昨夜の産経WESTネット記事では、関西電力が大津地裁による高浜原子力発電所3・4号機(福井県高浜町)の運転差し止め仮処分決定を受けて電気料金値下げを見送ったことについて、「消費者に負担かけるな」との記事見出しで報じている。

<記事抜粋>
・滋賀県竜王町農家「赤字状態が続き、周囲で農家を辞める人もいるほど。差し止めは値下げ中止の理由にはならない」。
・神戸元町1番街商店街「期待していただけに残念」。アーケードの外灯や看板などで電気代は月約50万円。「負担は大きいが、消灯時間を早めるのも防犯上難しい」。
・黒潮市場「節約するしかない」。
・須磨海浜水族園「水温調整など、生き物の管理のための電気は削減できない」。
・水族館海遊館「この先どうなるか分からないので、発光ダイオード(LED)導入など省エネ対策を引き続き進めたい」。
・奈良市担当者「値下げされれば少しでも安くついたかもしれない」。
・京都府担当者「今は関電以外。影響はない」。
・神戸どうぶつ王国「関電の料金が高いと思い、1年前から検討していた」。
・大阪府の松井一郎知事「利用者側に立った経営をする会社がどんどん増えることを望む」。
 
 これは、原子力発電と電気料金の関係を全く理解していない記事。「割安な新電力会社により“関電離れ”の動きも進む」とあるが、これは原子発電所が強制停止させられていることが主因。

 関西電力も含め、2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の後に原子力発電を強制停止させられている電力会社と、その管内の消費者は、政府の不作為によって電気料金が上がってしまった被害者の側にいる。

 いつまで経っても、原子力発電と電気料金の関係に関する正確な理解が浸透しないのは、政府のPR不足か、電力会社のPR不足か、マスコミ報道の偏向ゆえか…?

 因みに、関西電力の電気料金値上げに係る費用の増減(2010年度→2014年度)を見ると、それぞれ次の通り。

(1)人件費:2387億円→1970億円(▲417億円(▲17%))
(2)燃料費・購入電力料:7656億円→1兆8070億円(+1兆414億円(+136%))[燃料費のみ:3874億円→1兆2230億円(+8356億円(+216%))]〔原子力利用率:78.2%→0%)
(3)設備投資額:3610億円→3200億円(▲410億円(▲11%))
(4)修繕費:2758億円→1900億円(▲858億円(▲30%))
(5)諸経費等(消耗品費、賃借料、委託費、普及開発関係費、養成費、研究費、諸費の合計値):2756億円→2380億円(▲376億円(▲14%))

 これを見ると、 ①原子力利用率の低下による燃料費の追加分が大きな圧迫要因であることがわかるだけでなく、②経営努力と称して人件費その他の費用をいくら削減しても、この燃料費の追加分を吸収することはできないこともすぐにわかる。 

 こうした事情を知れば、高浜原子力発電所3・4号機が再び強制停止になったことで、料金値下げは当分できないこともまた、すぐにわかるはずだ。 数字で考えれば、誰にでも直ちに理解される話。


【追記:ブロゴス http://blogos.com/article/166437/ 】