11月7日付け電気新聞
[時評・ウェーブ]石川和男/教育無償化の行方

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 10月22日の衆院選は、自民・公明連立与党が大勝。野党の離合集散など政局面での話題が席巻した選挙戦だったが、選挙後に大事なのはやはり政策面での話。
 与党の公約は「教育無償化と、財源は消費増税分を充当する」というもの。増税時期は2019年10月を予定しているので、無償化開始は20年4月だろう。
 幼稚園から高等学校までの教育費を概観すると、おおむね以下の通り。
 (1)学校種別の学習費総額・構成比
 幼稚園は公立22万2千円、私立49万8千円、小学校は公立32万2千円、私立153万6千円、中学校は公立48万2千円、私立133万9千円、高校は公立41万円、私立99万5千円。
 学習費総額の内訳は、学校教育費・学校給食費・学校外活動費。特徴としては、公立小学校・中学校では学校外活動費が高く、65%。私立幼稚園・中学校・高校では学校教育費が高く、それぞれ64%・74%・74%。
 (2)学校種別の公私比較
 公立と私立の学習費総額の差は、幼稚園では私立が公立の2.2倍、小学校では4.8倍、中学校では2.8倍・高校では2.4倍。
 (3)学年別
 学習費総額で最も多いのは、私立小学校1年の186万3千円。公立のうち最も多いのは、中学校3年の57万6千円。
 (4)世帯の年間収入と学習費
 学校種別に世帯の年間収入と学習費総額の状況を見ると、年間収入が400万円未満の世帯の場合、幼稚園では公立19万2千円、私立40万6千円、小学校では公立23万5千円、私立103万4千円、中学校では公立37万5千円、私立116万5千円、高校では公立33万7千円、私立82万1千円。
 年間収入が1200万円以上の世帯の場合、幼稚園では公立32万3千円、私立77万3千円、小学校では公立75万9千円、私立177万5千円、中学校では公立67万7千円、私立143万5千円、高校では公立58万6千円、私立134万8千円。
 今回の無償化対象が主に幼児教育と見込まれていることから、幼稚園での学校教育費について見てみると、おおむね以下の通り。
 (1)公立幼稚園の学校教育費は、11万9千円。内訳は、授業料54.0%(6万4千円)、通学関係費20.0%(2万4千円)などの順。
 (2)私立幼稚園の学校教育費は、32万円。内訳は、授業料65.5%(20万9千円)、入学金などが含まれる学校納付金等13.9%(4万4千円)などの順。
 率直に言って、“教育費は高い”というのが庶民的な感覚だろう。
 今回の無償化対象は主に幼児教育。小学校以上にも無償化を施す日が来るかどうかはわからないが、幼児教育だけでも無償化になる効果は決して小さくないだろう。
 消費税の使途は今、子育て・年金・医療・介護など社会保障分野に限られる。今回、その使途に教育を含めることは、教育を社会保障並みに公益事業と捉え直すことに他ならない。私は大賛成だ。
 ところで、本当に19年秋に消費増税は実施されるだろうか。翌年夏には東京五輪が開催されるが、その前年に増税が実施されるとは、政治的にも、とても思えない。
 私は、増税は先送りし、当面は『教育国債』で賄うと見ている。景気との連関を考慮すれば、そう結論せざるを得ない。