先月30日付け Bloomberg の “There Was So Much Wind Power In Germany This Weekend, Consumers Got Free Energy” と題する記事によると、ドイツにおいて、その前週末の暴風雨で発生した記録的な風力発電量により、2012年のクリスマス以来の大きなマイナス価格(negative price)が発生したとの由。

原文より引用》
A stormy weekend led to free electricity in Germany as wind generation reached a record, forcing power producers to pay customers the most since Christmas 2012 to use electricity. Power prices turned negative as wind output reached 39,409 megawatts on Saturday, equivalent to the output of about 40 nuclear reactors. To keep the grid supply and demand in balance, negative prices encourage producers to either shut power stations or else pay consumers to take the extra electricity off the network.

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2017.10.30 Bloomberg  “There Was So Much Wind Power In Germany This Weekend, Consumers Got Free Energy”  


 記事では、前週末土曜日に風力発電出力が39,409MW(≒ 3,941万kW)に達し、これは原子炉40基分に相当すると書かれている。〔筆者註:安定電源である原子炉と、天候変動電源である風力発電機を比較することは、エネルギー政策上では甚だ不適格。

 結果的に、過剰な風力発電量によって、卸電力市場ではマイナス価格が発生。瞬間的に −83.06€/MWh まで下落したが、平均価格は −52.11€/MWh であった。

 マイナス価格とは、卸電力価格が低下し過ぎてゼロ未満になり、過剰に発生した電気を引き取ってもらう代金を風力発電事業者が支払うというもの。


 マイナス価格による電気、即ち過剰な電気が送電網に流入すると、送電網上の電力需給バランスを維持できなくなる可能性がある。

 それを維持するため、過剰な電気を流入させた風力発電事業者は発電所を閉めるか、消費者にお金を支払ってでも余分な電気を供給するようになってしまう。

 以上のようなマイナス価格問題への対策に関して、先週、国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)を開催中のドイツ・ボンで、ドイツ連邦系統規制庁(写真)に事情を聴いた。

 同庁によると、欧州委員会(European Commission)から何らか対策を講じるべきとの要請があり、ドイツではマイナス価格が6時間以上続いた風力発電事業者には補助金の交付を停止する措置を講じ始めたとのこと。


 ただ、こうした事態が今後も頻発すると、風力発電市場全体の採算性が悪化し、今後の普及意欲が殺がれ、原子力・化石燃料から風力など再生可能エネルギーへの転換が進まなくなることが危惧される、とも。

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2017.11.8 Bundesnetzagentur


 日本では、風力よりも、太陽光による過剰発電の発生が既に懸念材料になっている。特に、四国・九州地区で春・秋に問題になる可能性が高い。

 マイナス価格の発生などという行き過ぎた市場原理主義が蔓延しないよう、欧州でも勿論のこと、日本でも所要の措置を準備しておく必要がある。