるか――。これが、日本の抱える最大の課題であることは、健康なわれわれ全員に共通の認識であるはずだ。
 今のような高齢者ケアに関する政策を続けることは「The road to hell is paved with good intentions」(地獄への道は善意で舗装されている)に他ならない。
 このままでは、われわれの世代はそれをほんの少ししか体感しないだろうが、子や孫の世代はそれを強く体感し始めるだろう。だから、われわれの世代で大きな痛みを享受し、国全体でしのいでいく必要がある。本格的な『改革』ができるとしても“団塊の世代”以降での話にならざるを得ない。
 高齢者が健康寿命の範疇にいるかどうかの区別方法としては、例えばその高齢者が要介護状態であるかどうか、という点が挙げられる。平成27年3月末の要介護認定者は前年比4ポイント増の606万人。初めて600万人を超え、今後とも増加する見通し。今でさえ、高齢者人口の18%に上っている。
 80歳以上の人口が1000万人を突破したことは、人口構成にかかわる一つの事象にすぎない。要は、健康寿命をいかに延ばすか、高齢者が健康寿命を超えて死ぬまでの期間をいかに短くするか、である。これがわが国全体の眼前にある最難の課題に違いない。
 いかにして尊厳ある死を迎えるか、いかにして周囲に迷惑をかけずに天寿を全うするか、である。

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6/27 BSフジ・プライムニュース出演 〜 『英国ショックと乱高下 日本経済“体幹”強化』

 本日、BSフジ・プライムニュースに出演。

 テーマは、『英国ショックと乱高下 日本経済“体幹”強化』。


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 御視聴は、
     → 前編 http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d160627_0.html
     → 後編 http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d160627_1.html

イギリスの電力事情 〜 太陽光が石炭を初めて上回った先月・・・

 今月17日付け the guardian によると、イギリスで先月、太陽光発電量が石炭火力発電量を初めて越えたとのこと。これは、イギリスの気候政策やエネルギー政策に詳しい CarbonBrief が掲載している下の4つのグラフからも明らかだ。

UK monthly electricity from solar and coal
chart (3)

Solar and coal shares of UK total
chart

UK weekly electricity from solar and coalchart (1)

UK daily electricity from solar and coalchart (2)

 イギリスでは、全ての石炭火力発電所を2025年までに段階的に閉鎖することが決まっている。保守系シンクタンクからは、その目標を少なくとも2年は前倒しすべきと提起されている。

《原文より抜粋》
The government has pledged to phase out all coal-fired electricity by 2025, but on Tuesday a Conservative thinktank called for the shutdown to come at least two years earlier.

 先のイギリス国民投票の結果、イギリスはEUから離脱する意志を表明した。しかし、電力・ガス自由化をEU内で先行させてきたイギリスが、今回の結果によって自由化政策面で大きな変化を起こすとは思えない。

 温暖化対策としての原子力・再生可能エネルギーの推進も止まることはないであろう。ただ、離脱後にEU指令下の補助金制約がなくなれば、エネルギー政策分野での新たな補助金政策が施される現実味が帯びてくる可能性はある。


 下の写真は、マンチェスターにある浮揚式太陽光発電所。こうした新しい手法は、日本にも応用できる日が来るかもしれない。 

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 2016.6.17 the guardian

電力会社の切り替え:6/17集計で116万件(全世帯の1.9%程度)

 電力広域的運営推進機関が、今月17日24時までの情報照会、スイッチング(切り替え)の申込み状況を集計したところ、それぞれ全国計で572.64万件、115.81万件であった。


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(出所: https://www.occto.or.jp/oshirase/hoka/files/20160624_swsys_riyoujyoukyou.pdf 


 全国の世帯数は約6,253万(2015年度の一般家庭等の通常の契約口数)なので、今のところ、切り替え件数は全体の1.85%、情報照会から切り替えに至るのは20.2%となる。

 因みに、経産省が昨年11月18日に発表した資料では、「8割の人は、少なくとも切り替えの検討はする意向」、「現時点で切り替えを前向きに捉えている(「すぐにでも変更したい」「変更することを前提に検討したい」)人に限っても、25%弱存在する」とのアンケート調査結果が掲載されている。

 しかし上述のように、現実はまだまだその域には達していない。


【追記:ブロゴス 
http://blogos.com/article/180968/

FujiSankei Business i. 【論風】 〜 難航する「もんじゅ」見直し 新「再処理機構」で運営を

 昨日付け FujiSankei Business i. 【論風】に、『難航する「もんじゅ」見直し 新「再処理機構」で運営を』と題する拙稿が掲載。


 原子力発電所から出た使用済燃料からウランとプルトニウムを抽出する「再処理」事業の枠組みを改正する法律が先月成立した。認可法人「使用済燃料再処理機構」を新設し、この新機構が日本原燃(青森県六ケ所村)に業務を委託。国の関与を強め、再処理事業を安定継続させるのが目的。国は、再処理によるプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を再利用する核燃料サイクルを推進。六ケ所村の再処理工場はその中核施設だ。
 
◆周囲に翻弄
 だが、この六ケ所再処理工場は過去のトラブルと、現在の原子力規制委員会の新規制基準の“過剰・異常な”運用もあって竣工時期は不透明なまま。マスコミは、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運営にも先が見通せない中、国は枠組み変更で核燃料サイクル政策の延命に一手を講じた形だ、との論調で統一されているかのようだ。
 昨年11月に規制委はもんじゅ運営をめぐり保守管理上のミスが続く日本原子力研究開発機構(JAEA)を「能力不足だ」とし、別の運営主体を探すよう文部科学省に勧告。これに対し同省は先月27日、規制委が求めた具体的な運営主体の特定を先送りすることを決定。これを受け馳浩文科相は「費用対効果も検討しながら新運営主体を一日も早く特定したい」と語った。
 高速炉を扱うことができる専門家集団は、今現在もんじゅの現場にいる職員以外にはいない。もんじゅの今後を考えていくに当たり、これまでの経緯を考えれば、もんじゅの現場に問題が全くなかったとはいえないが、それを差し引いても、国会、監督官庁、マスコミなど現場とかけ離れた場所にいる人たちに翻弄されてきたと強く思う。私に言わせれば、もんじゅは政治からもマスコミからも一方的に悪者扱いされ続けてきた。これは変だ。もんじゅの現場には、高速炉に係る成否の経験、知見が蓄積されている。
 
◆独立性の確保
 政府が敷くべきルールとは、その現場の技術者に安全確保やそれを前提とした事業の遂行に関して、高い責任感と実際の責任を持たせるような制度を整備していくことにある。政治やマスコミに左右されないようなプラント現場の独立性を高める事業遂行体制が最善だからだ。現場主導のルールに改めていかないと、いつまでたってももんじゅは本来行うべき実証事業の再開とその終結に向けて進んでいけない。
 規制委が問うているのは、もんじゅ存続の可否ではなく、運営組織のあり方。何らかの新たな組織を提案すべきとなるが、全く新しい組織を一からつくるというのは難しい。そうなると、JAEA以外の組織であってもんじゅに親和性の高い組織はどこか、となる。文科省はJAEAのもんじゅ部門を分離して新法人設立を検討するだろうが、また組織を増やすのか?
 
◆「国家事業」の再認識を
 そこで提案したいのが、新機構へのもんじゅの移管だ。そして、今後は予算を惰性的に交付し続けるのではなく、例えば「予算は従来の倍にするが、必ず5年で100%出力を達成して基本データを取る」というような即効性のある施策に改め、短期で目標達成を図るよう制約を付すべきだ。
 もんじゅの建設費は5886億円で、運転維持費が1989~2015年で4339億円。運転維持費は年額約200億円。短期で目標達成することが、コスト削減に有効であることは明らか。JAEAをこれ以上たたいても、何も生まれて来やしない。もんじゅに反省点が多いのは周知のことだが、今まで国が長年にわたって、振興する側としても、規制する側としても、直接関与してきた国家事業であることを再認識する必要がある。この点でも、一番問われるべきは国の行政責任なのである。

49
(2016.6.23 FujiSankei Business i.)

 

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.102】

2016年6月22日12:30~13:23【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.102】

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv267022548

Youtube : https://youtu.be/AKUZqf6vmlw

ドイツの再エネ改正法案 〜 2017年にFITから入札制度へ移行

 先のブログ記事でも概要を紹介したが、今月8日のドイツ政府の発表(ドイツ語版英語版)によると、2017年に固定価格買取制度(FIT)から入札制度へ移行することなどを旨とした再生可能エネルギー法(EEG)改正案が政府決定された。

 ドイツの再エネ導入割合は現在33%であるが、これを2025年に40〜45%とし、2035年に55〜60%とする目標を掲げている。この目標は、今回の改正法案では変更されていない。

《英語版原文より抜粋》
We want to increase the share of renewable energy from its present level of around 33% up to 40-45% in 2025 and to 55-60% in 2035. The 2016 Renewable Energy Sources Act is the key instrument to achieve these targets via effective annual quantitative steering and to bring renewables closer to the market. 


 入札制度に移行するのは、太陽光・風力(陸上風力、洋上風力)・バイオマスで、市場価格での決定によるコスト抑制を期待している。但し、750kW以下の小規模再エネ設備は入札対象外。

In future, the level of funding will no longer be fixed by the state, but will rather be determined on the market by auction. We have set annual quantities to be auctioned for each technology: Onshore wind, 
Photovoltaics, Offshore wind, Biomass

The 2016 Renewable Energy Sources Act will maintain the level of stakeholder diversity. Small installations of up to 750kW will be exempted from the auction process.


 今回の改正法案では更に、ドイツ北部にある大量の風力発電の買取量を制限することが盛り込まれている。具体的には、2013〜15年に新設された陸上風力の設備容量(年平均)の58%を北部の陸上風力の年間導入量の上限にするというもの。

 これに関しては、私が昨年3月に公表したドイツ調査報告書でも触れているが、ドイツ北部の風力発電による電力をドイツ南部の工業地域などに供給するための送電線の整備が、大幅に遅れているからである。


・・・there will be bottlenecks in the transmission grid in some regions of Germany during a transition period. This is particularly true of northern Germany. For this reason, during the transition period the expansion of onshore wind energy will be subject to local adjustments where there are greater bottlenecks in the grid. This means that the quantity up for auction in northern Germany will be set at the rate of 58% of the average newbuild in 2013-2015.
 

 日本では、先の国会で改正再エネ特措法が成立し、2017年度から、事業⽤太陽光を対象とし⼤規模案件から入札制度に移行する予定。風力やバイオマスも入札制度に移行させる今回のドイツEEG改正案が成立すれば、日本も引き摺られることになるだろう。

 再エネ導入目標に比べて送電線の容量が追従できていないドイツの実状は、日本にも当てはまること。ドイツは結果的に、再エネ導入促進のメリット・デメリットの両方に関する先行例を日本に示している。日本としては、それらを十分に斟酌しながら、見直すべきは見直していくべきだ。 

世界の原子力発電所 〜 運転中444基(うち米国99基)、建設中63基(うち中国22基)

 米国原子力エネルギー協会(Nuclear Energy Institute)の最近の発表によると、2016年5月現在、全世界で444基の原子炉が運転中、15ヶ国で63基が建設中。

《原文より抜粋》
As of May 2016, 30 countries worldwide are operating 444 nuclear reactors for electricity generation and 63 new nuclear plants are under construction in 15 countries.

 運転中の原子炉444基について、国別に見ると、米国99基、フランス58基、日本43基、ロシア35基、中国33基、韓国25基、インド21基の順。

 建設中の原子炉63基について、国別に見ると、中国22基、ロシア8基、インド6基、米国4基、アラブ首長国連邦4基、韓国3基の順。(日本は2基(大間と島根3号機)と掲載されている。) 

 2012年で、原子力発電所は世界の電力供給の11%を賄っている。2015年で、自国の電力供給量の1/4以上を原子力で賄っている国は、フランス(76.3%)、ウクライナ(56.5%)、ベルギー(37.5%)、スウェーデン(34.3%)、フィンランド(33.7%)、スイス(33.5%)、韓国(31.7%)など13ヶ国
〔資料1〕

Nuclear power plants provided 10.9 percent of the world's electricity production in 2012. In 2015, 13 countries relied on nuclear energy to supply at least one-quarter of their total electricity.


 2015年での原子力発電電力量について、国別に見ると、米国、フランス、ロシア、中国、韓国の順〔資料2〕


<資料1>
04
(出所:NEI資料


<資料2>
55
(出所:NEI資料

【ハフィントンポスト寄稿】『福井県核燃料税』 〜 国の不作為を地元自治体と企業が背負う変な構図・・・

『福井県核燃料税』 〜 国の不作為を地元自治体と企業が背負う変な構図・・・

 福井県の西川一誠知事は、今月3日の定例県議会に、「福井県核燃料税条例」の見直し案を提出した。核燃料税は、原子力施設が立地されている都道府県が条例で制定する「都道府県税」の一つ。

 福井県では、1976年に5年間の時限措置として核燃料税を導入して以降、現在まで延長してきた。現行の核燃料税の期限は今年11月で、原子炉に装荷した核燃料の価格に課税する「価格割」と、原子炉に熱出力に応じて課税する「出力割」がある。

 今回の見直し案は、①福井県にある全ての原子力発電所に貯蔵されている使用済核燃料の県内貯蔵を常態化させず、それらの県外への搬出を促す「搬出促進割」を新設するとともに、②「出力割」について、現行では廃止措置計画が認可された原子炉は課税対象から外れるところを、廃炉作業中の原子炉にも税率を1/2にしながら新たに課税しようというもの。

 福井県内で稼働を前提としている原子炉は、関西電力9基(高浜1〜4号機、美浜3号機、大飯1〜4号機)と、日本原子力発電1基(敦賀2号機)で計10基。これら全てが稼働した場合、現行での税収予定額が年間122億円(出力割61億円、価格割61億円)であるのが、年間143億円(出力割55億円、価格割58億円、搬出促進割30億円)と、年間21億円の増収となる計算。

 福井県内で"廃炉課税"の対象となるのは、今のところ、関西電力2基(美浜発電所1・2号機)、日本原電1基(敦賀1号機)、日本原子力研究開発機構1基(ふげん)の計4基。また、将来必ず廃炉になる原子炉が県内に更に10基あることは、上述の通りだ。

 大まかではあるが、小型炉で400〜500億円、大型炉で800億円を要するとされる廃炉費用は、「解体引当金」として運転開始から50年間かけて積み立て、それを電気料金で回収する制度が当初からある。

 この解体引当金の対象は制度上、設備解体や汚染除去、廃棄物処理・処分、放射能測定に要する費用に限定されている。だが、税金は対象外なので、上記の増税分は原子力事業者の単純な負担増になる。

 今回の見直し案も、地方税法に基づき納税者である原子力事業者の意見を聴くことになっている。一部報道によると、関西電力と日本原電は、「収益を生まない事業への課税だとして「大変厳しいもの」としつつ、核燃料税は立地地域の安全安心の確保や共生に有益として「異議なし」「賛成」との意見を提出した」そうだ。

 この見直し案は、福井県議会で可決されれば、総務相の同意を得て今年11月10日から施行される。

 廃炉作業の予定期間は、美浜1・2号機で30年間、敦賀1号機で24年間。この見直し案が実施されると、原子力事業者は、出力ゼロになった原子炉であるにもかかわらず、その廃炉終了までの間、出力割の税金を払い続けることになる。収益の生まない事業への課税なので、納税者である原子力事業者は反対するのが当然のはずだ。

 搬出促進というのも、実はかなり変な話だ。原子力事業者としては、使用済核燃料を早いうちに搬出したいはずだ。

 ところが、搬出先となる日本原燃の六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)の竣工が、原子力規制委員会とその事務局である原子力規制庁による、世界的に見ても過度に厳しい規制基準運用によって事実上阻止されているのが実情。私からすると、規制行政の経験からも、これは行政側の瑕疵であり、非常識な対応としか思えない。

 国の原子力規制行政の瑕疵や非常識が、原子力施設が立地されている地元の心理的・経済的負担や、原子力事業者の経済的負担を強いている。しかし、電力の低廉安定供給という『国策』を担う原子力事業者が、そうした国の責任部分で発生する負担を一手に引き受けるのは何故なのか?

 関西電力と日本原電は、なぜこれに同意したのか??

 関西電力は、高浜3・4号機の再稼働を実施したものの(その後、トラブルと運転差し止め仮処分で停止)、大飯3・4号の再稼働が目前に控えている。また、40年を超える運転を目指す高浜1・2号機や美浜3号機を擁する。

 原子力規制委・規制庁の審査に合格したとしても、これらの再稼働には「地元」の了解を得なければならない。言わば、「地元」に再稼働という"人質"に取られているようなものだ。

 日本原電も、再稼働申請中の敦賀2号機を抱えており、状況は同じなのだろう。

 これは、意見を言っても聞いてもらえない状況に陥っている者から金銭を徴収する「搾取」に近い行為に見える。

 もっとも、問題の根源は、現行の原子力規制運用が世界的にも異常であること。これは、国の政治責任である。国の不作為による心理的・経済的負担を、地元自治体と事業者に背負わせるというのは、変な構図であり、やめるべきだ。

 原子力規制委・規制庁の人事権を持つ安倍政権は、政治主導で原子力規制運用の改善(発電と審査を並行させることや、新規制基準に係る猶予期間の設定など)を今後早急に進めていく必要がある。

☆ニュース配信☆ 太陽光発電ブームの終息で、ようやく太陽光発電市場は健全化していく・・・

太陽光発電ブームの終息で、ようやく太陽光発電市場は健全化していく・・・

Gadgetwear

http://www.gadgetwear.net/2016/06/blog-post_16.html


livedoorニュース

http://news.livedoor.com/article/detail/11647060/


日刊アメーバニュース

http://news.ameba.jp/20160616-111/


BIGLOBEニュース

http://news.biglobe.ne.jp/economy/0616/gdw_160616_9538108310.html 



今月11日の日本経済新聞ネット記事
によると、日本政策金融公庫による新創業融資制度について、太陽光発電向け融資が急減し、「太陽光発電ブームの終息が鮮明に」なったとの由。 


<記事抜粋>

・2015年度の発電所向け融資は14年度比65%減1259件、融資金額66%減の211億円。

・全体の融資件数は2万6000件と08年の公庫設立から最多。

・全体の融資額は1926億円と過去2番目。

・発電所は14年度3549件14%を占めて最多、15年度9ポイント低下。 


記事では更に、太陽光発電向け融資が急減した原因を買取価格の低下だとし、今後も太陽光発電の創業は減少していく見通しだとも書いている。 


買取価格の推移は、下の資料にある通り。今後とも、メガソーラー(10KW以上の事業用太陽光)は、来年度の入札制度への移行によって一層の買取価格の低減が見込まれている。 


このような太陽光発電買取価格の低下傾向は、現行FIT(2012年7月に施行された再生可能エネルギーの固定価格買取制度)における太陽光発電に係る買取価格が当初異常に高かったことで発生した“太陽光バブル”を鎮静化させる過程の中に未だいることを示すもの。 


太陽光発電ブームの終息は、国のエネルギー政策の視点からは、大いに歓迎されるべきことだ。それは、太陽光発電市場が健全に発展していく過程に入る起点になることを期待させるからだ。 


ただ、日本公庫の創業支援施策の全体を考えた場合、太陽光発電が牽引してきた格好で、それはFITという規制的手法の帰結でもある。『ポスト太陽光発電』が、FITのような規制的市場なのか、そうではないのかは、まだわからない。 


異常なバブルが起こらなければ、いずれでも構わない。 先の国会で成立した改正再エネFIT特措法は、そのための布石でもある。 


<資料:買取価格(円/kWh)の推移>

37

(出所:2016.6.7 資源エネルギー庁資料)


尚、先の通常国会で成立した改正再エネFIT特措法について、私は衆参両院でのこの法案審議の参考人質疑に出席した。概要は以下の2記事を適宜参照されたい。 


2016.4.27 衆議院・経済産業委員会『再エネFIT特措法改正案』参考人質疑

2016.5.19 参議院・経済産業委員会『再エネFIT特措法改正案』参考人質疑

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.101】

2016年6月15日12:30~13:23【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.101】

2015年度再エネ買取総額:当初見込みより約3100億円も未達のペース・・・

 資源エネルギー庁が定期的に更新している再生可能エネルギーに関する『固定買取価格制度 情報公表用ウェブサイト』によると、今年2月末時点における再エネ発電設備に係る買取電力量・買取金額は、それぞれ資料1・資料2の通り。

 エネ庁が昨年3月に呈示した「平成27年度 調達価格・賦課金単価について」によると、2015年度見込みベースで、再エネ買取額は年間総額1兆8370億円、再エネ賦課金の年間総額が1兆3222億円。1kWh当たり1.58円(標準家庭(月の電力使用量が300kWh)で月額474円)と設定した。

 資料2によると、昨年4月~今年2月までの11か月間の買取金額は1兆3995億円。今年度の残り1か月(今年3月)が同じ程度で推移すると仮定すると、今年度の買取金額は1兆5267億円となり、現時点のデータでは3103億円(=約3100億円)も未達のペースとなっている。

 これはあくまでも単純計算に過ぎない。太陽光や風力は天候に左右されるので、実際にどうなるかはわからない。増えるかもしれないし、減るかもしれない。いずれにせよ、この買取金額分は、再エネ導入のための電力消費者からの“補助金”のようなものだ。 


<資料1:買取電力量(万kWh)>
15


<資料2:買取金額(億円)>
39

太陽光発電ブームの終息は、太陽光発電市場の健全な発展の起点・・・

 一昨日の日本経済新聞ネット記事によると、日本政策金融公庫による新創業融資制度について、太陽光発電向け融資が急減し、「太陽光発電ブームの終息が鮮明に」なったとの由。

<記事抜粋>
・2015年度の発電所向け融資は14年度比65%減1259件、融資金額66%減の211億円。
・全体の融資件数は2万6000件と08年の公庫設立から最多。
・全体の融資額は1926億円と過去2番目。
・発電所は14年度3549件14%を占めて最多、15年度9ポイント低下。
 
 記事では更に、太陽光発電向け融資が急減した原因を買取価格の低下だとし、今後も太陽光発電の創業は減少していく見通しだとも書いている。

 買取価格の推移は、下の資料にある通り。今後とも、メガソーラー(10KW以上の事業用太陽光)は、来年度の入札制度への移行によって一層の買取価格の低減が見込まれている。

 このような太陽光発電買取価格の低下傾向は、現行FIT(2012年7月に施行された再生可能エネルギーの固定価格買取制度)における太陽光発電に係る買取価格が当初異常に高かったことで発生した“太陽光バブル”を鎮静化させる過程の中に未だいることを示すもの。

 太陽光発電ブームの終息は、国のエネルギー政策の視点からは、大いに歓迎されるべきことだ。それは、太陽光発電市場が健全に発展していく過程に入る起点になることを期待させるからだ。

 ただ、日本公庫の創業支援施策の全体を考えた場合、太陽光発電が牽引してきた格好で、それはFITという規制的手法の帰結でもある。『ポスト太陽光発電』が、FITのような規制的市場なのか、そうではないのかは、まだわからない。

 異常なバブルが起こらなければ、いずれでも構わない。

 
<資料:買取価格(円/kWh)の推移>
37
(出所:2016.6.7 資源エネルギー庁資料


 先の国会で成立した改正再エネFIT特措法は、そのための布石でもある。

 尚、先の通常国会で成立した改正再エネFIT特措法について、私は衆参両院でのこの法案審議の参考人質疑に出席した。概要は以下の2記事を適宜参照されたい。

ドイツ:『再エネの固定価格買取制度廃止へ』との報道はあるが・・・

 今月9日のNHKニュースによると、ドイツ政府は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を来年から廃止する方針とのこと。

《報道要旨》
・16年前に導入したドイツでは発電に占める再エネ割合がおよそ3分の1。
・発電設備が急速に増えた結果、電気料金高騰、送電線整備遅れ、天候しだいで大量の電力が余ってしまうことが課題。
・「時代に合った制度に見直す必要がある」と、来年以降、新設については固定価格ではなく、より市場価格に近い価格で買い取る。
・従来施設については残りの期間、固定価格買取を続けるが、市民などが運営する小規模事業者が発電設備を造れなくなる懸念も。
15
2016.6.9 NHKニュース


 日本がドイツを参考にFITを導入したのは2012年7月。
 
 日本が見習うべきは、こうした明確な方針転換を、ドイツのように導入16年後ではなく、遅くとも次のエネルギー基本計画改定(2018年)までに打ち出すことだ。

 もっとも、日本の場合、最大の懸案である認定済未稼働案件数(H24~25年度認定案件で約36万件)の“最終処分”を緩やかにでも実行していくことが必須ではあるが・・・。

 ドイツの実情などに関することは、このブログでも多数書いている。例としては、以下のURLを参照されたい。
ドイツの家庭向け電気料金 〜 “全面自由化+再エネFIT”の19年間の軌跡
ドイツ:2015年の電源構成 〜 再エネ全体で3割超え、風力で1割超え
2016年のドイツの再エネ賦課金 〜 約2,500円/月


  
尚、先の通常国会で成立した改正再エネFIT特措法について、私は衆参両院でのこの法案審議の参考人質疑に出席した。概要は以下の2記事を適宜参照されたい。

伊東八景 〜 小室山の太陽光パネルを巡る是非論

 昨日付け伊豆新聞ネット記事では、「太陽光発電の功罪 森林転用規定の強制化を」と題する寄稿が掲載されている。

《記事要旨》
・小室山は伊東八景の一つ。
・写真の設備の事業者は伊東市に在住していない。
・伊東の山々が他者の営利事業に転用され、地元の電力料金が安くなるわけではないし、地元に所得税が落ちるわけでもない。
・原子力から自然エネルギーへの転換は望むところだが、日本の山々が太陽光パネルや風力発電設備に埋められていくのは考え物。
・大都市圏で大型の建物の屋上と南側壁面を太陽光パネル化することを強制化し、地方では森林の転用について、景観保全と防災のための規定を整備し強制化してほしい。

<小室山から天城山方向に見える太陽光発電設備>
03
2016.6.11 伊豆新聞ネット記事


 今でもまだ、太陽光など再生可能エネルギーに関する報道や寄稿には“再エネ礼賛”なものが多い中で、上記のような寄稿の趣旨が発せられることは、今後の再エネの健全な発展にとっては大変望ましいことである。

 原子力や化石燃料にも言えることだが、再エネも、功罪両面が必ずある。それを調整しながら進めていくことが、結局はその有効活用に資するものとなる。


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/179151/ 

福井県核燃料税の拡充 〜 問題の根源は“異常な原子力規制運用”・・・

 今月4日付け日本経済新聞ネット記事などで既報の通り、福井県は今月3日の定例県議会に、「福井県核燃料税条例」の見直し案を提出。

 現行の核燃料税の期限は今年11月で、原子炉に装荷した核燃料の価格に課税する「価格割」と、原子炉に熱出力に応じて課税する「出力割」がある。

 今回の見直し案は、次のようなもの。

 ① 福井県にある全ての原子力発電所に貯蔵されている使用済核燃料の県内貯蔵を常態化させず、それらの県外への搬出を促す「搬出促進割」を新設する。

 ② 「出力割」について、現行では廃止措置計画が認可された原子炉は課税対象から外れるところを、廃炉作業中の原子炉にも税率を1/2にしながら新たに課税する。


 福井県内で稼働を前提としている原子炉は、関西電力の高浜1〜4号機、同美浜3号機、同大飯1〜4号機、日本原子力発電の敦賀2号機の計10基。

 これら全てが稼働した場合、現行での税収予定額が年間122億円(出力割61億円、価格割61億円)であるのが、年間143億円(出力割55億円、価格割58億円、搬出促進割30億円)と、年間21億円の増収となる計算。

19

(出所:2016.6.4 福井新聞)

 福井県内で“廃炉課税”の対象となるのは、今のところ、関西電力の美浜発電所1・2号機、日本原電の敦賀1号機、日本原子力研究開発機構の「ふげん」の計4基。また、将来必ず廃炉になる原子炉が県内に更に10基あることは、上述の通り。

 大まかではあるが、小型炉で400〜500億円、大型炉で800億円を要するとされる廃炉費用は、「解体引当金」として運転開始から50年間かけて積み立て、それを電気料金で回収する制度が当初からある。

 この解体引当金の対象は制度上、設備解体や汚染除去、廃棄物処理・処分、放射能測定に要する費用に限定されている。だが、税金は対象外なので、上記の増税分は原子力事業者の単純な負担増になる。

 今回の見直し案も、地方税法に基づき納税者である原子力事業者の意見を聴くことになっている。

 今月7日付け福井新聞ネット記事によると、関西電力と日本原電は、「収益を生まない事業への課税だとして「大変厳しいもの」としつつ、核燃料税は立地地域の安全安心の確保や共生に有益として「異議なし」「賛成」との意見を提出した」そうだ。

 この見直し案は、福井県議会で可決されれば、総務相の同意を得て今年11月10日から施行される。

 廃炉作業の予定期間は、美浜1・2号機で30年間、敦賀1号機で24年間。この見直し案が実施されると、原子力事業者は、出力ゼロになった原子炉であるにもかかわらず、その廃炉終了までの間、出力割の税金を払い続けることになる。収益の生まない事業への課税なので、納税者である原子力事業者は反対するのが当然。

 搬出促進というのも、実はかなり変な話だ。原子力事業者としては、使用済核燃料を早いうちに搬出したいはずだ。

 ところが、搬出先となる日本原燃の六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)の竣工が、原子力規制委員会とその事務局である原子力規制庁による、世界的に見ても過度に厳しい規制基準運用によって事実上阻止されているのが実情。私からすると、規制行政の経験からも、これは行政側の瑕疵であり、非常識な対応としか思えない。

 国の原子力規制行政の瑕疵や非常識が、原子力施設が立地されている地元の心理的・経済的負担や、原子力事業者の経済的負担を強いている。しかし、電力の低廉安定供給という『国策』を担う原子力事業者が、そうした国の責任部分で発生する負担を一手に引き受けるのは何故なのか?

 関西電力と日本原電は、なぜこれに同意したのか??

 関西電力は、高浜3・4号機の再稼働を実施したものの(その後、トラブルと運転差し止め仮処分で停止)、大飯3・4号の再稼働が目前に控えている。また、40年を超える運転を目指す高浜1・2号機や美浜3号機を擁する。

 原子力規制委・規制庁の審査に合格したとしても、これらの再稼働には「地元」の了解を得なければならない。言わば、「地元」に再稼働という“人質”に取られているようなものだ。

 日本原電も、再稼働申請中の敦賀2号機を抱えており、状況は同じなのだろう。

 これは、意見を言っても聞いてもらえない状況に陥っている者から金銭を徴収する「搾取」に近い行為に見える。

 もっとも、問題の根源は、現行の原子力規制運用が世界的にも異常であること。これは、国の政治責任である。国の不作為による心理的・経済的負担を、地元自治体と事業者に背負わせるというのは、変な構図であり、やめるべきだ。

 原子力規制委・規制庁の人事権を持つ安倍政権は、政治主導によって原子力規制運用の改善(発電と審査を並行させることや、新規制基準に係る猶予期間の設定など)を今後早急に進めていく必要がある。


【追記:ブロゴス 
http://blogos.com/article/179131/

【ハフィントンポスト寄稿】消費増税再延期 〜 不足財源5.5兆円の穴埋めは『公務員人件費26.5兆円』の2割で・・・

消費増税再延期 〜 不足財源5.5兆円の穴埋めは『公務員人件費26.5兆円』の2割で・・・


2016年度予算ベースでは、消費税1%分は約2.7兆円〔資料1〕。

2017年4月に予定されている消費増税(税率8%→10%)を2019年10月まで再延期することで、2017年度と2018年度では、それぞれ予定していた約5.5兆円の財源が確保できなくなる計算。

<資料1>


2016-06-03-1464970739-6872845-201606040.20.47.png
(出所:財務省HP「消費税の社会保障財源化」

では、この不足財源(約5.5兆円)をどこから捻出するのか?

国民理解を得やすいと政治的に思いつかれやすいのは、やはり公務員人件費であろう。2016年度予算における公務員人件費は、国・地方合わせて26.5兆円〔資料2〕で、この約20.7%分が約5.5兆円となる。

26.5兆円 × 20.7% ≒ 約5.5兆円

<資料2>


2016-06-03-1464970954-7899844-201606041.19.57.png
(出所:平成27年12月 財務省主計局「平成28年度 公務員人件費」

社会保障財源が必要である主因は、少子高齢化という社会全体の変化に伴う高齢者向け予算の自然増にある。だから、社会保障財源の必要増分は、消費増税など社会全体で賄うことにするか、年金・高齢者医療など自然増分である高齢者向け予算を削減するか、が本筋のはず。

しかし、年金・高齢者医療は、日本の政治・社会における最大の利権の塊であり、そう易々と削減できるものでもない。今までもそうだった。そして、憲法改正に向けた安倍政権の姿勢を始め、今後の政治情勢を俯瞰すれば、やはりそう思わざるを得ない。

そこで浮上する可能性が高いのは、公務員人件費からの転用。この手法は、筋論としては全くおかしな話ではある。だが、公務員人件費の転用は、最も政治リスクが小さい安直な手法である。現役世代である公務員の人件費を、退役世代である高齢者に回すのは、甚だおかしな話である。

本来は、高齢者向け予算の削減に係る社会的痛みの甘受を国民に訴えるのが政治・行政の役割と思われるのだが、そうはならないのが実情。選挙の時、それを有権者に語りかける候補者は、そうはいない。(もっとも、それを理解・納得する有権者は案外多いのではないだろうか、とも思うが・・・。)

因みに、いつになるか皆目わからない消費税率10%時には、社会保障4経費(年金、医療、介護、子ども・子育て支援)に回すための社会保障財源は、地方消費税1%分(約2.7兆円)を除くので、消費税率9%分(約24.5兆円)となる〔資料3〕。

<資料3>


2016-06-03-1464970914-4402912-201606040.26.21.png
(出所:財務省HP「消費税収の国・地方の配分と使途」

2015年の再エネ発電量 〜 世界の一次エネルギー消費量の2.8%を記録・・・

 毎年6月に更新される BP Statistical Review of World Energy の最新版によると、2015年の世界のエネルギー消費に関して、次のようなことが言える〔資料1〕

 ① 2015年の世界の一次エネルギー消費量の伸びは、金融危機の余波による下落を除き、1998年以来の平均1.0%の伸びを下回った。欧州とユーラシアを除く全ての地域での伸びは平均を下回った。
 ② 石油と原子力を除く全ての燃料は、平均以下の伸び。
 ③ 依然として石油が世界の支配的な燃料。
 ④ 再生可能エネルギー発電量は、世界の一次エネルギー消費量の2.8%を記録。

《原文より抜粋》
World primary energy consumption grew by a below-average 1.0% in 2015, the slowest rate of growth since 1998 (other than the decline in the aftermath of the financial crisis). Growth was below average in all regions except Europe & Eurasia. 
All fuels except oil and nuclear power grew at below-average rates.
Oil remains the world’s dominant fuel and gained global market share for the first time since 1999, while coal’s market share fell to the lowest level since 2005. 
Renewables in power generation accounted for a record 2.8% of global primary energy consumption.
 

<資料1:世界の一次エネルギー消費量の推移と内訳>
24


 また、原油、天然ガス、石炭の価格の推移と主な流通経路は、次の通り。これらを見ると、次のようなことが言える。

 ① 原油価格は高下の歴史であり、常時高値でも常時安値でもない〔資料2〕
 ② 原油について、日本では中東依存度が高い〔資料3〕
 ③ 日本が調達する天然ガス(LNG(液化天然ガス))の価格は、2009年頃までは諸外国と同水準であったが、2010年以降上昇し、東日本大震災の起こった2011年以降、原子力発電所停止に伴う輸入量の急増もあってか、更に価格差が広がった。現在は、下落過程にある〔資料4〕
 ④ 日本のLNG調達先は、原油調達に比して多様化している〔資料5〕
 ⑤ 日本が調達する石炭の価格は、2008年頃から諸外国と価格差は開き始め、2011年で急騰したが、それ以降は下落過程にある〔資料6〕


<資料2:原油価格の推移>
23


<資料3:世界の主な原油流通状況>
52


<資料4:天然ガス価格の推移>
23


<資料5:世界の主な天然ガス流通状況>
48


<資料6:石炭価格の推移>

30





 

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.100】

2016年6月9日12:30~13:23【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.100】


Youtube : https://youtu.be/NuJuBSLRoDA



<アンケート調査結果>
Q:ドイツのように日本もFIT廃止を表明すべきと思うか?
A:思う62.6%、思わない14.5%、わからない22.9% 

参議院『国際経済・外交に関する調査報告(2016年5月)』について

 先のブログ記事(☆1☆2)で書いた通り、昨年4月15日の参議院「国際経済・外交に関する調査会」で、『持続的繁栄を支える資源・エネルギー問題等の現状と課題』をテーマに意見陳述の機会を頂戴した。

 この調査会が先月11日、「国際経済・外交に関する調査報告」と題する報告を参議院議長に提出したとの由。

 その中で、私の意見陳述概要が掲載されているので、以下にその全文を転載しておく。
 


◎石川和男参考人(NPO法人社会保障経済研究所代表)
 
 国際資源動向は誰にも予想できないのではないか。資源国の情勢や国際経済、
需給動向などが予想できない中で、日本は強靱なエネルギー供給構造を立ててい
く必要がある。これは不変かつ普遍である。原油価格下落でシェール市場も不安
定になっている。シェール革命は一つの事象に過ぎず、日本に未来永劫、多大な
効果があるとは思えない。日本には安全網を整備するという原点に立ち返ったエ
ネルギー・資源政策が必要である。

 日本はいざというときに、余裕を持った供給構造とすべきであり、そのための
幾らかのコストは仕方がない。日本には水力、太陽光、風力などの再生可能エネ
ルギーがある。原子力も世界的に準国産エネルギーと扱われている。この両者を
一定量確保しておく必要がある。再生可能エネルギーにはコスト問題があり、高
コストのものを進めるには、補填の仕方に工夫が必要となる。日本の買取価格は
高過ぎ、引き下げる必要がある。また、太陽光や風力は不安定なため、化石燃料
で補填すると、そのコストも必要となる。一方、既設の原子力発電所で発電を行
い、安い電気で得た収益で補填する仕組みを作れば、両方をうまく進められる。

 原発事故の結果、政治的に脱原発へフェードアウトしていくことは仕方がない
が、核のゴミ処理の解決は必要となる。原発は稼働して処理費用も回収するよう
に計算されている。原発を止めれば安全という空気があるが、そうではない。福
島第一原発も発電は地震で止まった。また、廃炉プロセスにも安全対策は必要で
あり、そのための費用も掛かるが、止めているからお金がない。原発は葬式代を
自分で出すモデルであり、原発をやめるプロセスを示す時期に来ている。

 今後、アジアで原発が増えれば、六ヶ所村の再処理施設は安全保障に資するほ
か、市場にもなり得る。最終処分では海外との協調も必要ではないか。トイレな
きマンション論の誤解払拭の努力も必要となる。原発と再生可能エネルギーは対
立ではなく協調である。
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