【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.110】

2016年8月24日12:30~13:20【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.110】

Youtube : https://youtu.be/FAyA8T0WcE0


<番組内アンケート調査結果>
Q:脱原発テント強制撤去についてどう思うか?
A:賛成84.4%、反対7.8%、わからない7.8%


Q:普段から災害への備えをしているか?
A:している29.7%、していない70.3%

原子力規制委 〜 柏崎刈羽原子力発電所の「先行審査」って???

 今夜の日本経済新聞ネット記事によると、原子力規制委員会は東京電力柏崎刈羽原子力発電所6・7号機について、これまで中断していた先行審査を近く再開する方針を固めたとのこと。

<記事要旨>
・規制委は、残された審査項目に人員を優先して振り向ける。
・中国電力島根原発2号機などについての審査の一部は継続。
・規制委の更田委員は、審査終了時期についての「見通しは持てない」と話しており、合格の時期は不透明。
・地元新潟県の泉田知事も福島第1原発事故の検証がなされるまで「再稼働の議論はしない」と。


 日本にある既設の原子力発電所が発電を再開できないのは、政権与党が「原子力規制委による新規制基準の適合性審査に合格したものから再稼働させる」旨の規制運用方針としていることが主因の一つ。

 このような規制運用は、世界的にも、他の安全規制運用を見ても、甚だ不見識かつ非常識。しかも、地元県知事の同意がないと発電再開が事実上容認されないという紳士協定もある。

 だから、柏崎刈羽原子力発電所を「先行審査」することで、他の原子力発電所の審査や発電再開が遅れるという、おかしな事態が続いている。

 新規制基準への適合は当然だが、それは、新規制基準に適合させる工事などのために一定の猶予期間を置いて施行すべきものであり、新規制基準に適合しないと発電再開を認めないという政権与党の方針が不見識かつ非常識。

 新規制基準への適合性審査にかかわらず、発電再開は早期に容認するとともに、一定の猶予期間内での新規制基準適合を義務付けることとすべきだ。このような規制運用改善を今すぐ断行する必要がある。そうでないと、国民が殆ど感じない国富ダダ漏れが止まらない。 

 原子力規制委・規制庁の人員体制が、審査ニーズに比して脆弱なのは周知の通りだが、そういう状況が当面続くことが確実な中で、上記のような政権与党の原子力規制運用が続くことは、いつまで経っても「原子力正常化」が実現しないことになる。即ち、エネルギーコストの震災以前の水準への低減や、エネルギー安全保障の水準の維持・向上が覚束ないこととなる。

 国会の委員会でも、与党の部会でも、こうした議論はまず行われない。

 「原子力問題に触れても票にならないどころか、票が減る」という雰囲気が、与野党問わず染み付いている。今も、こうした弁明はしばしば耳にする。

 多くの国民は大きな関心を持っていないだろうが、エネルギーコストやエネルギー安全保障の水準は、日本はかなりヤバい状況にある。

 憲法改正国民投票へ真っしぐらな感じの政権与党だから、原子力政策については、今の規制運用を続けるという「政治の不作為」を続けるはず。

 「エネルギー」でいざとなったら文句を言わず、覚悟しておく必要がある。本当はその逆なのだが、日本は、あまりにも“裕福過ぎる”のだ・・・。 

米国のエネルギー消費構造:「石炭の消費減」と「天然ガス・原子力・再エネの消費増」で省CO2が進展

 今月17日の米国EIA(Energy Information Administration;エネルギー情報局)の発表では、米国においては、ここ10年での天然ガス消費増と石炭消費減が相俟って、天然ガス由来CO2排出量が石炭由来CO2排出量を超え始めるとの予測が出された。

 CO2排出原単位の面では、石炭は天然ガスよりも約82%高い。だが2016年では、天然ガス由来CO2排出量は石炭由来CO2排出量よりも10%多くなるとの見通し。


《原文より抜粋》
Energy-associated carbon dioxide (CO2) emissions from natural gas are expected to surpass those from coal for the first time since 1972. Even though natural gas is less carbon-intensive than coal, increases in natural gas consumption and decreases in coal consumption in the past decade have resulted in natural gas-related CO2 emissions surpassing those from coal. EIA's latest Short-Term Energy Outlook projects energy-related CO2 emissions from natural gas to be 10% greater than those from coal in 2016.

51
(出所:2016.8.17 EIA )

Coal is more carbon-intensive than natural gas. The consumption of natural gas results in about 52 million metric tons of CO2 for every quadrillion British thermal units (MMmtCO2/quad Btu), while coal's carbon intensity is about 95 MMmtCO2/quad Btu, or about 82% higher than natural gas's carbon intensity.

07
(出所:2016.8.17 EIA )

 ここ10年での米国のエネルギー消費構造の全体的推移を見ると、化石燃料消費構造面での低炭素化に加えて、原子力と再生可能エネルギーの需要増により、2005年(60 MMmtCO2/quad Btu)→2015年(54 MMmtCO2/quad Btu)と、CO2排出原単位は10%低下した計算になる。
 
Another contributing factor to lower carbon intensity is increased consumption of fuels that produce no carbon dioxide, such as nuclear-powered electricity and renewable energy. As these fuels make up a larger share of U.S. energy consumption, the U.S. average carbon intensity declines. Although use of natural gas and petroleum have increased in recent years, the decline in coal consumption and increase in nonfossil fuel consumption have lowered U.S. total carbon intensity from 60 MMmtCO2/quad Btu in 2005 to 54 MMmtCO2/quad Btu in 2015.

 総じて言えば、米国のエネルギー関連CO2排出の合理化は、「石炭の消費減」と「天然ガス・原子力・再エネの消費増」によって進展してきているという話。 

☆ニュース配信☆ 2017年のドイツの再エネ賦課金は、月額2400〜2500円・年額2.9〜3万円と試算

2017年のドイツの再エネ賦課金は、月額2400〜2500円・年額2.9〜3万円と試算

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http://www.gadgetwear.net/2016/08/201724002500293.html


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http://news.livedoor.com/article/detail/11902435/


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http://news.ameba.jp/20160818-155/


BIGLOBEニュース

http://news.biglobe.ne.jp/economy/0818/gdw_160818_6133886964.html



 7月23日付けのドイツ Agora Energiewende の発表によると、EEG(再生可能エネルギー法)に基づく再エネ賦課金単価は、2016年に6.35ct/kWhであるところ、2017年には7.1〜7.3ct/kWh(約12〜15%増)になると試算された。ドイツBMWi(連邦経済技術省)が、今秋頃に公式発表するであろう。 

《原文より抜粋》
Die Umlage nach dem Erneuerbare-Energien-Gesetz (EEG-Umlage) wird nach Berechnungen für Agora Energiewende im Jahr 2017 auf 7,1 bis 7,3 Cent pro Kilowattstunde Strom ansteigen. Derzeit liegt sie bei 6,35 Cent. 

 ドイツでは2000年のEEG施行後に再エネ賦課金単価は、前々回に(2014年→2015年)初めて低下に転じたが、前回(2015年→2016年)は再び上昇に転じて過去最高を更新した。そうなると、今回(2016年→2017年)は更に上昇することで、過去最高を更新することは確実。 

 ドイツの一般家庭の年間消費量は3500kWhとされている。これを基にすると、2017年でのドイツの再エネ賦課金は、次の式から算出される。(為替レートは7月25日時点のもので、1ct=1.16円 とした。) 


  7.1〜7.3ct/kWh × 3500kWh/年 ÷ 12月 × 1.1623円/ct = 2406.93〜2474.73円/月 

 即ち、月額2400〜2500円、年額2.9〜3万円程度ということ。 

 因みに日本の場合、資源エネルギー庁が今年3月に公表した「再生可能エネルギーの平成28年度の買取価格・賦課金単価」にある通り、2016年度の再エネ賦課金単価は2.25円/kWhで、標準家庭(月の電力使用量が300kWh)では月額675円・年額8100円となる。

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.109】

2016年8月17日12:30~13:15【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.109】

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv272570407

Youtube : https://youtu.be/HdJbYoD4r1w

[時評・ウェーブ]石川和男/高齢者支える現役の負担

[時評・ウェーブ]石川和男/高齢者支える現役の負担

 厚生労働省が毎年行っている「国民生活基礎調査」というのがある。その直近の結果である2015年版から高齢者の人数や世帯数にかかわる主な指標を取り上げてみたい。
 65歳以上の者は15年現在で3466万人。その家族形態に関するここ30年間の推移(86年↓15年)は次の通りだ。(カッコ内は当時の65歳以上の者に占める割合)
 (1)「子と同居」の者=812万人(22%)→1353万人(39%)
 (2)「子と同居」のうち「子夫婦と同居」の者=590万世帯(47%)→435万世帯(13%)
 (3)「子と同居」のうち「配偶者のいない子と同居」の者=222万世帯(18%)→万世帯(27%)
 (4)「夫婦のみの世帯」(夫婦の両方または一方が65歳以上)の者=278万人(22%)→1347万人(39%)
 (5)「単独世帯」の者=128万世帯(10%)→624万人(18%)
 65歳以上の者のいる世帯は15年現在で2372万世帯。これは全世帯の47%を占め、その状況に関するここ30年間の推移は次の通り。(カッコ内は当時の全世帯に占める割合)
 (1)65歳以上の者のいる世帯=977万世帯(26%)→2372万世帯(47%)
 (2)65歳以上の者のみの世帯=234万世帯(6%)→万世帯(25%)
 (3)単独世帯=128万世帯(3%)→624万世帯(12%)
 (4)夫婦のみ=178万世帯(5%)→747万世帯(15%)
 (5)親と未婚の子のみ=109万世帯(3%)→470万世帯(9%)
 (6)三世代同居=438万世帯(12%)↓291万世帯(6%)
 (7)その他=125万世帯(3%)→240万世帯(5%)
 65歳以上の人のみか、65歳以上の人と18歳未満の未婚の人で構成する世帯は「高齢者世帯」とされるが、15年現在で1271万世帯。これは全世帯の25%を占め、その状況に関するここ30年間の推移は次の通り。(カッコ内は当時の高齢者世帯に占める割合)
 (1)高齢者世帯=236万世帯→1271万世帯
 (2)高齢者世帯のうち「単独世帯」=128万世帯(54%)→624万世帯(49%)
 (3)高齢者世帯のうち「男の単独世帯」=25万世帯(10%)→195万世帯(15%)
 (4)高齢者世帯のうち「女の単独世帯」=104万世帯(44%)→429万世帯(34%)
 (5)高齢者世帯のうち「夫婦のみの世帯」=100万世帯(42%)→600万世帯(47.2%)
 以上、高齢者の人数や世帯数にかかわる主な指標を上げてみた。
 長寿化はさらに進むだろう。ならば高齢者の仕切りである「65歳」、後期高齢者の仕切りである「75歳」など、高齢者に関する各種指標とその定義付けを修正する必要があろう。
 「老々のみ世帯」や「老々介護」への対応をはじめ、現役世代による高齢者ケアだけでは、とてもまかない切れない多くの高齢者ケア需要がある。今も人材不足は相当なもの。それをロボットやITの活用でしのぐことも社会保障制度改革の重要な視点だ。
 社会の傾向としては「核家族化」から「少子高齢化」「高齢独居化」に移行しつつある。3世代同居や既婚親子同居の割合はさらに低下すると思われる。
 年金、医療、介護といった高齢者向け社会保障が現役世代の労力の代替だとするなら、現役世代の労力の代替となるような高齢者向け社会保障が優先される必要がある。それこそが社会保障制度改革の肝であるはずだ。全員年金、全員医療、全員介護は実現できるはずない。もっとも今でも実現できていないのだが…。

21


ドイツの太陽光発電価格 〜 入札制度導入により1年で20%超の価格低下

 8月5日付けのドイツ連邦系統規制庁の発表によると、ドイツの太陽光発電価格の平均入札価格が7.23cent/kWh(約8.17円(€1=1.13円換算(8月13日現在)と最安値を更新したとの由。

《原文より抜粋》
Zuschlagswert erneut gesunken
In der neuen Ausschreibungsrunde wurden die Zuschläge wieder im Gebotspreisverfahren („pay as bid“) ermittelt. Der durchschnittliche Zuschlagswert liegt bei 7,23 Cent/Kilowattstunde und ist damit im Vergleich zur Vorrunde (7,41 Cent/Kilowattstunde) erneut leicht gesunken. 
Der höchste Gebotswert, der noch einen Zuschlag erhalten konnte, lag unter 8 Cent/Kilowattstunde. 


 ドイツにおける再生可能エネルギー発電に係る入札制度は2015年から試行的に始まったもので、今回が5回目で最終回。

 第1回目の入札価格が9.17cent/kWhであったことからすれば、昨年から5回の入札を経てくる中で価格低下率は20%を超えた計算になる。

 もっとも、この落札価格での買取期間は20年となるので、この入札制度が再エネ導入促進策であることに変わりはない。


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/186949/ 】 

我が家の“再エネ発電賦課金” :1,055円(7/13〜8/11検針分)

 自営業を兼ねている我が家(4人家族)の直近の電気料金は12,029円で、うち“再エネ発電賦課金”は1,055円だった。

 “再エネ発電賦課金”が月1,000円程度になることが当たり前になっていくという話。



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2016年度の再エネ買取総額:2016年4月までの累計は1766億円(対前年比545億円)

 資源エネルギー庁が定期的に更新している再生可能エネルギーに関する『固定買取価格制度 情報公表用ウェブサイト』によると、今年4月末時点における再エネ発電設備に係る買取電力量・買取金額は、それぞれ資料1・資料2の通り。

<資料1:買取電力量(万kWh)>
48
(出所:資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」)

<資料2:買取金額(億円)>
28
(出所:資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」)


 エネ庁が今年3月に公表した「再生可能エネルギーの平成28年度の買取価格・賦課金単価」の概要は資料3の通り。

 これによると、2016年度では、再エネ買取額は年間2兆3000億円、再エネ賦課金は年間1兆8057億円と見込んでおり、再エネ賦課金単価は1kWh当たり2.25円(標準家庭(1ヶ月の電力使用量300kWh)で月額675円、年額8,100円)。


<資料3>
00
(出所:資源エネルギー庁再生可能エネルギーの平成28年度の買取価格・賦課金単価」)

 今年4月まで1ヶ月間の買取額は1766億円(対前年比545億円)。今年度の残り11ヶ月(今年5月~来年3月)が同じ程度で推移すると仮定すれば、今年度の買取額は2兆1192億円となり、現時点のデータでは約1808億円未達のペース。

 これはあくまでも単純計算に過ぎない。太陽光や風力は天候に左右されるので、実際にどうなるかはわからない。増えるかもしれないし、減るかもしれない。この買取額分は、再エネ導入のための電力消費者からの“補助金”のようなものであるが、その多寡に関する価値観は個々人で大きく異なるのだろう。


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/186945/

電力会社の切り替え:7/31集計で147万件(全世帯の2.4%程度)

 電力広域的運営推進機関が、7月31日24時までの情報照会、スイッチング(切り替え)の申込み状況を集計したところ、それぞれ全国計で889.45万件、147.3万件であった。
 
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 全国の世帯数に関する直近のデータとして経済産業省が用いているのは、下に添付した経産省資料によると約6,253万(2015年度の一般家庭等の通常の契約口数)である。これをベースにすると、今のところ、切り替え件数は全体の2.356%、情報照会から切り替えに至るのは16.56%となる。

 因みに、経産省が2015年11月18日に発表した資料では、「8割の人は、少なくとも切り替えの検討はする意向」、「現時点で切り替えを前向きに捉えている(「すぐにでも変更したい」「変更することを前提に検討したい」)人に限っても、25%弱存在する」とのアンケート調査結果が掲載されている。

 しかし上述のように、現実はまだまだその域には達していない。図らずもこうしたアンケート調査には、調査主体の期待感が込もり過ぎる嫌いがあることを示した格好だ。

 尚、下に添付した経産省資料では、①6月17日時点でのスイッチングの申込件数(自社内の契約切替え(規制→自由)を含まず、他社への契約先の切替えの件数に限る)は約116万件であり、②5月末時点での旧一般電気事業者の自社内の契約の切替え(規制→自由)の申込件数は約171万件で、スイッチング件数と合わせた契約切替えの申込件数は合計約287万件であるとしている。

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(出所:2016.7.1 経済産業省「小売全面自由化に関する進捗状況」) 


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/186947/

熱波に襲われた7月下旬の米国 〜 原子力発電所の平均稼働率97%

 今月4日の米国原子力エネルギー協会(Nuclear Energy Institute(NEI)の発表によると、先月下旬に熱波に襲われた米国では、要するに、原子力発電所の平均稼働率97%と高いパフォーマンスを顕したとのこと。

 特に先月23日〜28日の厳しい熱波の中で、稼働率は96.6%を下回らなかったことが、米国原子力規制委員会のデータで示されている。


《原文より抜粋》
Between July 23 and July 28, in the thick of the heat wave, the average capacity factor of the U.S. nuclear fleet did not drop lower than 96.6 percent, the U.S. Nuclear Regulatory Commission’s data showed.


48
NEI “Reliable Nuclear Plants Help Nation Cope With July Heat Wave


 因みに、近年の米国の原子力発電所は高稼働率稼働を続けてきており、全米99基の原子力発電所の昨年の平均稼働率は92.2%であった。 

During 2015, America’s ninety-nine nuclear power plants posted an estimated average capacity factor of 92.2 percent, based on data compiled by the Nuclear Energy Institute.

25
NEI “US Nuclear Capacity Factors

【ハフィントンポスト寄稿】地域通貨『プレミアム付き商品券』 〜 電子化で低コスト普及が可能に!

地域通貨『プレミアム付き商品券』 〜 電子化で低コスト普及が可能に!

 『プレミアム付き商品券』という言葉を最近よく見かけるようになった。額面以上の金額を使えるというもの。全国の9割以上の自治体で発行され、平成26年度補正予算から約1600億円が用意された。

 こうした国策の流れの中で、長崎県内関係離島5市町(壱岐市、五島市、小値賀町、新上五島町、佐世保市宇久町)は6月13日、県内関係離島5市町(壱岐市、五島市、小値賀町、新上五島町、佐世保市宇久町)で共通に使用できるプレミアム付き商品券「しまとく通貨」を発行すると発表した。

 この「しまとく通貨」は、6月13日付け日本経済新聞でも大きく報じられた。商品券を「電子化」することが話題になっているからだ。

 商品券というと、通常は紙で発行されたものが定番。

 しかし、「しまとく通貨」は、以下の添付写真にあるように、電子スタンプをスマートフォンの画面に当てることで利用できる。

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 こうした電子化により、商品券の印刷・配送・保管費をゼロにし、精算業務を効率化することで、25%程度のコスト削減が可能になるそうだ。

 「しまとく通貨」を電子化する際に採択した基幹システムは、株式会社J&Jギフトと株式会社ギフティが共同で提供する電子地域通貨システム「Welcome ! STAMP」。

 この画期的なシステムを開発したギフティは、自社サービスとして提供してきたeギフトの販売・流通システムを応用した。

 「しまとく通貨」は、離島経済の活性化と交流人口の拡大を目的に、平成25年4月から発行され始めた地域通貨。1セット5000円で販売され、1000円分の特典(プレミアム)が付く商品券。利用対象者は、島外からの観光客など来島者に限られ、第1回の発行時期(平成25〜27年)の3年間で約104億円分の地域通貨が販売された。

 この地域通貨の流通は、離島経済の活性化に大きく貢献した。それまで旅行者を獲得できていなかった地域からの来島者が増えた。離島の閑散期である年末・年始や冬場の来島者も増え、県内の複数の島を巡るツアーが新たに実現したりもした。

 6月2日に政府決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる『骨太の方針2016』)においても、消費者マインド喚起のため、プレミアム付き商品券の発行に関して前向きな言及がなされている。

 「しまとく通貨」の電子化で期待されるのは、地域通貨(プレミアム付き商品券)が抱える様々な課題を克服すること。

 地域通貨に関して危惧されるのは、商品券の印刷・配送・保管などの直接コストと通貨運営に必要な事務作業などの間接コストの負担が決して軽いものでないことや、従来紙での発行が主流であったため不正利用されやすいこと。

 だが、ギフティが開発したこのシステムを導入することで、加盟店は電子スタンプを用いて簡単に決済・精算し、業務負荷が大幅に軽減される。電子スタンプは数千円程度と安価で、導入も容易。利用者は、専用のWEBページで地域通貨の管理と利用をすることができ、紙やICカードの発行は不要。つまり、日本国内で初めて『オール電子化された地域通貨』なのだ。

 「しまとく通貨」は、スマートフォンや携帯電話などの電子端末を媒体として携行が可能。地域通貨の紛失や置き忘れを防ぐことができる。購入時に本人確認を行ってデータ管理されるため、2次利用などの不正利用を防ぐことができる。

 更に、地域通貨の電子化はデータの収集・蓄積を容易にするので、ビックデータの活用による観光客動向のマーケティングも可能となる。

 地域通貨を活用した景気刺激・消費喚起策は今後も提起されていくだろう。その際、「しまとく通貨」のような電子化を原則とすることで、低コストのプレムアム付き商品券を普及させる好機としていくべきだ。

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.108】

2016年8月3日12:30~13:18【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.108】

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv271280087
Youtube : https://youtu.be/zvqzdhsGFMg



<番組内アンケート調査結果> 
Q:電力小売会社を変えたか?
A:変えた7.6%、変えてない92.4%

【ハフィントンポスト寄稿】日本の原子力平和利用技術 〜 海外進出による収益確保は国益

日本の原子力平和利用技術 〜 海外進出による収益確保は国益


 日本の原子力平和利用技術を輸出しようという動きが、また一つ具体化しようとしている。

 今月上旬、英国での原子力発電所建設事業を前進させるため、日立製作所と日本原子力発電が協定を結んだとの報道が配信された。Horizon Nuclear Power Limited(ホライズン・ニュークリア・パワー;日立製作所傘下の原子力発電事業会社)が英国内で進めている原子力発電所の新規建設に対して、原子力発電専業の日本原電が協力するというもの。

 日立製作所の発表資料によれば、ホライズン社は英国内に複数の原子力発電所を新設する予定。

 アングルシー島のウィルヴァ・ニューウィッドに建設するABWR(改良型沸騰水型原子炉)は、2018年までに英国政府による全ての許認可を取得し、2019年に着工、2020年代前半の運転開始を目指す。日本原電の経験を活かし、建設費の評価、設計・調達・建設契約作業、許認可取得、試運転や各種メンテナンス計画の策定を進める。

 日立製作所は日本を代表する総合電機メーカーで、英国内では鉄道事業などで活躍している。原子力発電でも三菱や東芝と並んで、多数のBWR(沸騰水型原子炉)やABWR(改良型沸騰水型原子炉)を手掛け、日本国内では共同建設を含め計23基の原子力発電所の建設に携わっている。

 日本原電は、
 ① 日本初の商業用原子力発電所である東海1号機としてGCR(黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉)を英国から導入、
 ② 日本初の軽水炉である敦賀1号機としてBWRを米国から導入、
 ③ 東海第二1号機(BWR)、敦賀2号機(PWR(加圧水型原子炉))を建設・運営するなど、
GCR、BWR、PWRというタイプの異なる原子炉を運営してきた国内唯一の事業者で、相当のノウハウが蓄積されている。

 日本原電にはまた、ベトナムやトルコ、カザフスタンで原子力発電所建設に関する調査経験があり、更には、米国の大手電力会社と提携して米国規制基準を取り入れ、新興国の原子力発電の建設・運営にも参画する方針を示している。

 英国では現在、14基のAGR(改良型ガス冷却型原子炉)と1基のPWRが運転中だが、全てのAGRを2020年代前半までに停止する計画であるとともに、温暖化ガス削減のため全ての石炭火力発電所を2025年までに閉鎖する方針

 このため実は、英国では近い将来に深刻な電力不足が起こると予想されている。EU(欧州連合)からの離脱や原子力政策を推進してきたキャメロン前首相からメイ新首相への交代があったが、原子力発電所を建設しなければならない状況に変わりはない。

 このように、英国では建設と運営が一体となった日本の原子力平和利用技術が必要とされ、そして開花しようとしている。

 しかし、日本国内の原子力平和利用については、実にもったいない状況が続いている。2011年3月の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故の後、安全対策が大幅に拡充された新強い規制基準が導入され、今月8日で丸3年を迎えた。

 日本国内で26基(16ヶ所)の原子力発電所が再稼働に係る申請を行ったが、それに合格したのは7基(3ヶ所)のみ。再稼働したばかりの関西電力高浜原子力発電所3号機は、大津地裁の運転差し止め仮処分決定を受けて1ヶ月半運転しただけで強制的に停止。

 現在稼働している九州電力川内原子力発電所1・2号機も、"原発停止"を公約に掲げて鹿児島県知事選に当選した三反園訓氏の行動に振り回される可能性がある。

 私は以前から再三再四問題提起してきたが、日本国内では、世界に類を見ない異常な原子力規制運用によって、低廉安定な原子力発電の再開が阻まれるだけでなく、化石燃料の輸入増(年間3〜4兆円)に因る電気料金の高止まりなどの大きな経済的損失が顕在化している。

 今の安倍政権は、原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置付け、2030年時点の電力供給における比率を20~22%と決めたが、それを達成していくための明確な具体策を示していない。

 今月10日に参院選があった。政権与党が勝利し、次の政治的関心事は憲法改正に移っていくだろう。そうなると、『原子力正常化』のような"耳障り"だと思われている政策には手を着けようとしなくなる可能性が高い。

 しかし、それでは困る。

 政治主導によって原子力規制運用の改善(発電と審査を並行させることや、新規制基準に係る猶予期間の設定など)を早急に進めるとともに、来年にも見直しが予定されている「エネルギー基本計画」の中で新増設を含めた原子力発電の位置付けを国民に示す必要がある。

 今回の日立製作所・ホライズン社と日本原電が協定を結びながら外国での収益源を模索することはとても健全なことだ。日英双方の国益に繋がる。日本政府と英国政府は一丸となって、このプロジェクトを成功させていくべきだ。

 そのためにも、安倍政権は先ず、日本国内の『原子力正常化』の実現に向けた英断を下すべきだ。

 改憲論議は、経済を好転させるものではない。しかし、『原子力正常化』は、年間3〜4兆円の日本国内資金が外国に逃避することを確実に回避させる。

月刊Business i. ENECO 地球環境とエネルギー 2016年8月号:政治が介入を躊躇する原子力規制行政の“独走” 原子力規制行政が海外からさらに信用失うことに

 今月28日発売の月刊Business i. ENECO 地球環境とエネルギー 2016年8月号での連載「石川和男のエネルギー&環境スピークアウト」。

<政治が介入を躊躇する原子力規制行政の“独走”  原子力規制行政が海外からさらに信用失うことに>
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☆ニュース配信☆ 秋の2次補正「景気対策」では、地域通貨「プレミアム付き商品券」を電子化せよ

秋の2次補正「景気対策」では、地域通貨「プレミアム付き商品券」を電子化せよ


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http://news.biglobe.ne.jp/economy/0721/gdw_160721_3853788650.html


■プレミアム付き商品券「しまとく通貨」の電子化


 「プレミアム付き商品券」という言葉を最近よく見かけるようになった。額面以上の金額を使えるというもの。全国の9割以上の自治体で発行され、平成26年度補正予算から約1600億円が用意された。 

 こうした国策の流れの中で、長崎県内関係離島5市町(壱岐市、五島市、小値賀町、新上五島町、佐世保市宇久町)は6月13日、県内関係離島7市町(壱岐市、五島市、小値賀町、新上五島町、佐世保市宇久町、対馬市、長崎市高島町)で共通に使用できるプレミアム付き商品券「しまとく通貨」を10月から発行すると発表した。 

 この「しまとく通貨」は、6月13日付け日本経済新聞でも報じられた。商品券を「電子化」することが話題になっているからだ。


(上)紙で発行されている「かつしかプレミアム付商品券」
(下)電子化された「しまとく通過」

 商品券というと、通常は、写真にあるように、紙で発行されたものが定番であろう。(画像上) 

 しかし、「しまとく通貨」は、写真にあるように、電子スタンプをスマートフォンの画面に当てることで利用できる。(画像下) 

 こうした電子化により、商品券の印刷・配送・保管費をゼロにし、精算業務を効率化することで、25%程度のコスト削減が可能になるそうだ。 

 「しまとく通貨」を電子化する際に採択した基幹システムは、株式会社J&Jギフトと株式会社ギフティが共同で提供する電子地域通貨システム「Welcome! STAMP」。 

 この画期的なシステムを開発したギフティは、自社サービスとして提供してきたeギフトの販売・流通システムを応用した。 

 「しまとく通貨」は、離島経済の活性化と交流人口の拡大を目的に、平成25年4月から発行され始めた地域通貨。1セット5000円で販売され、1000円分の特典(プレミアム)が付く商品券。利用対象者は、島外からの観光客など来島者に限られ、第1回の発行時期(平成25~27年)の3年間で約104億円分の地域通貨が販売された。 


■電子化「地域通貨」が経済を活性化させる!? 

 この地域通貨の流通は、離島経済の活性化に大きく貢献した。それまで旅行者を獲得できていなかった地域からの来島者が増えた。離島の閑散期である年末・年始や冬場の来島者も増え、県内の複数の島を巡るツアーが新たに実現したりもした。 

 6月2日に政府決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる『骨太の方針2016』)においても、消費者マインド喚起のため、プレミアム付き商品券の発行に関して前向きな言及がなされている。 

 「しまとく通貨」の電子化で期待されるのは、地域通貨(プレミアム付き商品券)が抱える様々な課題を克服すること。 

 地域通貨に関して危惧されるのは、商品券の印刷・配送・保管などの直接コストと通貨運営に必要な事務作業などの間接コストの負担が決して軽いものでないことや、従来紙での発行が主流であったため不正利用されやすいこと。 

 だが、ギフティが開発したこのシステムを導入することで、加盟店は電子スタンプを用いて簡単に決済・精算し、業務負荷が大幅に軽減される。電子スタンプは数千円程度と安価で、導入も容易。利用者は、専用のWEBページで地域通貨の管理と利用をすることができ、紙やICカードの発行は不要。つまり、日本国内で初めて「オール電子化された地域通貨」のだ。 

 「しまとく通貨」は、スマートフォンや携帯電話などの電子端末を媒体として携行が可能。地域通貨の紛失や置き忘れを防ぐことができる。購入時に本人確認を行ってデータ管理されるため、2次利用などの不正利用を防ぐことができる。 

 更に、地域通貨の電子化はデータの収集・蓄積を容易にするので、ビックデータの活用による観光客動向のマーケティングも可能となる。 

 今秋の国会では、大規模な経済対策を組み込んだ今年度補正予算が編成される見通し。その中で、地域通貨を活用した景気刺激・消費喚起策が提起されるだろうが、「しまとく通貨」のような電子化を原則とすることで、低コストのプレムアム付き商品券を普及させる好機としていくべきだ。

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.107】

2016年7月27日12:30~13:25【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.107】

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv270638734

Youtube : https://youtu.be/o8gjJDQgYGU

2017年のドイツの再エネ賦課金(試算) 〜 月額2400〜2500円・年額2.9〜3万円

 7月23日付けのドイツ Agora Energiewende の発表によると、EEG(再生可能エネルギー法)に基づく再エネ賦課金単価は、2016年に6.35ct/kWhであるところ、2017年には7.1〜7.3ct/kWh(約12〜15%増)になると試算された。ドイツBMWi(連邦経済技術省)が、今秋頃に公式発表するであろう。

《原文より抜粋》 
Die Umlage nach dem Erneuerbare-Energien-Gesetz (EEG-Umlage) wird nach Berechnungen für Agora Energiewende im Jahr 2017 auf 7,1 bis 7,3 Cent pro Kilowattstunde Strom ansteigen.
Derzeit liegt sie bei 6,35 Cent. 


 先のブログ記事にあるように、ドイツでは2000年のEEG施行後に再エネ賦課金単価は、前々回に(2014年→2015年)初めて低下に転じたが、前回(2015年→2016年)は再び上昇に転じて過去最高を更新した。

 そうなると、今回(2016年→2017年)は更に上昇することで、過去最高を更新することは確実。

 先のブログ記事に準拠して、ドイツの一般家庭の年間消費量を3500kWhとすると、2017年でのドイツの再エネ賦課金は、次の式から算出される。為替レートは本日時点のもので、1ct=1.16円 とした。

  
7.1〜7.3ct/kWh × 3500kWh/年 ÷ 12月 × 1.1623円/ct = 2406.93〜2474.73円/月

 即ち、月額2400〜2500円、年額2.9〜3万円程度ということ。

 因みに日本の場合、資源エネルギー庁が今年3月に公表した「再生可能エネルギーの平成28年度の買取価格・賦課金単価」にある通り、2016年度の再エネ賦課金単価は2.25円/kWhで、標準家庭(月の電力使用量が300kWh)では月額675円・年額8100円となる。

2015年度再エネ買取総額は約1.5兆円 〜 当初見込みより約0.3兆円の未達

 資源エネルギー庁が定期的に更新している再生可能エネルギーに関する『固定買取価格制度 情報公表用ウェブサイト』によると、今年2月末時点における再エネ発電設備に係る買取電力量・買取金額は、それぞれ資料1・資料2の通り。

 エネ庁が昨年3月に呈示した「平成27年度 調達価格・賦課金単価について」によると、2015年度見込みベースで、再エネ買取額は年間総額1兆8370億円、再エネ賦課金の年間総額が1兆3222億円。1kWh当たり1.58円(標準家庭(月の電力使用量が300kWh)で月額474円)と設定した。

 資料2によると、2015年度(昨年4月~今年3月までの12か月間)の買取金額は1兆5495億円で、2895億円(=約2900億円)も未達。

 これは、再エネに係る消費者負担が当初見込みよりも約2900億円も少なかったという観点からは前向きな評価がなされるべきだろうが、再エネ発電量が当初見込みよりも相当少なかったという点からは前向きな評価はなされないだろう。

 どちらの観点は好いかは、それぞれの立場による。



<資料1:買取電力量(万kWh)>
02
(出所:資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」)


<資料2:買取金額(億円)>
28
(出所:資源エネルギー庁「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」)

☆ニュース配信☆ 石炭による「早死」に苦しむ欧州 〜 ドイツでは原子力減少で石炭増加に・・・

石炭による「早死」に苦しむ欧州 〜 ドイツでは原子力減少で石炭増加に・・・

Gadgetwear

http://www.gadgetwear.net/2016/07/blog-post_13.html


livedoorニュース

http://news.livedoor.com/article/detail/11756838/


日刊アメーバニュース

http://news.ameba.jp/20160713-154/


BIGLOBEニュース

http://news.biglobe.ne.jp/economy/0713/gdw_160713_3213841342.html


 今月5日付けの EurActiv
では、再生可能エネルギーへの転換が大歓迎されているドイツは、EU諸国の中で石炭火力発電所による公害で、より多くの人々が早死していることに苦しんでいる旨を報じている。 


《原文より抜粋》 Germany – home to the much-hailed ‘Energiewende’ green revolution – suffered more premature deaths linked to coal plant pollution than any other EU member state, research by health and environment campaigners has found. 

http://www.euractiv.com/section/health-consumers/news/report-germany-suffers-more-coal-linked-deaths-than-rest-of-eu/

 EU域内の石炭火力発電所280基のうち250基が2013年に排出した公害物質により、22,900人以上が死に、数万人が気管支炎となり、そして最大62.3億ユーロ(約7000億円)の医療費がかかった。 

 ドイツでは、2013年に3,603人が石炭火力発電所関係の疾患で死亡した。 

 このうち1,860人の死亡は、ドイツ国内の石炭火力発電所を原因とされている。残りの1,770人の早死は、ドイツ国外のEU諸国とされており、そのうちポーランドからの公害による死者は630人とされている。 

 ドイツは、福島事故後に縮小した原子力発電分を、ポーランドからの安価な石炭火力発電分で補っている。
 

Analysis of 257 of 280 coal-fired power plants in the EU found that their 2013 emissions caused over 22,900 deaths, tens of thousands of illnesses from heart disease to bronchitis, and up to €62.3 billion in health costs. 

3,630 people in Germany died from coal-related illnesses in 2013, according to the report by the Health and Environment Alliance, Climate Action Network Europe, WWF European Policy Office and Sandbag. 

1,860 deaths were traced to coal plants in Germany, which is moving to a low-carbon energy system. The Energiewende (energy switch-over) will require the retirement of most, if not, all coal powered generation in Germany. 

The remaining 1,770 premature deaths were traced to pollution caused by coal plants in other EU countries. Polish pollution claimed 630 of those lives, the research claims. 

Germany buys cheap coal-fired energy from Poland to pick up the slack left by the abandonment of nuclear power after the Fukushima disaster.  

 要するに、近年のドイツでは、原子力発電代替などを理由とした石炭火力発電増加によって、死者数や罹患数が増えているという話。図らずも、福島事故後のドイツの原子力発電縮小が石炭火力発電増加を招き、それによって死者数が増加するという負のスパイラルを示している。 

 これも、日本や各国が教訓としておくべきことだ。 

 因みに、上記の根拠を示した報告書 ‘ EUROPE'S DARK CLOUD ’ によると、EU諸国での石炭火力発電所に由来する早死者数は次の通り。ポーランド、ドイツ、イギリス、ルーマニアの順に被害が大きいようだ。


(出所: ‘ EUROPE'S DARK CLOUD ’ ) 

米国のエネルギー消費動向:石炭は急減、原子力・水力は横這い、天然ガス・バイオマス・風力・太陽光は急増

 今月21日の米国EIA(Energy Information Administration;エネルギー情報局)の発表を見ると、米国のエネルギー消費の傾向は、短期的にも中長期的にも、石炭から天然ガス・再生可能エネルギーへ移行してきていることが窺える〔資料1〕

《原文より抜粋》
Primary energy consumption fell slightly in 2015 as a decline in coal use exceeded increases in natural gas, petroleum, and renewables use. In most cases, changes between 2014 and 2015 reflect longer-term trends in energy use. 

〔資料1〕
36
2016.7.21 EIA


 上図は2014年→2015年での内訳だが、1950年代からの推移を見てみると、以下の通り。


 一次エネルギー消費については、2005年を過ぎた頃から石炭・石油の消費が減る代わりに、天然ガスの消費が増えてきた〔資料2〕

 これに関しては、米国内の天然ガス低コスト生産増や原油価格上昇、石炭に係る環境制約などが主因として挙げられる。原子力は横這いだが、再エネは上昇基調になってきている。石油は運輸部門などで一定以上の需要が継続している。


〔資料2〕
44


 電力消費については、天然ガス・再エネが微増、原子力が横這い、石炭が急減〔資料3〕

 石油は、一次エネルギ消費では運輸部門などで一定以上の需要が継続しているが、電力消費としての石油火力は極微。2016年には、天然ガス火力発電が石炭火力発電を抜くと見込まれている。


〔資料3〕
29
June 2016  Monthly Energy Review(EIA)


 再エネでは、長年に亘って水力が大きな比重を占めてきたが、近年ではバイオマス・風力・太陽光の急増が目立っている〔資料4〕

 水力に関しては、非発電ダムを発電ダムに転換する動きがあり、今月15日のEIA発表によると、2016年には30万kWの水力発電が確保される見通し〔資料5〕


〔資料4〕
38
June 2016  Monthly Energy Review(EIA)


〔資料5〕
25
2016.7.15 EIA


 以上の傾向を、化石燃料・原子力・再エネに3大別して捉えると、米国ではやはり化石燃料が圧倒的に多いことがわかる〔資料6〕。この傾向は、当面続くであろう。

〔資料6〕
38
June 2016  Monthly Energy Review(EIA)

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.106】

2016年7月20日12:30~13:20【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.106】


Youtube : https://youtu.be/SVB4taxnJ3U



<番組内アンケート調査結果>
Q:都知事選は誰に投票するか?
A:増田さん2%、小池さん76%、鳥越さん0%、その他22%

【プレジデントオンライン寄稿】「景気対策」決め手!? 地域通貨「プレミアム付き商品券」を電子化せよ 〜 スマホ・携帯電話を使った「電子地域通貨」の可能性

プレミアム付き商品券「しまとく通貨」の電子化

「プレミアム付き商品券」という言葉を最近よく見かけるようになった。額面以上の金額を使えるというもの。全国の9割以上の自治体で発行され、平成26年度補正予算から約1600億円が用意された。

こうした国策の流れの中で、長崎県内関係離島5市町(壱岐市、五島市、小値賀町、新上五島町、佐世保市宇久町)は6月13日、県内関係離島7市町(壱岐市、五島市、小値賀町、新上五島町、佐世保市宇久町、対馬市、長崎市高島町)で共通に使用できるプレミアム付き商品券「しまとく通貨」を10月から発行すると発表した。

この「しまとく通貨」は、6月13日付け日本経済新聞でも報じられた。商品券を「電子化」することが話題になっているからだ。

(上)紙で発行されている「かつしかプレミアム付商品券」(下)電子化された「しまとく通過」

商品券というと、通常は、写真にあるように、紙で発行されたものが定番であろう。(画像上)

しかし、「しまとく通貨」は、写真にあるように、電子スタンプをスマートフォンの画面に当てることで利用できる。(画像下)

こうした電子化により、商品券の印刷・配送・保管費をゼロにし、精算業務を効率化することで、25%程度のコスト削減が可能になるそうだ。

「しまとく通貨」を電子化する際に採択した基幹システムは、株式会社J&Jギフトと株式会社ギフティが共同で提供する電子地域通貨システム「Welcome! STAMP」。

この画期的なシステムを開発したギフティは、自社サービスとして提供してきたeギフトの販売・流通システムを応用した。

「しまとく通貨」は、離島経済の活性化と交流人口の拡大を目的に、平成25年4月から発行され始めた地域通貨。1セット5000円で販売され、1000円分の特典(プレミアム)が付く商品券。利用対象者は、島外からの観光客など来島者に限られ、第1回の発行時期(平成25~27年)の3年間で約104億円分の地域通貨が販売された。

電子化「地域通貨」が経済を活性化させる!?

この地域通貨の流通は、離島経済の活性化に大きく貢献した。それまで旅行者を獲得できていなかった地域からの来島者が増えた。離島の閑散期である年末・年始や冬場の来島者も増え、県内の複数の島を巡るツアーが新たに実現したりもした。

6月2日に政府決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる『骨太の方針2016』)においても、消費者マインド喚起のため、プレミアム付き商品券の発行に関して前向きな言及がなされている。

「しまとく通貨」の電子化で期待されるのは、地域通貨(プレミアム付き商品券)が抱える様々な課題を克服すること。

地域通貨に関して危惧されるのは、商品券の印刷・配送・保管などの直接コストと通貨運営に必要な事務作業などの間接コストの負担が決して軽いものでないことや、従来紙での発行が主流であったため不正利用されやすいこと。

だが、ギフティが開発したこのシステムを導入することで、加盟店は電子スタンプを用いて簡単に決済・精算し、業務負荷が大幅に軽減される。電子スタンプは数千円程度と安価で、導入も容易。利用者は、専用のWEBページで地域通貨の管理と利用をすることができ、紙やICカードの発行は不要。つまり、日本国内で初めて「オール電子化された地域通貨」のだ。

「しまとく通貨」は、スマートフォンや携帯電話などの電子端末を媒体として携行が可能。地域通貨の紛失や置き忘れを防ぐことができる。購入時に本人確認を行ってデータ管理されるため、2次利用などの不正利用を防ぐことができる。

更に、地域通貨の電子化はデータの収集・蓄積を容易にするので、ビックデータの活用による観光客動向のマーケティングも可能となる。

 今秋の国会では、大規模な経済対策を組み込んだ今年度補正予算が編成される見通し。その中で、地域通貨を活用した景気刺激・消費喚起策が提起されるだろうが、「しまとく通貨」のような電子化を原則とすることで、低コストのプレムアム付き商品券を普及させる好機としていくべきだ。 

【ハフィントンポスト寄稿】"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その3) 〜 日本が参考にすべきは、「フランス+ドイツ」

"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その3) 〜 日本が参考にすべきは、「フランス+ドイツ」

(その1)(その2)からの続き・・・>

 結論から言うと、ドイツのエネルギー事業者は、"脱原子力"に向けて相当の困難を強いられ、巨額の資金と経済活動の勢いを失った。

 2013年のFrankfurter Allgemeine Zeitung紙のインタビューで、環境・自然保護・原子力安全担当大臣のPeter Altmaier氏は、2039年にはドイツの再生可能エネルギーへの移行費用は10兆ユーロになるであろうと述べている。

 ドイツで原子力発電所を運営していたE.ON や RWEは、今では石炭火力発電に移行せざるを得なくなっている。当然、これら事業者の経営は不振になっている。

 これらの企業は脱原子力という政策決定により非常に大きなダメージを受けているといえる。新たな投資をしなければならない上に、原子力発電所を廃炉にする費用も捻出しなければならないからだ。E.ONでは、2015年に70億ユーロもの損失を計上。RWEも2013年に28億ユーロの損失を計上し、60年ぶりに赤字となった。

 その上、E.ON や RWEは、政府による多額の補助金を受けた再エネ発電事業者と戦っていかなければならない。

 RWE、Vattenfall 、E.ONはドイツ政府に対し、総計数百億ユーロに上る損害賠償を求め、ドイツ連邦憲法裁判所に提訴した。

 フランスでは、エネルギー供給会社は生産性の高い設備を有しており、このエネルギーシフトによるダメージは少ない。とりわけ、EDFとEngie(旧GDFスエズ)という二つの主要なプレーヤーは世界でも指折りの発電事業者であり、2015年時点ではEDFは世界最大の発電事業者となっており(発電能力134.2 GW)、Engieは世界最大の政府から独立した発電事業者となっている(117.1 GW)。しかし、興味深いことにEDFとEngieは異なる戦略を取っている。

 Engieは、カントリーリスクを避けるために多様化戦略を取っている。2016年には、5つの大陸の70を超える国で経済活動を展開している。

 この多様化戦略の一環として、Engieはブラジル、インド、南アフリカといった途上国に対し集中的に大規模な投資を行い、ヨーロッパ市場の抱える困難や過競争を克服しようとしている。

 EDFは1990年代後半から2000年代前半にかけての海外への集中的な投資という段階を経て、今は3つの大陸で活動しており、とりわけアメリカ、ヨーロッパ、アジアでその存在感を高めるに至っている。海外投資はEDFの戦略の中心部分ではもはやなく、アルゼンチンで数十億ユーロ損失を出した失敗などを経て、今日は、イノベーションと再エネへの移行を進めている。

 ドイツには、再エネ産業を牽引するリーダー企業が数多く存在する。風力発電であればNordex、Fuhrländer、Enercon、REpower Systemsであり、太陽光発電であればSolarWorld、Conergy、Q-Cellsである。最大手はもちろん、シーメンスである。

 ドイツは強力な再エネ産業を有しており、それは国際競争で優位であることに疑いの余地はない。ドイツは再エネの開発・利用で最先端を走っている。そして、ドイツは2014年に再エネ発電量で世界第5位となっている。

 フランスのエネルギー構成で原子力が依然として圧倒的地位を占めているが、これは再エネを軽視しているからではない。2010年からEDFは再エネの発展に64億ユーロを投資しており、2030年までに現在の数値のおよそ2倍の27%を再エネ発電とすることを標榜している。EDFは再エネ産業を牽引するEDF Energies Nouvellesという子会社を有しており、これは9 GWの発電能力を持っている。Engieも同様に再エネに投資しており、現在、再エネ発電量は総発電量の17% (115.3 GW)で、これを2025年までに倍増させる計画。
 
 Engie やEDFといった巨大なプレーヤーによる投資に加えて、他のフランス企業も再エネの利用に取り組んでいる。バイオマス、風力、太陽光、水力による発電事業を手掛けるAkuo Energyは2007年に事業を開始し、これまでに18億ユーロ以上の投資を行い、アメリカ、インドネシア、ポーランドを含む8つの国で再エネ発電事業に従事している。
 
 このようにフランスは再エネへも活発な投資を行っている。フランスは、世界でも有数の巨大な電力会社を有しており、今後、再エネ分野を引っ張っていく可能性も十分ある。

 ドイツの脱原子力という決断は、人々に大きく訴えかけるものであろう。しかし、上述の通り、ドイツは様々な困難に直面。ドイツでは、脱原子力により電気料金が上昇した側面も小さくない。化石燃料の利用に戻った結果、CO2排出量が増加している。

 一方、フランスは、安い電気料金を維持しながら再エネへの移行を同時に推進するという理想的なエネルギー転換を示していると言える。

 このことは、日本が再エネ発電を増加させつつ、原子力発電も正常化させることの正当性を示している。

 最後に、日本はドイツという再エネ先行国だけを見習い過ぎてきたが、これは猛省点なのだ。ドイツとフランスの電源構成(発電電力量ベース;2014年)を見ると、以下の通り。

 ○ 独 :再エネ26%、水力10%、原子力16%、化石燃料等49%
 ○ 仏 :再エネ 4%、水力13%、原子力77%、化石燃料等 6%
 ◎独+仏:再エネ17%、水力11%、原子力42%、化石燃料等30%

 日本は、ドイツかフランスのどちらか一方だけを見習うのではなく、「ドイツ(再エネ先行国)+フランス(原子力先行国)」を見習う必要がある。

【ハフィントンポスト寄稿】"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その2) 〜 ドイツの電力部門CO2排出原単位は、フランスの8倍

"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その2) 〜 ドイツの電力部門CO2排出原単位は、フランスの8倍

 ドイツは2000年に脱原子力を決定し、2011年の東日本大震災後にそれを実行した。だがこれは、原子力発電分が再生可能エネルギー発電分に移行することを意味する訳ではなかった。

 2002年から2015年までの間、原子力発電は30%から20%に減った一方で、石炭火力発電は50%から60%超へと増えた(資料3)。即ち、原子力発電は化石燃料発電に取って代わられたのだ。


<資料3:ドイツの電源構成(2002年、2010年、2015年)>
2016-07-08-1467979598-4942915-0.PNG
出所:Eurostat


 結果として、CO2排出量は増加した。IEA(国際エネルギー機関)が2015年に出した報告書によると、ドイツのCO2排出量は488.8kgCO2e/MWhとなっている。

 フランスでは、総発電量の3/4以上を原子力で賄っている。2015年では、総発電量に占める原子力発電量は76%(416.8TWh)、火力発電量は6%、水力など再エネ発電は17%となっている。総発電量の実に94%が、CO2を排出しない発電方式なのだ。


<資料4:フランスの電源構成(2015年)>
2016-07-08-1467979632-5251791-3.PNG
出所:RTE annual report


 今もフランスの電力部門では、CO2排出量を低く抑えられている。上述のIEA報告書によると、フランスのCO2排出量は64.288kgCO2e/MWhとなっている。

 これは、ドイツの1/8である。

【ハフィントンポスト寄稿】"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その1) 〜 ドイツの電気料金は、フランスの2倍

"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その1) 〜 ドイツの電気料金は、フランスの2倍

 世界では今、太陽光や風力などの「再生可能エネルギー」の導入が急速に進められている。世界で最も先行しているのは"再エネ大国"ドイツだ。

 日本の再エネ政策は、ドイツを参考にしつつ進められてきた。ドイツの再エネ政策が素晴らしいものであると日本で受け止められてきたからに他ならない。

 しかし、実際はそうでもない。再エネ導入に伴う電気料金の上昇は、ドイツのエネルギー政策上の大問題の一つになっている。

 私は昨年3月にドイツを訪問し、連邦政府5ヶ所・州政府2ヶ所・産業団体・消費者団体など計10ヶ所でヒアリング調査を行った。
  ・報告書全文:http://iigssp.org/activity/report_150321_01.pdf
  ・報告書要約:http://iigssp.org/activity/report_150321_02.pdf

 この報告書にも書いたが、ドイツのエネルギー政策は、多くの日本人が信じ込んでいるようなバラ色のものでは決してないということを改めて知った。

 ドイツの隣国フランスは、世界有数の『原子力大国』。原子力と再エネは、CO2を排出しないクリーンエネルギーであるという点で共通している。

 私は上記のドイツ出張の後、フランスから見たドイツの再エネ政策の成否について、フランス在住の専門家に見解を伺ってみたいと思うようになった。

 そして先だって、フランスで同国内の電気・ガス料金比較サービスを手掛けるSelectra社(http://selectra.jp/)の創業者であるXavier Pinon氏と懇談する機会を得た。

 その際、次の2点で意見が一致した。

(1)ドイツは、2000年に"脱原子力"を宣言し、2022年までに完了することを決めている。そうした取組みを推進する中で、ドイツは"環境大国"としての国際的な地位・名声を高めてきた。近年、ドイツ経済は好調であり、欧州を牽引し続けている。ドイツのエネルギー政策に世界からの注目が集まる理由はここにある。

(2)ところが、実態はそれほど単純なものではない。ドイツは経済的には欧州のリーダー格になっているが、原子力から再エネへのエネルギー転換は、その開始時点から一貫して企業の競争力低下を招いている。さらに、国が原子力を放棄し、再エネの利用を促進する方針を打ち出すことは、必ずしも"環境大国"へと直結するものではない。ドイツ電力システムの現状は、その理想からは程遠い。

 以下では、Selectra社の2人と私の共通認識として、フランスとドイツの電力コスト差に関して述べていきたい。
 

1)ドイツの電気料金は、フランスの2倍

 フランスもドイツも、近年の電気料金推移は同じ傾向にある(資料1、資料2)。両国とも、電気料金は徐々に上昇しつつある。
 

<資料1:家庭用(年間消費量5〜15MWh)の電気料金推移>
2016-07-06-1467814995-8085284-2016070623.21.54.png
出所:Eurostat


<資料2:産業用(年間消費量500〜2000MWh)の電気料金推移>
2016-07-06-1467815032-6612474-2016070623.22.09.png
出所:Eurostat


 ドイツの電気料金は、家庭用・産業用ともに、フランスの約2倍の水準。2015年で見ると、①ドイツの家庭用電気料金は、1kWh当たり0.28ユーロであるのに対し、フランスでは同0.15ユーロ、②ドイツの産業用電気料金は、1kWh当たり0.20ユーロであるのに対し、フランスでは同0.11ユーロ。

 再エネの普及を促進するため、ドイツやフランスも含めた多くの国では、再エネの固定価格買取制度(FIT)に基づく「再エネ賦課金」を消費者から徴収している。

 エネルギーを大量に消費する事業者の競争力を削がないために、ドイツ企業には再エネ賦課金の減免措置があるが、それでも再エネ賦課金を含む高い電気料金はドイツ企業の経営を圧迫している。

 フランス企業は、そうではない。他の欧州諸国と比較して電気料金が低いことがフランス産業界の強みとなっている。これは、フランス産業界における生産コストを下げ、投資能力を高めている。

 産業用の電力消費量は、フランスの総電力消費量の16%を占めており、家庭用、交通用に次出3番目。自動車(ルノー、PSA)、建設(Lafarge-Holcim, ブイグ)、航空(エアバス、タレス、スネクマ)、鉄鋼(アルセロールミタル)といった様々な業種で示、フランス企業は強い競争力を備えている。

 エネルギー多消費型産業においては特に、電気料金が経営を左右する大きな要素の一つ。安い電気を調達できるということが企業の国際競争力の維持・向上にとって重要であることは間違いない。


2)ドイツとフランスの電気料金の大差の理由は何か?

 ドイツの電気料金が高いことの大きな理由は、再エネ賦課金が相当高いことで概ね説明される。

 ドイツの再エネ賦課金は、例えば0.0205ユーロ/kWh(2010年)から0.06354ユーロ/kWh(2016年)に上昇している。これは、1kWh当たりの小売価格の2割以上を占めていることになる。

 フランス監査院は、2013年のレポートで、原子力の発電コストは49.5ユーロ/MWhで、あらゆる発電形態の中で最安値の部類に属すると推定。水力の発電コストは15〜20ユーロ/MWhと、原子力よりも安いとされている。

 その他では、陸上風力の発電コストは82ユーロ/MWh、洋上風力は同220 ユーロ/MWh以上、化石燃料は同70〜100ユーロ/MWh、太陽光発電は同230〜370 ユーロ/MWhとされている。
 
 フランスでは、原子力と水力で総発電電力量の87%以上(2015年)を占めている。

 ドイツとフランスの電気料金に大差があるのは、こうした事情による。

【ENERGYeye 2016年7月号 vol.7】 〜 インタビュー記事掲載

 ENERGYeye 2016年7月号 vol.7に、私のインタビュー記事が掲載されています。

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2015年の中国:韓国を抜いて世界第4位の原子力大国に・・・

 BPが今月発表した “ Nuclear energy - 2015 in review” によると、2015年における世界の原子力発電量(世界の一次エネルギー消費量の4.4%)は前年比1.3%増で、中国での伸び(前年比28.9%増)が大きく寄与したとのこと。

《原文より抜粋》
Global nuclear output grew by 1.3%, with China (+28.9%) accounting for virtually all of the increase
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Nuclear energy - 2015 in review


 中国は、韓国を抜いて世界第4位の原子力発電量に達した。因みに、ロシアは対前年比8%増、韓国は同5.3%増、スウェーデンは同12.6%減、ベルギーは同22.6%減、EUは同2.2%減で1992年以来最低。

China has passed South Korea to become the fourth-largest supplier of nuclear power. Elsewhere, increases in Russia (+8%) and South Korea (+5.3%) offset declines in Sweden (-12.6%) and Belgium (-22.6%). EU output (-2.2%) fell to the lowest level since 1992. Nuclear power accounted for 4.4% of global primary energy consumption.


 2011年以降の原子力発電量の一時的急減は、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の影響と思われる。日本では、震災による原子力事故以降、原子力発電が再開され難い規制運用になっている。

 しかし、隣国の動きを始めとした世界のエネルギー情勢を俯瞰すれば、日本は、原子力発電再開を躊躇している政治状況を政治主導で克服していく必要がある。現状、日本のエネルギーを巡るコスト・安全保障の両面とも、日本は不利な方向に自ら進んでいる。


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Nuclear energy - 2015 in review

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.105】

2016年7月15日12:30~13:18【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.105】


Youtube : https://youtu.be/GHkZQ0CXVPY



<番組内アンケート調査結果>
Q:都知事選では誰に投票するか?
A:増田さん2.9%、小池さん86.7%、鳥越さん10.4%


 

米国ハワイ州:太陽光優遇制度の廃止で約4割の雇用減・・・

 米国ハワイ太陽光発電協会(HSEA;Hawaii Solar Energy Association)が今月6日に更新した “HSEA July Monthly Report”によると、ハワイ州でネットメータリング制度(NEM)が昨年廃止されたことにより、

①太陽光発電事業に従事する従業員の39%が雇用減(昨年10月1,131人→今年7月692人)となり、
②太陽光発電事業の従事する企業の88%で雇用減となった

とのこと。


《原文より抜粋》
The HSEA asked its members and other companies to provide employment numbers from two points in time: pre-October 2015 figures (prior to the cessation of the Net Energy Metering Program ("NEM")) as well as the most recent figures. In total, companies reported 1,131 employees prior to the October decision versus 692 current employees—a 39% decrease. Additionally, 88% of the companies polled reported job losses. 

 NEMとは、家庭用太陽光発電の導入を促進するための米国独特の制度。家庭が設置した太陽光による余剰電力と、その余剰電力と同量の電力会社からの電力(系統電力)を相殺するという仕組み。米国の家庭需要家は、太陽光が発電しない時間帯では系統電力を購入する。

 NEMにより、昼間の余剰発電分と系統電力購入分を相殺できるので、結果的に系統電力の使用量に係る従量料金を支払わない家庭が急増した。これにより、電力会社の系統(送電網)に係るコスト負担をしない家庭需要家が増えるなど、不公平感が高まっていたようだ。

 
 NEMのような仕組みは日本では採用されていないが、太陽光発電の導入促進策は、各国それぞれにコスト面や公平性の観点からの問題が顕在化してきている。

 太陽光は、原子力・火力・水力などと違い、比較的容易に設置できる電源であることから、いったん優遇策を当てがうと爆発的に普及するので、バブル化しやすい。今後は各国それぞれ、太陽光の健全な普及促進策に修正していく必要がある。

 日本では、先の国会でFIT制度改革法が成立した。
私は衆参両院でのこの法案審議の参考人質疑に出席した。概要は以下の2記事を適宜参照されたい。
  

ドイツ:再エネ入札制度は2017年1月施行

 先月20日のブログ記事の続編。

 今月8日のNHKニュース
にあるように、ドイツでは再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)に係る改正法が成立。これにより、来年1月より、固定価格ではなく、入札による再エネ電気の調達が原則となる。

<報道要旨>
・16年前に再エネ買取制度が導入されたドイツでは、国が市場価格を上回る値段での買取りを義務づけ。
・参入事業者が相次ぎ、総発電量に占める再エネ割合が3割を超えるまでに増えた。
・電気料金が高騰し、制度見直しを求める声が強まっていた。
・来年以降、国が価格を決める制度を原則廃止。
・その代わり、新たな発電設備が作られる際、事業者を対象に入札を行い、買取価格を決める。 

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2016.7.8 NHKニュース


 ドイツでは、現行FITにより、送電会社が再エネ電気を月平均の卸市場価格に、法定価格との差額(0.4セント/kWh)を加算した価格で買い取っている。現在、再エネ電気の割合は3割を超え、平均10セント/kWh以上が電気料金に加算。
 
 今回の改正法施行により、今後は750kW超(バイオマスは150kW超)の再エネ発電設備について、新規の調達は入札により調達される。具体的には、次のような制度改正となる。

  現 行:月平均卸電力市場価格+(法定価格-卸電力市場価格)+0.4セント
  改正後:月平均卸電力市場価格+(落札価格-卸電力市場価格)

 これは、新規の再エネ電源に関するものであって、既設の再エネ電源に関するものではない。だから、現行FITによる固定価格買取期間(20年など)が順次終了するまで、国全体の再エネ買取総額の増加率が減少するに過ぎず、急に来年から再エネ買取総額が減少するわけではない。

 つまり、ドイツでは当面、世界的に相当高い再エネ賦課金が続くことになる。

 ドイツを参考にしてFITを導入した日本でも、先の国会で成立した改正再エネFIT特措法によって入札制への移行などが決まった。ただ、ドイツと同様に、当面は再エネ賦課金は加算されていくことになる。 

 尚、先の国会で成立した改正再エネFIT特措法について、私は衆参両院でのこの法案審議の参考人質疑に出席した。概要は以下の2記事を適宜参照されたい。

東京都の抱える課題:『介護』 〜 待機老人は最低でも4.3万人

 今月31日の東京都知事選の争点の一つは、高齢者の『介護』。

 次の都知事が取り組むべきは、次の2つ。

(1)介護に係る家族の負担をなくすため、老人ホームを増設せよ。

(2)介護人材を増やすため、介護職の待遇を大幅に改善せよ。


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 民間の有料老人ホームに比べて経済的負担の軽いのが、介護保険を利用できる特別養護老人ホーム(特養)である。

 特養への入所を希望しながらも未だ入所できない「特養の待機老人」は、2014年3月25日の厚生労働省発表によると、①国全体では52.4万人、②東京都では4.3万人と都道府県別では最多。

 今年4月4日付けの毎日新聞ネット記事によると、自宅で家族を介護している人の約7割が精神的・肉体的に限界を感じているとの由。

<記事抜粋>
・介護によって精神的・肉体的に限界を感じたことが「ある」とした人は73%。
・全体の22%は介護中に被介護者に暴力をふるった経験があると回答。
・介護している家族を殺してしまいたいと思ったり、一緒に死のうと考えたりしたことがあると答えた人も約2割。
・介護による不眠状態が「続いている」と「時々ある」を合わせると、全体の約6割。

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2016.4.4 毎日新聞ネット記事

 介護を要する高齢者を抱える家族の精神的・肉体的負担を極力軽くするためにも、介護サービスの充実が緊要であることは言うまでもない。

 特養への入所希望者は、介護護保険制度が始まった2000年から増えており、入居待ちが常態化している。これが「特養の待機老人」問題である。

 昨年1月の介護報酬引下げ以来、特養やデイサービスの利用料は約4.5%引き下がった。だが、人手不足から介護職員の賃上げ圧力は強まり、小規模なデイサービスは介護保険からの収入減のや人件費上昇によって経営難に陥る例が急増。
 
 2020年には国民の5人に1人が75歳以上になり、国民の3人に1人が65歳以上になる。団塊世代が75歳以上になる“2025年問題”は約10年後である。介護施設を早急に増やしていかなければ、特養も含めた「待機老人」が増え、その分だけ精神的・肉体的負担を強いられる家族も増える。

 介護人材不足も深刻。2015年6月24日の厚労省発表によると、 このままで推移すると、2025年の介護人材不足(介護人材の需給ギャップ)は、①国全体では37.7万人、②東京都では3.6万人となってしまう。 

 よって、次の都知事が先ず早急に取り組むべきは、(1)介護に係る家族の負担をなくすために老人ホームを増設することや、(2)介護人材を増やすために介護職の待遇を大幅に改善することなどである。

 あと、「待機老人」と「特養の待機老人」は違う。特養入所希望者だけでなく、それ以外の者も含めた全貌を把握すべく、「真の待機老人」の数を公式に統計すべきだ。 


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/183125/

ドイツ:石炭火力発電所からの公害による早死で苦悶・・・

 今月5日付けの EurActiv では、再生可能エネルギーへの転換が大歓迎されているドイツは、EU諸国の中で石炭火力発電所による公害で、より多くの人々が早死していることに苦しんでいる旨を報じている。

《原文より抜粋》
Germany – home to the much-hailed ‘Energiewende’ green revolution – suffered more premature deaths linked to coal plant pollution than any other EU member state, research by health and environment campaigners has found.

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http://www.euractiv.com/section/health-consumers/news/report-germany-suffers-more-coal-linked-deaths-than-rest-of-eu/


 EU域内の石炭火力発電所280基のうち250基が2013年に排出した公害物質により、22,900人以上が死に、数万人が気管支炎となり、そして最大62.3億ユーロ(約7000億円)の医療費がかかった。

 ドイツでは、2013年に3,603人が石炭火力発電所関係の疾患で死亡した。

 このうち1,860人の死亡は、ドイツ国内の石炭火力発電所を原因とされている。残りの1,770人の早死は、ドイツ国外のEU諸国とされており、そのうちポーランドからの公害による死者は630人とされている。

 ドイツは、福島事故後に縮小した原子力発電分を、ポーランドからの安価な石炭火力発電分で補っている。

Analysis of 257 of 280 coal-fired power plants in the EU found that their 2013 emissions caused over 22,900 deaths, tens of thousands of illnesses from heart disease to bronchitis, and up to €62.3 billion in health costs.

3,630 people in Germany died from coal-related illnesses in 2013, according to the report by the Health and Environment Alliance, Climate Action Network Europe, WWF European Policy Office and Sandbag.

1,860 deaths were traced to coal plants in Germany, which is moving to a low-carbon energy system. The Energiewende (energy switch-over) will require the retirement of most, if not, all coal powered generation in Germany.

The remaining 1,770 premature deaths were traced to pollution caused by coal plants in other EU countries. Polish pollution claimed 630 of those lives, the research claims. 

Germany buys cheap coal-fired energy from Poland to pick up the slack left by the abandonment of nuclear power after the Fukushima disaster. 


 要するに、近年のドイツでは、原子力発電代替などを理由とした石炭火力発電増加によって、死者数や罹患数が増えているという話。図らずも、福島事故後のドイツの原子力発電縮小が石炭火力発電増加を招き、それによって死者数が増加するという負のスパイラルを示している。

 これも、日本や各国が教訓としておくべきことだ。
 

 因みに、上記の根拠を示した報告書 ‘ EUROPE'S DARK CLOUD ’ によると、EU諸国での石炭火力発電所に由来する早死者数は次の通り。ポーランド、ドイツ、イギリス、ルーマニアの順に被害が大きいようだ。

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(出所: ‘ EUROPE'S DARK CLOUD ’ )

電力会社の切り替え:6/30集計で126万件(全世帯の2.0%程度)

 電力広域的運営推進機関が、先月30日24時までの情報照会、スイッチング(切り替え)の申込み状況を集計したところ、それぞれ全国計で655.18万件、126.44万件であった。
 
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 全国の世帯数は約6,253万(2015年度の一般家庭等の通常の契約口数)なので、今のところ、切り替え件数は全体の2.022%、情報照会から切り替えに至るのは19.299%となる。

 因みに、経産省が昨年11月18日に発表した資料では、「8割の人は、少なくとも切り替えの検討はする意向」、「現時点で切り替えを前向きに捉えている(「すぐにでも変更したい」「変更することを前提に検討したい」)人に限っても、25%弱存在する」とのアンケート調査結果が掲載されている。

 しかし上述のように、現実はまだまだその域には達していない。というか、図らずもこうしたアンケート調査には、調査主体の期待感が込もり過ぎる嫌いがあることを示した格好だ。

 尚、今月1日に経産省が発表した下記の資料「スイッチングの申込状況」では、①先月17日時点でのスイッチングの申込件数(自社内の契約切替え(規制→自由)を含まず、他社への契約先の切替えの件数に限る)は約116万件であり、②5月末時点での旧一般電気事業者の自社内の契約の切替え(規制→自由)の申込件数は約171万件で、スイッチング件数と合わせた契約切替えの申込件数は合計約287万件であるとしている。

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(出所:2016.7.1 経済産業省「小売全面自由化に関する進捗状況」


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/182815/

2015年の米国:稼働率順位は「原子力>ガス>石炭>水力>風力>太陽光」

 今月7日の米国原子力エネルギー協会(Nuclear Energy Institute(NEI)の発表によると、2015年における米国内の電源ごとの稼働率(設備利用率)は、次のような順位であった〔資料1〕

 原子力>天然ガス(コンバインドサイクル)>石炭>水力>風力> 太陽光


<資料1:米国内の電源ごとの稼働率(2015年)>
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(出所:NEI


 原子力に関しては、先のブログ記事でも書いたように、全米30州にある全99基の原子力発電所の平均稼働率が過去最高の91.9%を記録し、上位10基の稼働率は軒並み100%超であった。

 原子力発電は、化石燃料その他のエネルギーによる発電との比較において、コスト低減効果やCO2・SOx・NOx排出抑制などの環境保全効果がとても大きい。もちろん、使用済燃料や放射性廃棄物に係る諸問題を解決する途を示すべきであるのは当然。いわゆる“最終処分問題”は、適切な中間貯蔵により実は大丈夫だ。

 原子力発電所の運営は、政治的に翻弄されやすいが、その面で適切な判断がなされれば、技術的に可能な範囲で稼働率を90%以上にまで引き上げることができる。

 主要国の原子力発電所の動向と比較すると、米国の平均稼働率は高水準である一方で、日本の平均稼動率は低水準で、しかも2011年以降はゼロ近傍であることが一目瞭然
〔資料2〕


<資料2:主要国の原子力発電所の平均稼働率の推移>
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(出所:日本原子力産業協会


 その理由は、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故後の政治・行政上の判断による。原子力発電所事故を経験した米国と旧ソ連は、事故炉以外の原子炉を強制停止状態にはしなかったが、日本はなぜか事故炉以外の原子炉まで、事実上、強制停止状態にしている。

 日本のエネルギー事情を冷静に見つめれば、原子力規制基準に係る猶予期間の設定など原子力規制行政上の運用を改善することで、事故炉以外の原子炉の早期正常化を政治的に決断する必要がある。

 天然ガス(コンバインドサイクル)と石炭の設備利用率が50%台にあるのは、日本との比較においては、やや低いと思われる。こうした化石燃料による発電(火力発電)は安定電源なので、供給安定性の観点からは、火力発電は他の火力発電や原子力発電の代替になり得る。

 但し、火力発電は、原子力や再生可能エネルギーによる発電との比較において、CO2・SOx・NOx排出などの環境影響が相当ある。日本のような化石燃料をほぼ全面的に輸入依存している国では、コスト面でも大きな負荷がかかっている。エネルギー自給率を向上させる必要性は、安全保障面だけでなく、コスト面からの要請でもある。

 風力と太陽光の設備利用率は、日本(陸上風力20%、太陽光14%)との比較においては、相当高い。しかし、これらの再エネによる発電は、当面の技術では、不安定電源であること、不安定電源であるために火力発電によるバックアップが必須であること、設備容量が小さいことなどから、原子力発電や火力発電の代替にはなり得ない。


《原文より抜粋》
For those who hope that renewables can quickly fill the gap left by closed nuclear energy facilities, NEI points out that wind and solar lack the scale and reliability of nuclear power plants that usually run 24/7 except when they are in refueling outages.
“Renewable sources are intermittent and do not have the same value to the grid as dispatchable baseload resources like nuclear plants. And renewables do not have the scale necessary to replace existing nuclear plants,” NEI says.

 原子力と風力・太陽光に関する上述のような見解は、NEIだろうが、誰だろうが、同じものになる。水力・地熱・バイオマスと違って、風力・太陽光は天候に左右されるので、蓄電システムが浸透するまでは、不安定電源のデメリットを克服することはできない。

 原子力と風力・太陽光の関係を語るには、こうした基本的知識を大前提としていかないといけない。蓄電システムが普及はまだまだ遠い未来の話であろう。それまでの間は、原子力と化石燃料で凌いでいくしかないのだ。

 将来的に風力・太陽光など『再エネ100%化』を目指すべきであることは、言うまでもない。 

月刊Business i. ENECO 地球環境とエネルギー 2016年7月号:原発の運転延長を審査中に40年を迎えたら…審査中は、運転時間の“時計”止める規定を

 先月28日発売の月刊Business i. ENECO 地球環境とエネルギー 2016年7月号での連載「石川和男のエネルギー&環境スピークアウト」。

<原発の運転延長を審査中に40年を迎えたら…審査中は、運転時間の“時計”止める規定を>24
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平成27年9月関東・東北豪雨による太陽光パネル崩落現場 〜 10ヶ月後の姿

 先のブログ記事では、昨年9月9〜11日の「平成27年関東・東北豪雨」によって被災した太陽光パネルの崩落現場の写真(今年5月中旬時点)を掲載した。場所は、仙台市太白区の住宅地にある斜面。

 今現在は、私の知人が今日送ってくれた以下の写真(今月2日時点)の通り。
 

160702羽黒台①


160702羽黒台②


 これを見る限り、今もまだ片側交互通行であり、道路交通は完全には復旧していないようだ。 

 今改めて思うが、別のブログ記事で掲載した東北電力仙台太陽光発電所と比べると、この崩落太陽光パネル群は、基礎工事部分も含めて安全性・環境性の水準があまりにも低かった。

 今回の被災教訓を踏まえた安全対策の早期構築や太陽光発電所の早期復旧が望まれる。

 その際、電力会社の太陽光発電所と同じ水準の安全性・環境性を求めるべきだ。太陽光発電への信頼性を盤石なものにするためにも、そのくらいの厳しい安全・環境基準を整備していく必要がある。


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/182591/

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.104】

2016年7月6日12:30~13:22【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.104】

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv268345910

Youtube : https://youtu.be/ovKfHFImCOk



<番組内アンケート調査結果>
Q:参院選の投票前に候補者の公約を確認するか?
A:確認する71.7%、確認しない18.8%、わからない9.4%

《ハフィントンポスト寄稿》政治の監視が効かない原子力規制行政の"独走" 〜 元委員の要求を異例の特別扱い

政治の監視が効かない原子力規制行政の"独走" 〜 元委員の要求を異例の特別扱い


 先般、原子力規制委員会(とその事務局である原子力規制庁)がまたもや"独走"した。これはやはりおかしいのではないか?

 去る6月8日、関西電力の大飯原子力発電所3・4号機の運転差し止め請求裁判控訴審(名古屋高等裁判所金沢支部)で、原子力規制委の前委員長代理である島﨑邦彦氏が"陳述書"を提出した。

 ここで島﨑氏は、今年4月の熊本地震で得られた精度の高いデータを根拠に、大飯原子力発電所の「基準地震動」(=耐震設計の基準となる地震動)の計算が過小評価にならない計算式で計算し直すべき、と主張している。

 原子力規制委・規制庁は、従前から、運転差し止め請求に関してはコメントしない立場を取っていた。だが、今回は違った。

 6月20日付け原子力規制庁資料によると、「新聞報道等があり、その内容が島﨑前委員長代理在任中に行われた審査に関するものであったこと」から、原子力規制委の田中俊一委員長と石渡明氏(地震・津波などを担当)が島﨑氏と面談し、その席で島﨑氏は耐震計算のやり直しを要求。

 そして6月20日、原子力規制委は定例会合で、大飯原子力発電所の地震の揺れについて再計算することを決めた。報道によると、「元々の審査の責任者の指摘なので例外的に受け入れた」(田中委員長)というのが、その理由。
 
 しかし、これはかなり変な話だ。

 新しい知見が提起された際、それを原子力規制基準やその運用にどのように反映させるか、具体的な手順は決められていないのだ。「元々の審査の責任者の指摘なので例外的に受け入れた」という情緒的な理由を根拠とするのは大きな問題であろう。

 これまでの原子力規制委・規制庁の行政手法にも通じることだが、なぜ、こうした曖昧なやり方が許されるのか? そして、なぜ、それを指摘する政治関係者や報道関係者が殆ど現れないのか?

 2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の後、既設の原子力発電所に対して最新の基準に適合することを義務付ける"バックフィット"が制度化された。原子炉等規制法第43条の3の23で、「(原子炉施設の位置、構造及び設備が)原子力規制委員会規則で定める基準に適合しないと認めるときは・・・使用の停止、改造、修理・・・必要な措置を命ずることができる」と規定された。

 本来、このような『法の遡及適用』は、憲法第29条で保障されている財産権を侵害することとなりかねないため、憲法第31条(適正手続の保障)を踏まえ、法律や規則を作って手続などを定めておかなければならないはずだ。

 しかし、原子力規制委・規制庁は、具体的な運用ルールを委員会規則で定めず、法的根拠のない私文書、いわゆる"田中委員長私案"によってバックフィットを求め、原子力発電所の再稼働を事実上強制的に停止させ続けている。

 この問題については、私はこれまでも別の寄稿などで再三再四提起してきた。

 島﨑氏は、2014年9月まで原子力規制委の委員として原子力発電所の地震や津波の審査の取りまとめを行ってはいた。

 だが、現在は地震学者の一人であって、今回の主張も多くの学説のうちの一つでしかない。今回なぜ、島﨑氏の主張だけを特別扱いするのか?

 今後の再計算結果によっては、大飯原子力発電所の再稼働が更に遅れる可能性がある。

 田中委員長は「新知見だから受け入れたということではなくて、島﨑先生がもともと責任者ですから、その方がおっしゃるということで、我々が今、できる範囲のことでやってみよう」と6月20日の定例会見で明言している。

 "もともとの責任者だから"とか、"マスコミが騒ぐから"といった理由で特別扱いすることが許されるのだろうか?

 日本の原子力規制を担う行政機関が、そんな程度の認識で良いのだろうか?

 日本原子力発電の敦賀原子力発電所や、北陸電力の志賀原子力発電所に係る活断層(敷地内破砕帯)の調査を巡って、原子力規制委・規制庁は、自ら主宰した有識者会合のピア・レビュー会合で出された専門家の意見については無視し、評価書を取りまとめた。

 ところが、一人の地震学者の意見には直ちに耳を傾ける。こんな一貫性のない運用が行われて良いはずはない。

 今回、島崎氏が"過小評価"の懸念を示した地震動の計算式は、「入倉・三宅式」という名の式。この式を考案した入倉孝次郎氏は、自身のホームページで、島﨑氏の主張に対して以下のように反論している。

◎入倉・三宅(2001)の内容が、正しくない、とする結論は、いかにも性急すぎる判断と思います。入倉・三宅式を強震動予測など防災目的に用いるとき「行政的にどのような注意が必要か」は、あきらかに別の話です。強震動データを用いた熊本地震の解析結果と入倉・三宅式との比較など、詳細な分析を抜きにして、入倉・三宅(2001)を使うと過小評価になると断罪することは、あまりに偏った考え方と思います。

◎入倉・三宅式(2001)のスケーリング則は科学論文として査読付きの雑誌掲載されたものであり、・・・・(各種論文でも)その有効性が検証されています。

 一方、島﨑氏の主張は上述の通り、未だ「一人の地震学者の意見」に過ぎない。

 このように、学説が分かれる段階であるにもかかわらず、一方の学者の要求に従い、法律に基づく大飯原子力発電所の地震動の審査に関連する「再計算」を、公権力を行使する規制行政機関が行うことは、とても妥当なこととは思えない。

 仮に「地震動評価に問題あり」との計算結果になった場合、マスコミは大騒ぎし、原子力規制委・規制庁はその対応に右往左往するだろうし、大飯原子力発電所の再稼働への影響は避けられないであろう。

 活断層を調査する有識者会合や、バックフットの運用ルールを定めた"田中委員長私案"は、法律に基づくものではない。今回の島﨑氏の要求への対応も、法的根拠はどこにもない。

 原子力規制委・規制庁は『法律による行政の原理』を無視しており、『規範意識』が欠如していると言われてもおかしくない。

 新しい科学的知見は常に発見されるものであり、それらを適時適切に原子力発電所の安全対策に反映させることは、とても望ましいことだ。しかし、それらを実際の規制として実行するには、『透明な手続き』や『現実的な猶予期間』が必須であり、その対策に係る『適切な保障』も必要に応じて用意しなければならない。

 マスコミ報道に左右される行き当たりばったりの恣意的な規制運用は健全な企業経営にマイナスであり、電力の低廉安定供給に悪影響を及ぼす。現に、そうなっている。

 こんなことばかり続けていると、『原子力正常化』はますます遅れ、電力コスト・電気料金の高止まりや、国富の徒な流出、エネルギー安全保障への悪影響だけでなく、日本の原子力規制行政が諸外国からの信用を更に失うことになりかねない。

☆ニュース配信☆ 今、世界の原子力発電所は・・・運転中444基(うち米国99基)、建設中63基(うち中国22基)

今、世界の原子力発電所は・・・運転中444基(うち米国99基)、建設中63基(うち中国22基)

Gadgetwear 

http://www.gadgetwear.net/2016/06/444996322.html


livedoorニュース

http://news.livedoor.com/article/detail/11675784/


日刊アメーバニュース

http://news.ameba.jp/20160623-99/


BIGLOBEニュース

http://news.biglobe.ne.jp/economy/0623/gdw_160623_9225613758.html



 米国原子力エネルギー協会(Nuclear Energy Institute)の最近の発表
によると、2016年5月現在、全世界で444基の原子炉が運転中、15ヶ国で63基が建設中。 

《原文より抜粋》
As of May 2016, 30 countries worldwide are operating 444 nuclear reactors for electricity generation and 63 new nuclear plants are under construction in 15 countries. 

 運転中の原子炉444基について、国別に見ると、米国99基、フランス58基、日本43基、ロシア35基、中国33基、韓国25基、インド21基の順。 

 建設中の原子炉63基について、国別に見ると、中国22基、ロシア8基、インド6基、米国4基、アラブ首長国連邦4基、韓国3基の順。(日本は2基(大間と島根3号機)と掲載されている。) 

 2012年で、原子力発電所は世界の電力供給の11%を賄っている。2015年で、自国の電力供給量の1/4以上を原子力で賄っている国は、フランス(76.3%)、ウクライナ(56.5%)、ベルギー(37.5%)、スウェーデン(34.3%)、フィンランド(33.7%)、スイス(33.5%)、韓国(31.7%)など13ヶ国〔資料1〕。 

Nuclear power plants provided 10.9 percent of the world's electricity production in 2012. In 2015, 13 countries relied on nuclear energy to supply at least one-quarter of their total electricity. 

 2015年での原子力発電電力量について、国別に見ると、米国、フランス、ロシア、中国、韓国の順〔資料2〕。


<資料1>
(出所:NEI資料

<資料2> 
(出所:NEI資料

電力会社の切り替え:6/24集計で122万件(全世帯の1.9%程度)

 電力広域的運営推進機関が、先月24日24時までの情報照会、スイッチング(切り替え)の申込み状況を集計したところ、それぞれ全国計で619.1万件、121.87万件であった。

44
(出所: https://www.occto.or.jp/oshirase/hoka/files/20160701_swsys_riyoujyoukyou.pdf


 全国の世帯数は約6,253万(2015年度の一般家庭等の通常の契約口数)なので、今のところ、切り替え件数は全体の1.949%、情報照会から切り替えに至るのは19.7%となる。

 因みに、経産省が昨年11月18日に発表した資料では、「8割の人は、少なくとも切り替えの検討はする意向」、「現時点で切り替えを前向きに捉えている(「すぐにでも変更したい」「変更することを前提に検討したい」)人に限っても、25%弱存在する」とのアンケート調査結果が掲載されている。

 しかし上述のように、現実はまだまだその域には達していない。

 尚、今月1日に経産省が発表した下記の資料「スイッチングの申込状況」では、①先月17日時点でのスイッチングの申込件数(自社内の契約切替え(規制→自由)を含まず、他社への契約先の切替えの件数に限る)は約116万件であり、②5月末時点での旧一般電気事業者の自社内の契約の切替え(規制→自由)の申込件数は約171万件で、スイッチング件数と合わせた契約切替えの申込件数は合計約287万件であるとしている。
 

《ハフィントンポスト寄稿》「もんじゅ」行政への最後通牒 〜 次回はない、今回がラストチャンス

「もんじゅ」行政への最後通牒 〜 次回はない、今回がラストチャンス

 

 高速増殖原型炉「もんじゅ」は、1983年に旧「動力炉・核燃料開発事業団」が国の原子炉設置許可を受けて開発され始めた。ウラン資源の利用効率を飛躍的に向上させる高速炉サイクル技術の要として期待され、94年に初臨界を達成。世界で唯一のループ型というタイプで耐震性に優れ、西側諸国で現存する唯一の『ナトリウム冷却炉』として、世界中から注目を集めていた。

20年前のトラブルをいつまでも引きずっている...


 翌95年には初発電に至ったのだが、その年末、二次主冷却系配管からのナトリウム漏洩事故が発生。この配管に取り付けられていた温度計の鞘管からナトリウムが漏れた。原因は、温度計の鞘管の形状に係る重電メーカーによる設計ミス。

 ナトリウム漏洩量は640kgで、このうち410kgは屋内で回収され、残りの230kgは屋外に放出されたが環境への影響は認められなかった。この過程で、ナトリウムの温度はそれほど上昇しなかったので、ナトリウムを迅速に回収し、適切に処理することは、本当は可能だった。

 しかし、当時の規制当局であった旧科学技術庁や原子力安全委員会が"現場の保全"を指示したため対応が遅れた。しかも、二次系のナトリウム漏れ程度のことを重大事故と決め付けた上に、いわゆる"ビデオ隠し"が二度も起こってしまったため、「もんじゅ」運営を正常に戻す機会は失われた。

 その後、旧動燃事業団は別の原子力事業を行う特殊法人と統合され、「日本原子力研究開発機構」(JAEA)へと改組された。JAEAは複数の原子炉を保有することになり、型の異なる新型炉の開発や放射性廃棄物の処理といった幅広い研究を手掛けるようになった。

 これにより、「もんじゅ」はJAEAが擁する数多ある研究部門の一つとしてJAEAの中で埋没した形になってしまった。こうした情勢変化の中で、「もんじゅ」の運営責任の所在も曖昧になり、その状況は今にまで至っている。

原子力規制委員会からの宣告の善し悪し


 原子力規制委員会は昨年11月、JAEAには「もんじゅ」を運転する能力がないとして、所管する文部科学省に対して、新たな「もんじゅ」の運営主体を決めるよう勧告をした。これを受けて文科省は、昨年12月から広くヒアリングや現地調査を行った上で、「もんじゅ」の運営主体が備えるべき要件を抽出した報告書を今年5月末に取りまとめた。

 この報告書では、研究ばかりに比重を置くなど偏った運営形態が相次ぐトラブルの背景にあるとして、原子炉の保守管理活動について自主的に定めた現行の「保全計画」の抜本的な見直しを求め、それに相応しい保守管理体制の整備や、有益な情報の収集・活用、技術の継承・高度化、強力なガバナンスを求めている。

 これは、具体性に欠ける部分はあるにせよ、極めて現実的かつ妥当なものである。この方向性を志向しながら、国の「エネルギー基本計画」に沿った放射性廃棄物の減容と有害度の低減を行え、また、2018年に期限を迎える日米原子力協定の延長を念頭に置いたプルトニウムの安定的な消費を行える核不拡散技術としての「もんじゅ」を活用すべきだ。

 一部の大衆マスコミなどで蔓延している「もんじゅ」廃炉論に与するのではなく、今いる現場の技術者を中心として「もんじゅ」の運転・保守管理に特化した開発を進める新たな組織を設けることが肝要だ。現行の保全計画は、08年末に旧原子力安全・保安院が出した指示に基づき、2ヶ月程度で策定された。当時、他の原子力発電所での保守管理が強化されたのに合わせて、急場凌ぎで拙速に作られたもの。

 そのため、高速炉という特殊な炉でありながら、商業用として稼働している軽水炉と同じ点検項目が採用されているなど、内容的な不備も散見される。

「もんじゅ」の現場はしっかりしている


 私は今年3月、「もんじゅ」の現場を視察し、原子力規制委が指摘した"点検漏れ"は保全計画の記述の不備に起因しているものが大半であることを直接確認した。例えば、「一式の点検」としている箇所に対して、"可視可能範囲のみを対象とする等、点検内容のとおり実施していない"という一方的な指摘がなされており、他の点検手法の可能性や存在すらも否定されている。

 しかも、こうした指摘の件数が、装置の数ではなく、パーツ・部品の数として数えられる。"点検漏れ"の件数が合計で万単位に膨れ上がってしまうのは、こうした数え方の問題だ。

 「もんじゅ」の信頼を回復していくためには、規制される「もんじゅ」の現場側だけでなく、規制・推進する側にいる原子力関連当局にも大きな責任がある。だから、元々の不備が多い保全計画を抜本的に見直すとともに、保守管理を徹底することで安全レベルを引き上げていくべきなのだ。

 「もんじゅ」の現場に行けば体感できるが、職員の士気はとても高い。「もんじゅ」は、入域の所は年季を感じさせる部分が多いものの、全体として20年も経っているのに整理整頓が行き届いてピカピカであり、『マイプラント意識』が徹底されている。「もんじゅ」の賛否両勢力の人々は、一度、現場を見学してみるべきだ。

 ナトリウム漏洩事故を起こした建屋4階の現場については、床も壁も新たにライナーを張り、空調装置を一新し、万一に備えた窒素ガス供給装置を新設するなど、再発防止策も徹底されている。

新組織をまた作るのか???


 今、大きく気掛かりなのは、先の文科省報告書を根拠に設立される新法人の位置付けである。馳浩文部科学相は、「もんじゅ」の運転・保守管理に特化して推進する新法人を文科省の下に設立し、自ら高速炉開発を進めることを考えているようだ。しかし、研究ばかりに比重を置く偏った運営形態を排し、敢えて研究を度外視するには、新法人は文科省の下ではなく、経済産業省の下に設けるべきだろう。

 文科省の所管のままでは、研究ばかりに比重が傾く過ちを繰り返しかねない。発電事業も含めた運転・保守管理に特化する業務である以上、原子力発電事の現業を進める立場にある経産省の所管とする方が合理的と考えるからだ。

 私は以前から、「もんじゅ」改革の落とし所として、今年5月に公布された再処理等拠出金法に基づき新設される『再処理機構』に「もんじゅ」を移管することが唯一無二の解決策である、と提起してきた。

  http://blog.livedoor.jp/kasumigaseki_soken/archives/47132149.html
  http://blog.livedoor.jp/kasumigaseki_soken/archives/47613989.html  

 これに対しては、『経産省が「もんじゅ」を引き取る可能性は、権限面からも、予算面からも、あり得ない』、『経産省には、文科省の尻拭いをしてまで「もんじゅ」を引き取る考えは全くない』、『経産省は、「もんじゅ」を廃炉にし、フランスが開発を進めている「アストリッド」という高速炉の共同開発に完全に移行すべきだと考えている』といった反響が寄せられた。

 そうであれば尚更、この際であれば、権限と予算を経産省に全面移管し、高速炉開発を国家プロジェクトとして強力に推進すれば良いではないか。もちろん、予算を長期的にダラダラと付け続けるのではなく、例えば「予算は従来の倍にするが、必ず5年で100%出力を達成して基本データを取る」というような即効性のある予算配分を行い、短期で目標達成を図るよう一定の制約を付すべきであることは言うまでもない。次がラストチャンスだ!とするのだ。

 「もんじゅ」は国が進める核燃料サイクル政策の柱の一つ。現在、①既設の原子力発電所に係る軽水炉サイクルと、②「もんじゅ」など高速炉サイクルに分かれている。

①軽水炉サイクルは、第三者機関であるエネルギー総合工学研究所が工場全体として安定運転に向けて準備が整っていると評価した 「六ヶ所再処理工場」(青森県六ヶ所村)や、既設の原子力発電所に係る軽水炉でプルトニウムとウランをミックスして燃やす実用技術である「プルサーマル」を中核とする。

②高速炉サイクルは、「もんじゅ」や、アメリシウムやネプツニューム、キュリウムを原料に混ぜて放射性廃棄物の消滅処理をする核燃料を製造する「高速炉燃料製造工場」を中核とする。

 これまでは①と②は互いに別モノとして扱われてきたが、今後はこれらを包括的に進めるために経産省へと所管を集中させ、日本の核燃料サイクル政策の総合的な司令塔機能を一本化することが現実的かつ最適である。

 本来ならば、米国エネルギー省のような組織を新設し、原子力発電・核燃料サイクル政策も含めたエネルギー政策を総合的に推進する体制にすべきなのだが、日本の場合にはこうした改革には莫大な労力と長い時間を要する。だから、経産省への一本化が現実的な最適解となる。

"核燃料サイクル先進国"フランスの新技術は日本には不的確


 フランスが開発を進めている「アストリッド」は、「もんじゅ」とは異なるタンク型というタイプの高速炉。両者には、耐震性能の面で大きな差がある。「アストリッド」の耐震性能は330gal程度しかない。「もんじゅ」の耐震性能は現状でも760galで、実際には1000galでも十分に対応可能だ。将来的に「アストリッド」が実用化されても、日本のような地震多発国で採用できるのか、大型化して経済性を追求できるかといった大きな課題がある。

 実は、フランスは経年劣化した軽水炉の延命研究のための「ジュールホロビッツ炉」というタイプの導入を優先しているだけでなく、原子力関係の研究開発予算を削減する傾向にある。そのため、「アストリッド」の推進に必要な予算がなかなか付かず、25年の竣工予定が4年ほど遅れる見通しとなっている。

 こうしたフランスの動向は、今年5月のOECD本部の国際会議でも大きな話題になったようだ。日米欧など世界7ヶ国・地域が共同建設するフランスの国際熱核融合実験炉(ITER)の計画の大幅遅延と相俟って、国際協力の危うさとともに、自国主導の国家プロジェクトの重要性が改めて浮き彫りになったと言える。

『準国産資源』であるプルトニウムの平和利用は日本の国是


 先日、ある主要国の駐日大使館のエネルギー担当者のコメントとして、次の2つのようなものがあった。

(1)大津地裁の仮処分決定で関西電力高浜原子力発電所3・4号機(プルサーマル)の稼動が停止した。プルサーマルの推進は、最高裁まで行けば否定されないだろうが、事実誤認や偏向判断が多い地裁が介在するためにかなりの年月がかかるのではないか。余剰プルトニウムを発生させないための政策を日本は具体的にどう実現するのか。国際的な原子力協定上も重要ではないか。

(2)再処理等拠出金法はどういう法律か、何を目的としているのか。本国から照会が来ている。

 このうち特に(1)の点についてであるが、まず、六ヶ所再処理工場で生産される核分裂性プルトニウムの量は年間4トン強で、大間原子力発電所(現在建設中)は年間1.1トンを消費し、他のプルサーマル炉(現在12基のプルサーマル炉が原子力規制委に再稼動を申請中)は年間0.3〜0.5トンを消費するので、大間・伊方の他に7〜8基のプルサーマル炉が稼動すれば、余剰プルトニウムは発生しない計算。

 次に、「もんじゅ」のプルトニウムの初装荷は1.6トンで、以後毎年0.5トンのプルトニウムを燃焼する。こうした「もんじゅ」のプルトニウム消費能力には期待すべきものが大きい。

 日本が掲げる原子力平和利用・核不拡散の理念を一層確実にしていくため、国のエネルギー基本計画などにおいて、プルトニウム消費の円滑化という視点も含め、「もんじゅ」の位置付けをきちんと再構築することには、大きな意義がある。

 そのためにも、現行の「もんじゅ」行政には、"最後通牒"が出されなければならない。

 誰もこういう言い方はしないが、未だ豊富な資源を自給することのできない我が国において、核燃料サイクルによるプルトニウムは、国内にある既設の原子力発電所を起源とする『準国産エネルギー資源』なのである。

世界で毎年650万人が大気汚染で死亡 〜 主因は化石燃料消費によるSOx・NOx

 先般のIEA(International Energy Agency;国際エネルギー機関 )の発表によると、概要は次の通り。

 ① エネルギー分野での排出を抑制しない限り、大気汚染を原因とする死亡者は毎年650万人。
 ② 屋外での大気汚染による早死は現在300万人だが、2040年には450万人に増える見込みで、その多くはアジア途上国との懸念あり。
 ③ 屋内での大気汚染による早死は現在350万人だが、2040年には300万人に減る見込みで、貧困や近代的エネルギーに接せられないのは今のまま。


《原文からの抜粋》
Each year an estimated 6.5 million deaths are linked to air pollution with the number set to increase significantly in coming decades unless the energy sector takes greater action to curb emissions.
Premature deaths from outdoor air pollution are projected to rise from 3 million today to 4.5 million by 2040, concentrated mainly in developing Asia.
Meanwhile, premature deaths from household air pollution will decline from 3.5 million to 3 million over the same period, although they continue to be heavily linked to poverty and an inability to access modern energy.


 2012年の国別・地域別データで見ると、大気汚染による死亡者数は、中国、インド、アフリカなどで多いことがわかる。

40
https://twitter.com/IEA/status/747595542373535745


 2015年のデータで見ると、SOx・NOxの99%以上、一酸化炭素の92%、粒子状物質の85%、揮発性有機化合物の66%が、エネルギー消費によるもの。
 この場合のエネルギー消費とは、発電(石炭、石油、ガス、バイオ、廃棄物)・工場・運輸(自動車など)・家庭(冷暖房、電灯)など。



36
https://twitter.com/IEA/status/747504940063535105


 地球規模で原子力平和利用と再生可能エネルギー利用を推進すべき理由は、こうした点にもある。


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/181897/

米国のエネルギー見通し:化石燃料支配は当面不変、再エネは急増

 米国エネルギー情報局(EIA;Energy Information Administration)によると、2040年までの米国のエネルギー消費量は、基準ケース(Reference case)では概ね次の①〜③のように見通されている。

(1)石炭の減少分は天然ガスの増加分で代替される。
(2)石油、原子力、バイオマス、水力は殆ど変わらない。
(3)風力・太陽光は増加する。



 別の見方をすると、米国では当面、総じて次のようなエネルギー消費の姿になる見通し。

①化石燃料が、引き続きエネルギー市場を支配する。
②風力・太陽光は、水力、バイオマス、原子力よりも増加し、石炭に近付く。
③風力・太陽光の増加分が、全体のエネルギー消費量の増加分を賄う。


 
 以上のことは、米国のエネルギー調達構造・自給率があってこその話。米国のエネルギーミックスは、日本には全く参考にならない。

 日本が参考にすべきは、化石燃料の自給率が高い米国でさえ、水力・原子力を一定程度維持し、風力・太陽光など再生可能エネルギーを増加させようとしている点。化石燃料を自給できない日本では、何をか言わんや・・・なのである。



<資料1:米国のエネルギー消費量推移の経過(1776〜2015年)>
main
2016.7.1 EIA


<資料2:米国のエネルギー消費量推移の経過と見通し(1776〜2040年)>
chart2
2016.7.1 EIA
 

【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/181872/

4人に1人が「65歳以上」の日本 〜 高齢者人口割合は世界で断トツのトップ

 先のブログ記事の続き。一昨日発表された総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」では、大正9年(1920年)から平成27年(2015年)までの年齢別人口割合の推移などが掲載されている

 日本の総人口を年齢3区分別(15歳未満、15〜64歳、65歳以上)に見ると、15歳未満は1586.4万人で最低を更新、15~64歳は7591.8万人、65歳以上は3342.2万人で最高を更新〔資料1〕  

<資料1>
44
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


 65歳以上人口の割合の推移を見ると、昭和25年(1950年)以前は5%前後、昭和60年(1985年)には10%を超え、平成17年(2005年)には20%を超えて世界最高水準となり、平成27年(2015年)には26.7%にまで上昇し、現在、世界最高水準〔資料2〕

<資料2>
00
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


 65歳以上人口の割合を都道府県別に見ると、高い順では、秋田県33.5%
、高知県32.9%、島根県32.6%で、41道府県が25%以上。低い順では、沖縄県19.7%、東京都22.9%、愛知県23.8%など〔資料3・資料4〕

<資料3>
16
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)

<資料4>
42
(出所:2016.6.29 
総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


 
全ての都道府県で、65歳以上人口の割合が15歳未満人口の割合を上回っている。現在既にそうなりつつあるが、このまま高齢者人口が増え続ける見通しの中では、高齢者向け社会保障システムを維持することは、一層難しい状況になるはずだ。

 健康寿命延伸と同時に、「65歳」という高齢者区分(退役世代区分)を修正していく必要がある。年金支給開始年齢の引上げは必然になるので、その前までに、この高齢者区分を「68歳」、「70歳」、「72歳」などに段階的に引き上げることを真剣かつ前向きに検討しておく必要がある。


【追記:ブロゴス 
http://blogos.com/article/181699/

1920年〜2015年の人口ピラミッド変遷:少子高齢化の視覚的経過

 昨日発表された総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」では、大正9年(1920年)から平成27年(2015年)までの人口ピラミッドの変遷と人口の推移が掲載されている〔資料1〜3〕

 平成27年国勢調査によると、同10月1日現在の日本の人口は1億2711万人で、前回調査時(平成22年)に比べて94.7万人減。

 昭和20~25年では第一次ベビーブーム(昭和22〜24年)もあって人口増減率は15.3%だったが、その後は出生率低下に伴って増加幅が縮小し、昭和30~35年では4.7%。

 昭和45〜50年では第二次ベビーブーム(昭和46〜49年)もあって人口増減率は7.0%だったが、昭和50~55年では4.6%、平成22~27年では▲0.7%。 

 今は少子高齢社会であるが、その素地は昭和30年頃から既にあった。

 第一次ベビーブーム前までは、人口ピラミッドの形は健全な姿であった。その頃の人口は8千万人程度であったが、年少者が年長者を支える社会であるかどうかという視点では、実に真っ当な姿であったと言えるだろう。 

 そういう点からも、今後当面の日本の政策課題は、年長者である高齢者・退役世代が、年少者である若年層・現役世代の負担に依らない生き方と死に方を演じていけるような社会システムを作っていくことであるに違いない。


<資料1>
48
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


<資料2>
51
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


<資料3>
41
(出所:2016.6.29 総務省統計局「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要」)


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/181828/

【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.103】

2016年6月29日12:30~13:23【石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.103】

ニコ生 : http://live.nicovideo.jp/watch/lv267756941

Youtube : https://youtu.be/HIbYSnK-bm4

[時評・ウェーブ]石川和男/超高齢化、80歳以上が1千万超え

[時評・ウェーブ]石川和男/超高齢化、80歳以上が1千万超え

 総務省によると、平成27年9月時点の推計で(1)高齢者人口は3384万人、総人口に占める高齢者の割合は26.7%で、ともに過去最高(2)80歳以上の人口が初めて1000万人を超過(3)日本の高齢者人口の割合は主要国で最高。また、その他に次のような特徴も見られる。
 (1)高齢者の就業者数は11年連続で増加し、過去最高の681万人(2)就業者総数に占める高齢者の割合は過去最高の10.7%(3)日本の高齢者就業率は主要国で最高。
 (4)高齢雇用者の7割超は非正規雇用で、その理由は「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多(5)高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2499万円(6)高齢者世帯のネットショッピングは、ここ12年間で5倍に増加。
 (7)高齢者世帯のネットショッピングは医薬品・健康食品の支出割合が高い(8)高齢者世帯の3割が電子マネーを利用(9)携帯電話の普及率は高齢者世帯の方が高くスマホ普及率は高齢者世帯の方が低い。
 少子高齢社会にすでに入り込んでいるわが国だが、高齢者人口が増えることが好ましいかどうかは一概には言えない。どうあれ、高齢者にとって最大の心配事の一つは、健康面ではないだろうか。
 平成28年版高齢社会白書によると、高齢者の約半分が何らかの自覚症状を訴えており、日常生活に影響がある人は約4分の1に及ぶ。また「健康寿命」は延びているが「平均寿命」に比べて伸びは小さい。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を指す。わかりやすく言うと、日常的に介護や看護を必要としない期間のこと。
 直近の今回調査(平成25年)は男性71.2歳、女性74.2歳。前回調査(平成22年)に比べて、男性が0.8年、女性0.6年それぞれ伸びている。平均寿命から健康寿命を差し引いた「日常生活に制限のある期間」は、男性9年、女性12年で、それぞれ前回調査から若干短縮。前回と今回で健康寿命が延伸した背景は死亡率・不健康割合がともに改善したからだ。
 健康寿命の延伸は喜ばしいことだ。しかし、日常的に介護や看護を必要とする期間が長期化する“平均寿命だけの延伸”は喜ばしいとは思えない。健康寿命を超える期間をいかに短くし、尊厳ある最期を迎えることができるか――。これが、日本の抱える最大の課題であることは、健康なわれわれ全員に共通の認識であるはずだ。
 今のような高齢者ケアに関する政策を続けることは「The road to hell is paved with good intentions」(地獄への道は善意で舗装されている)に他ならない。
 このままでは、われわれの世代はそれをほんの少ししか体感しないだろうが、子や孫の世代はそれを強く体感し始めるだろう。だから、われわれの世代で大きな痛みを享受し、国全体でしのいでいく必要がある。本格的な『改革』ができるとしても“団塊の世代”以降での話にならざるを得ない。
 高齢者が健康寿命の範疇にいるかどうかの区別方法としては、例えばその高齢者が要介護状態であるかどうか、という点が挙げられる。平成27年3月末の要介護認定者は前年比4ポイント増の606万人。初めて600万人を超え、今後とも増加する見通し。今でさえ、高齢者人口の18%に上っている。
 80歳以上の人口が1000万人を突破したことは、人口構成にかかわる一つの事象にすぎない。要は、健康寿命をいかに延ばすか、高齢者が健康寿命を超えて死ぬまでの期間をいかに短くするか、である。これがわが国全体の眼前にある最難の課題に違いない。
 いかにして尊厳ある死を迎えるか、いかにして周囲に迷惑をかけずに天寿を全うするか、である。

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6/27 BSフジ・プライムニュース出演 〜 『英国ショックと乱高下 日本経済“体幹”強化』

 本日、BSフジ・プライムニュースに出演。

 テーマは、『英国ショックと乱高下 日本経済“体幹”強化』。


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 御視聴は、
     → 前編 http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d160627_0.html
     → 後編 http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d160627_1.html

イギリスの電力事情 〜 太陽光が石炭を初めて上回った先月・・・

 今月17日付け the guardian によると、イギリスで先月、太陽光発電量が石炭火力発電量を初めて越えたとのこと。これは、イギリスの気候政策やエネルギー政策に詳しい CarbonBrief が掲載している下の4つのグラフからも明らかだ。

UK monthly electricity from solar and coal
chart (3)

Solar and coal shares of UK total
chart

UK weekly electricity from solar and coalchart (1)

UK daily electricity from solar and coalchart (2)

 イギリスでは、全ての石炭火力発電所を2025年までに段階的に閉鎖することが決まっている。保守系シンクタンクからは、その目標を少なくとも2年は前倒しすべきと提起されている。

《原文より抜粋》
The government has pledged to phase out all coal-fired electricity by 2025, but on Tuesday a Conservative thinktank called for the shutdown to come at least two years earlier.

 先のイギリス国民投票の結果、イギリスはEUから離脱する意志を表明した。しかし、電力・ガス自由化をEU内で先行させてきたイギリスが、今回の結果によって自由化政策面で大きな変化を起こすとは思えない。

 温暖化対策としての原子力・再生可能エネルギーの推進も止まることはないであろう。ただ、離脱後にEU指令下の補助金制約がなくなれば、エネルギー政策分野での新たな補助金政策が施される現実味が帯びてくる可能性はある。


 下の写真は、マンチェスターにある浮揚式太陽光発電所。こうした新しい手法は、日本にも応用できる日が来るかもしれない。 

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 2016.6.17 the guardian
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