この映画、あの「マーターズ」の監督さんゆえ、トールマンって言う題名ゆえ、そっちの方の映画という心構えで、はりきってました。ところが、店頭になかった…(泣)。ということで、ネットでレンタル。少々はりきり度も落ち着いてからの鑑賞となりました。
いい意味で、裏切られた映画でした。ネタバレを見ないで観た方がいいと思いますので、未見の人は、先↓に進まない方がいいかと思います。たぶん、ばらしてます。ただ、あんまりホラーを意識しない方がいい人も、あるかもしれない。
監督さんは、「テキサス・チェーンソー」から、ジェシカ・ビールがお気に入りだったらしく、英語で撮るなら彼女がヒロイン♪だったようです。
tall_man1トールマン
原題:THE TALL MAN
監督:パスカル・ロジェ   
製作:ジーン=チャールズ・レヴィ、ケヴィン・デウォルト、クレマン・ミゼレ、スコット・ケネディ   
脚本:パスカル・ロジェ   
撮影:カマル・ダーカウイ   
編集:セバスティアン・プランジェール   
音楽:トッド・ブライアントン
上映時間:106分
出演: ジェシカ・ビール、ジョデル・フェルランド、ウィリアム・B・デイヴィス、スティーヴン・マクハティ、ジェイコブ・デイヴィーズ、サマンサ・フェリス、 コリーン・ウィーラー、ガーウィン・サンフォード、ジャネット・ライト、イヴ・ハーロウ、ジョン・マン、ティーチ・グラント、フェルネ・ダウニー、他
鉱山の閉鎖を機に、寂れていく一方の町コールド・ロック。ここでは子どもたちが姿を消す事件が連続で発生しており、その犯人と思われる全身黒ずくめの怪人トールマンの目撃情報も後を絶たなかった。町で暮らす看護師ジュリア(ジェシカ・ビール)は、何者かが自宅から子どもを連れ去ろうとする現場に出くわす。子どもを乗せて激走する車にしがみつくものの逃げられてしまった上に、傷だらけになってしまったジュリア。町の住民が集まる食堂へとたどり着くが、彼らの様子がいつもと違うことに気付く。
公式サイト

tall_man2そういえば、マーターズも一作で二作みたいなつくりだった。この映画も、前半と後半では趣の違うものになってます。
ホラーだろうと構えてましたし、最初の方はそんな感じでした。後半は、社会派サスペンスの趣き。
安心の展開の作品が多いけど、そういうのにはしてないとDVDのインタビューで監督さん言うてはりましたから。(観ながら半分寝てたけどなかなか興味深いこと言うてる)見事、騙された。
死んだ町とか死にゆく町みたいな風に言われている寂れた廃鉱山の町で、20人ほどの子供たちが忽然と消える事件が相次いでいて、それはトールマンの仕業だと噂されていた。
tall_man5ジュリアは看護士で、亡くなった夫は町中のみんなから聖人のように尊敬されていた。
具合の悪い娘を連れてきた母子ー母親は娘が妊娠していることを知らなかった。しかも、生まれるから具合が悪かった。生活していくのに忙しかったということもあるんだろうけど。これが、この町の実態っていうことなんだろうね。
この母ちゃん、スパナチュにでてたエレン母ちゃんでした。末の娘ジェニーは、ジョデル・フェルランドで失語症で話すことが出来ないが、好んで絵を描いている。ジュリアは、彼女に親切にしている。
ジュリアが仕事終え、自宅に戻るとデヴィッドという子供とベビーシッターのクリスティンが待っていた。その夜、何者かに子供がさらわれるところを目撃してしまう。
tall_man3必死で追うジュリア。車にしがみつく根性はすごい。
犬に噛みつかれたり、傷だらけになりながら、町のダイナーにたどり着く。犬に噛まれたら、抗生物質打っておかないと!(笑)
なんか店の中の違和感を感じた私は正しかった。
それでも、その先の真実なんて予想できませんでしたね。
町ぐるみでの秘密?ダイナーから逃げ出すジュリア。
ダイナーの私室にある祭壇には、行方不明の子供たちの記事とデヴィッドの写真が中央に。なんかの悪魔的宗教?って思っちゃうよね。これも裏表の伏線のひとつ。
tall_man7デヴィッドをさらった人物は、実の母親だった…。
デヴィッドがさらわれるときに、騒がなかったのはそのせいか…とか、色々そういえばという点が思い浮かぶんだよねぇ。デヴィッドとの親子3人の写真はなかったなぁとか、やたら教育熱心な遊びをしてるし。TVがみたいといい、アニメが見たいんだってというのは、アニメを知ってるからこその台詞だよね。
ここで、ジェニーが絡む。さらわれたときもジェニーが見ている。そして、ジェニーにあることを告げて二人は別れる。
再び、デヴィッドを取り返したものの、家の周りを町の人々に取り囲まれてしまう。
tall_man4ベビーシッターのクリスティンは、覚悟の自殺。
ジュリアは、デヴィッドをどこに?がわからないままに、彼女は泰然と逮捕される。
ジュリアの家の地下室は、廃坑道につながっていて、トンネルをくまなく探す警察。これが冒頭につながってるんですね。
ホラーじゃないです。
まぁ、多少拷問や追いかけっこの果てのあんなこんなで、流血はあるものの、トールマンが、子供を食べちゃうとかそういうのはないもんねー。
tall_man6子供の行方をかたくなに言わないジュリア。自宅近辺を掘り返しても、何も出てこない。
デヴィッドの母親の面接で、心を開かそうとするんですが、ここで賢い私(爆・褒めてばっか→誰も褒めてくれん)「ゴーン・ベイビー・ゴーン」を思い出した。ジュリアが言うてるんです。「繰り返し」だと絶たないとダメだというようなことをね。
子供が出来なくて子供が欲しくての異常行動だとすれば、住み込みのシッターとその自殺は?
子供たちは、死んだとトールマンに渡したと。それはあながちウソじゃないよね。
tall_man4その先の謎を解いてくれるのは、ジェニー。少し歳がいってるので外されていたようですが、彼女が昔の自分も今の自分も受け入れ、新しい自分を生きている。デヴィッドを公園で偶然見かけながら…。子供たちは、生きている。
アメリカでは、毎年80万だっけかの子供が行方不明になり、数日後に発見される。でも1000人は跡形もなくいなくなるんだそうだ。
変質者映画もたくさん出来るわけですね(え?)
冗談はさておき、子供にとっての環境、血の絆ってなんだろうってほりゃ考えます。私だって子供おりますで。私の子供じゃない方が、よかっただろうなって思うことも未だにあるなぁ。それでもやっぱり、生まれてきてくれてありがとうと思います。
前半、ジュリアはデヴィッドの母親だと思って、必死で彼女を応援しちゃいますよね。そして中盤、応援してたのに…なんなのー、後半、そういうことかと…。
彼女は、結局多くの子供たちのためにも殉教者のごとく、罪をかぶって生きてくようです。
そして、もう一人死んだと思っていた人は、意外な役目をもってました。彼らを正当化ゆえかどうなのか、お金は受け取らない姿勢をみせています。
ホラーと思ってみたら、サスペンス。えーそうだったんですかぁなんですが、面白く観られた。伏線もあちこちに実はあったし、監督の言うように二度見は面白いかもしれません。
でも、宣伝とかは恐怖でおしてきてるし、それはあかんでぇ(笑)
監督のインタビューで、マーターズの成功でハリウッドにお呼びがあったそうで、見学は楽しかったそうなんですが、仕事はしにくかったそうです。いいと思う脚本は却下でウケ狙いの路線をおされたり、ハリウッドの問題を投げかけてました。結論の出る映画は撮りたくないんだそうです。私も割と結論のでない映画の方が好きではあります。
面白かった!