日本を訪れる中国人向け個人観光ビザの発給要件が7月から大幅に緩和されました。
これは、「観光立国」を目指す日本として、成長著しい中国人の旅行者を大幅に増やすのが狙いで、観光庁は28日、中国人の個人観光ビザの発給件数が23日までで5836件と、昨年7月の1033件に比べ5.6倍になったことを明らかにしました。

ビザの発給要件の緩和は、従来は年収25万元(約340万円)以上の富裕層に限定してきたものを、一気に中間層にまで広げ、官公庁や大企業の幹部で、年収6万元(約80万円)以上かクレジットカードのゴールドカードを持っていれば査証を発給するというものです。
また、1人が条件を満たせばその家族も発給を受けられるというもの。
 
そんななか、中国の格安航空会社「春秋航空」は、茨城/上海間を片道2600円の航空券を個人向けに発売する計画があると発表しました。
先日、そのチャーター便が到着しましたが、10月以降日中両国の航空当局の許可が下りれば定期便に移行する計画とか。
 
今後、飛躍的に増大すると思われる中国人観光客、東京をはじめとした大都市は勿論、日本全国の地方都市は、如何に誘致するかが大きな命題となっているのではないでしょうか。
 
さて、ビザ緩和とともに各地方では、色々な中国人観光客の誘致に力を入れてますが、ここ数年飛躍的に中国人宿泊客が増大している都市があります。
それは、千葉県木更津市
 
木更津市商工観光課の調べでは、中国からの宿泊客は2004年4~12月には106人だったのが、05年は2089人に増加。
06年は一旦818人と減ったものの、07年9566人、08年1万934人、09年2万6162人と、うなぎ登りで急増しているそうです。 
 
京都・奈良をはじめとした日本を代表する観光地でもない木更津市が、何故このように多くの中国人観光客が訪れているのか?
不思議でたまりませんが、それは行政とホテル、即ち官民の努力のたま物のようです。
 
木更津市長自らが、04年に中国・北京、上海を訪問し、旅行関係者らに対し、木更津観光を売り込むトップセールスを行うとともに、海外視察に出たがっている中国の市政府や団体に、木更津が『呼び水』になる招請状を発行して訪れやすくするなどの施策を打っているそうです。
また、その後は市の担当者が訪中し、日中の旅行会社の商談会に参加したり、現地の旅行会社に電子メールなどを通じて誘致を働きかけるなどの地道が活動を繰り返しているとか。
 
また、何といっても最大の功績は、市内のホテルです。
とりわけ、「東京ベイプラザホテル」の存在が大きいようです。
北京出身の露崎強社長は、倒産した木更津市のホテルを04年に3億円で買取り、主に中国人観光客に狙いを定めてホテルを開業。
初めて来日する中国人が多いため、ホテル専用のバスで羽田・成田両空港とホテルとの間を送迎したり、東京・銀座、秋葉原や、横浜市、富士山などのバスツアーも用意。
更に、現地の料理人を雇って本場の味を提供したり、中国国内で流れるテレビ番組を見られるようにしたりと、きめ細かなサービスの提供を行っているそうです。
その結果、宿泊客全体の7割を中国人観光客が占めるまでになったとか。
 
観光地でもなく、東京・横浜のような大都会でもない千葉県木更津市が、中国人宿泊客の誘致に成功しているのには、官民の努力もありますが、何と言っても立地的なメリットもあるようです。
即ち、東京湾アクアラインの存在です。
これを使うと30分から1時間で、東京や横浜、またディズニーランドにも行くことができるので、都内や横浜の高いホテルに宿泊するよりはずっとメリットがあるというのです。
確かに、木更津だとホテル代は都内に比べると相当安いので、ツアー料金を抑えるには都合がいいのかと思われます。
 
でも、この現象、果たして地元木更津にとってはメリットがあるのでしょうか?
東京ベイプラザホテル」は潤っているものの、観光客はホテルに宿泊するだけで、その他の地元経済へ与える影響は少ないようにも思えます。
すぐにバスで移動してしまいますので。
木更津市にとっては、ホテルに宿泊した中国人観光客に、如何に地元のお店や施設で”中国元”を使って貰うかが、今後の大きな課題の一つなのかもしれません。
地元経済が潤うためにも。
 
一方、大企業はこの様な動きに敏感で、三井不動産は12年春に大型アウトレット施設「三井アウトレット」を木更津市の東京湾アクアライン近くに開設する計画です。
お目当ては、中国人をはじめとした外国人観光客の獲得とか。
 
こういった一連の動向を見ていると、一つの図式が見えてきます。
それは、地方都市の空港、例えば茨城空港に、今回の「春秋航空」の様な格安エアラインで到着し、木更津のホテルを基点に、東京・横浜観光、ディズニーランドそして大型アウトレット施設でのショッピングという図式が。
大都会や日本を代表する観光地を有していないものの、それに隣接する地方都市にとっては、もしかしたら木更津市や茨城県の様な誘致方法は一つのヒントになるのかもしれません。
 
その昔、日本経済が絶好調の時に、何度となく海外旅行ブームが起きました。
その度に、多くの日本人は、主にパッケージツアーでハワイ・グアムをはじめとした海外にドッと押し寄せ、”日本円”を現地に大量に落としてきました。
海外の各観光地では、その様な日本人をターゲットにお店・店員の充実を図り、一人でも多くの人に”日本円”を使って貰おうと必死でした。
そして今、落ち目の日本経済、うなぎ登りの中国経済、両国の勢い違いが、一昔前と逆の光景を生み出しており、それがここ日本で中国人相手に繰り広げられるとは、何と皮肉なことでしょう。

 TokyoBayPlazaHotel20100729











千葉県木更津市にある東京ベイプラザホテル 

ChinaSpringAuturmAirline20100730






茨城ー上海間に就航した格安航空会社「春秋航空」のチャーター便