冒頭の室内をのしのしとなぜかアオサギが羽を広げて歩き回って、それを女がまるで意に介さないで電話しながら、メイドに手を出した亭主を怒鳴っているといったフシギなセンスにひきつけられるが、二時間近いのはいささか長すぎて飽きる。
フランス映画ながら監督のイオセリアーニはグルジア出身で、ロシアのソクーロフの「ストーン」でもなぜかチェーホフ(らしき人物)の部屋にアオサギが歩き回っていたが、あっちの文化圏で何かの意味があるのだろうか。

船と歌というより、二輪車とワインが頻繁に出てくる。二輪車が走り回るのをパンで捕らえたり、誰もいない部屋でも鉄道模型が走り回っているのを見せるなど、横の動きが目立っていて画面を様式化している。
玉突きみたいにとりとめないようで妙にぶつかったりする人物風景。
(☆☆☆)



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