生活保護について、厚生労働省が今月6日に発表した『被保護者調査(平成27年10月分概数)』によると、被保護実人員は2,166,019人(対前月比2,435人増加、対前年同月比2,374人減)、被保護世帯は1,632,321世帯(対前月比2,723世帯増、対前年同月比17,081世帯増)〔資料1〕

 先週6日のNHKニュースでも報じられているが、生活保護対象者の増加は、高齢者世帯の受給が増えたことが主因。この報道中、「雇用情勢の改善などで、働くことのできる世代を含む『その他の世帯』などでは減少傾向が続いているが、年金だけでは生活できない高齢者の単身世帯は今後も増加するとみられる」との厚労省のコメントは、統計的にも適確なものだ。

14
(出所:NHKニュース) 

 今国会では、『一億総活躍社会の実現』と銘打った経済対策に関連した今年度補正予算案がもうじき成立する見込み。しかし、生活保護の被保護世帯数や被保護実人員数の増減理由は、政府の経済対策とは結果的に関連は見られない。それは、データからも明らかだ〔資料2〕

 アベノミクスが生活保護分野の改善に効果も効能も及ぼしているとはとても言えない。そもそも、景気対策と生活保護には相関関係は見られてこなかった。上記の通り、生活保護対象者の増加は、高齢化が主因なのだ。

 生活保護には、生活扶助、医療扶助、住宅扶助、介護扶助などがある。いずれの扶助も抑制していくことを迫られてるだろうが、個々の受給ごとに事情が異なるので、マクロ財政の視点から優先・劣後の順位付けをすることは難しい。生活保護は個人向け補助金であるが、財政事情を慮れば一人当たりの支給規模を今後増やす余地はないと思っておくべきだ。

 解決策の一つとして、現金給付から現物給付への移行を真剣に検討すべきである。だが最終的には、一人当たり受給額の総額規制など上限を設定するといった手法しかないと思う。これは、年金や医療・介護費など高齢者向け社会保障費にも適用されるべきことでもある。


<資料1>
50
(出所:厚生労働省「被保護者調査(平成27年10月分概数)」(2016.1.6))


<資料2>
18
(出所:厚生労働省・社会保障審議会生活保護基準部会資料(2014.12.26)


《追記:ブロゴス http://blogos.com/article/154077/