かつらぎ俳句ブログ

俳句結社かつらぎ交流ブログ

公転と自転の地軸独楽放つ    石村葆子

           「かつらぎ」4月号より

「公転と自転の地軸」ここまで見ただけで
文系の私はお手上げである。
何のことなのか全くわからない。
下5に「独楽放つ」と出て来て初めて
独楽回しの様子を言っているのだと
おぼろげに分かってくる。
主宰の句評を読むと地球の自転の回転軸の傾きを
言っているとある。
この句を「アド俳句」に取り上げるについては
かなり難渋した。
これが新しい俳句だろうか。
最近この句のように目立った難しいことを
言えば俳句になると思う人が増えているのではないかと危惧している。
俳句は飽く迄も平易な言葉を使って
誰にでも分かるように表現するものだと
私は思っている。


鑑賞・ 阪野雅晴 (かつらぎ特別同人)

 SEIHO and TOHGE HAIKU in English (282)


マハ椅子に凭るがごとくに花疲      
   
Maha isu ni yoru ga gotoku ni hanazukare

leaning back in sofa
like Maja
fatigue of cherry blossom viewing

              阿波野青畝
               (Seiho Awano)


花散るまゝ子の言ふまゝに母歩む

hana chiru mama ko no iu mama ni haha ayumu

cherry blossoms are falling
mother is walking
as infant’s saying
                    森田 峠
                  (Tohge Morita)

-----------------------------------------------------------------------------
青畝句:マハはゴヤの絵の女性。”花見cherry blossom viewing”という艶のある”疲れfatigue”をゴヤの絵で表現されたことに感嘆。青畝先生が思い描かれたのは「裸のマハ」、それとも「着衣のマハ」?  直接お伺いしてみたかった。
峠句: ほほえましい母子の様子を,”落花falling of cherry blossoms”の美しい景色の中に描かれ、一幅の絵を見ているよう。「覚束ない足取りで歩く幼児とその母の様子・・」と主宰の解説。「子」を“幼児infant”とした。

           訳と解説・篠原かつら (かつらぎ同人)
            (tr. Katsura Shinohara)
        

疫の世とて花舗華やかな師走かな  森田純一郎

           「かつらぎ」3月号より

マスコミはコロナ禍だと騒ぎ立ててはいるけれど
師走の花舗はこんなに華やかではないか。
そんな主宰の声が聞こえてきそうな一句。
批判精神・逆説表現等々。
疫の世に対する主宰の独特の視線による
都会詠が思わず出てしまった句だと思った。
俳句と言うよりも短歌的な物の見方だと言える。


   鑑賞 ・  阪野雅晴 (かつらぎ特別同人)

SEIHO and TOHGE HAIKU in English (281)

武者さんの画にはなりさう薯の種

Musha san no e niwa nariso imo no tane


looking like to be the painting -
of Musha-san —
the potato seed

阿波野青畝
             (Seiho Awano)



流し雛誰かが必ず追ひかくる

nagashi bina dareka ga kanarazu oikakuru


someone
always running after —
floating hina dolls


   
森田 峠
               (Tohge Morita)

-----------------------------------------------------------------------------
 青畝句 “種薯potato seed”を見て武者小路実篤の絵に”なりそうlook like”と思われた。
どっしりした少し歪みのある薯だったのだろう。
”武者さんMusha-san”と親し気に呼びかけられたことが楽しい。

峠 句:  まさにこの句の通り“流し雛floating hina doll”は
誰かsome one”が必ず”追いかけているrun after”。
我が身の厄を背負って流れいく雛とは別れがたい気持ちがあるのだろう。 


 訳と解説・ 篠原かつら (かつらぎ同人)
          (tr. Katsura Shinohara)

やさしい俳句講座       

    かつらぎホームページ季節の代表句(令和三年春季掲載)

 畑打つや土よろこんでくだけけり

        阿波野青畝  大正十一年作 句集「万両」より

 一句の中に「や」と「けり」を使った型破りの句。切字は、一句中に一つと教わりましたが、全く気にならず、再び巡ってきた春の喜びがひしひしと伝わってきます。季語は「畑打」。冬の間眠っていた「土」が「よろこんで」砕かれていくというのです。



 ただ一人渚伝ひに遍路急く

     森田 峠   平成二十五年作 句集「朴の木山荘」より

 四国八十八か所霊場巡りの道程は、約千二百キロ、歩き遍路では約四十日を要する。渚伝ひとあるので、海岸べりの長丁場を一人でひたすら歩く様子が目に浮かびます。遍路という季語の持つはかなさ、哀れさが「遍路急く」で一層深みを増しています。



 芸舞妓並びて都踊果つ

       森田純一郎   平成二十四年作 句集「祖国」より

 京都最大の花街、祇園甲部の芸妓、舞妓が年に一度、新作の舞を披露する「都をどり」。フィナーレは「芸舞妓並びて」総出の群舞となって幕を下ろします。「果つ」が絢爛豪華な別世界から日常に戻る間のタイムラグのようなものを感じさせます。

 鑑賞・ 竹内万希子 (かつらぎ同人)

世に残す一句の欲しき秋思かな    平松文子

            「かつらぎ」2月号より

俳句を始めた人の大半は
公言はしないにしても
出来れば世に残るような一句を
作ってみたいと思っているのではないだろうか。
作者は惜しくも亡くなってしまわれたことを思うと
この秋思の深さが偲ばれるとともに
亡くなる直前まで俳句と真剣に
向き合う事の出来た幸せも思われる。

 鑑賞・ 阪野雅晴 (かつらぎ特別同人)

    SEIHO and TOHGE HAIKU in English (280)


羽ばたきす鳳凰に春立ちにけり平等院

habataki su houo ni haru tachinikeri


flapping toward the sky
the Phoenix of Byodoin
spring has come

                    阿波野青畝
                   (Seiho Awano)



目つむれば最上の波や茂吉の忌

me tsumureba Mogami no nami ya Mokichi no ki


closing my eyes
waves of the Mogami has appeared
the memorial day of Mokichi

                    森田 峠
                  (Tohge Morita)

-----------------------------------------------------------------------------
青畝句:平等院鳳凰堂の屋根に金色の“鳳凰phoenix” が”羽搏いているflapping”。青空に向かって、春光をはじくように胸を張って羽搏いている様子を”春立つspring has come” と詠まれた。

峠句:斉藤茂吉の代表作『最上川逆白波のたつまでにふぶくゆふべとなりにけるかも』を念頭に作られた句と思う。茂吉と言えば故郷の最上川が思い浮かぶ。“茂吉の忌the memorial day of Mokichi” 
        
          訳と解説 ・篠原かつら (かつらぎ同人)
         (tr. Katsura Shinohara)

    

仙渡しあるまでと棉摘み急ぐ    景山みどり

            「かつらぎ」1月号より

私は棉摘みを見たことがない。
棉の花も公園でしか見たことがない。
季語としてもいずれはなくなるのではと思っている。
しかしこの句は
「仙渡し」と言う山陰地方でのみ使われている言葉を使っているので
急に現実味が帯びて来る。主宰の言っている「風土に根ざした句は読み継いでいかねばならない」と言う言葉に同感できる。
常に新しい俳句を目指している主宰が
この様な古いと言える句にも
眼をそらさずにいることを頼もしく思う。


 鑑賞・ 阪野 雅晴 (かつらぎ特別同人)

SEIHO and TOHGE HAIKU in English (279)


一軒家より色が出て春着の児

ikkennya yori iro ga dete harugi no ko

colors come out
from solitary house
a girl in New Year’s kimono

       阿波野青畝
             (Seiho Awano)



レール行く如くスケート直進す

reru yuku gotoku suketo chokushin su

a skater
is going straight
as if on the train rail

   
森田 峠
              (Tohge Morita)

-----------------------------------------------------------------------------
 青畝句 “一軒家solitary house”から“色が出るcolors come out”で、「何だろう?」と思わせ、”春着の児a girl in New Year’s kimono”と焦点を絞られたところが素晴らしい。

峠 句: 真直ぐに滑る“スケーターskater”を“レールtrain rail”を“直進す go straight”と表現された。スケーターではなくスケート靴に焦点を当てられているようにも思えるが、その場合は”a pair of skate shoes”と複数形になる。

        訳と解説・篠原かつら (かつらぎ同人)
            (tr. Katsura Shinohara)
   

                          

Zoom越し隠し切れざる我が秋思  森田純一郎

            「かつらぎ」12月号より

今月号の主宰の句には人事句が目についた
それもどこか寂し気な句が多かったように思う。
季節のせいだろうか。
この句を発表された時(9月)には
それ程に思わなかったのだが
他の句と思い合わせてみると
Zoomの時でさえも陰鬱な表情を見せてはいけないと
言う主宰の責任感の強さが伝わって来て
胸が熱くなる。
Zoomでもすぐに感情が顔に出てしまう
自分と比べて反省しきりである。


   鑑賞 ・  阪野 雅晴 (かつらぎ特別同人)

このページのトップヘ