やっとこさ、手がつけられました。
どーも、より現実逃避しやすい欧米人の方が観たいという日が続いてた。
この映画は、「誰が本当の悪人か」なんていうコピーもあったりしたんですが、法で裁かれる「悪」とそうでないグレーなものをえぐってる部分は、やはり評価でしょうねぇ。
原作は、未読です。原作者も、脚本に携わっておられますね。
akunin1悪 人
監督・脚本:李相日
原作・脚本:吉田修一
撮影:笠松則道
美術:種田陽平
音楽:久石譲
上映時間:138分
出演:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明、宮崎美子、松尾スズキ、光石研、余貴美子、塩見三省、井川比佐志、永山絢斗、中村静香、韓英恵、山田キヌ、他
土木作業員の清水祐一(妻夫木聡)は、長崎の外れのさびれた漁村で生まれ育ち、恋人も友人もなく、祖父母の面倒をみながら暮らしていた。佐賀の紳士服量販 店に勤める馬込光代(深津絵里)は、妹と二人で暮らすアパートと職場の往復だけの退屈な毎日。そんな孤独な魂を抱えた二人が偶然出会い、刹那的な愛にその 身を焦がす。だが祐一にはたったひとつ光代に話していない秘密があった。akunin7彼は、連日ニュースを賑わせている殺人事件の犯人だったのだ……。数日前、福岡と 佐賀の県境、三瀬峠で福岡の保険会社のOL・石橋佳乃(満島ひかり)の絞殺死体が発見された。事件当日の晩に佳乃と会っていた地元の裕福な大学生・増尾圭 吾(岡田将生)に容疑がかかり、警察は彼の行方を追う。久留米で理容店を営む佳乃の父・石橋佳男(柄本明)は一人娘の死に直面し、絶望に打ちひしがれる 中、佳乃が出会い系サイトに頻繁にアクセスし、複数の男相手に売春まがいの行為をしていたという事実を知らされる。そんな折、増尾が警察に拘束されるが、犯人ではないことが判明、やがて新たな容疑者として金髪の男、清水祐一が浮上する。幼い頃母親に捨てられた祐一をわが子同然に育ててきた、 祐一の祖母・房枝(樹木希林)は、彼が殺人事件の犯人だと知らされ、連日マスコミに追い立てられていた。一方、警察の追跡を逃れた祐一は光代のもとへ向か い、佳乃を殺めたことを打ち明ける。光代はその事実に衝撃を受けるが、警察に自首するという祐一を光代は引き止める。生まれて初めて人を愛する喜びを知っ た光代は、祐一と共に絶望的な逃避行へと向かうのであった。やがて地の果てとも思える灯台に逃げ込んだ二人は幸福なひとときを迎えるが、その逃避行が生ん だ波紋は被害者の家族、加害者の家族の人生をも飲み込んでいく……。
公式サイト
原作者の「悪人」公式サイト
悪人 - goo 映画

被害者の佳乃は、腹立たしい女であるけれど、親にとってはかけがえのない娘。
加害者の祐一は、非常に家庭環境に同情もあるけれど、やはり欠落したものはある。その母親がわりになってきた祖母の痛ましい想いも、伝わる。
若い男女たちの背景に、出会い系というものがあって、今の時代の薄いつながりの象徴に思える。
実際、こういうサイトで知り合って、結婚した方々を知ってるし、否定もしかねるんです。
こうやって、ブログを書いてる自分も、そのおかげでいろんな人と繋がってます。そして、自分の記事を読んだだけの方たちでも、この震災で被災されたことを考えたら辛くなったから。
佳乃と光代の違いが、ただの遊びと本気で誰かを探してたことでしょう。
祐一と増尾も、そうでしょう。
増尾と佳乃の関係は、佳乃と祐一の逆関係に近かった。
akunin5佳乃は祐一とあってセックスをし、お金まで請求していた。本人は気づかなくても、売春です。増尾に、その気がないのを気がつかない。軽い。増尾に指摘される点は、否めないですよ。ホイホイついてくる女ってね。
増尾は、もうどうしようもないボンボンな学生で、アホでおこちゃまもいいとこ。あんなとこに、女性を置き去りにできるという神経がわかんない。
こうやってね、傍観的に映画で見てると、増尾にしても佳乃にしてもアホでカスと思えるけれど、実際こういう考えの人いますね。
彼らは、決して自分のことは増尾と佳乃と同じではないと思ってるはずです。
光代にしても、妹の男性関係を尻目に淋しい女です。(妙に客観的な私)
光代と祐一の遅すぎた出会いは、どうなんだろう…。お互いの持つ閉塞感の共感からと、欲望のはけ口のつりあいで、愛のようなものになってるけれども。もしも、佳乃とのことがなかったとしても、どうなんだろう?
兎にも角にも、二人は離れがたい関係になってしまった事はかわりない。
akunin3akunin4不思議に、若者たちに共感がわかないところが、この映画のポイントなんでしょうかねぇ。そのぶん、父親や祖母に哀しみを感じる。
マスコミを一喝したバスの運転手に、ほろっときてしまったり、増尾の取り巻きのひとりがまともな反応を示すことにほっとしたりする。
akunin6二人が、逃避行することは、映画を観る前からわかっていたことですが、どうなるんだろう?どうなるんだろう?と思いながら、どっぷり観ましたね。
ラスト、もう逃げられないというあの状況で、あの祐一の行動は衝撃でした。その理由は、明示されてません。委ねられてます。
あそこには、光代に対する想いからと考えたいです。祐一が伸ばす届かない手で十分でしょう。
ラストで事件現場の献花のなかに、あの祖母のスカーフがあったのは、あれは謝意からだったのか、孫の身代わりなのか、孫も被害者でそこで殺されたようなものだと主張しているのか…なんて思ったりもしました。おばあちゃん、強くなったから。
俳優さんのバランスも、絶妙でした。キャスティングがいいわ。
akunin2いかにも善人な妻夫木くんを、こういう役に据えちゃったのもいいです。山田孝之くんあたりが、はまりそうなんだもん。
ほんとに、どーしよーもない増尾をやった岡田くんは、「告白」にもKY教師と面白い役どころをやって、飛躍してます。楽しみです。
深津絵里さんが、女優賞をもらった映画ですが、彼女ならではの雰囲気はやはりいいものを感じます。でも、どこか男優の方が目についたのは、おばはんだからか?
脇の方も、安定感があるんですね。樹木希林さんしか考えられんかもだし。柄本明さんもだし、宮崎美子さんの彼を迎える顔も良かったです。
そして、満島ひかりちゃん、彼女を観るたびに「愛のむきだし」を観にゃーと思います。自然な感じがいい。
たしかに、見応えのある邦画でした。こういうのが、もっとねぇあるといいんだけど。安易なTVドラマのSPにもならんような映画は、もうやめてほしい。