☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.28

2017年7月27日17:00〜17:59

YouTube : https://youtu.be/0er_KoEtf3g

鼎談『道筋をつけられるか 核のごみ問題』

 先日、安倍宏行氏と松本真由美氏を交えて、『道筋をつけられるか 核のごみ問題』と題する鼎談を行った。

 その概要が、今月17日付け産経新聞、同19日付け日本経済新聞で掲載された。また、今月18日付け産経新聞ネット記事にも掲載されている。

 先のブログ記事でも書いたが、私は、自分の家の前にそれなりの敷地があれば、
・最処理前の使用済燃料の『中間貯蔵地』
・再処理後の高レベル放射性廃棄物の『中間貯蔵地』
・再処理後の高レベル放射性廃棄物の『最終処分地』
を全て誘致したい。

 頑丈な容器に収納され、世の中で最も厳重に管理・監視されるので、怖くも何ともない。そこらの一般ゴミや産業廃棄物、様々な排気ガスよりも遥かに厳格かつ安全に取り扱われる。

 中長期的な『地方自治体の経営』という視点からも、心の中では誘致したいと考えている首長や議員は少なくないはず。もちろん、政府と一体となりながらの地元住民への確実な情報開示、丁寧な説明、真摯な説得などが必要であることは言うまでもない。
  
 
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米国の再生エネ:今年3〜4月の月間発電量で原子力を抜いたが・・・

 今月6日の米国EIA(Energy Information Administration;エネルギー情報局)の発表によると、米国では1984年以来初めて、今年3月と4月、再生可能エネルギー発電量が原子力発電量を上回ったとのこと。

《原文より抜粋》
In March, and again in April, U.S. monthly electricity generation from utility-scale renewable sources exceeded nuclear generation for the first time since July 1984. 

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2017.7.6 EIA “Monthly renewable electricity generation surpasses nuclear for the first time since 1984”

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2017.7.6 EIA “Monthly renewable electricity generation surpasses nuclear for the first time since 1984”

 その理由として、次のようなことを挙げている。

⑴ 原子力発電所は、電力需要が夏冬よりも低下する春秋に保守点検が行われるので、この時期の原子力発電量は低下する。
⑵ 再生エネの導入が伸びてきている。
⑶ この時期は、季節的な理由から再生エネ発電量が増える。
⑷ 昨冬に米国西部で降雨量が多かったことで水力発電量が増えたため、再生エネ全体の発電量増加に寄与した。


This outcome reflects both seasonal and trend growth in renewable generation, as well as maintenance and refueling schedules for nuclear plants, which tend to undergo maintenance during spring and fall months, when overall electricity demand is lower than in summer or winter.

Record generation from both wind and solar as well as recent increases in hydroelectric power as a result of high precipitation across much of the West over the past winter contributed to the overall rise in renewable electricity generation this spring, while nuclear generation in April was at its lowest monthly level since April 2014.

 しかし、EIAの短期予測は、2017年夏季の月間発電量と2017年の年間発電量において、原子力は再生エネを上回るとしている。

However, EIA’s latest Short-Term Energy Outlook (STEO) projects that monthly nuclear electricity generation will surpass renewables again during the summer months of 2017 and that nuclear will generate more electricity than renewables for all of 2017.

☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.27

2017年7月20日17:00〜17:59

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv303015882

YouTube : https://youtu.be/0miZBJzJVHk

核のごみ 〜 どこに誘致されるか・・・?

 昨日の日本経済新聞ネット記事によると、世耕弘成経済産業相が原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)について、最終処分候補地になりうる「科学的特性マップ」を「月内にも公表する」と述べたとの由。

《記事概要》
・世耕氏「最終処分の実現に向けた長い道のりの最初の一歩」。
・今後も自治体などを対象に説明を続ける。
・政府は、地下300メートルより深い岩盤に埋める地層処分によって最終処分する考え。
・月内に公表する「科学的特性マップ」は、色で塗り分けて候補地になりそうな場所を示すもの。
・経産省は、原子力発電環境整備機構(NUMO)と全国で市民や自治体向けの説明会を開いてきた。


 私は、もし自分の家の前にそれなりの敷地があれば、

  ・最処理前の使用済燃料の『中間貯蔵地』
  ・再処理後の高レベル放射性廃棄物の『中間貯蔵地』
  ・再処理後の高レベル放射性廃棄物の『最終処分地』

を全て誘致したいくらいだ。

 はっきり言って、怖くも何ともない。とても頑丈な容器に収納され、世の中で最も厳重に管理・監視されるものだからだ。

 中長期的な『地方自治体の経営』という視点からも、心の中では誘致したいと考えている首長や議員は少なくないだろう。(どこの首長や議会が真っ先に手を挙げるだろうか?)

 もちろん、政府と一体となりながらの地元住民への確実な情報開示、丁寧な説明、真摯な説得などが必要であることは言うまでもない。
  
 そこらの一般ゴミや産業廃棄物、様々な排気ガスなどよりも、遥かに厳格かつ安全に取り扱われる。

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 その他詳細については、以下を参照されたい。

・経済産業省資料 
  http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/rw/  

・NUMO資料
  https://www.numo.or.jp/pr-info/pr/academy/pdf/academy_daigakusei_201601.pdf

・電気事業連合会資料
  http://www.fepc.or.jp/nuclear/haikibutsu/index.html

極左暴力集団・大衆運動と反原発 ~ 近年の「警察白書」(平成24〜28年版)での書きぶり

 平成23年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故が発生して以降、反原発デモなどが盛んに報じられるようになった。

 それらの中には、極左暴力集団(過激派)や大衆運動によるものもある。北海道警察HPによると、「極左暴力集団」とは、「過激派」とも称され、「社会主義、共産主義革命を目指し、平和で自由な民主主義社会を暴力で破壊、転覆しようと企てている反社会的な集団」のことを指す。

 極左暴力集団・大衆運動と反原発運動の関係については、近年では、平成24~28年の警察白書において、それぞれ次のような記述がなされている。


平成28年版警察白書(第6章第2節「公安の維持と災害対策」第2項・第5項より抜粋)≫
ーー 暴力革命による共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団は、平成27年中も、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んだ。
 革マル派は、安倍政権が進める諸施策を批判し、「政権打倒」を主張して、独自の抗議行動に取り組んだ。また、平和安全法制をめぐる抗議行動、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、革マル派の主張を掲載したビラの配布や、団体旗等の掲出により、自派の存在を誇示するとともに、同調者の獲得を図った。一方、革マル派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)及び東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)は、同派創設時の副議長であった故松嵜明元JR東労組会長の「業績を後世に伝えるため」などとして、全8巻からなる著作集の刊行を開始した。
 中核派(党中央)は、労働運動を通じて組織拡大を図る「階級的労働運動路線」を堅持し、同派が主導する国鉄動力車労働組合(動労)の傘下に労働組合を新たに3県において結成した。また、中核派(党中央)が組織する「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全)は、全国各地で集会、デモ等に取り組んで同調者の獲得を図った。このほか、中核派系の全日本学生自治会総連合(全学連)等は、平和安全法制関連二法の国会審議を捉え、「国会包囲大闘争」等と称し、都内で集会、デモ等に取り組んだ。一方、19年11月に党中央と分裂した関西地方委員会(関西反中央派)は、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、同調者の獲得を図った。
 革労協主流派は、成田闘争を重点に取り組んだ。一方、革労協反主流派は、反戦・反基地闘争に取り組み、27年4月には、米陸軍キャンプ座間に向けて飛翔弾を発射する事件を引き起こした。

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ーー 大衆運動の動向(抜粋)
(1)平和安全法制をめぐる動向
 平和安全法制をめぐり、平成27年5月中旬から国会議事堂周辺等において、断続的に抗議行 動が行われた。参議院での採決前の同年8月30日には、国会議事堂周辺等における抗議行動に 約12万人(主催者発表)が参加した。
(2)反戦・反基地運動
 沖縄県の普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、移設計画の撤回や工事中止等を訴え、 キャンプ・シュワブゲート前等で抗議行動が行われた。平成27年5月17日に那覇市内で開催さ れた集会には、約3万5,000人(主催者発表)が参加したほか、都内では国会議事堂周辺等に おいて抗議行動が行われた。
(3)原子力政策をめぐる動向
 原子力発電所の再稼動等を捉え、毎週金曜日の首相官邸前における抗議行動を始め、全国各 地で反対集会、デモ等が行われた。とりわけ、国内全ての原子力発電所の運転が停止する中、 平成27年8月に川内原子力発電所が再稼動した際には、川内原子力発電所の正門前等で集会、 デモが行われ、同年8月9日の集会等には、約2,000人(主催者発表)が参加した。



平成27年版警察白書(第5章第3節「公安情勢と諸対策」第2項・第5項より抜粋)≫
ーー 暴力革命による共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団は、平成26年中も、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んだ。
 革マル派は、同年6月、同派結成50周年を記念し、50年間の活動を取りまとめた書籍の第1巻を刊行した。また、安倍政権が進める諸施策に反対し「政権打倒」等と主張した独自の取組を行うとともに、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、同調者の獲得を図った。一方、革マル派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)及び東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)は、JR東労組の組合員らによる組合脱退及び退職強要事件に関連する全ての裁判が終結した後も、引き続き、同事件を「国策弾圧」、「えん罪」と主張し続けた。
 中核派(党中央)は、同年10月、同派結成50周年を記念し、50年間の活動を取りまとめた書籍の下巻を刊行した。また、労働運動を通じて組織拡大を図る「階級的労働運動路線」を堅持した。このほか、「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全)は、全国各地で集会、デモ等に取り組んで同調者の獲得を図った。一方、19年11月に党中央と分裂した関西地方委員会(関西反中央派)は、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、同調者の獲得を図った。
 革労協主流派は、成田闘争を重点に取り組んだ。一方、反主流派は、反戦・反基地闘争に取り組み、26年10月には、普天間飛行場の名護市辺野古移設工事の関連会社に向けて飛翔弾を発射する事件を引き起こした。
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ーー 大衆運動の動向:原子力政策をめぐる動向
 原子力発電所の再稼動等を捉え、全国各地で反対集会、デモ等が
行われた。毎週金曜日の首相官邸前における抗議行動と同抗議行動に連帯する取組が各地で継続されたほか、都内では、「NO NUKESDAY」と題して、反対集会、デモ及び国会議事堂周辺での抗議行動が行われた(平成26年3月9日延べ3万2,000人、同年6月28日5,500人(いずれも主催者発表))。
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平成26年版警察白書(第6章第3節第2項より抜粋)≫
ーー 暴力革命による共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団は、平成25年中も、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んだ。
 革マル派は、安倍政権が進める諸施策に反対し「政権打倒」等と主張した独自の取組を行うとともに、反戦・反基地、反原発等を訴える集会やデモ等に参加し、同調者の獲得を図った。
 「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全)は、全国組織化に向け、首都圏を中心に各地で「な全」の結成を進めた。19年11月に党中央と分裂した関西地方委員会(関西反中央派)は、反戦・反基地、反原発を訴える集会やデモ等に積極的に参加した。革労協反主流派は、電源開発大間原子力発電所の建設や四国電力伊方発電所の再稼動に反対して現地でデモに取り組んだ。
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反原発運動に取り組む極左暴力集団

平成25年警察白書(第5章第3節第2項より抜粋)≫
ーー 革マル派は、福島第一原子力発電所事故以降の反原発運動の盛り上がりを組織拡大の好機と捉え、「原発・核開発阻止」を主張した独自の取組を行うとともに、市民団体主催の取組に介入する形態で反原発運動に取り組んだ。
 中核派(党中央)は、労働運動を通じて組織拡大を図る「階級的労働運動路線」を堅持しつつ、23年8月に結成した「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全)を中心に、全国で反原発運動に取り組んだ。19年11月に党中央と分裂した関西地方委員会(関西反中央派)は、市民団体等が主催する反原発、オスプレイ配備反対等に関する集会やデモ等に積極的に参加した。

革労協主流派は、大飯原子力発電所3号機及び4号機の再稼働に反対して現地でデモに取り組んだ。大飯原子力発電所3号機及び4号機の再稼働に対する反対行動の際に、警備員に発火した発煙筒を押し当てるなどした活動家を傷害罪等で逮捕するなど、極左暴力集団の活動家ら合計31人を検挙した。
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反原発運動に取り組む極左暴力集団

平成24年警察白書(第5章第3節2より抜粋)≫
―― 革マル派は、既存の労働組合の執行部を批判して同調者の獲得を図ったほか、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故を捉え、「停止中原発の再稼働阻止、全原発の即時停止・廃棄」を主張した。
 中核派(党中央)は、労働運動を通じて組織拡大を図る「階級的労働運動路線」を推進しつつ、反原発闘争にも力を入れ、反原発闘争の推進主体として「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」を立ち上げた。19年11月に党中央と分裂した関西地方委員会(関西反中央派)は、市民団体や他のセクトが主催する反原発、沖縄基地問題に関する集会やデモに積極的に参加した。
 革労協反主流派は、宮城県で震災被災者に対する支援活動を通じて組織拡大を図った。
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極左暴力集団によるデモ

 尚、平成23年以前の近年の警察白書には、こうした記述は見当たらない。

太陽光発電所 〜 あまりにも玉石混交・・・『太陽光バックエンド対策』を!

 今月14日付け Bloomberg “Japan’s Renewable-Energy Revolution” と題する記事では、日本国内の大規模な太陽光発電所(メガソーラー)が何ヶ所か紹介されている。次の写真は、その一例。

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2017.7.14 Bloomberg “Japan’s Renewable-Energy Revolution” 

 上記の記事に掲載されている写真だけを見ると、太陽光発電所に対する印象は決して悪くはならないだろう。だが実際には、どう考えても危険であったり、自然破壊でしかないようなものも散見される。
  
 先週、九州を旅していた時、途中で多くの太陽光発電所や、その設置予定地を見かけたので、以下に幾つか例示する。

 写真1のように、名称や施工事業者が明記されており、かつ、太陽光パネルの土台がきちんとしているものは、太陽光という自然エネルギーを活用する好例だ。


<写真1>
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動画 → https://drive.google.com/drive/folders/0B-PDCcxDLjepZE1FOUk0cG1PeUU
 

 そこからあまり離れていない場所に、写真2のような森林伐採地があった。現地周辺の農家によると、この森林伐採後の急斜面は太陽光発電所の予定地とのこと。これを見ていて、一昨年秋の関東・東北豪雨での太陽光パネル全壊のようなことが起きないか、非常に心配になった。

<写真2>
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動画 → https://drive.google.com/file/d/0B-PDCcxDLjepclN1eGpCR2k5LTg/view


 尚、他人のHPからの引用だが、上記の予定地に太陽光パネルを設置した後の姿を想像させるような写真があったので、以下に貼付しておく。

02
http://etervalu.com/2017/07/15/

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http://etervalu.com/2017/07/15/

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http://etervalu.com/2017/07/15/

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http://doppi7.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-0565.html


 太陽光発電所も、玉石混交であることがわかる。

 2012年夏の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の施行により、太陽光ブームが始まり、いわゆる“太陽光バブル”を起こし、そして崩壊した。今となっては、太陽光ブームの後期に突入した感もあるが、それでもまだしばらくは続くだろう。

 原子力発電所や火力発電所、水力発電所などにも言えることだが、太陽光発電所にも、廃棄物処理や再資源化のための施策がもうじき必要になる日が来る。その時までに、確たる『太陽光バックエンド対策』を構築しておくべきだ。

九州電力 〜 作られ過ぎる太陽光発電をどこに流すのか・・・?

 九州で多くの太陽光発電所の建設計画があるため、中国地方への送電量が今後増えると予想されている。このため、電力広域的運営推進機関が、中国地方と九州地方を繋ぐ送電線(関門連係線(中国九州間連系線))の増強に向けて、先月26日から検討を始めた。

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2017.7.13 中國新聞ネット記事

 一昨日の中國新聞ネット記事では、この話を詳しく報じている。

<記事概要>
・対象は中国電力新山口変電所と九州電力北九州変電所を結ぶ「関門連系線」。長さ64キロ。
・22年度以降に九州から中国地方向けの送電線の空き容量がゼロに。
・九州では太陽光発電所が急増し、原発再稼働も相次ぐ。
・余った電気が大量に中国地方に流れる見込み。
・中国地方を経由して関西にも電気が送られるため、中国電力管内の送電設備増強も検討。
・完成までに10年程度。

 上記のような記事の書き方だと、太陽光発電所の急増と原子力発電所の再稼働によって「余った電気が大量に中国地方に流れる見込み」と一般の読者思ってしまうかもしれない。

 原子力発電や火力発電の場合、出力制御をするため、「余った電気」という概念はない。しかし、太陽光や風力の場合、今のルールでは、お呼びでない電気を作り過ぎても、それらを出力制御をしづらく、まさに「余った電気」が勝手に送電線に入り込んでしまう“迷惑電源”になることがある。

 太陽光発電は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が2012年7月に施行されて以降、急速に導入が進んできた。九州の総面積、総人口、総電力需要量の比率は全国の約1割だが、太陽光・風力の導入比率は同2割程度。特に太陽光の導入量は著しい。

 九州本土での太陽光発電の接続申込みは、接続可能量817万kWに対して、今年5月末時点で1,671万kWで、このうち接続済は718万kW。接続済と承諾済の合計が接続可能量817万kWに達したのは昨年12月のこと。

img_taiyoukou_170629
九州電力HP

 また、九州本土での風力発電の接続申込みは、接続可能量180万kWに対して、今年5月末時点で450万kWで、このうち接続済は49万kW。
img_furyoku_20170627
九州電力HP

 今年4月23日13時、太陽光の出力は607万kW、総需要(800万kW)の76%に達した。これは過去最高。翌週4月30日13時も、太陽光の出力は565万kW、総需要(770万kW)の73%に上った。九州全域が好天だったことから、太陽光の出力が急増した。


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2017.6.2 九州電力「2017年度 経営計画の概要」

 上記の資料にも書かれていることだが、再生エネが大量に連系する中では、天候や時間によって大きく変化する再生エネ出力に対応するよう、九州電力では、
  ①昼間の太陽光出力増に対して、揚水動力の活用や火力発電所の抑制・停止により対応
  ②夕方にかけての太陽光出力減に対応して、揚水動力の停止や火力発電所の増出力で対応
といった需給運用を行っている。

 経済産業省が呈示した論点にもあるように、現在、
  ①太陽光・風力のような変動電源が増加し、
  ②需要地から離れた地点に導入されていくことに伴い、
  ③送電網(系統)の増強に伴う追加コストや、
  ④出力変動に対応するための費用の増加
が課題となっている。

 要するに、太陽光・風力の出力変動に適応するためのコストをどこから捻出するか、実は解決できていない。太陽光の急増により、揚水も火力発電も、コスト回収に係る予見性は著しく低下している。このままでは、太陽光・風力の更なる普及に大きな支障が生じてしまう。当面の技術では、太陽光・風力は、単独では安定供給も燃料貯蔵もできないからだ。

 需要家の追加コスト負担を生じさせずに、再生エネ普及に係る揚水や火力発電のコスト回収を確実なものにしていくには、再生エネ賦課金(2017年度は2.1兆円)の活用が唯一の解であろう。振興すべきは、健全な再生エネ発電事業のはず。目的は、再生エネ発電事業者の数を増やすことではなく、迷惑電源とならない再生エネ発電事業を普及させること。

 となると、系統運用を担う大手電力会社に再生エネ発電所(特に太陽光発電所)を集約させていくことが最善の解決策となる。そのための政策誘導としては、例えば、再生エネ設備譲渡に関する優遇措置が考えられる。
 ☆:この点については、昨年の通常国会でのFIT法改正に関する
参考人質疑において提案済み。
  

 FITに基づく
2017年度の再生エネ賦課金単価は2.64円/kWhで、再生エネ
買取総額は2.7兆円(前年比4000億円増)となる。ここから回避可能費用を差し引いたものが再生エネ賦課金で、2017年では2.1兆円と見込まれる。算定根拠は次の通り。

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2017.3.14 経済産業省HP

 再生エネ賦課金については、標準家庭(1ヶ月の電力使用量が260kWh(2016年11月時点の東京電力他の管内の標準家庭の電気使用量は260kWh/月)では、年額8,232円、月額686円の負担となる。昨年度までの標準家庭としての電力使用量300kWh/月とした場合の負担額は、年額9,504円、月額792円(2016年度は年額8,100円、月額675円)となる。

 因みに、2017年度では年間2.7兆円という再生エネ買取総額の規模感だが、消費税1%の1年分が2.5〜2.6兆円なので、再生エネ買取総額は消費税1%分よりも大きいことになる。良し悪しは別として、財源としては豊富であり、巨額である。

 東京電力管内である我が家の直近検針分の電気料金明細は次の通りで、再生エネ賦課金は1,338円(電気料金に占める割合は9.5%)であった。消費税等相当額(=消費税+地方消費税)が1,043円なので、我が家でも再生エネ賦課金は消費税等相当額よりも大きいことがわかる。

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☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.26

2017年7月12日19:30〜20:29

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv302426253

Youtube : https://youtu.be/uZMKpJReRP0

《ハフィントンポスト寄稿》"コスト感覚"を一瞬忘れる有権者と政治とマスコミ

"コスト感覚"を一瞬忘れる有権者と政治とマスコミ

 今月2日の東京都議会選挙で大勝した小池百合子知事。即日"都民ファーストの会"代表の座を降りたが、事実上、不動の都政リーダーとなったに違いない。咋夏の都知事就任以来、政治的大争点の一つである『築地市場から豊洲市場への移転』問題については「築地を守る、豊洲を活かす」としている。

 移転に向けて既に拠出した費用は約6千億円。東京都が今年4月中旬に都議会に提出した試算によると、昨年11月上旬に予定されていた移転の延期に伴う経費は、今年3月末までで約95億円に達している。内訳は、経営に影響を受けている市場業者への補償費で50億円、両市場の維持管理費などで約45億円。

 豊洲市場を開場しないまま築地市場が存続するのは"二重投資"でしかない。別の言い方をすれば、単なる"ムダ遣い"。両市場並存の状態が解消されなければ、このムダは更に加算されていく。また、築地を守るとの趣旨で新たに考案された『食のテーマパーク』再開発の事業規模は4千億円を超える追加負担の拠出を伴うと想定されている。

 私は小池知事を支持しているが、この市場移転問題への対応は支持できない。政治家を支持するかどうかと、その政治家が提起する個別の政策を支持するかどうかは、必ずしも一致しない。(因みに、7月4日のNHKインタビューで小池知事は、いわゆる受動喫煙に係る条例案について、議員が条例案を早期に提出して成立させることが望ましいという考えを示した。これに関しては、私は小池知事の方針を支持する。)

 先の都議選でもそうだが、有権者が投票する判断基準とは何なのかと改めて思ってしまう。莫大な追加コストを強いる今回の市場移転問題への対処に関して、有権者はどう評価しているのだろうか。もちろん、都議選の争点は市場移転問題だけではなかった。しかし、ムダ撲滅への"コスト感覚"を有権者は一瞬忘れてしまったかのようだ。或いは、多くの有権者は、その時々のマスコミ論調に左右されてしまうだけなのだろうか・・・。

 長きに亘って多くの利害関係者や専門家を交えて検討されてきた、或いは実行されてきた施策を、選挙の際に巻き起こる一瞬の熱狂的な空気だけでひっくり返すべきではない。予想外の莫大なコストが発生するからだ。後になって大損するのは結局、有権者自身。市場移転は、当初予定通りに進められるべきであった。

 近年、日本人の"コスト感覚"がおかしくなったと思うような話がある。と言うより、政治もマスコミも、意図的に議論の俎上に載せることを避けてきたものがある。エネルギーコストに関することだ。

 2011年3月の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機として、全国の原子力発電所が強制的に再稼働を止められている。九州、四国、関西の各電力会社の管内では一部の原子力発電所の再稼働が始まっているが、その他多くの原子力発電所は今も停止"塩漬け"状態のまま。

 日本の電源構成における原子力比率は、2010年までは3割前後であったが、震災による福島事故をきっかけとして、定期検査後の再稼働などが容認されなくなった。停止させられた原子力発電による電力量を補うため、天然ガスや石油など化石燃料発電の追加に依存せざるを得なくなった。その結果、震災以降での追加燃料費は年間2〜4兆円の規模に上っている。2016年度末までの累計では14兆円を超えた。

 福島事故によって国民全体に原子力への不安が蔓延したことは確かだろう。今後は、震災の教訓も十分踏まえながら、今まで以上の原子力安全が求められることは言うまでもない。官民一体となった原子力安全への取組は、一層重要なものとなっていくはずだ。

 他方で、原子力発電所の停止"塩漬け"によって、既に累計14兆円を超える国民負担増が発生していることへの反省があって然るべきである。福島事故の前までに、我々人類は大きな原子力事故を二度経験した。1979年の米国・スリーマイル島事故と、1986年の旧ソ連・チェルノブイリ事故だ。この二度の事故の際、米国も旧ソ連も、同国内の他の原子力発電所を強制的に停止させてはいない。

 日本では違った。国内全ての原子力発電所を強制的に停止させ、今も厳しい規制の下で再稼働をなかなか容認していない。そうした原子力発電に係る異常な政策運営により、結果として、巨額の国富を海外に流出させ続けている。

 また、電力各社の経営状況も厳しいままである。自己資本比率について、2008年では電力9社で26.1%であったが、震災後は急落し、2012年に11.9%、2015年には15.0%となった。電力自由化も進められる中で、電力事業に関する予見性が著しく低下し、投資回収に係る不安感が蔓延し、電力各社の経営悪化が深刻化している。電気料金については、震災前後(2010年→2015年)で、家庭用は2割、産業用は3割それぞれ上昇した。

 現在、九州電力川内1・2号機、四国電力伊方3号機、関西電力高浜3・4号機の再稼働が容認されている。今年中には、関西電力大飯3・4号機と九州電力玄海3・4号機が再稼働すると見込まれている。それでも原子力依存度は5%程度にしかならない。

 日本では、2030年での原子力依存度20~22%が目標とされている。核燃料サイクルを始めとした原子力バックエンド事業に要する費用は約20兆円で、数十年に亘って回収される手はずとなっている。これは、政府による原子力発電コスト試算10.1円/kWhの中に含まれるもので、2円/kWh未満に過ぎない。

 原子力発電所の使用済燃料の再処理事業を担う使用済燃料再処理機構は今月3日、日本原燃(青森県六ヶ所村)の再処理事業費を13.9兆円、MOX燃料加工事業費を2.3兆円、再処理工場の新規制基準対応工事費を7500億円と見積もり、公表した。原子力発電所の再稼動を目指す電力10社の新規制基準対応工事費は4兆円程度と見込まれており、その半分は既に実際の投資が行われている。数十年で回収する予定となっている。

 上記の新規制基準対応工事費7500億円のうち、500億円は従来の事業費に含まれていたもの。同機構が新たに日本原燃に対して手当てするのは7000億円で、それだけ審査が進展したため工費が見込めるようになったことを意味する。だが、いったん終了した審査会合が何故か再開され、審査合格への今後の道筋は予断を許さない。

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーを規定された値段で買い取る"固定価格買取制度(FIT)"が施行されてから、今年7月で5年が経過する。福島事故を契機とした原子力バッシングの中で、再生エネの普及を促す仕組みとして導入されたのがFIT。ここに至り、電気の需要家が支払う"再生エネ賦課金"の重さが目立ち始めている。

 標準家庭(月々の電力消費量300kWh)の平均的な再生エネ賦課金は年間9500円で、5年前に比べて10倍以上となっている。これは電気代の1割に相当。昨年施行された電力小売全面自由化は、電力小売事業者どうしの競争で電気代の抑制を目指すとしているが、実際の電力コスト負担は重くなるばかり。

 ドイツでは、再生エネの導入を急激に進めた結果、電気代は10年で2倍になった。日本でも、国民負担となる再生エネ賦課金(再生エネ買取総額)は2016年度で1.8兆円(2.3兆円)、2017年度で2.1兆円(2.7兆円)、そして2030年度では3.6兆円(4.7兆円)になる見通し。これらは全て各年度の負担額であり、累計していくと天文学的な金額に膨れ上がる。

 エネルギー政策を語る時、以上のような再生エネに関する国民負担も、原子力に関する国民負担も、バランスよく見極めていかなければならない。それを国民全体に対して丁寧に説明していくのは政治・行政・報道の役割である。

 しかし、国民一人一人は、それぞれ仕事や家事で毎日忙しく、エネルギー問題を十分理解するには至らないだろう。だからやはり最終的には、政治による冷静な判断が必要となるのだ。

☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.25

2017年7月5日17:00〜17:59

週刊「世界と日本」寄稿 〜 『2020年の前と後を俯瞰する 〜 政治と政策はどう連動するか』

 週刊「世界と日本」(2017.7.3号)に拙稿『2020年の前と後を俯瞰する 〜 政治と政策はどう連動するか』が掲載されたので、御参考までに。

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☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.24

2017年6月29日17:00〜17:59

世界全体の原子力 〜 低下傾向が近年反転し、4年連続増加・・・

 World Nuclear Association が今月28日付けで公表した “World Nuclear Performance Report 2017” によると、2011年から2012年にかけて著しく落ち込んだ原子力発電電力量〔Figure 1.〕と原子力発電設備容量〔Figure 2.〕は、2012年以降4年連続で増加傾向となった。

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2017.6.28 World Nuclear Association “World Nuclear Performance Report 2017 

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2017.6.28 World Nuclear Association “World Nuclear Performance Report 2017 

 2016年には、9GWeを超える新しい原子力発電所が稼働を開始し、過去25年以上で年間最大の増加率だった。
 2016年初に441基だった原子炉は、2016年末には448基に増えた。10基の原子炉が竣工し、3基の原子炉が閉鎖された結果、8GWeを少々上回る設備容量が増加した。
 世界の原子力発電電力量は35TWh増加し、2476TWhとなった。これは、新規竣工原子炉による追加分と、既設原子炉の継続的な性能改善による分の合計。


原文より抜粋》
More than 9 GWe of new nuclear capacity came online in 2016, the largest annual increase for over 25 years. By the end of 2016 there were 448 reactors around the world, up from 441 at the start of the year.Ten reactors started to supply electricity and three were closed down, resulting in a net increase in nuclear capacity of just over 8 GWe. The amount of electricity supplied by nuclear globally increased by 35 TWh to 2476 TWh. This increased generation is the result of both additional generation from new reactors coming online and continued performance improvements from the existing fleet.

 地域別に分けると、北米と西中欧で多く、次いでアジア、東欧となっている〔Figure 3.〕
 世界のエネルギー構成に占める原子力の割合は、2000年以降は減少傾向にある。原子力発電を利用している国に限った場合、エネルギー構成に占める原子力の割合は、2000年以降は減少傾向にあるが、2012年以降は増加傾向に転じている〔Figure 4.〕


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2017.6.28 World Nuclear Association “World Nuclear Performance Report 2017

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2017.6.28 World Nuclear Association “World Nuclear Performance Report 2017

 世界全体の原子力発電所の設備利用率(稼働率)は、2000年以降は概ね80%前後で安定してきている。2011年には一時的に落ち込んだものの、それ以降は80%台を維持している〔Figure 5.〕
 2007年から2016年まで10年間の原子炉の設備利用率(稼働率)は、原子炉の年齢に殆ど関係なく80%台を維持している〔Figure 8.〕

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2017.6.28 World Nuclear Association “World Nuclear Performance Report 2017

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2017.6.28 World Nuclear Association “World Nuclear Performance Report 2017

世界全体のエネルギー消費傾向:石炭から低炭素燃料への移行が顕著

 BPが今月13日に公表した “BP Statistical Review of World Energy June 2017” によると、世界全体の一次エネルギー消費の伸びは2016年も低水準で、石炭から低炭素燃料へと燃料構成が移行したとのこと。

《原文より抜粋》
Growth in global primary energy consumption remained low in 2016; and the fuel mix shifted away from coal towards lower carbon fuels.


 世界全体の一次エネルギー消費量の伸び率は、2014年は1%、2015年は0.9%、2016年は1%、ここ10年間の平均伸び率は1.8%程度(資料1)
 2016年は2015年と同様、欧州とユーラシアを除く全ての地域で、平均よりも低い伸び率。石油や原子力を除く燃料は平均以下の伸び率。
 2016年の中国のエネルギー消費量の伸び率は1.3%程度。2015〜16年の伸び率は、1997〜98年以来のいずれの2年間の伸び率よりも低かった。しかし、中国は16年連続で世界最大のエネルギー成長市場であり続けた。

Global primary energy consumption increased by just 1% in 2016, following growth of 0.9% in 2015 and 1% in 2014. This compares with the 10-year average of 1.8% a year.
As was the case in 2015, growth was below average in all regions except Europe & Eurasia. All fuels except oil and nuclear power grew at below-average rates.
Energy consumption in China grew by just 1.3% in 2016. Growth during 2015 and 2016 was the lowest over a two-year period since 1997-98. Despite this, China remained the world’s largest growth market for energy for a 16th consecutive year.

<資料1>
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2017.6.13 “BP Statistical Review of World Energy June 2017” 


 世界全体の一次エネルギー消費のエネルギー源別の推移について、近年の大まかな傾向を見ると、石炭から天然ガス・再生可能エネルギーへの移行を捉えることができる(資料2)

<資料2>
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2017.6.13 “BP Statistical Review of World Energy June 2017” 


 エネルギー消費に伴うCO2排出量について、2016年はわずか0.1%の伸び率で、2014〜16年の平均伸び率は1981〜83年以来のいずれの3年間の伸び率よりも低い
(資料3)

Emissions of CO2 from energy consumption increased by only 0.1% in 2016. During 2014-16, average emissions growth has been the lowest over any three-year period since 1981-83.

<資料3>
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2017.6.13 BP

韓国大統領の“脱原子力・石炭”宣言 〜 冷静な朝鮮日報社説

 韓国の文在寅大統領は今月19日、エネルギー政策に関して次のような方向を示した。

①着工していない原子力発電所4基の計画を白紙化する。
②既設原子力発電所の運転延長を認めない。
③原子力発電の依存度を減らす。
④石炭火力発電所の新規建設を中断し、老朽10基は任期中に閉鎖する。
⑤天然ガスや再生可能エネルギーによる発電を柱とする。

 これにより、原子力発電所については、新韓蔚3・4号機(各140万kW)、新古里7・8号機(各150万kW)の建設計画が白紙化され、既設24基(計2253万kW)のうち8基(計703万kW)が2030年までに停止する。

 これに関して、翌20日付け朝鮮日報は「脱原発は任期5年大統領が勝手に決められる問題ではない」と題する社説で、次の旨を述べている。


(1)韓国はエネルギーの97%を海外から輸入、年間輸入額は1600億ドルを上回る。
(2)原発は、年間8億ドルの輸入ウランで必要な電力の30%を賄う・・・気候変動対策や大気汚染の解消にも非常に有効。
(3)現在、韓国における原発と石炭火力の割合は発電量全体の70%。
(4)原子力を全て天然ガスで賄うには、液化天然ガス(LNG)を今よりも19兆ウォン(約1兆9000億円)分追加で輸入しなければならない。
(5)現時点で風力や太陽光だけで大量のエネルギーを賄うことはできない。
(6)福島での原発事故を受け17基ある原発の段階的廃炉を決めたドイツでは、風力や太陽光の割合を高めた影響で、ここ10年で一般家庭における電気料金が78%も高くなった。
(7)風力や太陽光は風が吹かず日が出なければ電気を作り出すことができない。
(8)欧州では国家間の電力網が整備されているため、いざとなれば隣国から電力を買うこともできるが、韓国は完全な島国。
(9)2014年における韓国のエネルギー自給率は18.3%とOECD34ヶ国中31位と極めて低く、発電電力量のうち原子力比率は約3割、石炭火力が約4割と2つの主力電源に約7割を依存。
(10)これらの依存度を下げれば、発電コストの上昇は避けられず、電力需給がひっ迫する可能性も考えられる。既に産業界からは懸念の声も上がっており・・・。

 この朝鮮日報社説は、韓国のエネルギー事情を冷静に俯瞰した至極真っ当な見解である。

 日本の報道各社が、上記の朝鮮日報のような主張を展開していたら、2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故以降の原子力を巡る異常な風評被害や報道は、相当抑えられていただろう。

 今更悔やんでも、震災以降のヒステリックな原子力発電停止“塩漬け”が招いた総額15兆円を超える日本人の原子力代替としての追加輸入した化石燃料に係る費用負担は、もはや返ってきようもない。

 果たして韓国は、震災以降の日本の原子力発電を巡る政治動向をどのように参酌していくだろうか?

 韓国の“原子力政治”は今後、震災以降の日本と同じ轍を踏むだろうか?

☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.23

2017年6月21日17:00〜17:59

[時評・ウェーブ]石川和男/100万人を割った出生数

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 厚生労働省が毎年行っている「人口動態調査」というのがある。その趣旨は、出生・死亡・婚姻・離婚・死産に関する人数を把握するというもの。
 2016年1~12月末の調査結果の概数が6月2日に発表された。それによると、出生数や死亡数など主要6項目はそれぞれ以下の通り。
 (1)出生数は減少
 16年の出生数は97.7万人で、前年の100.6万人より2.9万人減少し、出生率(人口千対)は7.8で前年の8.0より低下。
 出生数は、1949年の269.7万人をピークに、75年以降では減少と増加を繰り返しつつ、減少傾向が継続。15年は5年ぶりに増加したが、16年は減少。
 母の年齢(5歳階級)別では、母の年齢が39歳以下の階級では前年より減少し、出生順位別では全ての出生順位で減少。
 母の年齢が40歳以上の出生では、出生数は約5.5万人で、うち第1子は2.1万人、40歳以上の出生に占める第1子の割合は38.5%。
 第1子出生時の母の平均年齢は上昇傾向で、16年は30.7歳。
 (2)死亡数は増加
 死亡数は130.8万人で、前年の129.4万人より1.7万人増加し、死亡率(人口千対)は10.5で前年の10.3より上昇。
 死因別に見ると、死因順位の第1位は悪性腫瘍(全死亡者に占める割合は28.5%)、第2位は心疾患(同15.1%)、第3位は肺炎(同9.1%)となっており、死亡者の3.5人に1人は悪性腫瘍で死亡。
 性・年齢(5歳階級)別に主な死因の構成割合を見ると、5~9歳では悪性新生物および不慮の事故、10~14歳では悪性腫瘍および自殺、15~24歳では自殺および不慮の事故、25~49歳では悪性腫瘍および自殺がそれぞれ多い。年齢が高くなるに従って、悪性腫瘍の占める割合が高くなり、男では65~69歳、女では55~59歳および60~64歳がピーク。
 (3)自然増減数は減少
 出生数と死亡数の差である自然増減数はマイナス33.8万人で、前年のマイナス28.5万人より4.6万人減少し、自然増減率(人口千対)はマイナス2.6で前年のマイナス2.3より低下し、数・率ともに10年連続で減少かつ低下。
 自然増減数が増加した都道府県は、沖縄県(0.5万人)のみ。
 近年、少子高齢社会に突入したことで、日本の将来を危ぶむ声が日増しに大きくなっている。しかし、少子高齢化の始まりを統計的に見ると、実は昭和50(1975)年代初めの頃であった。
 そこから40年も経った今、ようやく少子高齢化が政治的な最大課題の筆頭格になっている。40年前には40年後の今を予想することはできたとしても、実感することができなかっただろう。だから、少子高齢化対策が大きな政治課題に浮上しなかった。
 少子高齢社会を支えるための財源確保策としてやむを得ない消費増税。次の増税は、19年秋が予定されている。その時期が近づくと、おそらく毎度のごとく、感情的・煽動的な反対キャンペーンがマスコミ紙・誌上やネット上で展開されることになるだろう。
 出生数、自然増減数、婚姻件数、離婚件数に関しては、政治的関心が高いのだが、死亡数の増加傾向はあまり政治的関心を呼ばないようだ。戦争や疫病でもない限り、高齢者の死亡率が相対的に高いのは当然と言えば当然のことである。
 平均寿命と健康寿命の差は、男で9年、女で12年。これを極力縮小させ、健康寿命で長生きできるかが、少子高齢社会における我々オトナ世代の最大の役割となっていくはずだ。

☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.22

2017年6月15日17:00〜17:59

2016年の再エネ発電量の割合:世界計24.5%(水力16.6%、風力4.0%、バイオマス2.0%、太陽光1.5%、地熱等0.4%)

 再生可能エネルギーは近年、日本でも世界でも急速に導入が進められてきている。その再エネの中で最も注目を浴びているのは、自然エネルギーの2大有望株である風力と太陽光であろう。

 では、世界全体のエネルギー需給に占める風力発電と太陽光発電は、現状はどのくらいなのか?

 UNEP(国連環境計画)傘下の研究機関である REN21 が今月6日公開した RENEWABLES 2017 GLOBAL STATUS REPORT によると、
 ① 2015年での最終エネルギー消費に占める風力・太陽光の比率は合計1.6%未満(資料1)
 ② 2016年での発電電力量に占める風力、太陽光の比率はそれぞれ4.0%、1.5%(資料2)
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2017.6.6 Highlights of the REN21 Renewables 2017 Global Status Report in perspective

 将来の再エネ100%化に向けて諸々の技術開発・実証を引き続き行うことは必須だろうが、そこまでの道程はまだまだ遠い。

 蓄電・蓄熱システムが商用化されるまでは、劇的なエネルギー転換は覚束ない。

 エネルギー転換は、かなりゆっくりとした牛歩でしか進まないし、進めない。それは、歴史が証明している。再エネ100%化は22世紀になるだろうと予想する。

 それまでは、化石燃料と原子力で凌いでいくしかない。

☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.21

2017年6月9日20:30〜21:29

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv299648791

YouTube : https://youtu.be/oxBt0KAfRUQ

☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.20

2017年6月1日17:00〜17:59

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv299368030

YouTube : https://youtu.be/a66nSLaRyRw

四国電力 〜 再エネの光と影:太陽光発電割合が一時最大66%、再エネ賦課金割合は10%超え・・・

 今朝の日本経済新聞ネット記事でも既報の通り、四国電力は昨日、「太陽光発電の普及拡大に伴う今春の需給への影響について」として、同社管内における太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの導入状況や、それに係る需要家のコスト負担(再エネ賦課金)の推移を発表。

 太陽光発電の導入状況について、2012年7月の再エネ固定価格買取制度(FIT)施行以来、先月現在まで210万kWが導入済みで、接続申込済みの78万kWを加えると、少なくとも288万kWにまでは拡大する見込み<資料1>

<資料1>
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 再エネFITの施行によって最も導入が進んだのが太陽光発電。先月23日12〜13時、太陽光発電の最大出力は161万kWを記録し、その時間帯での太陽光発電の電力需要に占める割合は66%に達した<資料2>。 

 太陽光発電量が最も多くなるのは春。四国電力によると、春は、日照時間が長く、気温があまり高くないため、太陽光パネルが効率よく作動するとの由。また、春は、冷暖房使用がなく、電力需要が少ない季節でもあり、電力需要に占める太陽光発電の割合が高くなるという事情もあるとのこと。

 FITが施行されてもうじき5年が経とうとしているが、再エネ導入コストである再エネ賦課金の急増傾向に対するマスコミ論調に殆ど批判的なものがないと思っているのは筆者だけだろうか。

 四国電力の例で考えると、再エネ賦課金の電気料金に占める割合が、FIT施行直後は1.5%(標準世帯の使用量 260kWh/月の場合で月額90円)であったが、今月現在では10%(同686円)を超えるに至っている。因みに、四国電力が2013年9月に実施した電気料金値上げ幅は月額296円<資料3>

<資料3>
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出所:2017.5.24 四国電力「太陽光発電の普及拡大に伴う今春の需給への影響について」

 即ち、四国電力管内では、再エネ賦課金による電気料金増分は、伊方原子力発電所停止に伴う化石燃料追加輸入等による電気料金値上げ分を既に遥かに上回っているということだ。既設原子力発電所の稼働がいかに低廉かつ安定な電力供給に資しているかが改めて理解できる。

 太陽光や風力は『自然変動電源』(
天候により変動する電源)であるため、発電状況に応じて火力発電出力を調整しながら需給バランスを取る必要がある。だが、
太陽光発電が大量に導入されると、火力発電量を抑制するだけでは需給バランスを維持することが困難になる。
 
 四国電力では、需要に対する太陽光発電の割合が高い日には、火力発電の大幅な出力抑制だけでなく、揚水発電所の活用なども合わせて需給バランスの維持を図っている。

 以上のような実態からすれば、自然変動電源である太陽光や風力は、現時点では、原子力・水力・火力と並ぶ安価安定電源としての評価を得ることはできない。そうした評価を得るには、電気を低廉かつ豊富に貯めることのできるシステムが広く一般に商業化される日が来るまで待たなければならない。
 

 上記は四国電力管内での例だが、東京電力管内である我が家の場合には、直近二ヶ月(4月検針分、5月検針分)の電気料金明細は次の通り。電気料金に占める再エネ賦課金の割合は、それぞれ8.3%、9.6%であった。


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☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.19

2017年5月24日17:00〜17:59

週刊「世界と日本」寄稿 〜 『これからの原子力平和利用とは』

 週刊「世界と日本」(2017.5.22号)に拙稿『これからの原子力平和利用とは』が掲載されたので、御参考までに。


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☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.18

2017年5月18日17:00〜17:59

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv298299486

YouTube : https://youtu.be/g4_6wi7Rx_M

2016年:米国の電力事情(原子力・再エネ) 〜 原子力と水力は安定、再エネはまだまだこれから・・・

 先のブログ記事の続きで、先月27日の米国EIA(Energy Information Administration;エネルギー情報局)の発表によると、2016年現在、全米61ヶ所の原子力発電所での計99基の原子炉が運用されており、稼働年数は平均で37年とのこと。

 また、2016年に竣工した Watts Bar 2 は1996年以来初の新設原子炉で、現在建設中の原子炉は4基。原子力発電は、発電設備容量では全体の9%を占めるに過ぎないが、発電電力量では全体の20%を占めている。

 米国の原子力発電所は、原子力規制委員会(NRC(Nuclear Regulatory Commission)によって最初の「40年」の運転期間を認可されているが、その有効期限を「20年」延長する認可の申請をすることもできる。その申請に係る認可の可否は、延長する運転期間や将来の収入拡大に要する投資の経済性を踏まえて決定される。NRCは2016年現在、稼働中の原子炉99基のうち84基の「20年」の延長に係る認可をしている。

 米国の原子力発電所は最近5年間、平均90%という他電源に比べても高い稼働率で稼働してきた。原子力発電所は、殆どの稼働時間でのフル稼働するので、ベースロード電源として機能している。


原文より抜粋》
As of 2016, the United States had 99 operating nuclear reactors at 61 plants across the country, with a capacity-weighted average age of 37 years. The oldest operating nuclear reactor in the United States was built in 1969. Watts Bar 2, which entered commercial service in 2016, was the first new reactor added since 1996. An additional four reactors are currently under construction. Operation of nuclear plants at high capacity factors enabled them to contribute nearly 20% of total U.S. electricity generation in 2016 while only making up 9% of U.S. generation capacity.

U.S. nuclear plants are licensed for an initial operating life of 40 years by the Nuclear Regulatory Commission (NRC). Owners of nuclear power plants can apply for a license renewal, extending license expiration by 20 years. The decision to apply for a renewal is based on the economics of the capital investments required to extend the operating lifetime and estimated future revenues. As of 2016, the NRC had granted license renewals to 84 of the 99 operating reactors in the United States.

Nuclear plants have higher capacity factors than any other electricity generating technology, averaging 90% over the past five years. Because nuclear plants run near full capacity for much of the time they are operating, they serve as baseload generation. 

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2017.4.27 EIA “Most U.S. nuclear power plants were built between 1970 and 1990”

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2017.4.27 EIA “Most U.S. nuclear power plants were built between 1970 and 1990”


 次に、先々月13日のEIAの発表によると、米国の水力発電所(従来型)は2016年で、発電設備容量が全体の7%、発電電力量が全体の6〜7%程度。米国の水力発電所の99%は1930年以前に建設されたもので、その発電電力量は2014年までは他の再生可能エネルギー発電量を合計した発電量を上回っていた。

 毎年の水力発電電力量は、ダムや川での利用可能な水量によって異なる。多くの貯水槽は、魚の移動だけでなく、灌漑用、地方行政用、産業用その他の競合する水需要と調整しながら運用されなければならない。その結果、水力発電所の稼働率は30〜40%と、フル稼働しているわけではない。


原文より抜粋》
Conventional hydroelectric generators account for 7% of the operating electricity generating capacity in the United States and about 6% to 7% of U.S. electricity generation each year. Hydropower plants account for 99% of all currently operating capacity built before 1930. Until 2014, hydroelectricity exceeded the electricity produced by all other renewable sources combined.

The amount of power generated each year from the nation’s hydroelectric facilities varies by the water available in dams and rivers. Many reservoirs must balance power output with competing water demand for irrigation, municipal, industrial, and other needs, as well as concerns with fish migration. As a result, hydroelectric facilities often do not run at full output. U.S. hydroelectric capacity factors, which measure actual output as a percent of total capacity, average between 30% and 40%.

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2017.3.13 EIA “Hydroelectric generators are among the United States’ oldest power plants”

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2017.3.13 EIA “Hydroelectric generators are among the United States’ oldest power plants”


 最後に、再エネ(風力・太陽光)については、今月2日のEIAの発表今月4日のEIAの発表によれば、概ね以下の①・②の通り。

①米国の風力発電所は2016年で、発電設備容量が全体の8%で、発電電力量が全体の5%となっている。稼働率は、季節や地理的事情で変化し、平均で25%〜40%程度である。

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2017.5.2 EIA “Wind turbines provide 8% of U.S. generating capacity, more than any other renewable source”

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2017.5.2 EIA “Wind turbines provide 8% of U.S. generating capacity, more than any other renewable source”

②1MW以上の太陽光発電所は2016年で、発電設備容量が全体の2%、発電電力量が全体の0.9%となっている。稼働率は、平均で10〜30%程度である。

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2017.5.4 EIA “Utility-scale solar has grown rapidly over the past five years”

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2017.5.4 EIA “Utility-scale solar has grown rapidly over the past five years”


 以上のことからもわかることだが、米国でも原子力と水力はほぼ横這いだが、風力と太陽光は伸びが著しい。

 風力と太陽光を今後一層拡大していくに当たっての大きな課題は、稼働率(設備利用率)をいかに向上させていくかである。その点では、原子力と水力は安定しているが、風力と太陽光はまだまだこれからだ。

2016年:米国の電力事情(化石燃料) 〜 天然ガスが石炭を超えた・・・

 先月20日の米国EIA(Energy Information Administration;エネルギー情報局)の発表によると、2016年の米国での電源構成で、天然ガス火力の発電設備容量(全設備容量の42%)と発電電力量(全発電電力量の34%)がいずれも石炭火力を超えて最大になったとの由。特に、2005年以降の天然ガスカ火力発電設備の増加は、天然ガスの石炭に対する価格競争力の向上が主因。

原文より抜粋》
In 2016, natural gas-fired generators accounted for 42% of the operating electricity generating capacity in the United States. Natural gas provided 34% of total electricity generation in 2016, surpassing coal to become the leading generation source. The increase in natural gas generation since 2005 is primarily a result of the continued cost-competitiveness of natural gas relative to coal.

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2017.4.20 EIA “Natural gas generators make up the largest share of overall U.S. generation capacity”

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2017.4.20 EIA “Natural gas generators make up the largest share of overall U.S. generation capacity”


 上記に関連して、先月17日のEIAの発表では、米国の石炭火力発電所の88%は1950〜1990年頃に竣工したもので、稼働年数は平均で39年となっている。これに対して、天然ガス火力は22年石油火力は38年原子力は37年水力は64年風力は7年太陽光は3年

原文より抜粋》
Coal-fired electricity generators accounted for 25% of operating electricity generating capacity in the United States and generated about 30% of U.S. electricity in 2016. Most coal-fired capacity (88%) was built between 1950 and 1990, and the capacity-weighted average age of operating coal facilities is 39 years.

16
2017.4.17 EIA “Most coal plants in the United States were built before 1990”

49
2017.4.17 EIA “Most coal plants in the United States were built before 1990”


 また、今月17日のEIAの発表によると、米国の石油火力発電所の70%は1980年以前に竣工したもので、2016年末での発電設備容量は3%程度、2016年の発電電力量は1%未満であった。石油火力の比率が低いのにはコスト要因が大きいが、今後当面は完全にゼロとはならず、低水準で維持されていくだろう。これは、日本でも同様。

原文より抜粋》
Roughly 70% of petroleum-fired electric generating capacity that still exists today was constructed prior to 1980. Utility-scale generators that reported petroleum as their primary fuel comprised only 3% of total electric generating capacity at the end of 2016 and produced less than 1% of total electricity generation during 2016.

53
2017.5.16 EIA “Oil-fired power plants provide small amounts of U.S. electricity capacity and generation”

15
2017.5.16 EIA “Oil-fired power plants provide small amounts of U.S. electricity capacity and generation”

コメント掲載 〜 マネーポストWEB『選べない?安くない? 都市ガス自由化「期待外れ」の理由』

 昨日夕方に配信されたマネーポストWEBの『選べない?安くない? 都市ガス自由化「期待外れ」の理由』と題する記事に、私のコメントが以下の通り掲載されています。(Yahoo!ニュースでも配信。)

>>

 2016年の電力自由化に続き、この4月に都市ガスも自由化された。これで都市ガスにも多くの業者が参入し、消費者はその中から気に入った業者を選んで乗り換えられる……はずだったのだが、現実はそうはいっていない。

(略)

 ・・・こうした現状について、社会保障経済研究所代表でエネルギー政策に詳しい石川和男氏は、こう解説する。

「ガスは電気よりも保安上の規制が厳しいうえ、ガス導管を使うための託送料金も高く、参入障壁が非常に高いのです」

・・・石川氏は、電力会社と比べて都市ガス会社は規模が小さいなどの理由で、経産省は電力業界には厳しいがガス業界には甘い、と指摘する。

「自由化といっても中途半端な規制が残ったまま。電気では認められているマンションの1棟単位での契約も禁止されています。工場など法人の大口需要ならともかく、家庭用は利幅が薄く、今後参入が増えてくることも考えにくい」

(略)

「販売者として登録はしても実際に営業する企業は少なく、これでは価格競争も起こらない。都市ガスは電力と違って半分程度の世帯しか対象にならないことを考えても、政府がもっと思い切った規制緩和をしないと『新ガス』の普及は見込めないでしょう」

OECD諸国の電源構成(2016年):「原子力・再エネ」が4割、「化石燃料等」が6割

 国際エネルギー機関(IEA ; International Energy Agency)が先月19日に発表した “Statistics: Key electricity trends 2016”  によると、2016年におけるOECD諸国に関する電源構成などは、次の⑴〜⑶の通り。

⑴ OECD諸国の全体では、可燃性の再生可能エネルギーを含む可燃性燃料(以下「化石燃料等」)は59.5%、それ以外の燃料(原子力、水力、地熱、太陽光、風力等(以下「原子力・再エネ」))は40.5%であった(資料1)

<資料1>
01
2017.4.19 IEA “Statistics: Key electricity trends 2016

⑵ 地域別では、
 ○欧州では、「化石燃料等」は47%、「原子力・再エネ」は53%
 ○米州では、「化石燃料等」は61%、「原子力・再エネ」は39%
 ○アジア・オセアニアでは、「化石燃料等」は78%、「原子力・再エネ」は22%
であった(資料2)

<資料2>
12
2017.4.19 IEA “Statistics: Key electricity trends 2016

⑶ 2016年のOECD全体の発電電力量は対前年比0.9%増で、この内訳として地熱・太陽・風力等は同9.5%増、水力は同2.2%増、化石燃料等は同0.2%減、原子力は同0.1%減であった(資料3)

<資料3>
54
2017.4.19 IEA “Statistics: Key electricity trends 2016

 原子力について、2016年のOECD全体の原子力発電電力量は対前年比0.1%減であった。欧州は原子力発電が減少した唯一の地域で、原子力発電電力量は対前年比2.4%減の790TWhだった(資料4)。ドイツでの原子力発電の段階的廃止、チェコとフランスでの停電長期化、スロベニアとスイスでの運転停止といったことが主因。

《原文より抜粋》
Total OECD cumulative production of nuclear electricity in 2016 was 1873.6TWh, 2.7TWh, or 0.1% lower than in 2015. Europe was the only region which decreased its nuclear production, by 19.6TWh, or 2.4%, to 790TWh led by the continued phase out of nuclear electricity in Germany as well as decreases in the Czech Republic and France caused by extended outages. There were also operational outages in Slovenia and Switzerland.

<資料4>
37
2017.4.19 IEA “Statistics: Key electricity trends 2016

 水力について、2016年のOECD全体の水力発電電力量は対前年比2.2%増であった。2000年から2015年までのOECD全体の水力発電量の増加は、既に水力開発がされ尽くしていたこともあって、0.8%程度だった。

 2016年の水力発電量の増加は、OECDでの水力発電上位3ヶ国であるカナダ・米国・ノルウェーを始めとした多くの国々での降水量増加が主因で、これはフィンランドとスウェーデンでの水力発電量の大幅な減少を補うものでもあった。


Total OECD production of hydroelectricity in 2016 was 1451.6TWh, which was 30.7TWh, or 2.2%, higher than in 2015, and increased in each OECD region. From 2000 to 2015, Hydro production has only grown 0.8% because most of the available potential in OECD countries is already utilised. The increase in Hydro for 2016 was predominately a result of higher rainfall in many countries, especially in Canada, the United States and Norway, the top three Hydro producers in the OECD. These increases compensated for significant drops of Hydro production in Finland and Sweden.

 再エネ(地熱・太陽光・風力等)について、2016年のOECD全体の再エネ発電電力量は対前年比8.4%増であった。欧州では0.4%増、アジア・オセアニアでは12.6%増、米州では22.5%増(太陽光が45%増、風力が19%増)であった。
 
 欧州はOECD全体の中で再エネが最も増えた地域で、太陽光発電・風力発電は欧州の再エネ発電部門でそれぞれ25%・70%を占め、前年比はそれぞれ4%増・1%減であった。欧州の太陽光発電・風力発電の28%を占めたドイツでは、天候不順によってそれぞれ1%減・7%減で、原子力発電の段階的廃止と相俟って化石燃料等の焚き増しを要した。
 
Total OECD production of electricity from Geothermal, Solar, Wind and Other renewables was 873.9TWh in 2016, which was 75.6TWh, or 8.4%, higher than in 2015, with increases seen in all OECD regions. Europe had the smallest increase in this category of 1.9TWh, or 0.4%. In Asia/Oceania, there was an increase of 9.6TWh, or 12.6%. The Americas rose the most with 64.1TWh, or 22.5%, driven by increases in U.S. Solar and Wind of 45% and 19%, respectively.  

The European trend contrasts with last year, when Europe showed the highest increases of all of the OECD regions. Solar and Wind dominate, producing roughly 25% and 70%, respectively, of the electricity in this category for Europe and whilst it was a good year for European Solar production, which increased 4337TWh, or 4%, Wind production fell 1%. Germany, which produced roughly 28% of the European Solar and Wind for 2016, had decreases of 1% and 7%, respectively, due to weather conditions. With the aforementioned phase-out of Nuclear, this necessitated an increase in Combustible Fuels.

 以上のことからして、OECD諸国では、全体としては化石燃料への依存度がまだまだ高く、世界的にも近年特に伸びが著しいとされる太陽光・風力の寄与度は依然として低いことが見て取れる。象徴的であるが、再エネ大国であるドイツの脱原子力の動きは、化石燃料消費の増加を招いていることもわかる。

都市ガス会社の切り替え申込み:5/5集計で19万件(全世帯の0.8%)

 資源エネルギー庁が、都市ガス会社の切り替え(スイッチング)に関して、5月5日時点までの申込件数を集計したところ、全国計で19万1923件であった(資料1)

<資料1>
48
出所:資源エネルギー庁HP

 これに関して、昨夜の日本経済新聞ネット記事では、家庭向けガス小売自由化の開始から約1カ月経過した今月5日時点の参入企業は12社、切り替えた家庭は全体の0.8%の19万1923世帯だったと報じている(資料2)

《記事概要》
・ガスの調達は難しく、参入企業が増えず、消費者の関心も高まらない。
・地域ごとの料金格差も残り、一定の競争原理が働いた電力自由化に見劣り。
・電力自由化では開始1カ月で291社が参入、約90万世帯が切り替え。
・電気は自由化1年で平均料金が5~10%下がった。
・ガス料金は米国に比べて3倍、ドイツの2倍などと割高。
・中小企業が独占してガスを供給し、価格の開きが3倍以上の地域もある。

<資料2>
38
 出所:2017.5.13 日本経済新聞


 今回のガス小売全面自由化に大きな期待ができないことは、別の拙稿を含めてこれまで再三再四書いてきた通り。いったん全面自由化が施行されたのだから、全ての都市ガス需要世帯に自由化のメリットが均霑されるような政策運営が必須だ。

 ところが、先の拙稿などで書いたように、“マンション一括受ガス問題”など高い参入障壁が残存しているため、自由化の進展は甚だ覚束無いのが実情。

 昨年4月に施行された電力小売全面自由化に関しては、上記の記事では「
電気は自由化1年で平均料金が5~10%下がった」とされている。だがそれは、自由化の恩恵を受けられるような電気需要家に係る料金値下げに因るものであり、自由化の恩恵を受けられない低所得層などには何ら得はない。

 このままでは、今回の“電力・ガス全面自由化”が有権者の多くを占める低所得層などには何らメリットがないことが明らかになるだろう。それを見越した上で、今般の自由化政策のレビューについて早急に着手していくべきだ。 

電力会社の切り替え:4/30集計で370万件(全世帯の5.9%)

 電力広域的運営推進機関が、4月30日24時までの情報照会、スイッチング(切り替え)の申込み状況を集計したところ、それぞれ全国計で2916.95万件、369.52万件であった(資料1)
 
<資料1> 
40

 全国の世帯数に関する直近のデータとして経済産業省が用いているのは約6,253万で、これは2015年
度の一般家庭等の通常の契約口数(資料2)。これをベースにすると、今のところ、切替え件数は全体の5.909%(≒ 5.9%)、情報照会から切り替えに至るのは12.67%となる 

 しかし、経産省が2016年4月1日の電力小売全面自由化施行より約半年前の2015年11月18日に発表した資料では、「8割の人は、少なくとも切り替えの検討はする意向」、「現時点で切り替えを前向きに捉えている(「すぐにでも変更したい」「変更することを前提に検討したい」)人に限っても、25%弱存在する」とのアンケート調査結果が掲載されている。

 上述のように、現実はまだまだその域には達していない。予想通りではあるのだが、桁違いに低いのはかなり痛い。図らずも、こうしたアンケート調査には、調査主体の期待感が込もり過ぎる傾向があることを示した格好。

<資料2>
41

 因みに、電力自由化から一定程度時間の経過した欧州では、年間切替え率について、スペインやイギリスなど9カ国で10%を超える一方で、フランスやデンマークなど5%未満の国も同程度存在しているようだ(資料3)

 この年間切替え率は、電力自由化の進捗状況を表す指標の一つとなる。その進捗状況が当初見込みよりも芳しくないと判断された場合には、その責任は大手電力会社に帰せられる可能性が高い。最悪、大手電力会社は、送電部門の所有分離まで半ば強引に課せられてしまうだろう。

 だが、電力自由化が『低廉かつ安定な電力供給システムの水準』を維持・向上させるものかどうかは、実は甚だ覚束ない。少なくとも欧米の先行例から見ると、むしろ失策であった。

 それは、このブログで何度も掲載したことだが、欧米諸国の電気料金水準の動向を見れば一目瞭然。実際、低所得層を中心とした大多数の家庭用電気料金は下がっていないし、下がりようもないことは、自由化以前からわかっていたこと。

 特に日本では、原子力発電が再開されていないことに伴うコスト増が最大要因。今回の電力自由化については、電力消費量が比較的多い消費者などは別だが、国全体として見た場合には、これまで以上のコスト低減に寄与していることは、いずれのデータからも窺うことはできない。

 原子力発電については、既設原子力発電所に係る新規制基準適合に相当の猶予期間を置き、今すぐにそれらの高稼働率稼働を容認する政治決断をすることで、『原子力正常化』を宣言すべきだ。(政権支持率は一瞬下がっても、すぐに回復するだろう。)

 それにより、電力卸売・小売市場の両方における低廉安定供給体制が回復されるだけでなく、その豊富な収益により原子力安全対策や再生可能エネルギー振興のための財源を確保することもできる。日本では当面、原子力と再エネを両輪としたエネルギー需給体制を構築していく必要がある。 

<資料3>

☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.17

2017年5月11日17:00〜17:59

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv297796693

YouTube : https://youtu.be/266nxHHQiR4

米国の原子力発電所 〜 『80年稼働』への動き

 先月24日付け IHS The Energy Daily の “Nine nukes soon to seek license extension to 80 years, NEI says” と題する記事によると、今後5年間で米国の原子力発電所所有者9名が原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission)に対して、現行ライセンス(60年稼働)を20年延長して『80年稼働』とする許可を求めると、原子力エネルギー協会(NEI;Nuclear Energy Institute)の関係者が見通しているとの由。

《原文より抜粋》
In a potential bright spot for the beleaguered sector, nuclear industry officials say they expect nine U.S. nuclear plant owners over the next five years to seek Nuclear Regulatory Commission permission to operate their plants for 80 years, 20 years longer than their current license.


 更に、過去4年間でかなり高額な修理を要するとの理由で閉鎖に追い込まれた原子力発電所が10ヶ所もあるといった事情もあり、上記のような80年稼働を目指す動きは、安価な天然ガス発電や連邦政府の補助を受けた風力発電とのコスト競争に苦しんでいる原子力発電業界にとっては好い話であるとのこと。

This is a somewhat surprising outlook, and a positive one for an industry that is struggling under heavy financial pressure from lower-priced natural gas generation and federally subsidized  wind power. Over the last four years, 10 U.S. nuclear plants have been closed or slated for closure, either for financial reasons or because of surprise, costly repair needs.

 
 先のブログ記事でも述べたように、米国では以前から『80年稼働』が検討されてきた。現在では、全米99基のうち73基が『60年稼働』の認可済み。今年3月に私がNRC関係者から聴いたところでは、最近では実際に『80年稼働』に係る申請が出されているとのこと。

 これに関しては、先の米国調査レポート「
米国トランプ政権のエネルギー政策の動向と展望に関する調査報告調査 〜 日本が学べること、学べないこと 〜 」を参照されたい。

EUの化石燃料CO2排出量:2016年は前年比▲0.4%

 今月4日に発表された eurostat newsrelease “ Early estimates of CO2 emissions from energy use ” によると、2016年での欧州連合(EU)における化石燃料燃焼によるCO2排出量は前年比で0.4%減少する見通し。
 
《原文より抜粋》
Eurostat estimates that in 2016 carbon dioxide (CO2) emissions from fossil fuel combustion decreased by 0.4% in the European Union (EU), compared with the previous year. 
 

 但し、下のグラフと表で示されるように、EU加盟国の大半では2016年にCO2排出量が前年比で増加している。

 2016年でのCO2排出量は、ドイツ(22.9%)、イギリス(11.7%)、イタリア(10.1%)の順。電源構成での再エネ比率が3割を超えるドイツは、CO2排出量割合で圧倒的第1位となっている。これは、ドイツの電源構成において、石炭の割合が比較的高く、天然ガスと原子力の割合が比較的低いことにも起因している。

2016年度の再エネ買取総額:2016年12月までの累計は1兆5400億円(対前年比3740億円増)

 資源エネルギー庁が定期的に更新している再生可能エネルギーに関する『固定買取価格制度 情報公表用ウェブサイト』によると、昨年12月末時点における再エネ発電設備に係る買取電力量・買取金額は、それぞれ資料1・資料2の通り。

<資料1:買取電力量(万kWh)>
10
(出所:資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」)

<資料2:買取金額(億円)>
53
(出所:資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」)

 エネ庁が昨年3月に公表した「再生可能エネルギーの平成28年度の買取価格・賦課金単価」の概要は資料3の通り。

 これによると、2016年度では、再エネ買取額は年間2兆3000億円、再エネ賦課金は年間1兆8057億円と見込んでおり、再エネ賦課金単価は1kWh当たり2.25円(標準家庭(1ヶ月の電力使用量300kWh)で月額675円、年額8,100円)。

<資料3>
43

 昨年12月まで9ヶ月間の買取額は1兆5412億円(対前年同期比3738億円増)。今年度の残り3ヶ月(今年1~3月)が同じ程度で推移すると仮定すれば、今年度の買取額は2兆0549億円となり、現時点のデータでは約2451億円未達のペース。

 国民全体の電力コスト負担増を抑える観点からは、未達額が大きいことは決して悪いことではない。ただ、これはあくまでも単純計算に過ぎない。太陽光や風力は天候に左右されるので、実際にどうなるかはわからない。増えるかもしれないし、減るかもしれない。

 この買取額分は、再エネ導入のための電力消費者からの“補助金”のようなものであるが、その多寡に関する価値観は個々人で大きく異なるであろう。

 我が家の今年4月検針分の電気料金明細(=『電気ご使用量のお知らせ』)は下の写真の通り。この中の「再エネ発電賦課金」というのが、いわゆる「再エネ賦課金」のことで、今回検針分は月額1482円。この金額については、私なりに再エネの特徴を踏まえれば、不当に高いと感じざるを得ない。

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 エネルギーミックスについて国民的議論を起こすのであれば、再エネだけでなく、原子力や大型水力、化石燃料(天然ガス、石炭、石油)に関しても、所要費用を掲載していくことが有効だ。そうすれば、どの電源が安いか高いか等々を比較検討することができる。

 我が国の場合に間違いなく当てはまることは、総額では化石燃料が最も高く、単位電力量当たりでは再エネが最も高いということ。国産エネルギーである再エネを今後更に振興していくには、再エネ導入コストを削減するためにあらゆる方策を打ち立てていくことが肝要である。

FujiSankei Business i. 【論風】 〜 トランプ政権の原子力政策に学ぶ 原子力規制委に政治的均衡を

 今日付け FujiSankei Business i. 【論風】に、『トランプ政権の原子力政策に学ぶ 原子力規制委に政治的均衡を』と題する拙稿が掲載。

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 米トランプ政権でのエネルギー政策を調査し、今後の日本の政策に関する的確な方向性を見いだそうと、3月中旬に米国の原子力規制委員会や政策シンクタンクを訪問し、ヒアリングを行った。以下はその概要だ。

◆最終処分場建設計画の行方
 トランプ政権は原子力発電所から出る使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場建設に関し、オバマ前政権が中止した西部ネバダ州ユッカ山処分場建設計画の再開に向け、来年度予算案に所要額を計上した。米国では、使用済み燃料の行き場がないことも大きな課題。トランプ政権の方針は課題解決への前進材料になるが、建設計画が再開されても、実際の建設までには相当の時間を要するだろう。
 米国は広大なのでユッカ山以外の場所を探すことは難しくない。米建設会社ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)が所有するテキサス州の処分場が、使用済み燃料の「保管施設」に関する原子力規制委員会(NRC)の許可を申請している。
 ユッカ山計画支持派の多くは、閉鎖後に乾式(空冷)で密封したキャスク(容器)で使用済み燃料を保管し続けている原発の地元関係者たち。全米にあるこれらのキャスクの行き場としてWCSテキサス処分場が手を挙げた。そこでキャスクを保管することは、あくまでも「中間貯蔵」であって「最終処分」ではない。将来的にここが最終処分場に姿を変えるかどうかは政治的に重要な話ではなく、決めないのが常道。WCSテキサス処分場での中間貯蔵が永続されても、何ら政治的な動きは出てこないだろう。
 一方、米国で起きた原発事故で何が変わったのか。1979年のスリーマイル島(TMI)事故の後、事故だけでなく、当時のインフレ状況やエネルギー使用構造の変化などの理由から多くの原発の新設が撤回されたが、現存する原発のほとんどは同事故後に許可されたため、事故が米原子力産業にとって終末を告げたわけではなかった。
 同事故後の規制強化や原発向け政府債務保証枠の設定などの政策対応もあり、2007年以降は新規建設許可が相次いだ。直近の新設は昨秋竣工(しゅんこう)したワッツバー2号機(テネシー州)だ。
 事業者は、TMI事故、チェルノブイリ事故(1986年)、米中枢同時テロ(2001年)から多くを学び、その教訓を反映させているからこそ原発はより安全になっている-など、安全対策の改善点を強調するようになった。TMI事故後に米国内の全ての原発を停止したということはない。米国では、事故を起こしていない原発を強制的に停止させたり、再稼働を認めない、というような運用はしていない。

◆原発推進の意義
 化石燃料が豊富な米国でなぜ原発が推進されているのか。原発の魅力は低廉安定供給が可能なベースロード電源であること。初期投資こそ必要だが、中長期的な運転資金はそれほどかからない。完全に市場原理に委ねると、天然ガスなどとの競争が厳しくなり、電源構成上も好ましくない。天然ガス価格は、今は安いが昔は違った。長期的には価格は高下するだろう。天然ガス一辺倒にならないためにも、原子力は一定比率を維持していくべきだ。
 ところで、原発政策を左右するNRCの人事はどう決まるのか。NRCの委員は5人で、人事権を持っているのは大統領と上院。NRCの任務に見合った専門性を持った者を選ぶことになっている。政治的には、委員5人のうち同じ政党出身者は3人までとされている。実際には、共和党系2人、民主党系2人、独立系1人というように、超党派的な構成で『人事ベストミックス』となるようにしている。
 以上を踏まえ、(1)原子力規制委員会の人事構成は政治的に均衡させる(2)事故炉以外の原子炉は早期に正常稼働させる(3)使用済み燃料の最終処分は中間貯蔵期間も含め超長期的視野で考える-といった点は日本も学ぶべきだ。

日本原子力学会の学会誌(ATOMOΣ)2017年5月号寄稿 〜 時論『「バックエンド対策はそれほど高くない」ことを数値で示せ!』

 日本原子力学会の学会誌(ATOMOΣ)2017年5月号の時論に拙稿『「バックエンド対策はそれほど高くない」ことを数値で示せ!』が掲載されています。

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[時評・ウェーブ]石川和男/潜在的に増える「待機老人」

[時評・ウェーブ]石川和男/潜在的に増える「待機老人」

 前回(3月9日付)の拙稿では、“介護離職”を取り上げた。これは、親族の介護を理由として退職や転職を余儀なくされること。
 政府関係機関の調査によると、介護期間と介護離職の関係について、(1)要介護者が施設や病院で過ごす期間を含めた全介護期間は平均3年半弱(2)在宅介護期間は平均1年半で、長くても5年以内(3)在宅介護期間が3年を超えると、介護発生時の勤務先を勤め続ける割合(同一就業継続率)は下がる(4)要介護者と同居している場合は在宅介護期間が1年を超えると同一就業継続率は下がり、別居の場合は3年を超えると下がる――といった結果が出ている。
 我が国では、介護離職は年間10万人発生するとの統計もあり、深刻な社会問題の一つになってきている。この介護離職を未然に防止するためには、端的には、要介護者の世話をしなくて済むようになるしかない。
 そのために最も有力な手段は、要介護者に老人ホームに転居してもらうことだ。しかし我が国では、要介護者の人数に比べて老人ホームでの入居可能者数が非常に少ない。
 老人ホームに入れない要介護者は、老人ホームへの入居を待機しているわけだ。いわゆる“待機老人”とは、こうした要介護者のことも指すはずだ。
 3月下旬、厚生労働省が「特別養護老人ホーム(特養)の入所待機者数」に関して、前回2013年10月調査時点で52万人だったのが、今回16年4月調査時点で36万6千人と、前回に比べて3割減になったと発表した。
 この発表だけを素直に聞くと、待機老人が大幅に減ってきたことを高く評価する人も少なくないだろう。だが、その実は全くそうではない。
 特養が増えたので特養に入居できる要介護者が増えた、というわけではない。特養に入所を申し込むことのできる要介護者の基準を以前よりも厳格化したので、要介護度の低い要介護者が入居対象から外れただけのことなのだ。
 厚労省によると、特養については、介護の必要性がより高い中重度の要介護者を支える機能を重視する観点から、15年4月から、新規に入所する者を原則として要介護3~5の者に限ることとする制度改正を行ったとのこと。
 これが「改正」なのかどうかは評価の別れるところであるが、結果として、「特養の待機老人」は減ったが、その分の「潜在的待機老人」は増えてしまう。計算上、必ずそうなる。
 厚労省の定義では、特養に入所できない要介護者こそが「待機老人」なのだろう。介護施設の中で「終の住処(ついのすみか)」となるのは、制度上は特養だけ。だから、特養の待機老人がすなわち、子どもや孫の世話にならない終の住処の待機老人ということになる。
 しかし、実態はそうでもない。特養以外の老人ホームや、場合によっては病院など医療施設も事実上の「終の住処」になる。
 確かに、特養は「有料老人ホーム」などに比べて入居者の自己負担が少ない一方で、介護費用なども含めた運営費の相当分を介護保険で賄っている。公的財政の負担が比較的重いのは事実だ。政府が特養入所対象者を絞ったのは、そうした事情もある。
 要介護1~2で特養に入れるのは、認知症など自宅で生活が困難な場合だけ。これにより、計算上の特養入所希望者は大幅に減る。だが、見た目の数字は大幅減でも、特養に入ることを希望しながらも統計に表れない「潜在的待機老人」の方が本当の問題なのだ。
 2025年、65歳以上高齢者の20%(716万人)が要介護者で、このうち要介護3以上は同7%(252万人)となる見込み。特養整備に傾斜した施策が必要だ。

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☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.16

2017年4月27日17:00〜17:56

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv296268257

YouTube : https://youtu.be/ya--epI2G7A

 

☆Yahoo!ニュース配信☆ <最大600億円の費用対効果>保育士不足の解消に「保育ロボット」の導入を

<最大600億円の費用対効果>保育士不足の解消に「保育ロボット」の導入を

 保育園では、0~2歳児は必ず「お昼寝」をする。正しい生活習慣を身に付けさせるためだ。厚生労働省によると、2016年4月現在、保育園を利用している0歳児は13.7万人、1・2歳児は83.8万人。この合計98万人の0~2歳児が、全国の保育園で毎日昼寝をしている。

 園児の昼寝中、保育士は5~10分ごとに呼吸確認をし、記録をとり、そして連絡帳の記載もする。園児の昼寝は午後1~3時で、この時間帯には保育士も順番に休憩をとる。しかし、昼寝の途中で起きてしまう乳幼児は少なくない。

 これらの0歳児には4.6万人の保育士、1・2歳児には14.0万人の保育士が付いている。この合計18.6万人の保育士が、毎日2時間、98万人の0~2歳児の昼寝の呼吸確認をしている。

 園児が昼寝の途中で起きたら、保育士は園児を抱っこしながら、昼寝に戻るよう促す。園児を抱っこしている間、その他の園児の呼吸確認も連絡帳記載もできない。そんな時、フリーの保育士や、隣の部屋の保育士が手助けしたり、休憩中の保育士が休憩を切り上げて手伝ったりする。

 そうなると保育士にとっては、園児が昼寝をする時間帯で予定していた仕事が後ろにずれてしまい、残業となってのしかかる。これが、「保育士の働き方」を壊している大きな原因の一つ。

 待機児童問題を解消するには、保育園を増やすことだけではダメで、保育士を確保しかなければならない。しかし、保育士はぜんぜん足りていない。政府は、保育士不足を解消するため、保育士の給与を引き上げるなど待遇改善への努力にようやく本腰を入れ始めた。だが同時に、保育士の働き方そのものを改善することも考えていく必要がある。

 保育士の働き方を改善するための妙案はないだろうか。もちろんその場合、保育の安全性は維持・向上させることが大前提となる。

 「昼寝」のことを「午睡」とも言う。産婦人科で生まれたばかりの赤ちゃんが寝るベッドには、ベビーセンス(乳幼児用呼吸モニター)が装着されている。赤ちゃんの呼吸を確認する機械で、いわば「保育ロボット」だ。これを全ての園児に対して確実にあてがうことができるようになれば、保育士は1人の園児を抱っこしたとしても、午睡チェックを怠る心配はない。他の保育士の手助けも不要となる。連絡帳の記載も時間内に済むので、しっかりと休憩をとれる。

 このベビーセンスは、殆どの保育現場では今はまだ利用されていない。これを普及させていくには、全ての0~2歳児の呼吸確認を毎秒行い、その結果を装置の画面上で簡単にわかるようにしておかなくてはならない。こうした保育ロボットの導入は、単に保育士の待遇改善のためではいけない。保育安全の質を向上させるためのものであることが最も大事だ。

 ロボットベンチャー企業「SCIENCE PANDA」(群馬県太田市)によると、この保育ロボットを保育園1ヶ所に設置する費用は約300万円。全国の保育園(約3.1万ヶ所)に導入する費用は、総額930億円程度となる。保育育士の時給を1000~1500円とすると、昼寝の呼吸確認に起因する残業代は、1日当たり3.7~5.6億円で、1年(300営業日)当たりでは1100~1700億円にもなる。

 このベビーセンスの導入により、差し引きで200~600億円くらいの費用対効果が出る。機械と違って、人間はミスもするし、神経を擦り減らすこともある。ロボットは、正常稼働すればミスもしないし、神経を擦り減らすこともないので、午睡チェックの安全性は向上するはず。まさに、「お昼寝改革」だ。

 4~6人の園児たちが乗ったカートを、保育士が押しながら歩いている姿をよく見かける。あのカートがなかったら、保育士は両手で園児の手を握り、最多で2人の園児と散歩に出かけるのがせいぜい。カートを利用すればこそ、多くの園児と一緒に、急に道路に飛び出す危険もなく安全に散歩できる。

 次の保育新政策は、保育の安全性を向上させる保育ロボットを普及させていくことである。

☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.15

2017年4月19日17:00〜17:59

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv295968953

YouTube : https://youtu.be/AgOpG4geJII

世界全体のエネルギー需給 〜 石炭・石油・天然ガスは漸増、原子力は横這い、再エネは微漸増

 Renewable Energy Policy Network for the 21st Century(REN21)が今月3日に公表した “Renewables Global Futures Report : Great debates towards 100% renewable energy” は、2050年までの再生可能エネルギー100%化を実現させるために必要な課題に関する世界の再エネ専門家114人の見解を抽出している。

 その是非はさておき、この報告書には、再エネも含めたエネルギー全体のマクロ動向を俯瞰できる有用な資料が幾つか掲載されているので、以下に紹介しておく。

 世界全体の一次エネルギー供給(2003〜15年)の推移を見ると、途上国のエネルギー需要増もあって全体的に伸びてきている〔Figure 1〕

 石炭(無煙炭(Hard coal)、褐炭(Lignite))については、先進国を中心に依存度を下げる政策が採られつつあるが、途上国まで含めると全体の供給量は最多のまま漸増してきている。天然ガスと石油も漸増、原子力は横這い、再エネは微漸増。

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出所:2017.4.3 REN21 Renewables Global Futures Report : Great debates towards 100% renewable energy” 

 世界全体の電力供給(2003〜15年)の推移を見ると、途上国の電力需要増もあって全体的に伸びてきている〔Figure 14〕

 石炭(無煙炭(Hard coal)、褐炭(Lignite))については、先進国を中心に依存度を下げる政策が採られつつあるが、途上国まで含めると全体の供給量は最多のまま漸増してきている。天然ガスは漸増、石油と原子力は横這い、水力は微増、風力・バイオマスは微急増。

14
出所:2017.4.3 REN21 “Renewables Global Futures Report : Great debates towards 100% renewable energy” 

 尚、2050年までの再エネの技術的潜在量を予測したものがある。それによると、今の技術では、中国や欧州の場合にはそのエネルギー需要量の2.5倍超になり、アフリカの場合にはそのエネルギー需要量の200倍にもなるとの由。これを見ると、太陽光への期待が圧倒的に大きいことがわかる〔Figure 3〕

《原文より抜粋》
Figure 3 shows the total technical renewable energy potential through 2050, and how many times the regional potential can supply the current primary energy demand.The map shows that with technologies available today, the current total energy demand from China or Europe could be supplied 2.5 times over, while Africa could supply 200 times its current energy demand with renewable energy. 

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出所:2017.4.3 REN21 “Renewables Global Futures Report : Great debates towards 100% renewable energy” 

【国立国会図書館 情報と調査】我が国のエネルギーをめぐる諸課題 ―電力分野の動向を中心に―

http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10319062_po_0956.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

50
 

☆石川和男のエネルギーCh(チャンネル) vol.14

2017年4月13日17:00〜17:59

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv295411609

YouTube : https://youtu.be/GRM-FLnprlY


 

G7エネルギー大臣会合:「再エネは導入拡大」、「原子力はベースロード・脱炭素エネルギー」、「非効率な化石燃料補助金は廃止」・・・

 今月9〜10日、イタリア・ローマでG7エネルギー大臣会合が開催され、今回のG7議長国イタリアによる議長総括「エネルギー安全保障:ローマ2014年からローマ2017年へ」が発出された。

 このうち、我が国のエネルギー政策に対して効果や影響のあると思われる部分を抜粋すると、次の通り。(日本語部分は、外務省による和訳より抜粋。)


《原文より抜粋》
The Heads of Delegation exchanged views on the UNFCCC Paris Agreement and the COP22 in Marrakesh in 2016. The Secretary of Energy of the United States of America informed fellow Ministers and Commissioner that the United States is in the process of reviewing many of its policies and reserves its position on this issue, which will be communicated at a future date. The other Heads of Delegation reaffirmed their commitment towards the implementation of the Paris Agreement to effectively limit the increase in global temperature well below 2°C above pre industrial level, to pursue efforts to limit the temperature increase to 1.5°C, encouraged all Parties to ratify the agreement and reaffirmed their commitment to accelerate the decarbonisation of the energy sector.

・パリ協定について、意見交換。米国は、政策の見直し中であり、本件に関する態度を留保し、将来伝達していくことを表明。
・米国以外の各代表は、世界の平均気温上昇を2℃よりも十分低く保持するための効果的な役割を果たすこと、及び世界の平均気温上昇を1.5℃までの上昇に留める努力を追及していくことを引き続き確約。


ENERGY SECURITY
The Heads of Delegation reaffirmed mutual cooperation and continued commitment to diversification, including diverse energy mix, routes and sources of supply, as core elements for energy security and improving the resilience of the energy systems.
While underlining the strategic role of the existing transit routes for gas deliveries to Europe, the Heads of Delegation agreed to continue to promote gas security through the diversification of sources and routes of supply. They welcomed the opening of new pipeline interconnections, new gas supply corridors, and the start of new and future LNG exports, with the aim of increasing market liquidity and diversity, and the management of disruption and emergencies.They reaffirmed the importance of greater flexibility of commercial clauses in LNG contracts, including relaxing destination clauses, and similar restrictive mechanisms. To this end, they encouraged the sharing of information, on a voluntary basis, of private sector and regulatory best practices.
They agreed to address the opportunities and the challenges of integrating variable and decentralised renewable energy resources to ensure a resilient energy system. 
The Heads of Delegation reaffirmed the importance of achieving and maintaining the highest levels of nuclear safety, security and non-proliferation. In those countries which opt to use it, nuclear energy contributes to the security of energy supply as base load energy source and provides access to carbon-free energy.
 
エネルギー安全保障
・多様化がエネルギー安全保障の核となる要素であることを再確認し、エネルギーミックス、エネルギー供給源及び供給ルートの更なる多様化を目指す。
・供給源や輸送ルートの多様化を通じ、天然ガスの安全保障を促進することで合意。LNG市場の柔軟性や多様性を高めるための新たなパイプライン接続やガス供給回廊の開通を歓迎。仕向地条項の緩和等により、LNG契約の柔軟性を高めることの重要性を再確認し、情報交換やベストプラクティスの共有を促進する。
・変動する再エネの導入拡大に対応し、強靭なエネルギーシステムを確実にするための政策的取組みを継続。
・最高レベルでの原子力安全や核不拡散を実現・維持する重要性を認識。また、原子力の利用を選択する国においては、原子力は、ベースロード電源としてエネルギー安全保障に貢献するとともに、脱炭素エネルギーへのアクセスとなる。
 

NEW ENERGY DRIVERS
The Heads of Delegation noted that fossil fuels will remain a part of the global energy mix for some time and agreed to continue to progressively reduce their greenhouse gas (GHG) emissions. In this context, they encouraged countries which opt to make use of carbon capture, use and storage (CCUS) to collaborate on large-scale demonstration projects and related technologies. 

エネルギー分野の新たな推進力
・当面、化石燃料は世界的なエネルギーミックスにおいて一定の役割を担い続けるため、炭素回収・利用・貯留(CCUS)の実施を選択する国に対し、大規模実証プロジェクト等での協働を奨励。
 

GOVERNING ENERGY TRANSITION 
The Heads of Delegation reiterated the commitment of phasing out inefficient fossil fuel subsidies that
encourage wasteful consumption, and encouraged all countries to do so, by 2025.
They discussed enabling conditions and frameworks to promote a comprehensive innovation
strategy for increasing sustainable and advanced low- and zero-emission fuels, such as CNG, LNG, and
electricity across all modes and uses of transport.
 
エネルギー転換の統治
・無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金を段階的に廃止し、全ての国に対し、2025 年を期限に同様の取組を求めるとの約束を再確認。
・運輸部門における持続的な代替燃料や電力の活用を促進し、低排出自動車への転換について議論。

日本は“太陽光発電大国”・・・

 欧州環境機関(European Environment Agency(EEA))が先月31日に公表した “Renewable energy in Europe 2017: Recent growth and knock-on effects” では、2005〜15年における世界の再生可能エネルギー発電設備容量の推移が掲載されている。

 地域別では、中国とEU(欧州連合(European Union)28ヶ国)の伸びが著しいが、米国やアジア・オセアニアなど他の地域も伸びていく見通し〔Figure 3.1〕

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出所:EEA “Renewable energy in Europe 2017: Recent growth and knock-on effects

 再エネの中でも、近年急速に導入が促進されてきているのが、風力と太陽光であろう。このうち風力については、EUが先行してきたが、2015年には中国がEUを抜いた形〔Figure 3.3〕

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出所:EEA “Renewable energy in Europe 2017: Recent growth and knock-on effects

 太陽光については、EUが圧倒的に多いのだが、中国や日本も大きく伸びてきている〔Figure 3.2〕。太陽光について、日本がEUと中国に次いで第三番目に位置していることを意外に思う人も少なくないだろう。その意味では、日本は“太陽光発電大国”だと言える。

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出所:EEA “Renewable energy in Europe 2017: Recent growth and knock-on effects

 上記の資料で日本が33GWというのは、下記の資源エネルギー庁資料と概ね一致する。

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出所:2016.10.4 資源エネルギー庁「FIT法改正を踏まえた調達価格の算定について」
 
 日本の再エネ発電分野では、太陽光については世界的にも堂々としていられるくらいの設備容量規模になったが、風力についてはまだまだである。

 太陽光も風力も天候に左右されるエネルギー資源なので、太陽光発電所や風力発電所にとって適地をいかに選定するかが、コスト面とともに重要な要素となる。 

《ハフィントンポスト寄稿》米国トランプ政権の「エネルギー・環境」政策について⑵

米国トランプ政権の「エネルギー・環境」政策について⑵

 先の記事
の続きであるが、米国トランプ政権は、2018年度(2017年10月~2018年9月)予算案の骨子"America First"をようやく発表した。これを基に、米国のエネルギー政策の行方はどうなるか、考えてみたい。


 トランプ政権はまだ始まったばかりの政権であり、予算案も骨子の段階であるため、いずれの政策についても細かいことまではまだまだ明確にはなっていない。

 国務長官には、世界最大手石油会社であるエクソンモービルのティラーソン前CEO。DOE長官には、エネルギー省廃止論者で化石燃料利用拡大を主張するペリー前テキサス州知事。EPA長官には、CPPに対する行政訴訟を行ったプルイット前オクラホマ州司法長官。EPA予算3割減という提案もある。これらを総合的に考えると、連邦政府によるエネルギー政策面では、化石燃料利用に係る規制の内容が現行以上に強化されることはなく、逆に緩和されることになるのはまず間違いない。

 そうなると、CO2排出量抑制など環境規制面において、各々の州政府ごとの差異が大きくなっていくはずだ。米国におけるエネルギー関連制度は、連邦政府によるものよりも、各々の州政府によるものの方が、圧倒的に影響力が大きい。米国のエネルギー政策は、「共和党か、民主党か」ではなく、「どの州か」で決まる場合が殆どであり、連邦政府や連邦議会の実質的な権限は非常に限定的だと見ておくべきだ。

 殆ど米国民の関心はテロ対策やオバマケアの行方であって、エネルギー政策ではないだろう。米国は、日本のような資源の乏しい国とは違い、自国内に豊富な資源を有している。東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の経験もあって、日本国民はエネルギー政策に大きな関心を寄せているのかもしれないが、米国民はエネルギー問題を今抱えていないので、エネルギー政策が話題に上ることはまずない。

 米国自身が当分の間は化石燃料を豊富かつ安価に産出・調達し続けると見通されている中では、米国のエネルギー需給動向は、エネルギー安全保障や温室効果ガス排出抑制といった観点よりも、目先のエネルギーコスト面での利害で大きく左右される志向が続くだろう。

 米国エネルギー情報局(Energy Information Agency(EIA))では、今後の天然ガス価格は微増傾向になると予測しているが、それでも需要面では石炭から天然ガスへの移行は続くであろう。

 EIAによると、ここ10年の米国のエネルギー消費構造の推移は、下の二つの図の通り。

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(出所:2016.8.17 EIA "Energy-related CO2 emissions from natural gas surpass coal as fuel use patterns change"

 米国では、化石燃料の消費構造面での低炭素化に加えて、原子力と再生可能エネルギーの需要増により、2005〜15年でCO2排出原単位は10%も低下。米国のエネルギー関連CO2排出量は、「石炭の消費減」と「天然ガス・原子力・再エネの消費増」により、ここ最近は年々抑制されつつある。

 EIAの予測では、CPPの存廃は各電源の将来見通しに多少の変化を生じさせる。CPPとは、端的には"脱石炭"のための政策であるので、その存廃は石炭火力発電の将来像に最も影響を及ぼす。原子力発電の将来には殆ど影響を与えない。

 下のグラフの通り、CPP廃止による電源構成は、CPP存続の場合と比べて、石炭以外の電源の伸びを抑える方向に働くと見込まれている。ただそれでも、石炭火力発電所の新設があるとは考えられていない。

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(出所:2016.5.17 EIA "Annual Energy Outlook 2016 Early Release : Annotated Summary of Two Cases" 

 米国のCPP廃止など環境政策の変化は、米国における化石燃料使用の動向に殆ど影響をもたらさない見通しなのだから、ましてそれが日本における化石燃料使用の動向に影響をもたらすような"エネルギー・環境世論"を作ってはならない。

 米国では、原子力も再エネも、低炭素電源としての評価は顕著ではない。だからと言って、日本では従来通り、原子力と再エネを低炭素エネルギーとしての観点からも積極的に評価していくことを怠ってはならない。

 日本は今後とも、これまでの国際協調の下での『エネルギー・環境政策』を進めていくべきだ。「パリ協定」の路線を踏襲していくのは当然のことである。

《ハフィントンポスト寄稿》米国トランプ政権の「エネルギー・環境」政策について⑴

米国トランプ政権の「エネルギー・環境」政策について⑴

 米国トランプ政権は、2018年度(2017年10月~2018年9月)予算案の骨子"America First"をようやく発表した。

 今回の予算案骨子では、下記"My Budget Blueprint for 2018"で掲げているように、2018年度の予算配分に関する基本的な考え方として、①国債の増発を伴わずに国防予算を最大限に増やすために、他の予算削減によって540億ドルを捻出すること、②メキシコ国境の壁の建設や国境の警備といった移民対策のための予算を増やすこと、③暴力犯罪や薬物乱用に対処していくための予算を増やすこと ---- などが挙げられている。

My Budget Blueprint for 2018:

  • provides for one of the largest increases in defense spending without increasing the debt;
  • significantly increases the budget for immigration enforcement at the Department of Justice and the Department of Homeland Security;
  • includes additional resources for a wall on the southern border with Mexico, immigration judges, expanded detention capacity, U.S. Attorneys, U.S. Immigration and Customs Enforcement, and Border Patrol;
  • increases funding to address violent crime and reduces opioid abuse; and
  • puts America first by keeping more of America's hard-earned tax dollars here at home.The core of my first Budget Blueprint is the rebuilding of our Nation's military without adding to our Federal deficit. There is a $54 billion increase in defense spending in 2018 that is offset by targeted reductions elsewhere.
(出所:"America First"p1〜2)


 今回の予算案骨子について、前年度との比較において予算配分の全体像を見ると、下の資料"Table 2. 2018 Discretionary Overview by Major Agency"の通りである。このうち、エネルギー政策に反映されると思われる項目に関して抜粋してみたい。

 エネルギー省(Department of Energy(DOE))関連予算については、2018年度は総額280億ドルで、前年度比−5.6%(−17億ドル)。国家安全保障局(National Nuclear Security Administration (NNSA))関連予算については、核戦力の強化を図るために前年度比+11%(+14億ドル)としたが、他の予算については前年度比−18%(−31億ドル)とした。

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(出所:"America First"p50)

 下記のように、原子力発電所から出る使用済燃料の最終処分場の建設に関しては、2010年にオバマ政権が中止したネバダ州ユッカマウンテン処分場の建設計画に係る許認可活動の再開や中間貯蔵プログラムの開始のために1.2億ドルが計上された。

 だが一方で、原子力や再生可能エネルギーの新規開発に対する融資保障措置("TITLE XVII INNOVATIVE CLEAN ENERGY LOAN GUARANTEE PROGRAM")などは打ち切られる。

  • Provides $120 million to restart licensing activities for the Yucca Mountain nuclear waste repository and initiate a robust interim storage program. These investments would accelerate progress on fulfilling the Federal Government's obligations to address nuclear waste, enhance national security, and reduce future taxpayer burden.
  • Eliminates the Advanced Research Projects Agency-Energy, the Title 17 Innovative Technology Loan Guarantee Program, and the Advanced Technology Vehicle Manufacturing Program because the private sector is better positioned to finance disruptive energy research and development and to commercialize innovative technologies.

(出所:"America First"p19〜20)

<参考:原子力産業界の反応>

米国原子力エネルギー協会(Nuclear Energy Institute(NEI))のコースニック理事長は、今回の予算案について下記の通り、①ユッカマウンテン処分場建設計画と中間貯蔵プログラムの開始のための予算措置を講じることを賞賛する一方で、②研究開発予算が削減されることについて、ロシアや中国といった競争国に米国がリーダー的立場を譲り渡しつつあるとのシグナルを最もまずいタイミングで世界中に発信するとの懸念を表明するとともに、③原子力技術で米国がリーダー的立場を確保するには、強力な政策的支援や重要機関の欠員を補充する必要がある ーー などと述べている。

NEI President and Chief Executive Officer Maria Korsnick has praised the including of funding for a nuclear used fuel program in the president's proposed budget for 2018.

"The nuclear energy industry is encouraged by the news that the preliminary budget for the U.S. Department of Energy (DOE) includes funding to both re-start licensing activities for the Yucca Mountain nuclear waste repository and initiate a robust interim storage program,"・・・

"Reducing the nuclear energy research budget now would send a signal around the world that the U.S. government is ceding leadership to competitors like Russia and China, at exactly the wrong time."

Korsnick emphasized that American leadership in nuclear technology requires prudent policy support and filling vacancies in leadership positions at crucial agencies.

(出所:www.nei.org/News-Media/News/News-Archives/NEI-s-Korsnick-Praises-Used-Fuel-Funding-in-Presid

 環境保護庁(Environmental Protection Agency(EPA))関連予算については、2018年度は総額57億ドルで、前年度比−31%(−26億ドル)とした。

 火力発電部門からのCO2排出量の抑制を図る"Clearn Power Plan(CPP)"や、国際的な気候変動対策に係る予算は打ち切られる。これにより前年度比で1億ドル以上が節約される。

・Discontinues funding for the Clean Power Plan, international climate change programs, climate change research and partnership programs, and related efforts--saving over $100 million for the American taxpayer compared to 2017 annualized CR levels.

(出所:"America First"p41)

 2001年以降のEPA関連予算の推移は、Bloomberg記事にあるグラフの通り。2018年度予算について、金額面は2001年度以降では最低となるが、前年比の減額率では2010年度や2013年度と同じ程度である。つまり、EPA関連予算は、過去にも大幅削減の経験が少なからずあるわけだ。

(続く)

電力会社の切り替え:3/31集計で343万件(全世帯の5.5%)

 電力広域的運営推進機関が、3月31日24時までの情報照会、スイッチング(切り替え)の申込み状況を集計したところ、それぞれ全国計で2654.47万件、342.79万件であった(資料1)。
 
<資料1> 
17

 全国の世帯数に関する直近のデータとして経済産業省が用いているのは約6,253万で、これは2015年
度の一般家庭等の通常の契約口数(資料2)。これをベースにすると、今のところ、切替え件数は全体の5.48%(≒ 5.5%)、情報照会から切り替えに至るのは12.91%となる。 

 切替え率は、ようやく“5%”を超えた。

 しかし、経産省が2015年11月18日に発表した資料では、「8割の人は、少なくとも切り替えの検討はする意向」、「現時点で切り替えを前向きに捉えている(「すぐにでも変更したい」「変更することを前提に検討したい」)人に限っても、25%弱存在する」とのアンケート調査結果が掲載されている。

 上述のように、現実はまだまだその域には達していない。予想通りではあるのだが、桁違いに低いのはかなり痛い。図らずも、こうしたアンケート調査には、調査主体の期待感が込もり過ぎる傾向があることを示した格好。

<資料2>
41

 因みに、電力自由化から一定程度時間の経過した欧州では、年間切替え率について、スペインやイギリスなど9カ国で10%を超える一方で、フランスやデンマークなど5%未満の国も同程度存在しているようだ(資料3)。

 この年間切替え率は、電力自由化の進捗状況を表す指標の一つとなる。その進捗状況が当初見込みよりも芳しくないと判断された場合には、その責任は大手電力会社に帰せられる可能性が高い。最悪、大手電力会社は、送電部門の所有分離まで半ば強引に課せられてしまうだろう。

 だが、電力自由化が『低廉かつ安定な電力供給システムの水準』を維持・向上させるものかどうかは、実は甚だ覚束ない。少なくとも欧米の先行例から見ると、むしろ失策であった。

 それは、このブログで何度も掲載したことだが、欧米諸国の電気料金水準の動向を見れば一目瞭然。実際、低所得層を中心とした大多数の家庭用電気料金は下がっていないし、下がりようもないことは、自由化以前からわかっていたこと。

 特に日本では、原子力発電が再開されていないことに伴うコスト増が最大要因。今回の電力自由化については、電力消費量が比較的多い消費者などは別だが、国全体として見た場合には、これまで以上のコスト低減に寄与していることは、いずれのデータからも窺うことはできない。

 原子力発電については、既設原子力発電所に係る新規制基準適合に相当の猶予期間を置き、今すぐにそれらの高稼働率稼働を容認する政治決断をすることで、『原子力正常化』を宣言すべきだ。(政権支持率は一瞬下がっても、すぐに回復するだろう。)

 それにより、電力卸売・小売市場の両方における低廉安定供給体制が回復されるだけでなく、その豊富な収益により原子力安全対策や再生可能エネルギー振興のための財源を確保することもできる。日本では当面、原子力と再エネを両輪としたエネルギー需給体制を構築していく必要がある。 

<資料3>
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